Dartでできること3選!将来性、需要は?

Dartでできること3選!将来性、需要は?

Dartは世界に数多くあるプログラミング言語のひとつです。プログラミング言語の中でもマイナーなものであり「そのようなプログラミング言語があるのか」と驚いた人もいることでしょう。意図的にDartの開発に携わってきていないならば、このプログラミング言語を知らなくても不思議ではありません。

まだまだマイナーなプログラミング言語ですが、Dartは注目を集めているプログラミング言語でもあります。今回はDartがどのようなプログラミング言語であり何を実装できるのか、メリットやデメリットにはどのようなことがあるのかご説明します。

Dartとは?


Dartといわれてもどのようなプログラミング言語なのかイメージできない人が多いと考えられます。まずはDartの基本知識とメリットやデメリットについて理解しておきましょう。

Dartとは

Dartは2011年にGoogleによって開発されたプログラミング言語です。Googleが開発したプログラミングとしては「Go」が有名ですが、こちらのDartもGoogleが開発しています。ただ、プログラミングの知名度としてはDartのほうが低く、どのような言語なのか知らない人が多いのです。

GoogleがDartを開発した背景にはJavaScriptの最適化があります。JavaScriptはWebアプリケーション開発において、ブラウザサイドで動作する非常に重要なプログラミング言語です。ただ、処理にいくつかの問題があり実装できない分野があるのも事実です。そのような部分を解消するために、GoogleはDartを開発しました。

「かゆいところに手が届くプログラミング言語」として一時期は注目を集めましたが、結局はJavaScriptからの乗り換えが手間であることにより定着していません。しかし、Dartには独自の特徴があり、近年は改めてDartの良さが注目されるようになってきています。

Dartの特徴

Dartにはいくつもの特徴がありますが、それらの中でも特筆すべきものは以下のとおりです。

オブジェクト指向言語

JavaScriptとは異なり、Dartはパラダイムにオブジェクト指向が採用されています。JavaScriptではオブジェクト指向プログラミングができないため、その問題点を解消するためにDartではオブジェクト指向に対応しているのです。

一般的には「オブジェクト指向は難しい」との印象を持たれ、毛嫌いしている人も見受けられます。ただ、適切に活用できると効率よくプログラミングできる手法であり、Dartにおいても使いこなすことで効率のよいプログラミングが可能です。

例えば、JavaScriptではオブジェクト指向がないため、同じ内容や似た内容を何度も記述する必要があります。このような部分をDartならば解決できるのです。これは一例に過ぎませんが、オブジェクト指向言語として使いこなせるようになると、大きな効果を生み出します。

動的型付けと静的型付けに対応

Dartはプログラミング言語の中でも珍しく、動的型付けと静的型付けの両方に対応しています。どちらかと問われるとDartは静的型付けであり、JavaScriptが動的型付けです。DartはJavaScriptの問題点を解消しているため、これら両方に対応できると考えれば良いでしょう。

一般的に静的型付けのプログラミング言語は、実行速度が早いと考えられています。事前に戻り値の型が明確になっているため、実行の過程でどのような型が入るのか意識する必要がないからです。また、コンパイル時に型の整合性を評価するため、実行してからエラーが起きにくくなっています

それに対して、動的型付けのプログラミング言語は実行前に戻り値の型を明確にしません。プログラムを実行しながら、型が適切であるかどうかなどを評価します。そのため、プログラムの実行速度が遅くなってしまいますが、簡単な文法でコーディングできるなどのメリットがあります。

Dartはこれら両方に対応しているため、どちらの良い部分も最大限に活かせるプログラミング言語なのです。その分、エンジニアが理解する内容は増えてしまいますが、習得できれば大きな効果を発揮します。

JavaScriptにも変換可能

Dart自体は独自のプログラミング言語であるため、直接JavaScriptとして実行できるわけではありません。DartをJavaScriptの代わりに利用するためには、DartからJavaScriptに変換する必要があります。

ただ、Dartには「JavaScriptトランスパイラ」と呼ばれる仕組みがあり、DartでコーディングされたプログラムをJavaScriptのプログラムに変換可能です。そのため、実質的にはDartもJavaScriptに対応しているWebブラウザで動作させることが可能です。

JavaScriptとの関係性

DartはJavaScriptの代替となるプログラミング言語であり、プログラミング言語の性質としては非常に近いものです。関係性のあるプログラミング言語だと考えてよいでしょう。これはDartをJavaScriptに変換できることからも判断できます。

ただ、DartはGoogleが開発しているプログラミング言語であり、JavaScriptとは開発元が異なります。そのため、「JavaScriptがDartに進化した」との考えは誤っています。あくまでも別のプログラミング言語として認識しなければなりません。とはいえ、これらの文法が非常に近いなど関係性の高いプログラミング言語であると認識すること自体は誤っていないでしょう。

Dartのメリット

Dartには以下のメリットがあります。

文法がJavaScriptに近い

JavaScriptの欠点をカバーするために開発されたプログラミング言語であるため、基本的な文法がJavaScriptに似ています完全に一致するわけではありませんが、今までにJavaScriptで実装した経験があるならば、スムーズに実装できるようになるでしょう。

プログラミング言語を習得するにあたって、新しい知識が必要かどうかは非常に重要なポイントです。覚えることが増えれば増えるほど、負担がかかってしまいます。しかし、Dartはそのような負担がかかりにくいという点でメリットです。

Dartのデメリット

Dartには以下のデメリットもあります。

日本語の情報が少ない

海外で人気の高まっているプログラミング言語であり、日本では発展途上です。そのため、日本でDartを十分に扱えるエンジニアは限られていて、日本語の情報が少ない状況です。Webサイトである程度の情報収集はできますが、書籍で細かい情報収集をするとなると難易度が高まってしまいます

ただ、最近はGoogle翻訳などの翻訳ツールが充実しています。そのため、海外のWebサイトでも翻訳ツールを利用すれば、ある程度の内容を把握できるでしょう。日本語の情報が少ないことはデメリットですが、ツールによるサポートでカバーできるはずです。

パッケージやライブラリが少ない

JavaScriptに代わるプログラミング言語ではありますが、現場はJavaScriptほどパッケージやライブラリが充実していません。必要な部分をすべて自分で実装する必要があり、開発にはプログラミング力が求められます。

これからDartの利用が広がっていけば、パッケージやライブラリを開発する人も増えるでしょう。そのような状況になればデメリットは解消されると考えられます。ただ、短期的にみるとパッケージライブラリが少ないため、どうしてもエンジニアに負担が生じてしまい、デメリットです。

Dartでできること3選


Dartを利用すれば以下のような実装が可能です。

Webアプリケーション

JavaScriptの代替を目指したプログラミング言語であるため、Webアプリケーションの実装に利用できます。JavaScriptといえばWebブラウザで動作するブラウザサイドのプログラミング言語であり、Dartも同様に利用できるのです。

Webブラウザで動作する仕組みであるため、Webアプリケーションの中でもブラウザとサーバのやり取りを中心に利用されます。また、ユーザがWebサイトを快適に利用できるよう、ブラウザ内で完結する処理の実装にもDartが利用されています。

Webサーバ

フロントエンド開発だけではなくWebサーバのようなバックエンド開発にも利用可能です。例えば、Webブラウザから送られてきたレスポンスをDartで処理できます。

JavaScriptのような言語はWebブラウザで動作すると思われがちですが、実際にはWebサーバでも利用可能です。しかも、Dartならばオブジェクト指向に対応しているため、複雑な処理の実装もできます。必要に応じて、Dartで受け取ったレスポンスを他の言語で構築されたアプリケーションに提供するなども可能です。

デスクトップアプリ

Webブラウザでの利用が中心ではありますが、WindowsやMacなどのパソコンで利用するアプリケーションも開発できます。専用のプログラミング言語と比較するとやや物足りない部分はありますが、Dartだけでも実装可能です。

また、Web系のプログラミング言語であることを活かして、他の言語と組み合わせた開発を実現する場合もあります。例えば、Windows向けのアプリケーションをC++を中心に実装し、Webサーバとのやり取りにDartを含めるのです。単体ではなく、このような組み合わせも多いと理解しておきましょう。

Dartでできないこと、不得意なこと

Dartではできないことや不得意なこともあるため、それらについても学んでおきましょう。

大量のデータ処理

データ分析などに適したプログラミング言語ではないため、大量のデータ処理には向いていません。Webアプリケーションとしてデータベースから出力された情報を処理することはできますが、Dart自体でデータ解析などはできないと考えましょう。

例えば、近年は大量のデータから新しい知見を得る「ビックデータ解析」が注目されています。ただ、このような解析は「計算に強いプログラミング言語」を利用する必要があり、Dartに向いている処理ではありません。PythonやRなど、数値計算が高速なプログラミング言語を利用すべきです。

メディアの加工

Dartは画像や動画など各種メディアの加工に適したプログラミング言語ではありません。Webサイト上で画像や動画を加工できる仕組みがありますが、Dartで実装することはおすすめできないのです。

そもそも、Dartにはこれらメディアを容易に加工するための仕組みが備わっていません。JavaScriptの問題が解消されているとはいえども、すべてが実装できるわけではないのです。このような処理はWebサイトであっても、DartではなくPHPやJavaなどで実装しなければなりません。

Dartの将来性

Dartは浸透しきれなかったプログラミング言語ではあります。ただ、近年はモバイル開発向けのフレームワークが人気を集めているなど、注目されているプログラミング言語です。案件数の増加も確認されていて、これからの伸びに期待できるプログラミング言語だと考えられます。

直近の半年など短期的な目線で見ると伸び切らない可能性がある点には注意しなければなりません。少なくとも1年以上は先を見越して考えることが重要です。短期的な将来性と中長期的な将来性は大きく異なるでしょう。

Webアプリケーションは3年や5年間など、比較的短いスパンで更新されます。このような更新タイミングでDartが採用されるようになれば、将来性が一気に明るくなっていくのです。

Dartエンジニアの需要

Dartの将来性でも述べたとおり、これから数年で成長するプログラミング言語だと考えられます。ただ、現状ではまだまだ発展中のプログラミング言語であり、エンジニアの需要は限定的です。Dartの案件は増えていますが、JavaScriptなどと比較すると少ないことは否めません。

とはいえ、これから積極的にDartが利用されるようになると、エンジニアの需要も一気に高まると考えられます。そのような時に備えて、今から必要なスキルを習得しておくと良いでしょう。特にDartはJavaScriptを理解していればすぐに習得できるため、今のうちからチャレンジすべきです。

まとめ

Dartがどのようなプログラミング言語であり、メリットやデメリットにはどのようなことがあるのかご説明しました。また、実際にDartを利用するとどのような実装ができるのかについてご説明しました。

基本的にはJavaScriptの置き換えができるプログラミング言語であり、Webアプリケーション開発に利用できます。ただ、日本語の情報量が少ないプログラミング言語で、スキルアップするのは難しいかもしれません。

近年注目を集めているプログラミング言語であり、これからの成長が期待できるものです。現状はJavaScriptよりも需要が低いですが、これからの発展に期待しましょう。

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admin