C#.NETとVB.NET、ASP.NET|概要・それぞれの違いについて解説!

C#.NETとVB.NET、ASP.NET|概要・それぞれの違いについて解説!

世の中には似たようなプログラミングやライブラリがあり、それらの中でも正しい認識を持たれていないのがC#.NET・VB.NET・ASP.NETです。すべて「.NET」で終わるものであるため「似たプログラミング言語・ライブラリ」と考えられているようです。

名称は似ているものではありますが、実はこれらの内容は大きく異なっています。正しい認識を持たなければ、勘違いから大きなトラブルになりかねません。今回はC#.NET・VB.NET・ASP.NETの違いが理解できていない人に向けて、これらの概要とそれぞれがどのように違うのかについてご説明します。

C#.NETとは


最初にC#.NET・VB.NET・ASP.NETの中でもC#.NETについてご説明します。C#.NETはC#との違いについて気になる人も多いようですので、こちらも踏まえてご説明します。

Microsoftが提供する開発環境

C#.NETはMicrosoftが提供する開発環境において、プログラミング言語にC#を採用する状態を指します。C#はプログラミング言語の名称ではありますが、「.NET Framework」と組み合わせて利用する機会が多いため、C#.NETと呼ばれる状況です。

そもそも、.NETの開発にはC#ではなくC++が利用される傾向にありました。ただ、C++は.NETの開発にはやや適さない部分があったため、その問題を解決するためにC#が開発されて、ソフトウェアの開発に利用されるようになっています。

MicrosoftがC#を開発したため、同じくMicrosoftが開発している「.NET Framework」と組み合わせて利用するケースが多くなっています。結果、C#の開発環境はC#.NETと呼ばれるようになりました。

Microsoft環境の開発に強い

プログラミング言語・フレームワーク・開発環境までMicrosoftが開発しているため、Microsoft環境の開発に強いプログラミング言語・フレームワークです。特にWindows OSでのソフトウェア開発をしたいならば、C#.NETの利用が適しているため積極的に採用されています。

もちろん、Windows OSは多くのプログラミング言語に対応しているため、C#.NETでの開発が必須というわけではありません。しかし、他のプログラミング言語やフレームワーク、開発環境とは違いC#.NETはMicrosoftが開発しているため、他よりも選ばれやすくなっています。

C#.NETはMicrosoftが開発しているとの観点から、他とは違う優位性があるのは間違いありません。違いを理解してC#.NETを習得しておくと、エンジニアとして活躍しやすくなるでしょう。

実態としてはC#とほぼ同義

ご説明したとおり、C#.NETはC#と組み合わせて利用するフレームワークや開発環境を指します。Microsoftがすべて開発しているため、これらをひとまとめにして呼ぶことが多くなっているのです。

ただ、厳密には違いがあるものの、C#.NETとC#はほぼ同義だと考えて差し支えありません。C#で開発する際にはC#.NETを利用するケースが大半であるため、細かな違いを意識する必要がないのです。エンジニアの多くもC#.NETとC#の細かな違いまでは意識していないでしょう。

なお、C#は単体でも開発ができるため、C#で開発するために必ずC#.NETが必要となる仕組みではありません。C#.NETの開発にはC#が利用されますが、C#の開発でC#.NETが必ず利用されるとは限らないのです。

VB.NETとは


続いてVB.NETについてご説明しますが、こちらは他とは違い、知名度の低いものとなっています。皆さんの中にも詳しい理解を持っていない人がいると思われるため、基本的な部分からご説明します。

VIsual Basicが.NET対応

VB.NETの「VB」はMicrosoftが1990年代に開発していた「Visual Basic」の頭文字を取ったものです。古くから開発に利用されているプログラミング言語で、Microsoft製品の開発に携わるエンジニアならば習得していて当たり前ともいえるものでした。

Visual Basicは2002年に「.NET」に対応するようになり、このタイミングからVB.NETと呼ばれるようになっています。つまり、「.NET」との名称が付与されていますが、VB.NETはフレームワークの名称ではなくプログラミング言語の名称です。過去に利用されていたVisual Basicの後継と認識しましょう。

Visual Basicとの互換性はなし

ご説明したとおりVB.NETはVisual Basicの後継となるプログラミング言語であるため「Visual Basicと互換性がある」と考えた人が多いでしょう。しかし、VB.NETにはVisual Basicからバージョンアップするにあたって多くの変更点があり、プログラミング言語としての互換性はありません。完全に異なったプログラミング言語だと認識しておく必要があるでしょう。

現在は「Visual Basic=VB.NET」との認識が広がっているため、.NETに対応する以前のVisual Basicで開発している人はほぼ居ないと考えられます。MicrosoftもVB.NETでの開発を前提とし、過去のVisual Basicはサポートしていない状況です。

ただ、全く異なるものであると理解していなければ、VB.NETについて認識齟齬が起きてしまう可能性があります。C#.NET・VB.NET・ASP.NETの違いではなく、VB.NETとVisual Basicの違いを理解すべきです。

リリース名称はVisual Basic XXであるため注意

VB.NETはVisual Basicと中身の異なったプログラミング言語であるため、一般的にはVB.NETと呼ばれています。ただ、Microsoftがプログラミング言語をリリースする際には「Visual Basic XX」の名称が利用されています。例えば、最新版である「VB.NET 16」の正式名称は「Visual Basic 2019」です。

Microsoftが公式では「Visual Basic」の名称を利用しているため、VB.NETと名称の不一致が起きています。この状況を改善するために、正式名称とVB.NETの名称の両方を発表するようにはしていますが、分かりづらい状況が続いているのは間違いありません。

なお、Microsoftは製品名にリリースしたタイミングを含めるネーミングルールを多く採用しています。そのため、VB.NETとの名称の不一致はこの先、解消される可能性が低いと考えられます。

ASP.NETとは


最後に、C#.NET・VB.NET・ASP.NETの中でもASP.NETとはどのようなものなのかをご説明します。

.NETフレームワークの一部

ASP.NETはプログラミング言語の名称ではなく、Microsoftが開発する「.NET Framework」に含まれる要素を指しています。.NET Frameworkは5つの構成要素から成り立っていて、そのひとつにASP.NETが含まれているのです。

.NET Frameworkの構成要素の中で、ASP.NETはWebアプリケーションを開発するために利用されます。.NET FrameworkはWindows環境で動作する多くのソフトウェアやアプリケーションの開発に利用でき、その中でもWebアプリケーションを開発するためにASP.NETを利用するのです。

そもそも、ASP.NETのASPとは「Active Server Pages」の頭文字を取ったもので、Webサーバでの利用を想定しています。簡単なWebサイトから複雑なWebアプリケーションまで構築できる、.NET Frameworkの重要な構成要素です。

複数のプログラミング言語で開発可能

ASP.NETは.NET Frameworkの構成要素であるため、複数のプログラミング言語で開発が可能です。.NET Frameworkには中間コードの利用によって複数のプログラミング言語を利用できる特徴があり、ASP.NETもこの特徴を受け継いでいます。

複数のプログラミング言語を利用できるため、本来、Webアプリケーションの開発に利用する「PHP」「Python」などの習得が必要ありません。Windows環境で必要なプログラミング言語のスキルがあれば、そのままWebアプリケーションの開発ができます。これによりエンジニアの負担が大きく軽減でき、Windows環境でのWebアプリケーション開発効率を高めることが可能です。

ASP.NETにも複数の要素が含まれる

ASP.NETとひとまとめに紹介されるケースが多いですが、厳密にはASP.NETの中にも複数の要素が含まれています。

  • ASP.NET Web Forms
  • ASP.NET MVC
  • ASP.NET Core
  • ASP.NET Web API

それぞれに細かな違いがあるため、ASP.NETを利用した開発をしたいならばその点を把握しておくと良いでしょう。「ASP.NETを利用した開発」と表現すると漠然としたものになってしまい、意図した内容が伝わらない可能性があります。フレームワークについて認識齟齬が起こると開発のトラブルとなりかねないため、ASP.NETの細かな違いを踏まえて正しく伝えるように努めるべきです。

C#.NET・VB.NET・ASP.NETの違い

C#.NET・VB.NET・ASP.NETがそれぞれどのような意味合いであるのかご説明しました。それぞれのご説明内容を踏まえて、C#.NET・VB.NET・ASP.NETにはどのような違いがあるのかについてご説明します。

プログラミング言語を指すかどうか

「プログラミング言語を指す言葉か」との観点で違いがあります。C#.NETやVB.NETはプログラミング言語を指しますがASP.NETはプログラミング言語を指す言葉ではありません。言葉が指しているものに大きな違いがある点は正しく認識しておきましょう。

特に「.NET」は「フレームワーク」との認識が幅広く広がっています。このような認識を持つ人が多いために、C#.NET・VB.NET・ASP.NETの違いを意識せずすべてフレームワークだと認識しているようです。プログラミング言語とフレームワークでは意味に大きな違いがあるため、その点は真っ先に理解しましょう。

開発対象

C#.NET・VB.NET・ASP.NETの中でもASP.NETはWebアプリケーションの開発に特化したフレームワークです。他のC#.NETやVB.NETは何かしらの開発に特化したものではないため、ここは違いとして理解しておきましょう。

.NETの考え方を踏まえると、C#.NETやVB.NETでもWebアプリケーションの開発は可能です。ただ、Webアプリケーションを開発するためのものではなく「Webアプリケーションも開発できる」という状況に過ぎません。
ASP.NETはWebアプリケーション以外への応用ができないため、重要な違いなのです。

まとめ

C#.NET・VB.NET・ASP.NETの違いについてご説明しました。名称が似ていることから「どれも似た特徴を持つ」と考えられていることが多いですが、ご説明したとおりC#.NET・VB.NET・ASP.NETには大きな違いがあります。誤って理解しているとエンジニアとしてトラブルを引き起こす原因となりかねないため、この機会に正しい理解を持つようにしましょう。

C#.NET・VB.NET・ASP.NETにはそれぞれ違いがありますが、エンジニアとして自分が取り扱っているものは正しく理解できるでしょう。皆さんに認識してもらいたいのは「C#.NET・VB.NET・ASP.NETの中でも自分が取り扱っていないもの」についてです。「自分が扱っているものと似ているだろう」と考えていると、大きな違いがあるため問題となりかねません。

ただ、違いさえ認識できていればC#.NET・VB.NET・ASP.NETの詳細な部分を理解する必要はありません。違いを理解したエンジニアになり、トラブルを回避しましょう。

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