C言語の今後の将来性は?現状の需要と今後の動向を解説!

C言語の今後の将来性は?現状の需要と今後の動向を解説!

C言語とは?

1969年、米国AT&Tベル研究所の片隅に放置されていたPDP-7というミニコンピュータでUNIXというOSが産声をあげました。そして3年後の1972年、このOSで動作するユーティリティを作るために新しいプログラミング言語が開発され、「C(言語)」と名付けられました。

アセンブリ言語で書かれていたUNIXは、その後C言語で書き直され、さまざまなコンピュータに移植されてゆき、今日のUNIX系OS全盛の時代を迎えました。Linuxはもちろん、AndroidもiOSもUNIX系のOSです。

C言語は、OSの記述に用いられたように、低水準(ハードウエアに近い)のプログラミングが得意なだけでなく、制御構文などに高水準言語の特徴を併せ持っていました。

このため、コンピュータリソースの制限が厳しいデバイスドライバや組み込みソフトウエアから、高性能なサーバ群で動作する基幹系システムにいたるまで、さまざまなソフトウエアの開発に用いられるようになりました。

C言語の特徴

特徴1:高水準かつ低水準言語
もともと、OS上で動作するユーティリティ開発のために作られた言語、つまりシステム記述言語なので、ビット単位の論理演算、シフト演算、ポインタ演算といったハードウエアに密着した処理を効率的に記述することができます。

反面、if/else、do/while、forといった高水準言語に備わっている制御構文も持っています。

このためC言語は、低水準記述が可能な高級言語、高級言語の顔を持つ低級言語といわれることがあるのです。

特徴2:動作が高速
C言語はいわゆるコンパイラ言語なので、C言語で書かれたプログラム(ソースコード)はCコンパイラによってコンピュータが直に読むことのできる機械語(バイナリコード)に変換されます。このため、実行時にプログラムを機械語に変換する必要がないので、プログラムの処理が高速です。

さらに、C言語の処理系の多くにインラインアセンブラが備わっているため、さらに処理速度が要求される部分のみをアセンブリ言語で記述することが可能になっています。

特徴3:汎用性が高い

C言語は、デバイスドライバなどハードウエア寄りの低レベルなプログラムから、パーソナルコンピュータ用のアプリケーション、さらには高性能サーバ群で可動する基幹系システムや、スーパーコンピュータで処理させる大規模シミュレーションプログラムにいたるまで、実にさまざまな分野で使われています。

コンピュータにやらせたいことの大半はC言語で記述できる、ともいわれています。また、歴史が古いこと、アマ、プロ問わずプログラマの数が非常に多いので、C言語で書かれたプログラム資産が膨大に蓄積されているのです。

C言語の需要

C言語エンジニア向けの求人にどのような案件があるか見ていきましょう。

需要1:組み込みシステム

組み込み系案件の求人がたくさんあるのはC(C++)の特徴といえます。

IoT機器向け改ざん検知システム開発、ハイブリッド車のフェールセーフ機能開発、車載充電ECU開発、POSレジシステムのレジ側システム開発、5G通信の計測器開発、ガス発生装置ソフトウエア開発、パーキングシステムの組み込みソフトウエア開発など実にさまざまです。

IoT、自動車関連、5G関連が最近のキーワードといえるのではないでしょうか。

需要2:ゲーム、シミュレーション

大手ゲーム会社におけるゲーム開発要員の他、個別の案件としては、人気ゲーム機とスマートフォンとの間でマルチプレイできるゲームの開発、アミューズメント施設向けゲームコンテンツ制作、ブラウザ向けゲームの顧客サイド開発などの他、サウンドライブラリ開発やVRコンテンツ開発などの案件も見られます。

需要3:汎用システム全般

汎用システムはどうでしょう。

銀行債券系システム開発、内国為替業務パッケージ開発など定番の金融系システムから、SaaS型販売管理システムの改善、航空系システムの改修・機能追加、地図・ナビゲーションサービス用基盤開発、ナビゲーションソフトウエア開発など、こちらも実にさまざまな案件があることがわかります。

C言語の年収

言語の種類にかかわらず、ソフトウエアエンジニアの報酬の基準は、その言語でプログラムを書けることが最低条件で、それに加えて経験と業務知識がどれだけあるか、ということで決まってきます。

設計書に従ってコードを書く、といういわゆるプログラマレベルであれば、月額40万円ほど、経験と業務知識が豊富でプロジェクトマネージャーを任せられるスキルがあると月額80万円くらいというのが相場のようです。年収換算で約500万円から約1,000万円といったところでしょうか。

業務経験も業務知識もまだ十分ではないという若手エンジニアの場合は、資格を取得しておくと就職、転職においてスキルを担保することができます。C言語には「サーティファイ情報処理能力認定委員会」が実施している「C言語プログラミング能力認定試験」があるので、検討してみると良いでしょう。

C言語の将来性

C言語が今後も伸びるだろう理由

C言語は歴史のある言語です。言い方を変えれば古い言語です。誕生が1972年なので、今年(2019で年)で47年になります。C言語は、後にオブジェクト指向の概念を取り入れたC++となり、さらにはC#やObjectiveCなど新しい処理系も誕生しています。

こうした状況から、今後、オリジナルのC言語を用いた新規開発の需要がどんどん増える、ということは想像しにくいといえるでしょう。

しかしながら、歴史が古くこれまで作られてきたソフトウエア資産が膨大にある、ということは、それらソフトウエアのメンテナンスや機能拡張の案件が当分続くであろう、ということです。

また、C言語はANSI/ISOにって世界標準規格になっています。このため、言語仕様の変化が小さく安定しています。この「安定している」というのはとても重要なことで、APIの外部仕様としてC言語の関数インターフェイスが選ばれることが多いのです。

C言語の将来性を危惧する状況

将来性を危惧する理由の筆頭はやはり「古い」ということです。また、C言語は、誕生の経緯から、言語としては機械語の影響が強く、仕様は単純であるものの、明快さに欠け、難解で習得しにくいのが欠点といわれています。

さらに、C言語は、移植の容易性、プログラミングの自由度、実行速度を追求したために、生成されたコードの安全性を犠牲にしているといわれます。コードに内在するバグが顕在化してセキュリティーの脆弱性が露呈したり、想定外の動作をしたりといったことがあります。

C言語を狭義に捉えると、こうした欠点が目に付きますが、かといってC言語で記述された膨大なソフトウエア資産がなくなるわけではなく、C++を含むC言語系の各言語は今後も使われ続けていくでしょう。

まとめ

誕生からもう少しで半世紀になろうとしているC言語。長らく使われ続けてきたがゆえに、さまざまな欠点が表面化しているものの、コンピュータの世界に与えた影響は計り知れないものがあります。

これからあらたにC言語を学び始めるメリットはあまりないかもしれませんが、何かしらのC言語系プログラミング言語の習得はソフトウエアエンジニアとして必須といって良いでしょう。

長らく使われてきて実績のある古いソフトウエア資産を理解するにはC言語の理解が不可欠なので、このためだけにC言語を勉強するのも決して無駄な努力にはならないと考えられます。


登録フォームボタン
登録フォームボタン

SHAREこの記事をシェアする

admin