MATLABとは?需要と今後の将来性を解説

MATLABとは?需要と今後の将来性を解説

MATLABは、データ分析や各種アルゴリズムの開発などに活用されるプログラミング言語です。数値計算に利用されるケースが多いプログラミング言語で、そのような利用を想定したライブラリーなども存在しています。

現在、数値計算に利用されるプログラミング言語といえばPythonが主流です。しかし、実際にはPythonだけではなく、MATLABも活用されています。今回はそのようなプログラミング言語である、MATLABについて解説します。

MATLABとはどのような意味なのか

それではMATLABとはどのようなプログラミング言語であるのか、その概要についてご説明していきます。まずはMATLABがどのような意味を持つ言葉であるのかについてご説明をします。

MATLABの概要

MATLABは、Mathworks社が開発したプログラミング言語とその開発環境を指します。冒頭ではプログラミング言語としてご紹介しましたが、実際には開発環境も含んだ言葉です。

基本的にMATLABは、数値計算やデータ解析に活用します。データ解析については特に得意としていますので、理工学や経済学など様々な数値計算の分野で活用されています。公式サイトによると世界での入札数は300万人を超えていると言われ、特定の用途に利用されるプログラミング言語の中では利用者数の多いものです。

MATLABは、プログラミング言語の中ではインタープリタ言語に分類され、コンパイルなしで動作確認ができます。数値計算に利用するものなど専門的なプログラミング言語はコンパイラが必要なものがありますが、MATLABならば特に意識することなくインタープリタでスムーズに利用できます。

注意してもらいたいのは、MATLABは民間企業が開発しているプログラミング言語であり、ライセンス費が発生するということです。Pythonなど数字計算に利用されるプログラミング言語は無料のものも多くありますが、MATLABは利用するにあたり適切なライセンス購入が必要です。

プログラミング言語として使われる場合

プログラミング言語を意味している場合、データ解析に活用するプログラミング言語を指しています。一般的にMATLABといえばプログラミング言語を指しているため、皆さんもこちらの意味で理解しておくと良いでしょう。

プログラミング言語に特化してMATLABに注目すると、MATLABは行列や配列などの数値計算を得意としています。プログラミング言語の中にはこのような並列処理が苦手なものがありますが、MATLABはこのような計算がしやすいように考えられています。数値計算やデータ解析の分野で活躍できるプログラミング言語として開発されているのです。

また、単純に数値計算やデータ解析をするだけではなく、コマンド入力によるソースコードの生成などにも対応しています。一般的なプログラミング言語と同様に、MATLABだけでも多くの機能が実装できる仕組みです。

なお、MATLABはC言語で開発されているプログラミング言語です。プログラミング言語の中でもC言語は高速な処理が特徴的であるため、MATLABについても高速な数字処理ができるものとなっています。

開発環境として使われる場合

開発環境を指す言葉として利用する場合、MATLABは多くの機能を持つ開発ツールと言えます。標準状態で様々なツールを内包していますので、MATLABを用意するだけで多くの開発ができるようになっています。

例えば、MATLABにはデータ解析をするためのライブラリーが導入されています。そもそも数値計算やデータ解析が得意なプログラミング言語であるため、これらを利用できるように開発ツールに最初から組み込まれています。データ解析には様々な専門的な機能が求められますが、それらをMATLABで手に入れられます。

また、MATLABには数値計算を高速化するために、並列計算の仕組みも導入されています。C言語で開発されているプログラミング言語であるため処理は高速ですが、それに加えて並列処理も導入されていることでより高速な処理が期待できます。

他にも数値計算した内容を適切にアウトプットするために、グラフのプロット機能なども用意されています。数値計算をして終わりではなく、それらを適切な形でプロットすることで視覚的に分かりやすくしてくれます。

MATLABの活用で実装できる具体例


MATLABがどのようなプログラミング言語であるのかは理解してもらえたでしょう。続いては、このMATLABを利用すると、どのような機能が実装できるのかについてご説明します。

機械学習

MATLABを利用すると、機械学習の実装に利用できます。機械学習に対する理解が深くない人は多いと思いますが、機械学習は実質的に大量の数値計算です。MATLABは数値計算を得意とするプログラミング言語であるため、機械学習にも適しています。

また、機械学習を実装するためには本来専門的な知識が必要です。機械学習には様々なアルゴリズムがあるため、それらについて正しい理解が必要なのです。機械学習について知識を蓄え、それを踏まえて実装しなければなりません。

しかし、MATLABならば最初から機械学習に適したアルゴリズムが用意されています。ライブラリーなどを読み込めば、機械学習について詳しくないエンジニアでも必要な処理を簡単に実装できるのです。

現在は様々な分野で機械学習が利用されています。そのため、機械学習を簡単に実装できるのはMATLABの大きなメリットです。

統計解析

MATLABは、機械学習と同様に統計解析にも利用できます。統計解析はビッグデータなど大量のデータを読み込んで、そこから傾向などを読み取る作業です。

まず、MATLABは統計解析に必要なアルゴリズムが実装されています。統計解析にも多くの考え方があるため本来は詳しく理解する必要がありますが、MATLABを利用するとライブラリーなどが提供されていて詳しく理解する必要がなくなります。ライブラリーの使い方さえ理解できていれば、初心者でも簡単に統計解析ができるのです。

また、MATLABは並列処理などにも対応しているプログラミング言語であるため、大量のデータの読み込みを得意としています。プログラミング言語によっては直列処理が中心で大量のデータを扱えない場合がありますが、MATLABではそのような心配があまりありません。ビッグデータ解析のように大量のデータでも、一気に処理できます。

AI開発

MATLABは機械学習や統計解析を得意とするプログラミング言語であるため、これらを活用してAI開発ができます。人工知能全般の開発に利用でき、高い数値計算の能力を活用しながら高機能なAIの開発が期待できます。

現在、AIの開発といえばPythonが主流です。Pythonはプログラミング言語の中でも数値計算に長けていますので、積極的に利用されている状況です。また、MATLABはプログラミング言語も開発環境も有償ライセンスが必要であるのに対して、Pythonはこのようなものが必要ありません。そのような背景からも世の中的にはAIの開発にPythonが利用されています。

しかし、概要でご説明したとおりMATLABは利用者の多いプログラミング言語です。お金を支払ってでも利用している人が多く、その中にはAIの開発に利用している人も多くいます。世の中的には「AIの開発=Pythonを利用する」ですが、実際にはPythonしか選択肢がない状況ではありません。

MATLABは世界的に需要のあるプログラミング言語

MATLABは世界的に需要のあるプログラミング言語でこれからの発展に期待ができます。日本での需要などを含めてご説明していきます。

日本での知名度はPythonにやや負ける

数値計算やデータ解析に利用するプログラミング言語といえば、Pythonがイメージされやすい状況です。特に日本ではこのような傾向が強く、なかなかPythonよりも先にMATLABの名称をあげる人はいません。

ただ、知名度はやや劣っていますが、数値計算やデータ解析のために開発されたプログラミング言語であることには間違いありません。そのため、この分野を詳しく知る人にとって、MATLABは世界的に有名なプログラミング言語です。Pythonに劣るプログラミング言語であるからと言って、マイナーであるということは全くありません。

ただ、日本ではやや知名度が劣ってしまうため、需要はPythonより若干少ないかもしれません。教育機関や団体などで利用されているケースも多く、なかなかエンジニア向けの案件が公開されていないのです。全くないという状況ではありませんが、Pythonと比較してしまうと劣って見えるのは事実です。

しかし、海外では積極的に活用されているため、海外企業の日本法人などでは案件が多くあります。必要に応じてそのようなクライアントにも目を向けて、案件獲得を目指すと良いでしょう。

データ解析やAIの分野で需要は高まる

現在でも、データ解析やAIの開発などは非常に発達しています。ただ、これから先はさらなる発展が期待され、その発展に応じるようなプログラミング言語が必要となります。

そのような未来が待ち受けると考えると、プログラミング言語もそのような需要に特化したものが必要になると思われます。特化したプログラミング言語の需要が高まると仮定すると、PythonよりMATLABの需要が高まると考えてもおかしくありません。

PythonはあくまでもWeb開発のプログラミング言語であるため、今のところ数値計算に特化しているわけではありません。高速の数値計算が魅力的なプログラミング言語ではあるものの、専門的なプログラミング言語ではないのです。

それに対して、MATLABは間違いなく数値計算などに特化したプログラミング言語です。これから数値計算により専門性が求められると、PythonよりMATLABの需要が高くなるでしょう。

MATLABのこれからの将来性


続いてはMATLABがこれからどのように発展するのか、エンジニアとして働く場合に気になる将来性を解説します。

MATLABは開発が続いているためこれからも伸びる

MATLABは民間企業が開発を続けているプログラミング言語です。定期的に最新バージョンが公開されているため、情報が陳腐化して需要が低くなることはないでしょう。プログラミング言語の特性も踏まえれば、非常に将来性の明るいプログラミング言語です。

どんなに良いプログラミング言語でも、開発が終了すると将来性が暗くなります。実際に人気の高かったプログラミング言語やフレームワークも、開発が終了すると途端にトレンドが切り替わってしまう傾向があります。

しかし、MATLABは民間企業がライセンス費用を取って提供しているプログラミング言語です。オープンソースのように有志で開発しているものではありません。これからも引き続き安定したプログラミング言語の開発が行われると考えられるため将来性は明るく、これからますます伸びていくと思われます。

有償であるためスキルアップにはコストが必要

MATLABは需要が高く、将来性の明るいプログラミング言語ではありますが、有償のプログラミング言語となるため、スキルアップするためにはある程度コストがかかる点を考慮しておく必要があります。

個人で利用する場合、コストは数万円程度ではありますが、それでも費用負担が発生するのは間違いありません。大半のプログラミング言語は無料で利用できて開発環境も無料であるため、それらと比較すると負担は大きなものです。多少なりとも初期投資をしなければスキルは身に付けられません。

ただ、MATLABは機能が制限された無償版が提供されています。そのため最初から課金する必要がなく、まずはどのようなプログラミング言語であるのかの確認が可能です。無償版を利用して自分が習得できると感じた場合のみ、完全な有償版を購入しても遅くないでしょう。

まとめ

MATLABは数値計算やデータ解析、AIの実装に利用できるプログラミング言語です。プログラミング言語の中でも特定の用途に特化していて、これらの開発を担当するエンジニアの中では有名なものです。

ただ、用途が特定のものに限られるため、それ以外のエンジニアにはあまり知られていない状況ではあります。同じような機能を持つプログラミング言語にはPythonがあるため、そちらばかりが注目されてしまうのです。

しかし、これからは数値計算やデータ解析などを得意とする専門的なプログラミング言語の需要が高まると予想されます。MATLABは世界的に利用されているプログラミング言語ですし、これからの発展や将来性に十分期待できます。

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