Rubyの資格とは?資格の種類、それぞれの難易度・勉強方法を解説

Rubyの資格とは?資格の種類、それぞれの難易度・勉強方法を解説

Rubyとは?

コンピュータを「電子回路を用いて計算を行う装置」と仮定すると、歴史上初のものは20世紀なかばにヨーロッパで作られました。そして実用に供された世界初は、1946年米国ペンシルベニア大学で作られたENIACだということは広く知られています。

その後、コンピュータは加速度的に発達し、テクノロジーの面でもビジネスの面でも数多くのイノベータが歴史に名を連ねます。こうした発達が欧米を中心になされてきたこともあり、歴史に名を残すのは欧米の人がほとんどです。

残念ながら日本人では、コンピュータ関連でスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツほどの巨人は未だ出ていませんが、ソフトウエアの世界では世界的に名を知られている方がいらっしゃいます。

まつもとゆきひろ氏です。通称Matz。オブジェクト指向スクリプト言語「Ruby」の生みの親です。名称のRubyは、Perlの次の言語を目指して、Perl(真珠(Pearl)と同じ発音)にならって宝石の名称をつけた、というのもよく知られています。

Rubyが一般公開されたのは1995年のこと。Windows 95が発売された年であり、パソコンが爆発的に普及を始め、インターネットも一般に普及が始まった頃でした。

まつもと氏がRubyの言語仕様策定において最重要視したのがプログラミングを楽しむこと。プログラムコードの読み書きが簡単で、実行環境が無料で入手できるだけでなく、改変、再配布が自由であったことから世界中のプログラマの支持を得ることとなりました。

2004年に、デンマークのデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン氏が開発したWEBアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails(RoRまたはRails)」によって、RubyによるWEBアプリケーションが開発が非常に簡単になったことがRuby普及に拍車をかけました。

そしてRubyは、2012年にメイドインジャパンのプログラミング言語として初めて国際規格に認証され(ISO/IEC 30170)、国際標準のプログラミング言語になったのです。

Rubyの資格一覧と難易度

Rubyにも資格認定制度があります。生みの親であるまつもと氏が理事長を務める一般財団法人Rubyアソシエーションが実施している認定試験です。Rubyに関わるエンジニア、コンサルタント、教師、学生などを対象とし、Rubyによるシステム開発能力が高いことが認定される資格です。

試験に合格すると「Ruby Association Certified Ruby Programmer」という資格が与えられます。この資格には、SilverとGoldの2種類があります。さらに上級のPlatinum(仮称)が現在策定中のようです。

ソフトウエア関連資格を紹介したサイトによれば、Silver、Goldのいずれも難易度はそれほど高くはないようです。それでは、それぞれの資格についてもう少し詳しく見ていきましょう。

Ruby Association Certified Ruby Programmer

Silver
Rubyの基本的な知識、すなわち、文法、クラスとオブジェクト、標準ライブラリなどが問われます。

Gold
Silverで求められるレベルに加えて標準添付ライブラリ、クラス、オブジェクトに関するより掘り下げた知識が問われます。

試験概要
試験概要はSilver、Gold共に同じです。問題は選択式で、出題数は50問、試験時間は90分です。試験はパソコンを使用して行われます。出題対象のRubyバージョンは2.1.xです。

受験費用
受験費用はSilver、Gold共に通常価格が16,200円、学生割引適用で8,100円です。価格は税込みです。

Ruby Association Certified Ruby Programmeの難易度・合格率

先に述べたように、Ruby Association Certified Ruby Programmeの試験は、Silver、Gold共にそれほど難易度の高い試験ではありません。運営者が公表している合格ラインは、75%です。

この75%という数値が意味する難易度はどうなのでしょうか。残念ながら、運営者側からは合格率は公表されていませんが、難易度の目安として、以下の情報があります。

ちょっと長い名称ですが「特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会」という協会があります。IT技術者にはおなじみのITSS(ITスキル標準)を活用して、IT関連のプロフェッショナル育成とITSSの定着を目指す組織です。

この協会が作成した「ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ Ver10r3(20180824)」という資料があります。名称の通り、ITSSのキャリアフレームワークと各種IT関連試験や資格をマッピングした資料です。

これによると、「Ruby Association Certified Ruby Programmer」のSilverは「エントリレベルのレベル1」、Goldは「エントリレベルのレベル2」に位置づけられています。

Silverと同じポジションには「PHP初級」や「ORACLE MASTER Bronze」が、Goldと同じポジションには「PHP準上級」や「情報処理技術者試験 基本情報技術者試験」がマッピングされているので、難易度の参考にするとよいでしょう。

Ruby Association Certified Ruby Programmerの勉強時間

運営者が公開している事例では、多忙な業務の合間を縫って3か月、入社後すぐに勉強を初めて1か月、という方々が紹介されています。学習開始時のスキルレベルにもよりますが、1か月から3か月というのがひとつの目安になるのではないでしょうか。

Ruby資格のメリット

IT関連のどの資格についてもいえることですが、ITの仕事では基本的に資格保有が必須の仕事というのはありません。就職、転職の際にものをいうのは経験と業務知識です。

しかしながら、経験も業務知識も十分にアピールできない若い世代にとっては、自分のスキルレベルを客観的に示してくれる「資格」を保有していると、就職の際には明らかに有利であるといえます。

また、試験合格には、Rubyそのものを体系的に学ばないといけないので、試験合格の暁には、Rubyに関するスキルは確実に上がっていることでしょう。

Ruby資格の試験スケジュール

Ruby Association Certified Ruby Programmerの試験はパソコンを用いたCBT(Computer Based Testing)です。試験日、試験会場が定まっているわけではなく、受験者の都合に合わせて試験日・試験会場を選ぶことができます。

試験の運営は「プロメトリック社」が行っているので、試験の申し込みとテスト会場の予約は同社のウェブサイトから行います。

試験勉強におすすめの入門書・教科書

運営者が公開している教材をご紹介しておきましょう。オンライン教材と書籍があります。

RubyExamination(REx)
オンラインの模擬問題集です。SilverおよびGoldの模擬問題が合計300問用意されています。すべて無料です。提供はリバティフィッシュ株式会社です。なお、利用にはGithubアカウントの取得が必要です。

模擬問題集(Silver試験用)
こちらもオンラインの問題集です。運営者のウエブサイトではPDFと記載されていますが、現在はPDFとではなく、WEBをページで無料公開されています。

Ruby公式資格教科書 Ruby技術者認定試験 Silver/Gold対応
前田修吾、CTCテクノロジー株式会社他著、技術評論社出版です。3,888円(税込み)。

メタプログラミングRuby第2版
パオロ・ペロッタ著、角征典訳。発行はオライリー・ジャパンです。3,240円(税込み)。

Rubyのしくみ
Pat Shaughness 著、島田浩二・角谷信太郎共訳、出版はオーム社。3,456 円(税込み)です。

まとめ

Rubyは、WEBアプリケーションやサーバー管理などで広く使われている言語です。プログラミング言語に関する各種ランキングでもTop 10常連のRuby。

覚えやすく、プログラミングの入門に適しているだけでなく、応用範囲も広いRubyをスキルセットのひとつとして加えておくことはITエンジニアとしてプラスになることはあっても、マイナスになることはないでしょう。

まつもとゆきひろ氏によれば、現在のRuby2より3倍早いRuby3を開発中だとか。これからもRubyには目が離せません。


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admin