PowerShellとは|需要と将来性を解説

PowerShellとは|需要と将来性を解説

Windowsで利用されているプログラミング言語にPowerShellがあります。Microsoftが開発したスクリプト言語で、Windows OSに基本的に導入されています。

標準的に搭載されていて簡単に利用できるプログラミング言語ですが、意外と知らない人や使いこなせていない人が多いようです。今回はWindowsを使いこなすために重要となる、PowerShellとはどのようなプログラミング言語であるのかをご説明します。

PowerShellはWindows用プログラミング言語

PowerShellはMicrosoftが開発したプログラミング言語やその実行環境を指します。Windows用のプログラミング言語であるため、まずはプログラミング言語の概要についてご説明します。

PowerShellの概要

PowerShellはMicrosoftが開発したスクリプト言語を指します。また、PowerShellというプログラミング言語を実行する、キャラクターユーザインターフェースも含みます。プログラミング言語とその実行環境全体を指すものと考えてよいでしょう。

Windowsでは古くよりコマンドサーブレットが利用されていました。現在でもWindows製品には標準で搭載されていて、多くのシステムで利用されています。PowerShellはこれに置き換わるものだと考えられがちですが、現時点では共存するものであるため誤解してはなりません。

なお、WindowsにはWindows Script Hostと呼ばれるプログラミング言語と実行環境が搭載されていました。PowerShellはこちらのプログラミング言語と実行環境の後継と考えてよいでしょう。機能が追加され新しいプログラミング言語に仕上げられています。

PowerShellの歴史

PowerShellは2006年に開発されたプログラミング言語です。比較的新しいプログラミング言語と思われがちですが、歴史のあるプログラミング言語となってきています。

Windowsに搭載された際は脆弱性などがありましたが、バージョンが上がるごとに問題点の改善や新機能のリリースが行われています。現在はPowerShellの5.xが主に利用されていて、Windows OSのコンピュータに標準搭載されています。

なお、利用しているOSによって初期導入のバージョンや利用可能なPowerShellのバージョンが異なります。現在は主にバージョン5.xが利用されていますが、バージョン4.xが利用されるOSもあります。サービスパックの適用などによっても異なるため、自分の利用する環境が時代の変化に追いついているかどうかは確認すべきです。

PowerShellの使い道


PowerShellには多くの機能があり、状況に応じてそれらを使い分けできなければなりません。続いてはPowerShellの使い道にはどういったものがあるのかを具体的にご紹介します。

コマンドの強化

コマンドレッドと呼ばれるものが搭載されていて、こちらは簡単に説明するとPowerShell専用のコマンドです。標準で130種類程度のコマンドが用意されていて、コマンドの組み合わせで様々な操作が可能です。

ここで注目したいのは従来のコマンドよりも多くの操作が提供されている点です。今まではDOSコマンドを用いてWindowsの操作をしていましたが、PowerShellになればそれ以上の操作ができるようになるのです。従来のコマンドとコマンドレッドには大きな差があるため、上位互換だと考えてよいでしょう。

なお、機能としては上位互換にあたりますが、文法などに異なる部分が存在します。そのため、従来のコマンドをPowerShellのコマンドレッドに置き換えできるとは限りません。状況によっては実装方法の見直しなどが必要となり、従来のコマンドからコマンドレッドへの切り替えは負担を感じる可能性があります。

Microsoftサービスの操作

PowerShellからはMicrosoftのサービスを操作できるようになっています。コンピュータにインストールされている製品だけではなく、クラウド上のサービスも操作できる点に注目しておきましょう。

例えばOffice365など日常的に利用する機会の多いサービスの操作が可能です。クラウドに接続して情報を取得し、それをPowerShellのプログラム内で利用できます。このような情報の取得や処理は従来のコマンドだけでは実装できなかったため、PowerShellで大きく進化した部分です。

Microsoftサービスを操作できるようになったことで、PowerShellの価値が大きく高まっています。プログラムを書いておけば多くの操作を一元管理したり自動化したりできるため、これが後ほどご説明する需要や将来性にもつながってきています。

各種処理の自動化

パイプラインと呼ばれる機能が備わっているため、PowerShellでは複数の動作を自動化できます。今までは自動化が難しかった処理でも、PowerShellだけで処理できるようになるのです。自動化して処理を連続実行できる点は、従来のコマンドからPowerShellに切り替える大きなメリットといえます。

例えば、PowerShellを利用すればOutlookからメールの情報を取得可能です。そして、その情報を違うコマンドへと連携し、ファイルに出力したり統計を取ったりできるのです。従来のコマンドでは一時ファイルなどに一旦書き出す必要がありましたが、PowerShellでは情報をメモリに記憶してそのまま利用できます。

パイプラインによって情報の引き渡しが可能となるため、PowerShellではWindows上の多くの操作を自動化できます。PowerShellでは操作できないアプリケーションもありますが、Microsoft製品ならばコマンドレッドを組み合わせて作業の効率化が図れるはずです。

PowerShellの実装例

上記でPowerShellの概要についてご説明しました。続いては具体的にPowerShellの実装例にはどのようなものがあるのかご紹介します。

Windows OSの環境設定

Windows OSの環境設定はPowerShell内で定義できます。そのため事前にPowerShellを作成しておけば、そのプログラムを実行するだけで同じ環境設定のWindows OSを簡単に構築できます。

一般的にWindows OSの環境設定はGUIを用いて行われます。ただ、設定項目が多くなると時間がかかりますし、台数が多くなっても時間がかかります。環境設定はボトルネックになりやすい部分なのです。

しかし、MicrosoftはWindowsの環境設定をPowerShellから行うための機能を用意しています。こちらを利用すれば環境設定にかかる時間を大幅に短縮でき、またGUIの操作ミスによる設定誤りも発生しません。

ファイル操作

従来のコマンドよりも柔軟なファイル操作が可能です。ファイルのコピーや移動、リネームだけではなく検索や柔軟なフォルダ作成などGUIと同程度の操作を行えます。特にファイル検索はPowerShellの強みであるため、ファイル操作を実装する際はPowerShellを利用すると考えて良いでしょう。

また、ファイルを移動するだけではなく内容の更新も従来のコマンドより強化されています。PowerShellのプログラム内で生成した文字列やMicrosoftが提供する他のサービスから取得した文字列を書き込むことも可能です。従来のコマンドと異なりパイプラインも利用できることが、ファイル操作の利便性を更に高めています。

タスクスケジューラを活用した自動化

PowerShellで書かれたプログラムは「.ps1」との拡張子を付与したファイルで管理されます。このファイルはWindowsのタスクスケジューラに登録が可能であり、こちらのプログラムを利用することで定期実行などの自動化が可能です。

自動化することで、毎日1回や週に1回などの定期作業を抜けもれなく実行できるようになります。例えば、毎日特定のメールを送付する必要があるならば、PowerShellで実装することで自動化できるのです。タスクスケジューラとPowerShellの組み合わせは多用されるため、使い方として必ず抑えておきましょう。

PowerShellの需要と将来性


PowerShellに需要や将来性があるのかは非常に重要なポイントです。続いてはPowerShellの進化を踏まえて、需要や将来性がどのように期待できるのかご説明します。

標準機能として需要が高まる

現在はWindowsの製品にPowerShellが標準で搭載されています。追加で導入する必要がないプログラミング言語と実行環境であるため、積極的に利用されるケースが増えてきています。つまり、PowerShellの需要は高まってきている状況です。

特にPowerShellを利用すれば、従来のコマンドでは実現できなかった多くの処理を実装できます。例えば条件分岐などが容易になるのです。今まではバッチファイルを活用して条件分岐などを実装していましたが、今ではPowerShellだけで実装できるようになっています。このように標準機能として充実したものが提供されているため、急激に需要が高まっているのです。

また、PowerShellに関わる案件を確認してみても、PowerShell独自の機能を活かすものが多くなっています。標準機能で使いやすいものであるため、これからさらに需要は高まっていくでしょう。

多機能な言語として将来性は明るい

ご説明したとおりPowerShellは年々進化しています。Windows環境で積極的に利用されているプログラミング言語であるため、Microsoftは開発に力を入れている状況です。メジャーバージョンアップもマイナーバージョンアップも繰り返されています。

バージョンアップされるたびにPowerShellは機能が強化されていて、多機能なプログラミング言語となっています。このようなプログラミング言語の機能と需要の高まりを踏まえると、将来性の明るいプログラミング言語だと考えられます。Windows専用のプログラミング言語ではありますが、求められるプロジェクトが増えていくでしょう。

特にPowerShellは独自の実行環境が必要ないため、プログラムさえあれば簡単に実行が可能です。プログラムの導入にあたってハードルが少ないという観点でも注目度が高く将来性が明るくなっています。

従来のコマンドからいつ切り替えられるか

PowerShellの需要が高く将来性に期待できるのは間違いありません。ただ、需要が急激に高まるタイミングについては注視しておく必要があります。

ご説明したとおり現時点でもPowerShellの需要は高まっています。しかし、従来のコマンドが積極的に利用されているのも事実です。昔に作られたシステムはこちらを多用していて、簡単にはPowerShellに置き換えができないものが含まれているのです。そのようなものがいつPowerShellに置き換えられるのかは未知数な部分が多く、エンジニアを悩ませる部分ではあります。

とはいえ、従来のコマンドよりもPowerShellが活用される時代になるのは間違いないでしょう。常にトレンドをキャッチして、エンジニアとして波に乗り遅れないように案件を獲得する必要がありそうです。

まとめ

PowerShellの概要や需要、将来性についてご説明しました。PowerShellはWindows環境で利用できるプログラミング言語であり、利用の幅が広がっているものです。従来のコマンドよりも、機能が多く利便性が高い特徴があります。

需要が高く将来性の明るいプログラミング言語ですが、従来のコマンドも多くの現場で利用されています。そのため今すぐに従来のコマンドからPowerShellに切り替わるということはないでしょう。根本的に異なる部分もあるため、段階的にPowerShellへの切り替えが増えていくはずです。

時間がかかる可能性はありますが、PowerShellはMicrosoftが力を入れて開発しているものです。今後は従来のコマンドではなくPowerShellが基本だと考えてよいでしょう。

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admin