LAMPとLEMP|概要・それぞれの違いについて解説!

LAMPとLEMPは、どちらもWebアプリケーションを開発したり、運用したりするためのソフトウェアスタックです。それぞれ利用されている技術の頭文字をとって、LAMPとLEMPと呼ばれています。Webアプリケーションを開発するエンジニアであれば、どちらについても正しく理解しておきたい内容です。今回は、具体的にどのような技術が利用されているのかイメージできていない人に向けて、基本的な概念から違いや活用方法についても解説します。
LEMPとは
最初に、近年の需要が高まっているLEMPからどのようなソフトウェアスタックであるのかを解説します。
LEMPの概要
LEMPスタックは、Linux、Nginx、MySQL(またはMariaDB)、PHP(またはPerl/Python)の頭文字を取ったキーワードです。Webサーバー環境を構築するためのソフトウェアの組み合わせを指し、王道であることから名称が付けられています。
構築の手法としては、ベースとなるLinuxオペレーティングシステム上でNginxWebサーバーを動かし、データベース管理にはMySQLかMariaDBを導入するものです。プログラミング言語にはいくつもの選択肢があり、PHP、Perl、Pythonを活用します。どれもWeb系のプログラミング言語であり、Webアプリケーションのホスティングに適したソフトウェアスタックです。
LEMPの特徴
LEMPスタックの大きな特徴として、パフォーマンスの高さと柔軟なスケーラビリティが挙げられます。
まず、Nginxはイベント駆動型アーキテクチャを採用しているため、大量の同時接続を処理しやすいことが特徴です。また、これらの接続に対して適切にリソース配分できるなど、使用効率が良いことも魅力と言えます。そもそも、Nginxはキャッシュ機能を持つため、静的コンテンツの配信に優れています。これとリソースの効率が相まって、Webサイトのレスポンスタイムが短縮できるようになっています。
加えて、Nginxは軽量でリソースの使用が少なく、並列処理能力が高いWebサーバーに分類されます。そのため、大量のアクセスが予想されるなど、高トラフィックのWebサイトに最適です。
LEMPを構成する4つの要素

LEMPを構成する要素は大きく4つに分解できます。
L:Linux
Linuxはオープンソースのオペレーティングシステムで、LEMPスタックの基盤です。安定性とセキュリティに優れ、多くのサーバー環境で利用されています。さまざまなディストリビューションが存在し、用途に応じて選択する必要があります。例えば、LEMPの環境ではCentOS、Ubuntu、Debianなどのディストリビューションが使用されます。Linuxは高いカスタマイズ性を持つため、状況に応じてカスタマイズすることが重要です。
また、Linuxにはコミュニティサポートがあり、カスタマイズの際に参照するドキュメントが多く存在しています。そのため、何かしらの問題が発生した場合でも、スムーズに解決できることが特徴です。オープンソースでライセンス費用がかからないだけでなく、トラブルが生じた際のリスクも少ないといえます。
なお、一部のLinuxディストリビューションについては、企業が主体で開発していて有料サポートを提供しています。例えば、RHELは有料でのサポートが存在するため、企業に採用される機会の多いものです。
E:Nginx
Nginxは高性能なWebサーバーであり、リバースプロキシやロードバランサーとしても使用されます。軽量でリソースの使用が少なく、並列処理能力が高いため、高トラフィックのWebサイトに最適です。イベント駆動型アーキテクチャを採用しているため、非同期でリクエストを処理でき、サーバーのリソースを効率的に活用できることが採用の背景にあります。
また、Nginxは設定が柔軟で、リバースプロキシやロードバランサーとしての機能も強力です。基本的にWebサーバーとして利用しますが、高性能なWebアプリケーションのホスティングにおいてはWebサーバーとリバースプロキシ両方の実装もできます。
M:MySQL/MariaDB
MySQLとMariaDBはどちらもオープンソースのリレーショナルデータベース管理システムです。基本的なデータベースの機能を有していて、無料で利用できることから多くのWebアプリケーションで採用されています。特に、MySQLは広く採用されていて、その安定性とパフォーマンスが特徴です。また、MariaDBはMySQLから派生したデータベースで、互換性を保ちながらも追加機能やパフォーマンスの向上が図られています。
どちらも豊富な機能を持つデータベース管理システムで、大規模なデータベースの構築も可能です。例えば、インデックスの最適化、トランザクション処理、リレーショナルデータベースの機能などの機能が必要とされる状況でも採用できます。
なお、どちらのデータベース管理システムもオープンソースですが、多くのエンジニアに支えられているものです。開発が継続されているものであり、常に新しい技術を取り入れたものを利用できます。
P:PHP/Perl/Python
PHP、Perl、Pythonはどれもサーバーサイドのスクリプト言語で、動的なWebページの生成やデータベースとの連携に利用します。特にPHPはWeb開発で多用されていますが、近年はPythonが圧倒的に人気のプログラミング言語となりつつある状況です。それぞれ異なる特徴を持つため、状況に応じて使い分けしなければなりません。
まず、PHPはシンプルで習得しやすく、多くのWebアプリケーションで使用される言語です。また、Perlはテキスト処理に優れ、システム管理やWeb開発に広く使用されています。最後に、Pythonは読みやすさと豊富なライブラリから、データ分析や機械学習、Web開発など多岐にわたる分野で使用される状況です。LEMPスタックでは、これらから最適なものを選択して開発することが求められます。
LEMPと対比されやすいLAMPとの違い

LEMPと対比されやすいソフトウェアスタックにLAMPと呼ばれるものがあります。これとの違いについてもまとめていきます。
WebサーバーがNginxかApacheか
LEMPスタックではNginxが使用されるのに対し、LAMPスタックではApacheが使用されます。ApacheはNginxと同様にWebサーバーを実装するためのオープンソースです。モジュール化されているため設定が柔軟かつ豊富な機能を持っています。さまざまなモジュールが用意されているため、Webサーバーの機能をカスタマイズしたいときに魅力的なものです。
ただ、ApacheはNginxほど高速な処理に対応したものではありません。リソースの管理に若干の特徴があるため、それを考慮した実装としなければならないのです。高速な処理に特化したWebサイトを構築したいならば、LAMPではなくLEMPを採用したほうが良いでしょう。
とはいえ、どちらのWebサーバーも強力であり、使用する環境や要求に応じて選択するスキルが必要です。基本的な方針としては「高パフォーマンスを求める場合はNginx」「カスタマイズ性と柔軟性を求める場合はApache」と理解してください。
どちらも需要があり比較が必要
LAMPとLEMPはそれぞれ異なる特徴を持つため、用途に応じた使い分けが必要です。例えば、LAMPは安定性と豊富なサポートから、初心者に適していると考えられます。対して、LEMPは専門知識が必要であるため、ある程度のスキルを持つエンジニア向けでしょう。また、高パフォーマンスとスケーラビリティを活かすためには、Webアプリケーション全般に精通していることが求められます。
一般的に、LEMPは高トラフィックを処理する能力が求められる環境で採用するスタックであると理解すべきです。対して、LAMPは極端に性能が求められない環境であれば、幅広く利用できるスタックといえます。どちらのスタックもそれぞれにメリットがあるため、適切に選択することが重要です。特に、LEMPには専門知識が必要となることから、スキル不足で採用すると後悔する可能性があります。
LAMPとLEMPの構成以外の違い
LAMPとLEMPにおいて、構成以外にはどのような違いがあるか紹介します。
スピード・パフォーマンス
LEMPスタックはNginxを使用するため、特に静的コンテンツの配信や高トラフィックの処理において高いパフォーマンスを発揮します。また、Nginxはリソース消費が少なく、並列リクエストの処理能力が高いことも特徴です。そのため、LEMPは総じて高いパフォーマンスを求める環境に適しているといえます。
対して、LAMPスタックのApacheは安定性が評価されているものの、スピードやパフォーマンスに特化したものではありません。むしろ、リソース消費が多いWebサーバーに分類され、アクセスが集中するなど高負荷時にはパフォーマンスが低下する可能性があります。
使い勝手
LAMPスタックは設定や管理が容易で、多くのドキュメントやサポートが存在しています。そのため、初心者でも扱いやすく、迅速に環境を構築できることが特徴です。特に、PHPとMySQLの組み合わせは、世界中で多くのWebアプリケーションに使用されています。
しかし、LEMPスタックは設定と運用に若干ですがスキルが必要です。特に、高いパフォーマンスと効率性を実現するためには、Webサーバーなどを正しく設定しなければなりません。Nginxの設定ファイルはシンプルであるものの、少しのミスが性能を左右するため正しい理解が必須です。
どちらも使い勝手は良いものの、必要とされるスキルの観点ではLAMPが優れています。ただ、一度LEMPについてのスキルを習得してしまえば、LEMPでも特に不便を感じることはないはずです。
LAMPとLEMPはどちらを選択すべきか
LAMPとLEMPのどちらを採用すべきか悩む人が多いため、それぞれがおすすめな状況を紹介します。
LAMPが理想的な場合
LAMPで採用されるApacheは、Webサーバーの中でも特に安定していて情報が多いことが特徴です。そのため、LAMPは初心者がWebサイトを開発する場合や企業が安定してサービスを提供したい場合におすすめします。特別なモジュールを導入しない限りは、必要最低限の機能を安定して提供してくれるからです。
また、LAMPは多くの環境で採用されていることから、多くのWebサイトやWebアプリケーションと互換性があります。すでに開発されているものがLAMPならば、そのままLAMPでの開発を検討すると良いでしょう。
LEMPが理想的な場合
高トラフィックや高パフォーマンスが求められる場合は、LEMPでNginxを導入することをおすすめします。大量のリクエストを処理する能力はApacheより格段に優れているため、求められる性能値を達成できるはずです。
また、キャッシュやロードバランシングの機能も実装できるため、これらが必要となる場合にも検討してみましょう。本来は別のツールなどを利用する必要がありますが、LEMPならば完結できます。
まとめ
LEMPとLAMPのスタックはそれぞれの特徴があるため、実装するWebサイトやWebアプリケーションの内容を踏まえて選択することが重要です。基本的に、安定性を重視するならLAMP、高パフォーマンスやスケーラビリティを重視するならLEMPをおすすめします。
ただ、単純に比較できるものではなく、選択にあたっては運用できるスキルがあるかどうかが重要です。LAMPは簡単に運用できますが、LEMPはNginxの設定に専門的なスキルが求められます。これに対応できるかどうかが、LEMPの良さを活かせるかどうかを左右するため、よく考えて採用することが重要です。