.NET(ドットネット)とは?需要と将来性を解説

.NET(ドットネット)とは?需要と将来性を解説

.NETとは一般的に.NET Frameworkと呼ばれるフレームワークを指す言葉です。Microsoftが開発する製品でWindows関連の開発に利用されます。

Windows関連のソフトウェア開発に多用されるため知名度は高いですが、具体的にどのように利用されるのか理解できていない人が多いようです。今回はWindows関連の開発に対応する.NETとは何かを解説し、需要や将来性についても解説していきます。

.NETはMicrosoftのフレームワーク


.NETは基本的にMicrosoftが開発するフレームワークを指します。「.NET Framework」と表現される場合もあり、Windows系で開発されるフレームワークです。最初にこちらの概要についてご説明します。

.NETの概要

.NETはご説明したとおり.NET Frameworkで開発されているソフトウェアや開発環境のことを指します。現在世の中で利用されているWindowsには標準で搭載されているため、Windowsがインストールされているパソコンやサーバであればすぐに利用が開始できる特徴があります。

Microsoftが開発しているフレームワークであるため、基本的にはWindows系のソフトウェア開発に利用されます。実際にはWindows以外のソフトウェア開発にも利用できますが、多くはWindowsのソフトウェア開発に利用すると理解して差し支えありません。Windows以外にも利用できる点だけ押さえておくと良いでしょう。

Microsoftが開発するフレームワークであるため「Windows系のプログラミング言語に特化している」と誤解されるケースが多くあります。しかし実際には「C#」「C++」「Visual Basic」など複数のプログラミング言語が利用できます。Windows系のプログラミング言語が中心ではありますが、複数の言語が利用できるため学習コストを抑えやすくなっています。

.NETの5つの構成要素

.NETを利用するにあたっては主要な5つの構成要素を理解しておく必要があります。

  • CLR
  • BCL
  • WCF
  • ASP.NET
  • ADO.NET

それぞれの構成要素について役割をご説明していきます。

CLR

.NETには共通言語ランタイム(CLR)と呼ばれるランタイムが搭載されていて、この環境を利用して複数のプログラミング言語でもスムーズに動作させられるようになっています。.NETの場合はCILと呼ばれる共通中間言語に変換される仕組みとなっていて、これをCLRが実行してくれます。

中間コードを作成する仕組みがあるため、.NETでは複数のプログラミング言語で開発が可能です。すべてのプログラミング言語が利用できるわけではないものの、中間コードの存在は.NETの利便性を大きく高めています。

BCL

BCLは.NETで利用されるクラスライブラリを指しています。.NETはフレームワークであるため、BCLのようなライブラリが標準で搭載されています。このライブラリに含まれるクラスを利用することで、短時間かつ効率よくソフトウェアの開発ができるようになっています。

汎用的な処理はBCLに含まれているため、.NETの利用者はこれらに該当する部分を個別に開発する必要がありません。開発する部分が多ければ多いほどエンジニアに負担がかかりますが、.NETを利用して開発すれば最小限の範囲に抑えられます。

WCF

WCFは「Windows Communication Foundation」の頭文字をとったもので、ネットワーク通信を実現するための機能です。 ネットワークで接続されている端末上のソフトウェア間での通信を実現するために利用されます。対応している通信プロトコルには「TCP]「HTTP」「MSMQ(Microsoft Message Queuing)」などがあり、ソフトウェアに応じて必要なプロトコルを選択できる点が特徴です。

.NET Framework 3.0で追加されたWCFですが、現在利用されている.NET Framework 5.0ではやや利用が減ってきている状況にあります。その背景には、.NETの新しいバージョンではWCFの後継に該当する要素が提供されるようになっているからです。今後はこちらが推奨されWCFの提供は終了すると考えられているため、現時点でWCFを利用している場合には注意が必要な状況となっています。

ASP.NET

.NETの構成要素として重要な役割を担っているのがASP.NETです。Webアプリケーションを開発するために利用するもので、こちらを利用するために.NETを導入するケースも多々見られます。Windows環境でWebアプリケーションを開発するならば、ASP.NETを利用するケースが多いと考えてよいでしょう。

数あるWebアプリケーション向けフレームワークの中でもASP.NETが利用されるのは、GUIベースでWebアプリケーションの開発が可能であるからです。開発ツールを利用するとドラッグ・アンド・ドロップでWebアプリケーションを開発できます。一般的にWebアプリケーションを開発するためにはHTMLやCSSなどの知識が必要となりますが、.NETならばそれらは必要ありません。

しかも、.NETはご説明したとおり複数のプログラミング言語に対応しています。そのため、.NETをベースにすることで、Webアプリケーション向けのプログラミング言語を習得しなくともWebアプリケーションの開発が可能です。開発のハードルを大きく下げられるだけでなく、既存のソフトウェアをWebアプリケーションへ流用もできます。

ADO.NET

.NETからデータベースへアクセスするための要素です。近年は大半のソフトウェアがデータベースを利用して開発されているため、ADO.NETなしに開発はできないと言っても過言ではありません。

.NETの構成要素としてADO.NETが注目されるケースが多いのですが、実態としてはBLCに含まれているものです。そのため、BLCを利用していると自然とADO.NETでデータベースへとアクセスすることになるでしょう。データベースへ接続するために別のコネクタを用意しなくとも、.NETの機能だけで実現できます。

なお、ADO.NETは主要なリレーショナルデータベースと接続するために利用されるケースが多いですが、CSVファイルやエクセルファイルなどをデータベースのように操作することも可能です。小規模なソフトウェアではCSVファイルやDATファイルをデータベースのように利用する機会もあり、そのような開発でも.NETだけでカバーできます。

エンジニアが開発に.NETを利用するメリット


ここまで.NETの概要についてご説明しました。.NETにどのような機能があり、エンジニアとしてどのように活用すれば良いのかイメージしてもらえたでしょう。続いてはエンジニアが.NETを利用することでどのようなメリットを感じられるのかをご説明します。

複数のプログラミング言語で開発できる

.NETの大きな特徴は複数のプログラミング言語での開発が可能であることです。一般的にソフトウェアの開発はそれに適した言語を習得する必要がありますが、.NETならばすでに保有している言語を活かしてソフトウェアの開発が可能です。

複数のプログラミング言語での開発に対応しているため、該当するいずれかのプログラミング言語を習得していれば.NETは利用できます。.NETを利用するために新しくプログラミング言語を習得する負担から開放されます。これはエンジニアにもプロジェクトオーナーにもメリットがあるのです。

ただ、複数のプログラミング言語を利用して開発ができるものの、複数のプログラミング言語を混ぜて開発することはできません。エンジニアが持つプログラミング言語のスキルは揃える必要があるため、その点は理解しておくべきでしょう。

安定した動作が期待できる

.NETはWindows環境に標準で導入されているため、.NETでソフトウェアを開発しておくと多くのWindows環境で実行が可能です。ソフトウェアを動作させるために専用のライブラリなどをインストールしてもらう必要がなく、Windowsさえインストールされていれば安定した動作が期待できます。

ソフトウェアの動作環境に条件が増えると、安定した動作が期待しにくくなります。条件が増えれば増えるほどトラブルなども起きやすくなるため、エンジニアとしては条件が少ないに越したことはありません。その点、.NETはWindows OSがインストールされているだけで良いのです。

なお、.NETはWindowsに標準で搭載されていますが、搭載されている.NETのバージョンについては利用するOSに差があります。そのため、場合によっては搭載されている.NETとは別のバージョンを用意してもらう必要があるでしょう。.NETは安定した動作が期待できる仕組みではありますが、搭載されているバージョンが異なると期待とは異なる動作になりかねません。

.NETの需要と将来性はどうか

.NETはWindows環境で動作するソフトウェア開発ができるため利便性の高いものです。そのような使い勝手を踏まえ、.NETの需要や将来性はどうなるのかご説明します。

.NETの今後の需要

.NETの案件数が多く需要は高い状況にあると言えます。数多くのソフトウェアが.NETで開発されているため、この先急激に案件が少なくなるとは考えられません。また、現時点でMicrosoftは.NETで開発を続けているため、フレームワークが陳腐化することもないでしょう。安定して.NETのソフトウェアが開発されると考えられます。

そのように考えると、.NETの需要はこの先も急激に変化するとは考えられないでしょう。少なくとも現在と同じ程度の需要が続き、世界中のWindows OS環境で.NETで開発されたソフトウェアの利用が続くはずです。現在は非常に多くのシェアを有しているため、この需要が長く続くと思われます。

フレームワークの需要が高ければ取り扱うエンジニアの需要も高くなります。.NETのようにWindows環境で利用するフレームワークは需要が高いため、必然的にエンジニアの需要が高いのです。現時点では.NET開発に関連する数多くの案件があり、この先も新規開発や維持保守などで安定した需要が期待できます。フレームワークだけではなくエンジニアの需要も高いのです。

.NETの将来性

ご説明したとおり.NETは非常に需要の高いフレームワークです。その状況を踏まえると、.NETの将来性は明るいと言えるでしょう。フレームワークの開発はMicrosoftが主体となって行うため断言はできませんが、現在の普及度合いを踏まえると急激な変化があるとは考えられません。

また、.NETの需要が高まるとエンジニアの需要も高まるのはご説明したとおりです。つまり、需要の高い.NETを取り扱うエンジニアは将来性が明るくなります。多くの案件が存在するフレームワークを扱っているため、エンジニアはいつでも求められるわけです。「フレームワークを習得したのに案件がない」という状況にはならないでしょう。

もちろん、自分の保有するスキルとクライアントのミスマッチはあるかもしれません。フレームワークには様々な使い方があるため、何かしらの相違が起きてしまうのはやむを得ないのです。ただ、そのような問題が発生する可能性を踏まえても、.NETを習得しておけば非常に多くの需要に応えられるため、エンジニアとしての将来性を明るくできます。

まとめ

.NET Frameworkについてご説明しました。Microsoftが開発するアプリケーション構築のためのクロスプラットフォームオープンソースです。複数の言語やエディタ、ライブラリを利用して開発ができるようになるため、習得しておくとエンジニアとして活躍の幅が広がります。

.NETは現時点でもMicrosoftが力を入れて開発しているフレームワークです。数多くのソフトウェアが開発されている状況を踏まえると.NETの開発が終わるとは考えにくく、これからも安定して開発されるでしょう。今までと同様に.NETの需要は高く新規の開発も維持保守も続くはずです。

また、フレームワークとしての需要が高いため、.NETを扱えるエンジニアの将来性は明るい状況です。Microsoft関連の開発に携わりたいならば、.NETを習得しておくことで長く活躍できるでしょう。

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