Active Directoryとは?基本知識や導入のメリット、活用事例を徹底解説!

Active Directoryは、Windows Serverに備わっているユーザーを管理するための機能です。一般的にユーザーの管理はパソコンの内部で実施するとのイメージがありますが、Active Directoryを利用すればサーバー上で一括管理できます。これにより、組織が全てのユーザーを一括で管理できるなど、運用面で様々なメリットをもたらしてくれるのです。
システム的には非常に有用な仕組みですが、ユーザー管理などを担当していないとActive Directoryになじみがないでしょう。今回は、Active Directoryとはどのような仕組みであるのか、基本知識や活用事例などを順番に解説していきます。
この記事の目次
Active Directory(Active Directory)とは
Active Directoryとは、Microsoft社が提供するWindows Serverに標準搭載されているディレクトリサービスです。ディレクトリサービスとは、簡単に述べると、ネットワーク内のリソースを一覧化して効率的に管理する仕組みを指します。ネットワーク上のサーバーはもちろんのこと、プリンターやユーザーなどの情報もActive Directoryで管理が可能です。
また、Active Directoryは、これらの情報を構造化して管理できます。たとえば、部署ごとにユーザーを分類したり、権限レベルごとにアクセスを可視化したりなどです。これにより、「どのデータがどこにあるのか」「どのような情報なのか」といった点を把握しやすくなります。
組織の中では、大量のデータが散在しがちです。しかし、Active Directoryに情報を集約することで、統制を取りやすくなります。
Active Directoryの機能
Active Directoryには、さまざまな機能が集約されています。ここでは、その中から代表的なものをピックアップして解説します。
IDやパスワードの一元管理
Active Directoryを活用することで、IDやパスワードなどの情報を一元管理できます。従業員が利用するIDとパスワードの組み合わせはもちろん、システム内部で使用されるような組み込みIDの管理にも対応が可能です。すべての情報を同じサーバーで集中管理できるため、ユーザー管理にかかる手間を大幅に削減できます。
また、ひとつの環境で管理することにより、セキュリティ対策を施しやすくなる点も押さえておきましょう。個別に管理されているパソコンやサーバーの台数が多い組織ほど、Active Directoryの効果が大きくなるのです。
アクセス権の一元管理
IDやパスワードだけでなく、アクセス権の一元管理も可能です。登録されている各ユーザーに対して、どのような権限を与えるかをActive Directory側で制御できます。たとえば、接続できるサーバーや利用可能な機能の制限が可能です。また、アクセスできるかどうかだけでなく、「更新できるかどうか」といった操作の権限まで細かく制御できます。
他にも、特定のディレクトリに対して「閲覧のみ許可する権限」と「更新も可能な権限」をグループで割り当てることが可能です。個別のユーザー単位だけでなく、グループ単位でも権限を設定できるため、柔軟かつ詳細なアクセス制御にも対応できます。一元管理により、設定ミスを抑制し、運用負荷を軽減できる魅力的な機能です。
ソフトウェア・ハードウェアの管理
ネットワーク上に存在していれば、ソフトウェアやハードウェアの管理も可能です。Active Directoryといえばユーザー管理のイメージが強いですが、ソフトウェアやハードウェア管理の機能も見逃せません。
たとえば、パソコンやプリンターなどネットワークに接続されているハードウェアを一覧管理できます。また、パソコンにインストールされているアプリケーションやミドルウェアなどのソフトウェアも対象です。パソコンやサーバーの内部情報まで管理できることは、Active Directoryの大きな魅力でしょう。
ログの取得と管理
ログの取得と管理は、Active Directoryを活用する上で非常に重要な機能です。ユーザーのログオン履歴やグループポリシーの適用状況、アクセス権の変更履歴、システムエラーや認証失敗の記録など、多様なイベントをログとして記録できます。
また、これらのログは、Windowsの「イベントビューアー」などのツールを通じて閲覧・分析が可能です。これは、組織内での不正を検知したり、外部からの攻撃を察知したりするために利用できます。
Active Directoryの理解に重要な用語
Active Directoryには、いくつもの専門用語が存在します。これらを理解しないと全体の理解が進みにくいため、以下の用語はしっかりと押さえておきましょう。
ドメイン
ドメインは、Active Directoryが管理するネットワーク上のリソースやアクセス権限全体を指します。ユーザーやコンピュータグループなどのセキュリティ情報を一元的に管理する、論理的な単位です。
ひとつのドメインには一意の名前が与えられます。そして、管理者はそのドメイン内でアクセス権の設定やポリシーの適用など、運営業務を担う仕組みです。ドメインは管理の根底となる単位であり、基本的なセキュリティの仕組みを担う重要な機能でもあります。
ドメインコントローラー(Domain Controller:DC)
ドメインコントローラーは、Active Directoryのドメイン内でユーザーのログオン認証やディレクトリサービスを提供するサーバーです。概ね、Active Directoryの機能を提供できるサーバーであると理解して差し支えないでしょう。ソフトウェアの名称としての意味と、それが導入されたサーバーを指す意味の両方があります。
なお、ドメインコントローラーは1台でも最低限の機能を提供できますが、障害の発生に備えて複数台を構成するケースが増えています。ユーザーがドメインにログインする際に非常に重要な役割を担うため、可用性や冗長性を高めることが一般的です。
ドメインツリー(Domain Tree)
ドメインツリーは、共通の名前空間を持つ複数のドメインを階層的に表したものです。いわゆる親子関係を持つドメイン同士で構成されていると考えましょう。親ドメインの下に子ドメイン(サブドメイン)がぶら下がる形で、階層構造を示すことができます。たとえば「test.local」というドメインに「branchA.test.local」「branchB.test.local」などのサブドメインをぶら下げることが可能です。
また、それぞれのドメイン間では自動的に「トラスト」と呼ばれる信頼関係が結ばれます。これにより、ユーザーやリソースを相互に利用できることが特徴です。
フォレスト
フォレストは、Active Directory全体の最上位に位置する構造体です。ひとつ以上のドメインツリーから構成され、単一のドメインツリーで構成されている場合でも、フォレストは存在します。ただし、一般的には「example.com」と「example.org」のように、異なるドメイン名空間を持つドメインツリーを集約して利用するものです。
フォレストを構築することで、全体でデータ構造やグローバルカタログを共有できるようになります。つまり、フォレストはActive Directory間の信頼関係と管理を、最も広い観点から統合するための機能です。
シングルサインオン
Active Directoryの用語ではありませんが、「シングルサインオン」も重要な概念です。これは、一度のログインで複数のシステムやサービスにアクセスできる仕組みを指します。
Active Directoryが導入されていれば、ユーザーがWindowsにログインするだけで、ファイルサーバーやメール、社内Webなど、複数のサービスに再認証なしでアクセス可能になります。また、特定のサービスやフォルダーへのアクセスを制限する制御も一元管理が可能です。
シングルサインオンを活用することで、ユーザーの利便性が向上します。また、パスワードの管理や入力の負担が軽減され、効率性も高められるでしょう。
Active Directoryを導入するメリット
Active Directoryを導入することによるメリットをそれぞれ解説します。
業務を効率化できる
ユーザー情報を一元管理できることは、業務を効率化する大きなメリットです。シングルサインオンと組み合わせることで、複数のサーバーやシステムにアクセスできるようになります。結果、その都度認証する手間がなくなり、効率化に繋がるのです。
また、管理者の視点では「Active Directoryさえ管理すればよい」という環境を実現できることも魅力です。通常であれば、各サーバーやシステムごとにユーザー情報を個別に管理しなければなりません。しかし、Active Directoryに管理を集約することで、煩雑な運用作業から解放されるというメリットがあります。
セキュリティやポリシーを徹底できる
ネットワークに接続されているサーバーやパソコンは、Active Directoryを通じてセキュリティ設定やポリシーの制御が可能です。また、設定が正しく反映されていない場合は、それを検知することもできます。これらを駆使すると、組織全体で統一されたセキュリティポリシーを徹底できることがメリットです。
Active Directoryを利用していない場合、これらの設定作業は各ユーザーが個別に担当しなければなりません。この場合、設定ミスや連絡の見落としといったリスクが高まります。セキュリティポリシーが徹底できず、トラブルにつながる可能性も否定できません。
Active Directoryを導入するデメリット
これまで解説したように、Active Directoryには多くのメリットがあります。ただ、導入に際してはいくつかのデメリットにも注意が必要です。
導入時に負荷がかかりやすい
初回の導入時に大きな負荷がかかる点は、Active Directoryの代表的なデメリットです。もちろん、これを乗り越えれば、運用負荷を総合的に軽減できます。とはいえ、導入段階ではコストや人的リソースの確保が課題となりがちです。
たとえば、導入時には、どのようなグループを作成し、それぞれにどのようなユーザーを割り当てるかを検討が求められます。組織の階層構造と同じようにグループを構築するのが理想的ですが、実際にはそれが難しいケースが多いからです。たとえば、同じ部門内に一般社員と管理職が混在しており、同一のアクセス権限では不都合が生じるなどが考えられます。
これは一例ですが、導入時には業務要件を徹底的に洗い出し、それに基づいたグループ設計が必要です。これに対応するため、初期導入には多くの時間と労力がかかってしまいます。
運用には専門知識が必要
Active Directoryは高機能であり、組織全体のユーザーやリソースの一元管理が可能です。その反面、運用には相応の専門知識が求められます。非常に多くの機能を備えたツールであるため、管理者はその使い方をしっかりと習得しなければなりません。
知識が不十分なまま導入を進めてしまうと、思わぬ設定ミスやトラブルを引き起こす可能性があります。組織によっては、専門性の高さが逆にハードルとなり、導入や運用の妨げになることもあるでしょう。自社に適切なスキルを持つ人材がいるかどうかは、導入を検討するうえで非常に重要なポイントです。
まとめ
Windows Serverの機能であるActive Directoryについて解説しました。ユーザーやサーバーなど、ネットワークに接続されるものを一元管理する仕組みです。適切に構築することで、管理者はActive Directoryだけを管理すれば良くなります。
ただ、非常に高機能な仕組みであり、導入や運用には専門知識が必要です。十分な体制なしに導入すると、結果として失敗しかねません。その点には注意し、十分に検討してから導入するかを決定してみてください。