フリーランスのエンジニアの源泉徴収とは?確認方法と確定申告対策!

フリーランスのエンジニアの源泉徴収とは?確認方法と確定申告対策!

フリーランスのエンジニアは、会社員とは違い確定申告や還付申告を自分で行わなければなりません。正しく納税しないと法律に触れますし、還付手続きをしなければ税金の二重払いで損をしてしまうでしょう。

この記事では、フリーランスのエンジニアとして働く上で知っておきたい、源泉徴収についての知識を紹介していきます。

そもそも源泉徴収とは?

源泉徴収とは、給料や報酬を支払う側が所得税などを差し引き、本人の代わりに納税する制度です。企業に勤める会社員だけでなく、フリーランスも対象となります。

つまり、フリーランスのエンジニアとして案件を請け負った場合、あらかじめ提示されていた金額よりも実際は低い額を受け取ることがあるのです。

これは決して不当な徴収ではなく、むしろフリーランスのエンジニアが確定申告などで手間を取られないようにする配慮です。

ただし、発注元の企業によっては源泉徴収を行なっていないところもあるので、すべてのケースに該当するわけではありません。

また、源泉徴収の税率そのものは10%ですが、これに復興特別所得税が加算された合計10.21%が徴収されます。

案件に消費税が含まれている場合とそうでない場合とで徴収額は異なるので、請求書を作る際には注意しましょう。

フリーランスのエンジニアの源泉徴収を正しく理解しよう

フリーランスのエンジニアの場合、源泉徴収はどのようにすれば正しく行えるのでしょうか。

知識を身に着けておくことで後の面倒な手間が省けます。ここでは、3つのポイントを見ていきます。

源泉徴収の対象となる業務は決められている!

まず、フリーランスとして行うすべての案件で源泉徴収が行われるわけではない点を押さえておきましょう。

所得税法のなかで、源泉徴収の対象となる業務として8種類が定められています。

会社によってだけではなく、案件の内容によっても源泉徴収の対象かどうかは異なる点に注意しましょう。

源泉徴収の対象となる業務とは

源泉徴収対象の8種類のなかには、フリーランスのエンジニアとかかわりがあるものとないものとがはっきり分かれます。

源泉徴収される可能性が高いのが「原稿の執筆や講演・演説を行ったことに対して支払われる報酬」でしょう。

これは、エンジニアが自身の仕事に関係する記事を書いたときの原稿料や、ITコンサルタントとして講話を行った場合の講演料などが該当します。

一般的なエンジニアの仕事と直接的には関係しないものの、優れた技能や経験を持っていれば、いずれ上記の仕事を引き受けるときがくるかもしれません。

また、源泉徴収の対象となるそのほか7つの業務には、「弁護士や公認会計士、司法書士など特定の資格を持つ人へ払われる報酬」「社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬」「プロのスポーツ選手やモデル、外交員などに支払われる報酬」などがあります。

さらに、「芸能人や芸能プロダクションを営んでいる人に支払われる報酬」「バーやキャバレーなどに勤めるホステスなどに支払われる報酬」「プロスポーツ選手の契約金など、契約により一時的に支払われる料金」「馬主に支払われる競馬の賞金や、広告宣伝費のための賞金」なども該当します。

これらはすべて職業などが深く関係しており、弁護士やスポーツ選手、芸能人などではなければあまり関係ありません。

もし競走馬を持っているなどのケースであれば、職業に関係なく源泉徴収の対象となります。

源泉徴収の対象とならない業務とは

一般的なエンジニアの仕事である、ウェブサイトの開発やプログラミング、コーディングなどは、所得税法で定められている源泉徴収の対象となる業務に含まれていません。

そのため、これらの業務をメインに請け負っている人は、どのような案件でも源泉徴収されないのが普通です。

ただし、デザイン料に対しては源泉徴収の対象になるので、ウェブデザインにかかわる仕事を請け負った場合にはその限りではありません。

源泉徴収されている?案件ごとの確認方法!

源泉徴収されているかどうかは案件ごとにしっかり把握しておくことが大切です。

ここでは、源泉徴収の有無を知るための方法を2つ紹介します。

源泉徴収票があるとわかりやすい

支払元から源泉徴収票が発行された場合は、源泉徴収されているとすぐに判断できます。

徴収票は失くさないようにしっかりと保管しておきましょう。

ただし、フリーランスに対しては、支払元に源泉徴収票を発行する義務はありません。

そのため、源泉徴収されていても発行されていないことがあるので注意が必要です。

支払われた金額が満額かどうかチェックする

源泉徴収票がない場合には、報酬を受け取るときに満額が支払われているかどうかを確認すると良いでしょう。

一定額が控除されているなら、源泉徴収されている可能性が高いです。

満額が振り込まれておらず、かといって10.21%でもないなど支払いに関して不明点があるなら、クライアントに問いあわせてはっきりさせておくことが重要です。

特に、クライアントとの付きあいが長いわけではなく、しかも1度だけの仕事関係だった場合などでは、後から問いあわせをしても回答を得るまでに時間がかかる可能性があります。

支払いを受けたらすぐに確認する癖をつけて、問題を先延ばしにしないようにしましょう。

トラブルを避ける!フリーランスの確定申告対策

源泉徴収票などがもっとも必要となるときは、年に一度の確定申告の際でしょう。

ここでは、確定申告でフリーランスのエンジニアが知っておきたいことを3つ紹介していきます。

案件ごとにきちんと記録をつけておく

フリーランスの場合、源泉徴収は案件ごとに行われます。

案件の内容もさることながら、クライアントによっても源泉徴収を行うところと行わないところがあるので、個々のケースによって大きく異なります。

仕事を受けるたびにきちんと記録し情報を整理しておかないと、確定申告のときに1年分を計算することになります。

ここ最近の仕事に関しては記憶も確かなことが多く、それほど苦労に感じないかもしれません。

しかし、ほとんど1年前の受注に関しては記憶が曖昧なことも珍しくなく、記録がきちんと残っていない場合には大変な作業になるでしょう。

日頃から案件ごとに、報酬金額や源泉徴収された金額などがわかるようにきちんと帳簿につけることが大切です。

二重に税金を支払わないように気をつける

源泉徴収が行われている場合は、すでに税金が支払われているということを意味します。

本来なら源泉徴収されているにも関わらず確定申告の際に所得税を納めてしまうと、税金を二重に支払うことになるので注意が必要です。

源泉徴収票で引かれている金額も必ず確認し、前払いした税金の金額も把握しておきましょう。

さらに、フリーランスは全般的に、個人事業主が支払いを受けた際に受け取る支払調書も重要となります。

支払調書の「源泉徴収税額」を合計したものが前払いしている税額になるので、すべての支払調書でこの金額を合計すれば源泉徴収税額がわかります。

5年前までさかのぼって還付を受けられる

もしも今までの確定申告で税金を払い過ぎてしまったという場合、5年前までさかのぼって還付申告ができるのでこちらも覚えておきましょう。

還付申告は、通常の確定申告と同じ方法で行うことができるので、フリーランスにとってはそれほど大変なことではありません。

源泉徴収額が年収に対する所得税の額に比べて多い場合、税金が還付されます。

一方、源泉徴収を行わなければ、数十万円支払った源泉徴収にプラスして所得税を支払うため、さらに数十万円を失うことになります。

過去5年間に源泉徴収に関して無関心だった人は、今からわかる範囲だけでも税の還付を受けられるよう書類を整理する必要があるでしょう。

案件ごとに納税の有無を把握して正しく申告しよう

会社員とは違い、フリーランスは誰かが自分の税金の手続きをしてくれるわけではありません。

フリーランスになったら、まずは案件ごとに源泉徴収の有無を把握しておくことが大切です。

場合によっては税金の還付が受けられることもあるので、仕事と同じくらい大切な作業です。

帳簿をつけるなど日々少しずつ努力し、ミスがないようきちんと納税していきましょう。


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admin