Flutterとは?需要と将来性を解説
FlutterはGoogle社が開発しているオープンソースのアプリ開発フレームワークです。クロスプラットフォームに対応している点が大きな特徴で、開発工数が削減できるなど徐々に注目を集めています。
注目を集め始めている状況ではありますが、新しいフレームワークですのでFlutterについて理解できていない人が多いようです。今回はこれからトレンドになるかもしれないFlutterについて解説し、現在や将来の需要と将来性について解説します。
Flutterとはなにか
Flutterはアプリ開発フレームワークであるとご説明しました。ただ、それだけ説明されてもあまり理解できない人が大半でしょう。そこで以下ではFlutterについて詳しくご説明します。
Googleが開発するアプリケーションフレームワーク
冒頭でご説明したとおり、FlutterはGoogle社が開発するオープンソースのアプリケーションフレームワークです。オープンソースで公開されていますので、誰でも無料でソースコードの利用が可能です。
開発にはDartと呼ばれるGoogle社が開発した独自のプログラミング言語を利用します。プログラミングの文法はJavaやJavaScriptに似ている部分がありますが、新しいプログラミング言語を習得しなければ開発できません。
FlutterはIT業界の大手企業であるGoogle社が開発していますので、他のフレームワークよりも期待が集まっている状況ではあります。ただ、2018年12月に公開された新しいフレームワークですので、まだFlutterを扱えるエンジニアは限られていますし、知名度についてもやや低い状況となっています。
クロスプラットフォームに対応
Flutterの大きな特徴としてプラットフォームに対応しているアプリケーションフレームワークであることが挙げられます。クロスプラットフォームと言われてもあまり馴染みがないかもしれませんが、クロスプラットフォームとは狭義に「1つのソースコードでiOSとAndroidの両方のアプリを開発できること」を指します。
つまり、Flutterでアプリケーションを開発すればiOS向けのアプリとAndroid向けのアプリを同時に開発できるのです。今まではiOSであればSwiftを利用しAndroid向けであればKotlinを利用していた状況を、Flutterひとつに置き換えられるのです。
クロスプラットフォームに対応しているフレームワークには、メリットもデメリットもあります。そのため一概にFlutterが良いとは言い切れない部分はあります。ただ、Flutterでクロスプラットフォームの開発ができることは大きな特徴に違いありません。
React Nativeとの違い
Flutterと同様にクロスプラットフォームでの開発に対応しているフレームワークにReact Nativeがあります。こちらとの比較について簡単に述べておきます。
そもそも、FlutterとReact Nativeは目指している方向が異なります。Flutterはひとつのソースコードですべてのプラットフォームで動作するアプリケーションの実現を目指していますし、React Nativeはひとつの知識ですべてのプラットフォームで動作するアプリケーションを実装できることを目指しています。目指す方向が異なっていますので、フレームワークとして用意されている機能や方針が異なります。
根本的に異なるため一概には比較できませんが、Googleの検索やGitの状況を踏まえると、Flutterの方がより人気があります。Flutterは新しいフレームワークですので興味を持つ人が多いのだと考えられますが、トレンドだけ見るとFlutterに人気が傾いている状況です。
また、肝心の性能ですがFlutterのほうが安定して動作すると言われています。全く同じように実装できるわけではありませんので完璧な比較はできませんが、口コミなどを確認してみるとFlutterを評価する声が多くみられます。
あくまでも異なった考え方で作られていますので、一概にどちらが良いとは言い切れません。それぞれの特徴を理解して利用するようにしましょう。
Flutterを選択する4つのメリット
続いてはアプリケーションを開発するにあたり、Flutterを選択する4つのメリットについて解説します。
メリット1:開発工数を低減できる
Flutterはアプリケーションフレームワークですので、導入すれば開発工数を低減できるメリットがあります。アプリケーションの開発に必要なものがあらかじめ用意されていますので、これらを利用すれば短期間での開発を実現できます。
また、Flutterはクロスプラットフォーム開発に対応しているフレームワークです。そのため、Flutterで開発をすればひとつのソースコードでiOSの開発もAndroidの開発も完了します。本来はそれぞれの開発をしなければなりませんが、1回の開発で済ませられますので、この点でも開発工数を削減できます。
なお、Flutterで開発するためにはご説明したとおりDartと呼ばれるプログラミング言語の習得が必要です。このDartの習得ができていなければ開発に参画しにくいですので、その点は注意が必要です。
メリット2:ドキュメントが豊富
FlutterはGoogle社が開発しているフレームワークですので、多くのドキュメントが公開されています。システムを開発するにあたりドキュメントが必要になる場面は多々ありますので、多くのドキュメントが用意されている点はメリットです。
また、近年は日本語のドキュメントも充実してきています。Flutterが公開されてからすぐは英語のドキュメントが中心でしたが、Flutterが日本でも知れ渡ってきたことで日本語のドキュメントが増えています。公式ドキュメントはまだまだ英語が多いですが、日本語でも情報が集められるようになっている状況です。
メリット3:マテリアルデザインに対応
Google社が推奨しているマテリアルデザインに対応しています。特にAndroidは端末によって画面サイズが異なるなどデザインの崩れが懸念されますが、Flutterを利用すればその点をあまり意識しなくてよくなります。
また、Flutterはクロスプラットフォーム開発のできるフレームワークです。つまり、Android端末ではなくiOS端末においてもマテリアルデザインを適用できます。別々にデザインを考える必要はなく、どちらもマテリアルデザインをベースとしたデザイン設計が可能です。
なお、マテリアルデザインは端末の差を吸収するメリットだけではなく、保守性の高さを高めるメリットもあります。リリース後のデザイン変更もしやすいですので、その点もメリットだと言えるでしょう。
メリット4:Widgetの独立性が高い
FlutterはWidgetと言われる機能の組み合わせでアプリを開発する手法が取られています。このWidgetは独立性が高い設計となっていますので、お互いに干渉しにくいアプリ開発ができます。また、ソースコードの可読性をあげられるというメリットを生み出します。
加えて、Widgetはホットリローデッドと呼ばれる仕組みですぐにアプリへと反映できます。今まではコンパイルや再起動などの作業が必要となっていましたが、Flutterでは数秒で変更内容を確認できます。このようにすぐにアプリへと変更を反映できるのは、Widgetの独立性が高いからなのです。
Flutterの需要と将来性
続いてはFlutterの需要と将来性について解説をします。
現状Flutterの需要は限られている
複数の大手求人サイトでFlutterに関する求人を見てみると、2021年5月現在で4件から100件ほどしか見つかりませんでした。スマホアプリ全体に対する求人は1,000件以上ありますので、現在の需要としてはまだ限られていると言えます。
この背景には様々な要因が考えられますが、Flutterがまだ新しいフレームワークであることが原因だと推測できます。求人を出す側がまだFlutterについて理解できていないため、求人数が少なくなっていると思われるのです。
また、まだまだエンジニア側も少ない状況と見越して、あまり求人を出していない可能性もあります。特にFlutterは独自の言語を習得しなければならないフレームワークですので、ハイレベルなエンジニアが出現するのはもう少し先だと踏んでいるのでしょう。
残念ながらFlutterを習得すれば多くの案件に参画できるという状況ではありません。ただ、案件は確実にありますので、習得すれば活躍の幅は広がります。
需要はこれからの伸びに期待
上記で説明したとおり、Flutterの現在の需要はまだ限られている状況です。そのため「Flutterなど身につけても仕方がない」と考えてしまったかもしれません。
確かに現状だけを見るとそのように考えてしまうのも不思議ではありません。ただ、Google社が開発しているアプリケーションフレームワークですので、Flutterは注目されていますし、これから需要は高まると考えられます。これからの伸びに期待できるアプリケーションフレームワークと考えてよいでしょう。
ただ、需要について注意しておきたいのは、日本でどの程度の高まりがあるのか未知数である点です。世界的にはFlutterに関連するキーワードの検索数が増えるなど、年々注目されているフレームワークに間違いありません。しかし、日本では新しいものが受け入れられるまでに時間がかかる傾向がありますので、いつから需要が高まるのかは一概に言えないでしょう。
需要の変化によって将来性は変化する状況
トレンドの状況を踏まえると、Flutterは注目のアプリケーションフレームワークですので将来性が明るいと考えられます。これから少しずつ需要が高まり、Flutterが支えるエンジニアは活躍の場が広がるでしょう。Flutterに関連するスキルを身につけておけば、多くの案件で活躍できる時代が来るはずです。
ただ、上記でもご説明したとおり日本での需要はまだまだ未知数です。世界的にFlutterがトレンドとなっても、日本では別のフレームワーク開発手法がトレンドになる可能性があります。そのため、将来性が明るいとは残念ながら言い切れません。
とはいえ、近年はリモートワークが主流となり、受注できる案件の幅が大きく広がっています。もしFlutterがなかなか日本で受け入れられなくとも、海外で需要があれば海外の案件をすれば良いのです。これもまだ需要があると言い切れるわけではありませんが、これから需要が高まれば将来性が明るくなることでしょう。
まとめ
FlutterはGoogle社が開発したクロスプラットフォーム対応のアプリケーションフレームワークです。グーグルが開発した専用のプログラミング言語を習得する必要があり、ややハードルは高いですが、開発工数を削減できるなどのメリットを生み出します。
FlutterはGoogle社が開発しているためスタイリッシュかつ高速な開発ができますが、2018年12月に公開されたフレームワークですので、まだ利用数が少ない状況です。また、まだFlutterを積極的に採用している案件数は多くなく、Flutterのスキルを身に付ければ多くの案件に参画できる状況ではありません。
ただ、世界的には注目を集めているフレームワークですので、これから需要の高まりが期待できます。現時点ではあまり魅力的ではないかもしれませんが、需要の高まりと将来性を期待して身につけておいて損はないでしょう。