ReactとVueの比較|将来性・需要・特徴について解説!

ReactとVueの比較|将来性・需要・特徴について解説!

フロントエンド開発をするにあたり、Reactを利用するかVueを利用するか悩む人は多いです。どちらも幅広く利用されているフレームワークですので、どちらから身に付ければ良いのか決められないのでしょう。

そこで今回はReactとVueを比較してこれらの違いについてご説明します。また、それらを踏まえて将来性や需要についてもご説明します。

ReactとVueを7つの観点から比較


早速ですがReactとVueの違いを比較していきます。今回は7つの観点からReactとVueを比較してご説明します。

マークアップ

ReactではJSX記法と呼ばれるマークアップ手法が利用されています。こちらはJavaScriptの中にHTMLタグを書いていくもので、マークアップの中では特殊なものです。今までに経験がなければ、Reactを操作するためにマークアップの勉強から始めなければなりません。

このようなJavaScriptの中にHTMLタグを書いていく技法が必要となるのは、ReactがJavaScriptファイルだけで構成されているからです。HTMLファイルを利用しないため、JavaScript内でHTMLを返すような書き方に慣れなければならないのです。

それに対してVueは一般的なHTMLベースのマークアップです。エンジニアにとってマークアップで特に気になる部分はないでしょう。Web開発の経験があれば何の問題もなく利用できるフレームワークです。

Vueでは、「.vue」と呼ばれる拡張子のファイルにソースコードを記述します。ただ、このファイルの中ではHTML、CSS、JavaScriptはそれぞれ別のエリアに記載するルールです。実質的には別のファイルに記載しているのと同じで、エンジニアにとって違和感のないマークアップ方法です。

慣れてしまえばマークアップの違いは気になりません。ただ、利用を開始するにあたりReactとVueではマークアップ方法が違う点は理解しておきましょう。

スタイリング

Reactではいくつかの手法でスタイリングができます。エンジニアによりますが、CSSModulesかCSS-in-JSを利用します。しかし、どちらも一般的なCSSのスタイリング手法ではなく、Reactでスタイリングをするために改めて知識を身に付けなければなりません。

また、どちらのスタイリング手法を利用しても、スコープのセレクタの設定が難しくなっています。一般的なWeb開発のように簡単に設定できるのではなく、別のロジックを挟んでから設定しなければなりません。スタイリングには手間がかかってしまい利便性が下がってしまいます。

それに対してVueは標準でスコープのセレクタの指定が可能です。特に別のロジックを利用する必要はなく、スタイリングにあたり、あまり手間はかかりません。

また、そもそもVueは一般的なCSSでのスタイリングに対応しています。スコープのセレクタの記載も容易ですし、記載するCSSについても難しいことはありません。

基本開発

Reactでは基本的に関数型プログラミングが採用されています。ライブラリも豊富にあり、Hooksで拡張性の高いロジックを開発できるようになっています。

ただ、ロジック部分に関しては開発しやすく作られていますが、ビューの作成については注意が必要です。先ほどご説明したとおり、Reactではスタイリングに一般的なCSSではない手法が採用されています。このような手法が採用されているため、ビューのコーディングは量が多くなる傾向にあるのです。

それに対してVueはTypeScriptのクラスと同じようにクラスを宣言できます。自分の好きなように宣言ができますので、開発の利便性については特に気になる部分はありません。

ただ、複数人で開発する場合は、各々が好きなようにクラスを宣言すると内容が被ってしまう可能性があります。クラスの宣言については管理者やルールを定めた方が良いかもしれません。

なお、Vueはスタイリングに一般的なCSSが利用されています。そのためビューのコーディングは、一般的なHTMLとCSSだけで実現できます。Reactのようにビューのために複雑なコーディングをする必要はありません。

ライブラリ

Reactは標準で紹介されているライブラリが限られています。多くのライブラリが存在していますが、自分で必要なライブラリを選定して導入しなければなりません。

選定の際にはライブラリに対する専門知識が必要となります。そのため、今までにReactの開発をしてきていない人は、どのライブラリを導入すれば良いのか判断に困ってしまうかもしれません。有識者によるサポートが無いと、標準以外のライブラリ選定で時間を要してしまうでしょう。

それに対してVueは公式で必要なライブラリを紹介しています。利用される機会の多いライブラリが公式ドキュメントで確認できますので、それを参照すれば最低限、どれを導入するべきか確認しやすくなっています。

Vueでは多くのライブラリが公開されていますので、初心者が自力でライブラリの選定をするのは難しいものです。ライブラリにも特徴がありますので、それぞれについて詳しく把握しなければ選定できません。しかし、ドキュメントはライブラリ選定のハードルを下げてくれます。

なお、Vueのドキュメントで紹介されているライブラリを必ずしも利用する必要はありません。ただ、実際にVueで開発を続けていると、紹介されているライブラリを利用するケースは多いです。

TypeScriptとの同時利用

ReactはTypeScriptとの相性が良いフレームワークです。TypeScriptの利用を前提に作られているような側面があるぐらい、様々な部分にReactを組み込めるようになっています。組み込み方法に関する情報も多く公開されていて、TypeScriptを多くの状況で取り入れられます。

それに対してVueはTypeScriptとの相性が良いフレームワークではありません。VueにTypeScriptを取り入れた開発はできますが、積極的に取り入れるのは難しい状況です。TypeScriptを取り入れた開発には不向きであると言い切っても良いぐらいです。

現在のJavaScript開発においてTypeScriptは非常に重要な役割を持っています。多くのエンジニアがTypeScriptを利用した開発をしている世の中です。ReactとVueではTypeScriptとの相性が大きく違いますので、ここは必ず把握するようにしておきましょう。

処理速度

Reactは比較的処理速度の速いフレームワークです。大量のオブジェクト生成にも対応していて、オブジェクト数が増えても十分な速度を維持できます。

ただ、Reactはオブジェクト数が増えると利用するメモリも大きく増える傾向にあります。そのため高速な処理を実現するためには、CPUとメモリのどちらも余裕のある状態にしなければなりません。高速処理ができるフレームワークとはいえども、メモリが不足してしまうと能力を最大限発揮できません。

同様にVueも処理速度の速いフレームワークです。Reactとほぼ同じレベルで処理できますが、オブジェクト数が増えると若干Vueの方が処理速度で劣ってしまいます。

ただ、Vueはオブジェクト数が増えても極端にメモリの使用量が増えない傾向にあります。ある程度使用量の増加は確認されますが、Reactよりは緩やかな増加であると考えてよいでしょう。

処理速度についてはReactもVueもほとんど差がありません。特に大量のオブジェクトを生成しない限りは、ほぼ同じだと考えてよいでしょう。大量のオブジェクトを生成した時に限り、Reactの方が若干、処理速度が高くなっています。

教育コスト

Reactの教育コストは若干高くなっています。ご説明したとおりReactを利用するためには、単純なJavaScript以外の知識が必要です。これらを習得するために時間をかけなければなりません。

すでに必要な知識を身に付けている場合は別ですが、Reactで必要なスキルはWeb業界でも一般的なものではなく、特定の案件に対応した経験のある人しか保有していないものです。つまり、基本的には改めてスキルを身に付ける必要があり、どうしても学習コストが高くなってしまうのです。

それに対してVueは基本的なHTMLやCSS、JavaScriptで構成されます。どれもWebエンジニアであれば基本的に身に付いているスキルです。つまり、Vueを利用するために特別なスキルを身に付ける必要はありません。

特別なスキルが必要なければ、それだけ学習コストは低くなります。改めて時間を割かなくともVueの開発に参画できますので、エンジニアの負担は非常に小さくなるのです。

ReactやVueの需要と将来性

ReactとVueがどのようなものであるのかはご理解いただけたでしょう。それぞれに特徴がありますので、比較した部分はよく理解するようにしてください。続いてはReactやVueを取り巻く状況を踏まえ、将来性や需要についてもご説明します。

React・Vueともに需要は高い

ReactとVueはどちらも需要の高いJavaScriptのフレームワークです。ご説明したとおりそれぞれには様々な違いがありますので、甲乙つけがたいのが事実です。それぞれの特徴を踏まえると、どちらの需要もなくなることはないでしょう。

事実、JavaScriptの利用に関する調査などを参照すると、どちらも同じぐらい利用されている状況です。どちらか一方の需要が下がりもう一方の需要が上がっている、というような状況ではありません。どちらもフレームワークとして高い需要を誇ったままです。

そもそもフレームワークは利用用途によって使い分けされるものです。JavaScriptは様々な場面で利用されていますので、状況に応じてReactとVueが使い分けされるのは当たり前なのです。そのため需要が大きく変化するのではなく、必要に応じてそれぞれが適切に利用されると考えておいて良いでしょう。

ReactはVueよりさらに将来性に期待できるか

ご説明したとおりフレームワークの需要はどちらも高い状況です。ReactとVueには根本的に違いもありますし、どちらのフレームワークが高い需要だとは言い切れない状況です。

ただ、将来性について強いて述べるのであれば、Reactの方がVueよりも期待できると考えられます。その理由は、Google Trendsの情報を参照してみるとReactの検索数がVueを大きく上回っているからです。日本国内ではVueがトレンドとなっていますが、世界的に見るとReactがトレンドになっています。

JavaScriptフレームワークは日本だけで利用されるものではありません。そのため、日本としてはVueがトレンドだとしても、世界的にReactが注目されるとトレンドがこちらに傾いてしまいます。これから先のトレンドがどうなるかは判断できませんが、検索数などを踏まえるとReactに偏る可能性は十分にあります。

参考:Google トレンド

まとめ

ReactとVueの違いについてご説明しました。それぞれに特徴がありますので、違いを理解してその都度どちらを選択するのか考えなければなりません。

それぞれのフレームワークを比較しても、どちらが良いとの結論は出ません。様々な違いがありますので一概にどちらが良いとは言い切れないのです。「どちらが良いフレームワークなのか」を考えるのではなく「違いを踏まえてどちらが適しているか」を常に考えるようにしましょう。

なお、どちらのフレームワークも需要が高いものです。そのため今のところ将来性について心配する必要はないでしょう。ただ、Reactは特に検索数が増えているキーワードですので、こちらの需要が高まるかもしれません。

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admin