【2025最新】Objective-Cを使ったサービス、特徴、将来性を解説

【2025最新】Objective-Cを使ったサービス、特徴、将来性を解説

プログラミング言語の中でも古くから利用されているものにObjective-Cがあります。エンジニアとして活躍している人ならば、名称ぐらいは耳にしたことがあるでしょう。スマートフォンアプリの開発で利用されることも多かったため、知名度は高いものに分類されると考えられます。

ただ、Objective-Cが公開されてから長期間経つことから、現在でもObjective-Cを使ったサービスがあるのか、プログラミング言語としてどのような特徴を持っているのか気になる人が多いでしょう。今回は、2025年の最新情報を踏まえ、Objective-Cが活用されているサービスや、その将来性についてまとめていきます。

Objective-Cの基本知識

最初に、Objective-Cとはどのようなプログラミング言語なのか、基本知識や特徴について解説します。

Objective-Cの概要

Objective-Cは、Apple社が採用したプログラミング言語で、同社の製品で動くソフトウェアの開発に利用されていました。一般的にiOSアプリケーションと呼ばれるもので、この開発に採用されたことで広く普及するようになりました。Objective-Cを利用する機会はApple社と紐づくことが多く、同社が開発したプログラミング言語だと思われがちです。しかし実際には、Objective-Cはもともと別の開発者によって作られ、その後Apple社が採用したという流れであることを押さえておきましょう。

なお、Objective-CはC言語のスーパーセットとして設計されました。現在は別々のプログラミング言語であると思われがちですが、C言語のソースコードはほぼそのまま動作します。これは意外と知られていない部分であるため、この機会に理解しておくことが重要です。Objective-Cについて考える際は、C言語についても同時に考えることがポイントだといえます。

Objective-Cの特徴

Objective-Cの最大の特徴は、Smalltalk由来のメッセージ送信を軸とした動的なメソッドの呼び出し構文です。また、メソッド名と引数を含むセレクタと呼ばれる仕組みがあり、実行時にどのメソッドを呼び出すかを解決する仕組みが採用されています。これにより、高い柔軟性を兼ね備えていることが魅力と考えてよいでしょう。

また、クラスやインスタンスに機能を追加できる「カテゴリー」と呼ばれる考え方や、実装を強制する「プロトコル」と呼ばれるものが存在します。Objective-C独自の仕組みがいくつも採用されており、これによってコードの拡張や抽象化が容易である点も特徴です。

他にも、C言語と親和性の高いプログラミング言語であり、ほぼ同様に動作させることが可能です。そのため、C言語との互換性とオブジェクト指向の両立によって、多様なニーズに応えられるように設計されています。

Objective-Cを採用するメリット


プログラミング言語の中でも、Objective-Cを採用することにはどのようなメリットがあるか解説します。

C言語との高い親和性

Objective-CはC言語をベースに開発された言語であるため、C言語で書かれたコードをそのまま活用できることがメリットです。例えば、メモリ管理やポインタ操作などのソースコードをそのまま扱うことが可能で、低レベルな処理が必要な場面でも柔軟な実装ができます。

また、新言語との親和性が高いため、C言語やC++のライブラリを利用しやすくなっています。これらには多くの有名ライブラリが存在し、実装の手間を軽減してくれることがメリットです。

動的なランタイムによる柔軟性

Objective-Cは、メッセージ送信時、つまり実行時にメソッドを解決する仕組みです。そのため、動的にメソッドの追加や差し替えができる柔軟性がメリットです。他のプログラミング言語では実装しづらいことがあるため、この仕組みは大きな強みだと考えられるでしょう。

なお、柔軟性が高いプログラミング言語であるため、アプリケーションの要件変更にもスムーズに対応できます。言語によっては要件が変更されるたびに大幅な修正が必要となるため、この部分が大きな違いと考えてよいでしょう。

Appleプラットフォームでの実績

macOSやiOSの開発で長らく用いられているため、Appleプラットフォームとの連携が魅力的です。豊富なドキュメントや実績が蓄積されているため、これらの環境向けにアプリケーションを開発する際には、十分な情報収集ができるでしょう。また、Apple独自のフレームワークとも親和性が高く、大規模な既存プロジェクトやレガシーコードにも対応しやすいように設計されています。

さらに、Apple製品の開発には公式のSDKやツール群なども準備されています。長年多くのエンジニアが開発に携わってきたため、安定した開発環境が整っているという点も大きなメリットです。

Objective-Cを採用するデメリット

Objective-Cもメリットだけではなく、独自のデメリットがあるため、その部分も理解しておきましょう。

シンタックスの複雑さ

Smalltalkに由来したメッセージ構文のプログラミング言語であり、記述方法が独特で難しいことはデメリットです。Objective-CはC言語ベースのソースコードと混在できるため、文法の特殊さが独特に感じられたり、煩雑に思えたりすることがあるでしょう。

例えば、メソッドの呼び出しは他のプログラミング言語と比べて冗長に見えがちです。複雑な記述方法であるため、プログラミング言語の初学者には難易度が高いと考えられます。習得してしまえば大きな問題にはなりませんが、他のプログラミング言語にはほとんど見られない書き方に慣れなければなりません。

動的ディスパッチによるオーバーヘッド

メリットと相反する部分になりますが、動的に解決されることによるオーバーヘッドがデメリットです。メソッドの内容が実行されるまで決定されないため、静的ディスパッチが主流の言語と比べると、パフォーマンス面で劣ってしまいます。

ただ、オーバーヘッドがあるものの、多くの場面では特段の問題にはならないでしょう。リアルタイム処理やパフォーマンスが求められる場合にのみ、デメリットとして意識すれば良いのです。

Swiftの普及による需要の減少

Apple社が新言語としてSwiftをリリースして以降、iOSでの新規開発案件は減少傾向にあります。そのため、プログラミング言語としての需要が減少している点はデメリットです。

特に、モダンな言語機能や安全性を求める開発プロジェクトでは、Swiftを採用するケースが増えています。Objective-Cもまだまだ利用できる言語ではあるものの、状況が大きく変わりつつあるため、その点は注意しなければなりません。

現在も利用されているObjective-Cのサービス


時代が変化し、Objective-Cの使用状況はやや減少しています。上記でも解説しましたが、Swiftが利用されるようになってきました。ただ、現役で利用されている部分もあるため、どのようなサービスで利用されているかを紹介します。

Facebook

FacebookのiOSアプリは元々Objective-Cで書かれています。現在はSwiftを導入していますが、Objective-Cで開発された流れが残っていることが特徴です。様々な機能を持つWebサービスであることから、大規模なコードベースを持ち、今も多くの部分がObjective-Cで動いていると考えられます。

実際、Facebookのエンジニアリングブログなどを参照すると、Objective-Cが利用されている旨が公表されています。現在はSwiftと併用している、もしくは大部分がSwiftに移植されている可能性がありますが、依然として代表的なサービスの一つと考えてよいでしょう。

Instagram

Instagramは、初期の頃はObjective-Cで開発されていました。iOSプラットフォーム向けにリリースされたということもあり、用いられている言語に偏りがあったのです。現在は、AndroidでもInstagramが利用されていますが、時代的な背景があったと考えましょう。

なお、現在は多くの機能がSwiftに移行されています。時代の変化とともに、人気のアプリケーションではObjective-CからSwiftに移行されているのが現状です。

メルカリ

メルカリは、Objective-Cで開発されたサービスですが、現在は基本的にSwiftに置き換えられています。大規模な置き換えプロジェクトが実施されたサービスでもあり、Objective-CとSwiftの互換性や共存などを示した事例です。

2020年頃にSwiftへの切り替えがスタートしたため、現在はObjective-CよりもSwiftが利用されていると考えられます。ただ、メルカリのように大規模なサービスであれば、部分的にはObjective-Cも残っているかもしれません。短期間で完全に置き換えることは難しく、数年単位でObjective-Cから新しい言語へとシフトするケースが大半です。

Objective-Cの将来性

最後に、Objective-Cの将来性についても解説します。

Swiftの普及により需要は減少

繰り返しの説明にはなりますが、現在はObjective-CよりもSwiftが利用される傾向にあります。新しいアプリケーションは、Objective-CではなくSwiftで開発されると考えて差し支えないでしょう。

このような現状を鑑みると、Objective-Cの需要はこれから減少すると考えられます。事例でも紹介したとおり、Objective-CからSwiftへの置き換えが進められているため、活躍できる現場が少なくなってしまうのです。需要が減少している点は、将来性を考える際に直視しなければなりません。

維持保守やリプレース案件で求められる

Swiftへの置き換えが進められているものの、Objective-Cの需要がまったくないという状況でもありません。Objective-Cのスキルはまだまだ求められていることも事実です。

例えば、Objective-Cで開発されているアプリケーションの維持・保守には、今でもObjective-Cのスキルを持った人が必要です。また、これらのアプリケーションを、Swiftなどへリプレースする案件でも求められます。Objective-Cで開発されたアプリケーションがある以上は、これを扱えるプログラマやエンジニアが必要です。

とはいえ、Objective-Cの需要が一定数はあるものの、アプリケーションの利用が終了したり、リプレースが進んだりしています。今後は、Objective-Cで開発されたサービスの絶対数が減少すると予想され、中長期的に維持保守やリプレース案件だけで活躍することは難しいでしょう。

まとめ

Objective-Cの概要や特徴から、具体的に使用されているサービスまで解説しました。Apple社が開発したプログラミング言語ということもあり、幅広い環境で利用されているものです。有名なサービスの開発にも採用されていました。

ただ、現在はObjective-Cに代わってSwiftが登場し、こちらが利用されるケースが大半です。Objective-Cの需要がなくなっているわけではないものの、減少傾向と言わざるを得ません。今後はObjective-CよりもSwiftを扱えることが求められるでしょう。

現時点では、Objective-Cを軸にプログラマとして活躍することは可能です。しかし、将来性が明るいとはいえず、今後はSwiftなど別の言語も習得しなければなりません。

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admin