フリーランスエンジニアが加入できる健康保険4つ!保険料を安くする方法も紹介

フリーランスエンジニアが加入できる健康保険4つ!保険料を安くする方法も紹介

自分の裁量で働けるフリーランスエンジニアは、魅力的かつ大きなやりがいを感じられる仕事です。ただ、企業に属さないため、健康保険がどうなるのか不安を覚える人も多いのではないでしょうか。今回はフリーランスエンジニアを目指す人のために、加入できる健康保険の種類や特徴をはじめ、保険料を安くするコツなど役立つ情報を紹介していきます。

フリーランスエンジニアが加入できる健康保険の種類について

一般的な企業に勤めるサラリーマンの場合、基本的にはその企業が属する健康保険組合などに加入することになります。しかし、企業に雇用されていないフリーランスエンジニアは加入先が固定されているわけではなく、複数の選択肢の中からある程度自由に選ぶことが可能です。まずは、フリーランスエンジニアが加入できる健康保険の種類について見ていきましょう。

1.国民健康保険

フリーランスエンジニアが加入できる保険としてまず挙げられるのが、「国民健康保険」です。社会保険に加入していない人、たとえば自営業者やフリーター、農業従事者などを主な加入対象としていますが、企業を退職した後に社会保険を任意継続しない人も加入することができます。市区町村が運営する国民健康保険のほか、国民健康保険組合が運営する保険の2タイプがありますが、一般的に「国保」と呼ばれるものは市区町村が運営するタイプを指すことが多いです。今回も、市区町村の国民健康保険について見ていきましょう。

国民健康保険の保険料は、医療分保険料や後期高齢者支援金分保険料、および40歳以上65歳未満の人のみが負担する介護分保険料の3つから成り立っています。これらを合計して算出された保険料を支払うのですが、保険料は前年度の収入に応じて増減するため注意しなければなりません。前年度の収入の約10%が保険料になるため、収入が多いほど保険料も高くなるというわけです。なお、保険料は運営する各市町村区によってそれぞれ決定されるため、同じ年収や年齢の人であっても住んでいる地域が違えば保険料も異なります。

2.任意継続保険

フリーランスエンジニアは、「任意継続保険」にも加入することができます。これは、フリーランスになる前に企業に勤めており、そこで何らかの健康保険に加入していた人が加入できる保険です。前職の企業で加入していた健康保険に、退職後も継続して加入できるというものです。ただし、希望すれば誰でも継続できるわけではなく、2つの条件を満たさなければなりません。1つ目の条件は、対象となる健康保険に2カ月以上加入していたことです。健康保険に加入したものの、2カ月経過しないうちに退職した場合は対象となりません。

2つ目の条件は、退職から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出することです。どの健康保険に加入していたかにより、提出先が異なるので確認しておきましょう。なお、継続できる期間は最長で2年間しかなく、それ以降はほかの健康保険に切り替える必要があります。さらに、企業に勤務している間は企業が保険料を半分負担してくれていましたが、フリーランスになって任意継続すれば全額自己負担しなければなりません。保険料がそれまでの2倍になるため、継続するかどうか慎重に考えて判断しましょう。

3.文芸美術国民健康保険

国民健康保険には、市区町村が運営するタイプのほかに、国民健康保険組合が運営するタイプもあります。「文芸美術国民健康保険」はこの国民健康保険組合が運営する保険のひとつであり、文芸や美術、著作活動などに従事している人が加入対象です。フリーランスエンジニアもこれらの活動に従事していると見なされるため、加入することができます。「東京コピーライターズクラブ」や「日本イラストレーション協会」など、60以上もの団体が加盟しているので、自身の事業に該当する団体に加入しましょう。

収入によって保険料が変わる国民健康保険とは異なり、文芸美術国民健康保険は収入の多い少ないに関係なく保険料は一定です。組合員の場合は1カ月あたり1万9600円、組合員の家族は1万300円の保険料となり、満40~64歳までの被保険者は介護保険料として1カ月に4000円がプラスされます。フリーランスとしての収入が年間で300万円以上となる場合、文芸美術国民健康保険のほうがお得です。それ以下の場合は、収入が少ないほど保険料が下がる国民健康保険のほうが良いでしょう。

4.被扶養家族の健康保険

フリーランスエンジニアがメインで加入できる保険は「国民健康保険」「任意継続保険」「文芸美術国民健康保険」などですが、ほかに被扶養家族として健康保険に加入するという方法もあります。配偶者や家族が被保険者として健康保険に加入している場合、その扶養に入って扶養者と同じ健康保険に加入するのです。保険料の支払い義務は扶養者に課されるため、本人は保険料を負担する必要がありません。ただし、扶養に入るための基準はかなり厳しいので注意が必要です。たとえば、フリーランスエンジニア本人が被保険者と三親等以内であること、年収が130万円未満かつ被保険者の年収の約2分の1未満であることなどが求められます。

さらに、健康保険の被保険者と生計を共にしていることや、勤務していた企業を退職した翌日から5日以内に加入することなども必要です。年収130万円未満という点については、一般的に「収入-経費」の残りとして計算します。ただし、扶養者が加入している健康保険によっては、経費を差し引くことが認められないケースもあるので事前の確認が欠かせません。

国民健康保険と任意継続の違いについて

フリーランスエンジニアが加入できる保険は何種類かあることがわかりましたが、加入のしやすさや保険料などを考えて「国民健康保険」か「任意継続保険」を選ぶケースが多いでしょう。より自分に合った保険を選べるよう、それぞれの違いについて詳しく説明していきます。

加入条件と期間

まずは、保険の基本となる「加入条件」と「期間」について見てみましょう。国民健康保険の場合、ほかの健康保険に加入していないことが条件となります。たとえ扶養に入っている場合でも、何らかの健康保険に加入していれば国民健康保険には加入できません。一方の任意継続保険は、前職の企業の健康保険に加入していた期間が2カ月以上あり、退職後20日以内に必要な申請手続きを済ませていることが加入条件となります。どんな事情があるにせよ、退職後20日以上経過してからの申請は一切認められないので注意しましょう。

期間についても、明確な違いがあります。国民健康保険が条件を満たす限りずっと加入できるのに対し、任意継続期間は最長でも2年間と定められています。2年経過後はどんなに継続したいと希望しても認められないため、ほかの健康保険を検討して切り替えなければなりません。

手続きの方法

次は、各健康保険に加入する手続き方法を見ていきましょう。国民健康保険は、「社会保険資格喪失証明書」を用意したうえで、各市区町村役場にて手続きを行います。社会保険の資格喪失証明書は、前職の企業を退職する際に、企業または加入していた健康保険組合から発行してもらえます。基本的には資格喪失日から5日以内に発行手続きが行われるため、退職してから1週間前後で手に入るでしょう。ただし、企業の事情などによっては2週間以上経っても発行してもらえないケースもあります。発行が間に合わない場合は、住んでいる地域の年金事務所で健康保険資格喪失証明書を発行してもらえることもあるため、問い合わせてみましょう。

任意継続保険については、「資格取得申出書」を用意したうえで手続きを行います。協会けんぽが発行した保険証を持っている場合は各都道府県の協会けんぽ支部、各健康保険組合が発行した保険証を持っている場合は各健康保険組合に連絡しましょう。組合によって必要な書類が変わることもあるため、事前に確認しておくとスムーズに手続きが進みます。資格取得申出書は「全国健康保険協会」のWEBサイトでフォーマットが公開されているため、ダウンロードして使うと便利です。

保険料

保険料については、国民健康保険と任意継続保険で大きな違いがあります。国民健康保険では前年度の収入によって保険料が増減するため、収入が多ければ保険料が上がり、少ないと保険料も下がります。一方、任意継続保険の保険料は収入に関係なく一定であり、加入期間中に変動することはありません。どちらの保険のほうがお得になるかは人それぞれですが、フリーランスになったことで企業に勤めていた頃よりも収入が大きく減った場合は国民健康保険のほうが保険料が安くなる可能性が高いです。勤めていた頃と同等、もしくはそれ以上の収入を得られるようになった場合は、任意継続保険にしたほうがお得になるでしょう。

任意継続の保険料は、前職を退職したときの標準報酬月額に、住んでいる都道府県の保険料率を乗じた額になります。40歳以上65歳未満の人は、介護保険料率も含むので注意しましょう。また、任意継続保険の保険料には上限があります。前職を退職したときの標準報酬月額が30万円を超えていた場合、どんなに収入があっても標準報酬月額を30万円と見なして計算するため、収入が高い人ほどお得になるでしょう。

扶養家族の保険料

フリーランスエンジニア本人だけでなく、扶養家族まで保険に加入させると保険料はどうなるのでしょうか。国民健康保険の場合、扶養家族の人数分だけ追加で保険料を支払わなければなりません。国民健康保険にはそもそも扶養という考え方がないため、加入する人数分の保険料が必要になるのです。これに対し、任意継続保険は扶養家族としての条件を満たしていれば、保険料の支払いは1人分だけしかかかりません。任意継続保険の期間中に結婚したり出産したりして扶養家族が増えた場合でも、保険料がその都度上がる心配はないのです。

このような点から、独身の人や扶養家族が少ない人は国民健康保険、扶養家族が多い人は任意継続保険に加入したほうが保険料の面でお得になります。

フリーランスエンジニアの保険料を安くする方法

健康保険は病気になったときの備えとして必要なものですが、保険料の負担が気になる人も多いでしょう。最後に、フリーランスエンジニアが保険に加入する際、少しでも保険料を安く抑えるコツを紹介します。

保険料の安い地域に引っ越す

各市区町村が運営する国民健康保険は、それぞれの地域により保険料が異なります。住む場所にこだわらないのであれば、保険料が安い自治体に引っ越すというのも効果的です。自治体によっては、年間の保険料にトータルで20万円以上もの差が生じるケースもあります。自治体ごとの保険料は「国民健康保険計算機」というwebサイトでチェックできるので、引っ越しを検討するならまず調べてみると良いでしょう。

電子マネー・クレジットカードで支払う

国民健康保険の場合、自治体によっては保険料をコンビニで支払うことも可能です。支払いの際に電子マネーやクレジットカードを使用すると還元ポイントが付くことも多いため、結果的に保険料を安く抑えられるでしょう。近所にコンビニがないという場合は、Yahoo!公金支払いを利用すればインターネットからクレジットカード決済することができます。WAONやnanacoなどの電子マネーで決済したい人も、チャージの際にクレジットカードを利用すればポイントが付くのでお得です。

ただし、全国すべての自治体で、国民健康保険の保険料をコンビニ支払いできるわけではありません。同様にYahoo!公金支払いに対応している自治体もあまり多くはありませんが、対応可能であれば保険料を抑えられる可能性もあるので事前に確認しておきましょう。

法人化する

よりお得な健康保険に加入したいのであれば、思い切って法人化するというのもひとつの方法です。法人化すると、健康保険組合や協会けんぽの保険に加入することになります。国民健康保険は扶養家族の人数によって保険料が高くなってしまいますが、健康保険組合や協会けんぽであれば扶養家族の人数は関係なく、被保険者の収入のみで保険料が決まります。つまり、家族が多い人ほど保険料の節約になるのです。また、国民健康保険に比べ、健康保険組合や協会けんぽは出産手当金や育児休業による保険免除制度、傷病手当金などの福利厚生が優れているというメリットもあります。

ただし、法人化するとデメリットもあるため注意が必要です。税務関係が複雑になるため税理士を雇ったり、法人が赤字であっても支払わなければならない税金があったりするので、慎重に検討しましょう。

文芸美術国民健康保険に加入する

対象者であれば、任意継続保険や国民健康保険ではなく文芸美術国民健康保険に加入するというのも効果的です。収入が上がるほど保険料も高くなる国民健康保険と違い、文芸美術国民健康保険は収入がいくらであっても保険料が変わりません。高収入であればあるほど、保険料を節約できるのです。保険料が安いだけでなく、健康診断や人間ドックを受ける際に補助金が出るなどのメリットもあるので、よりお得になるでしょう。


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admin