JavaScriptフレームワーク、Angularを徹底解説

JavaScriptフレームワーク、Angularを徹底解説

JavaScriptの主要なフレームワークにAngularと呼ばれるものがあります。Googleが開発しているフレームワークで、世界的に活用されているJavaScriptフレームワークのひとつです。

利用者が増加しているJavaScriptフレームワークではありますが、どのようなフレームワークであるのか理解できていない人も多いようです。今回はフレームワークの概要から他のフレームワークとの違い、これからAngularを扱うエンジニアが知っておきたいことについて解説します。

Angularとは?

最初にJavaScriptフレームワークの中でもAngularがどのようなものであるのか解説します。

Angularとは

AngularはGoogleが中心となり、個人のエンジニアや企業などのコミュニティで開発したオープンソースフレームワークです。JavaScriptのフレームワークは多くがオープンソースで開発されていて、Angularも同様にオープンソースで利用できます。

JavaScriptはフロントエンド開発にもバックエンド開発にも利用されますが、Angularはフロントエンド開発向けのフレームワークです。JavaScriptということもあり、Webアプリケーションのフロントエンド開発に利用すると認識しておけば間違いありません

しかも、数多くあるJavaScriptフレームワークの中でも、シングルページアプリケーションの開発に適しています。詳細については後ほどご説明しますが、独自の特徴を持ったJavaScriptフレームワークだと考えてください。

AngularJS、Angularの違い

Angularと間違えられやすいJavaScriptのフレームワークにAngularJSと呼ばれるものがあります。似ている名称ではありますが、これらは異なったものであるため注意しなければなりません。

そもそも、JavaScriptフレームワークを開発した際はAngularJSを開発していました。早い段階からJavaScriptフレームワークの実装に力を入れていて、AngularJSは比較的古いフレームワークです。

ただ、時代的な背景もありAngularJSはいくつもの問題を抱えていました。そのため、根本的な見直しを図るためにも、2016年頃に開発が終了しました。そして、新しく開発されたJavaScriptフレームワークがAngularなのです。

AngularはAngularJSの後継フレームワークであるため、設計思想が似ている部分はあります。ただ、根本的な問題を抱えてフレームワークが再開発されているため、全体的には互換性のないものです。完全に異なるフレームワークをゼロから開発したと認識した方が良いでしょう。

また、AngularJSはJavaScriptベースのフレームワークですが、AngularはTypeScriptベースのフレームワークです。JavascriptとTypeScriptには互換性がありますが、少々異なっている部分もあります。それが起因してフレームワークの根本的な実装方法などが異なっているのです。

Angularの特徴

Angularが持つ代表的な特徴を挙げると以下のとおりです。

  • TypeScriptで開発可能
  • フルスタックフレームワーク
  • コンポーネント指向
  • MVCモデル・MVWモデル
  • 双方向データバインディング

簡単にまとめると、AngularはJavaScriptやTypeScriptで開発可能なフルスタックフレームワークです。数多くの機能が実装されているため、Angularだけで多くのWebアプリケーションを開発できます。

また、Webアプリケーションを効率よく開発するために、MVCモデルが採用されています。現在の主流な設計モデルであるため、他のWebアプリケーションを開発している人ならばスムーズに馴染めるでしょう。

その他にも、双方向バインディングが導入されていることで、ソースコードの記述を減らせるようになっています。本来は画面の内容を取得してデータとして処理する仕組みを実装しなければなりませんが、双方向バインディングならこの実装がほぼ不要です。フレームワークが裏側で必要な処理を担ってくれるため、エンジニアが実装にかける工数を大幅に短縮できます。

Angularのメリット、デメリット

TypeScriptで開発可能であることは大きなメリットです。JavaScriptで開発することも可能ですが、近年はTypeScriptが利用される場面が増えています。JavaScriptよりもTypeScriptに力を入れているエンジニアも多いため、エンジニアのスキルとミスマッチが起きにくいのです。

また、頻繁に更新されているJavaScriptフレームワークではありますが、近年は後方互換性が担保されています。一昔前のバージョンとは大きく異なる部分がありますが、現在続いているマイナーバージョンアップでは特に心配する必要がありません。

加えて、拡張性の高い設計が採用されているため、追加のライブラリを導入しやすくなっています。フルスタックフレームワークでありAngularで完結できる場合は多いですか、必要に応じて追加もできる点はメリットです。

デメリットとして認識しておきたいのはTypeScriptの学習が求められることです。JavaScriptだけではなくTypeScriptも必要とされる場面があり、まったく知識がない状態で乗り切ることは難しいでしょう。

また、フルスタックフレームワークである裏返しとして、学習コストが非常に高いものです。多くの機能について理解しなければ使いこなせないため、いきなりエンジニアをアサインすることはできません。事前にAngularを理解しているエンジニアが求められます。学習コストや使いこなすまでのハードルがデメリットだと考えましょう。

Angularは人気がない?


JavaScriptフレームワークの中でもAngularは人気がないといわれることがあるようです。これが事実か検討してみます。

JavaScriptのフレームワーク一覧

JavaScriptのフレームワークは種類が多く、例を挙げると以下のとおりです。

  • Angular.
  • React.
  • jQuery.
  • Vue.js.
  • Riot.js.
  • Backbone.js.
  • Hyperapp.
  • Ember.js.

一部フレームワークではなくライブラリも含まれていますが、概ねこれらのフレームワークが利用されていると理解しておいて良いでしょう。

現在主流のフレームワーク

Angularと同じようにWebアプリケーション全般に対応できるJavaScriptフレームワークは「React」や「Vue」が存在しています。これらのフレームワークはAngularと比較されることが多いほど、同じポジションにあると考えておきましょう。

また、毛色は異なりますがサーバサイドでJavaScriptを動作させるnode.jsも主流なフレームワークです。異色なフレームワークも活用されていて、JavaScriptの世界は日々進化しています。

Angular、React、Vueでつくれるもの

JavaScriptの主要なフレームワークにはAngular、React、Vueがありますが、これらで作れるものに大きな違いはありません。どのフレームワークを利用しても、小規模なWebアプリケーションから大規模なWebアプリケーションまで幅広く開発できます。

ただ、Angularならばクロスプラットフォームに対応できるなどの違いはあります。どのフレームワークでも作れるものに違いはないものの、利便性に違いがあると考えれば良いでしょう。

AngularとReact、Vueを徹底比較

Angular、React、Vueをいくつかの観点から比較してみましょう。

人材の希少性

Angular、React、Vueは主要なJavaScriptフレームワークであるため、どの人材も求められている傾向にあります。ただ、需要が急激に高まったことでエンジニアの数が増え、どのフレームワークについても極端に希少性が高いわけではありません

npm trendsでトレンドを把握してみると、AngularよりもReactがダウンロードされている状況です。そのため、Reactのエンジニアが特に多く、Angularのエンジニアはやや少なく見受けられます。相対的にはAngularのほうが希少性が高いかもしれません。

とはいえ、どのフレームワークを採用しても人材の希少性は高くありません。いずれかのフレームワークに特化して、スキルを高めることで希少性を高めましょう

学習の難易度

AngularもReactも学習難易度は高いフレームワークです。今までJavaScriptを学んできた人でもハードルを感じてしまうかもしれません。これは独自のルールなどが多数存在していることに起因します。

逆にVueはそのような複雑なルールがなく、学習しやすい難易度です。規模の大きなフレームワークであるため、学習する内容は多いですが、JavaScriptを理解していればスムーズに理解できます。Angularは学習の難易度が高いフレームワークと認識して良いでしょう。

年収

どのJavaScriptフレームワークも需要が高く、高年収が期待できます。ただ、小規模なWebアプリケーション開発にも利用されることから、年収500万円程度から1,000万円を超えるものまで幅広い状況です。

上記でもご説明したとおりAngularは3種類の中でも学習難易度が高く、エンジニアにも高いレベルが求められます。そのため、大規模なWebアプリケーション開発に利用される傾向があり、相対的に年収は高まりやすいです。高単価な案件しかないとは言い切れませんが、導入のハードルなどから必然的に高単価になりやすいと考えましょう。

求人件数

JavaScriptでフレームワークを利用した開発はReactが最も多くの求人数です。世界的にもReactが利用されているため、日本でもReactを利用した開発が多くなっています。ただ、Reactが極端に多いのではなく、AngularやVueも追従しています。

Angularの求人件数が少し減ってしまうのは、繰り返しですが難易度の高いフレームワークであるからです。導入するプロジェクトを選びやすいため、より容易に導入できるReactに流れてしまいます。ただ、Angularは大規模なWebアプリケーション開発に利用されやすく、一度採用されると長く働けるでしょう

将来性

どのフレームワークも人気が高まっていて、npm trendsを参照してみるとダウンロード数は右肩上がりです。どれもシェアを広げている状況で、これら以外のJavaScriptフレームワークのシェアが下がっています。

どのフレームワークも発展を続けているため将来性が明るいと考えられ、どのフレームワークが良いとは言い切れません。Angularも将来性に期待できるフレームワークであるため、今のうちに習得しておくと長く活躍できるでしょう

Angularは常に進化を続けるフレームワークである


Angularは現在でも常に進化を続けているフレームワークです。フレームワークが陳腐化してしまうと価値が下がってしまいますが、Angularはそのようなものではありません。発展を続け、将来性にも期待できるフレームワークです。また、Angular Material UI component libraryなど、Googleが提供するマテリアルデザインへの対応も強化されています。

ただ、Angularは進化を続けているもののSvelteなど新しいフレームワークも登場しています。仮想DOMを軸としているなどAngularとは根本的に異なるフレームワークですが、徐々に利用されているものです。Angularは独自に進化を続けると思われますが、他のフレームワークも追従しているため、状況に応じて適切なものを選択できるようになりましょう

Angularエンジニアの将来性

AngularはGoogleが中心となり開発しているJavaScriptフレームワークであるため、今後も利用が広がると考えられます。将来性の明るいフレームワークであり、Angularエンジニアの将来性も明るいでしょう

ただ、上記でも触れたとおりAngularは常に進化を続けるフレームワークです。そのため、エンジニアとして成長を止めてしまうと、活躍の場を失うかもしれません。常に新しいスキルを身につけて、前線で活躍することを心がけましょう

なお、Angularは後方互換性を重視したフレームワークであるため、新しいスキルだけが求められるわけではありません。新しいスキルも古いスキルも求められるため、古くから活躍しているエンジニアは、その経験を長く活かせます

まとめ

Googleが開発するJavaScriptフレームワークのAngularについて解説しました。人気のJavaScriptフレームワークであり、現在も定期的に新しいバージョンが公開されています。さらに人気が高まると考えられ、JavaScriptフレームワークの中では将来性が明るいでしょう。

ただ、JavaScriptフレームワークには、Angular以外にもReactやVueがあります。これらのフレームワークとしのぎを削っている状況で、将来的には少々変化があるかもしれません。

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admin