【セキュリティ対策】バイオメトリクス技術の進化と個人でできる対策を解説!

【セキュリティ対策】バイオメトリクス技術の進化と個人でできる対策を解説!

セキュリティ対策が重要となる今の時代、サービスの提供者やそれらを利用する個人は、いくつもの対応を求められています。その対策の中に「バイオメトリクス技術」があり、世の中に浸透してきました。皆さんも、何かしらのバイオメトリクス技術を利用しているのではないでしょうか。

普及している技術ではあるものの、まだ一般的に理解されている技術ではありません。そこで今回は、バイオメトリクス技術の概要や仕組みについて解説し、バイオメトリクス技術の恩恵を感じるために、個人が意識すべきことも解説します。

バイオメトリクス技術の概要と仕組み

最初に、バイオメトリクス技術とはどのようなものであるのか解説します。また、その仕組みや具体的な仕組みについても紹介していきます。

バイオメトリクス技術とは

バイオメトリクス技術は生体認証技術とも呼ばれる注目の認証技術です。人間の身体的あるいは行動的特徴を測定したり分析したりすることで、特定の人物を識別する技術を指します。今まで主流であった物理的なキーやパスワードなどとは異なり、固有の特徴に基づいていることが特徴です。

身体的・行動的な特徴を活用するため、紛失や忘れてしまうリスクの低下につなげられます。紛失に関するトラブルは、ときに大きな問題に繋がってしまいますが、バイオメトリクス技術ならばこれを防ぎやすいのです。特に、身体的な特徴を活用するものは、紛失の可能性が極めて低いと考えられます。

ただ、バイオメトリクス技術は完璧なものではなく、まだまだ課題が残っている状態です。研究者やエンジニアが新たな技術について研究しているため、それらの発展を待つしかないでしょう。技術の進化とともに、使われ方なども大きく変化する可能性があります。

バイオメトリクス技術の仕組み

バイオメトリクス技術も、一般的に利用されるパスワードなどと同様に、事前に登録したものと照合する仕組みです。身体的な特徴などをデータベースに登録しておき、それと照合します。このような仕組みであるため「登録」と「認証」の2つに分けて理解することが大切です。

まず、登録にあたって、センサーやカメラで個人のバイオメトリクスデータを収集します。一般的にこのデータはそのまま保存されるのではなく、特定のアルゴリズムによって「特徴量」に変換され、それが保存される仕組みです。生体データを保存すると、セキュリティ面での問題が生じることがあるため、加工してから保存します。

また、ユーザが利用する際の認証にあたっては、同じくセンサーやカメラによってバイオメトリクスデータを取得します。この取得内容も、同じアルゴリズムで特徴量へと変換され、データベースに保存されている内容と比較する仕組みです。一致すれば本人と特定され、不一致ならば認証に失敗してしまいます。

バイオメトリクスの種類


バイオメトリクス技術とまとめられることが多いですが、実際にはいくつもの種類が存在しています。求められるセキュリティやデバイスなどの設備に応じて、適切なものを選択できる状況です。また、バイオメトリクス技術には「静的バイオメトリクス」と「動的バイオメトリクス」があるため、それぞれにどのような種類があるのか解説します。

静的バイオメトリクス

静的バイオメトリクスとは、個人の身体的な特徴を利用して、認証をおこなうセキュリティです。一般的に、バイオメトリクス技術といえば、静的バイオメトリクスを指していると考えて良いでしょう。

顔認証

顔認識では「目」「あご」「鼻」などの間の距離や配置を分析し、デジタル化することで認証するセキュリティ技術です。顔認識ソフトウェアで、顔をリアルタイムに読み取って、事前に分析してある顔のデータと比較します。配置などが一致すれば、認証できるという仕組みです。

また、顔認証のさらに新しい技術として「アクティブライブネス検出」と呼ばれるものが利用されるようになってきました。これは、頭を動かしたり瞬きしたりすることによって、顔の動きを検知するものです。顔認識では、印刷された画像などで認証を突破される可能性があるため、これを防ぐためにアクティブライブネス検出が利用されるようになってきました。

指紋認証

指紋認証は、スマートフォンなどのモバイルデバイスで活用されるバイオメトリクス技術です。セキュリティを高める方法として、特に普及していると表現しても過言ではないでしょう。iPhoneなどに搭載された「TouchID」を中心として、多くのスマートフォンで採用されるようになっています。

各デバイスには指紋リーダーと呼ばれるデバイスが搭載されていて、指紋の隆起やパターンを分析することが可能です。このパターンを、事前に取得していた「デジタルモデル」と比較し、一致すればシステムなどを起動できます。

ただ、指紋認証は指が汚れていたり汗で濡れていたりすると、検出結果が変化する点に注意しなければなりません。複製が難しいバイオメトリクではありますが、やや利便性に欠ける部分もあるのです。

虹彩認証

虹彩認証は、目をスキャンして認証するセキュリティ技術です。目を活用したバイオメトリクス技術は大きく分けて2種類ありますが、それらの中でも利用が多い方と考えて良いでしょう。虹彩にあるカラーリングをスキャンして、デジタル化したもので認証します。

高いセキュリティが期待できるバイオメトリクスではありますが、明るい環境と暗い環境では虹彩の取得結果が変化するなどの問題があります。同じ環境でデータを取得することが求められるなど、技術が進化しても、使う場面を選ぶ技術です。

音声認証

音声認証は、個人の声を分析して、本人であるかどうかを判断する技術です。一般的に、声は声道の長さや鼻、口の形などによって変化します。個人が固有のものを持つケースが多いため、バイオメトリクス技術で活用されるようになってきました。

現在は認識技術が高まっているため、声を非常に高い精度で分析できるようになっています。ただ、分析技術が高まったために、風邪などで声に変化があると本人確認が難しくなっている状況です。また、周囲に雑音が多いと、正しく音声を取得できないことがあります。

しかし、近年は分析を修正する技術も高まっているため、これらの課題は少しずつですが解決に向かっています。より確実に音声を認識できるようになることで、さらに利用される場面が広がるでしょう。

動的バイオメトリクス

動的バイオメトリクスとは、個人の習慣や動作を分析してパターン化し、それらから個人を認証するセキュリティ技術です。

キーストロークリズム

キーストロークリズムは、入力のスピードや使用するキーボードの特徴などから、個人を特定するセキュリティ技術です。また、特殊なキーボードを利用して、タイピングする際の力加減を評価することもあります。特徴的なパターンを導き出し、それに一致するキーストロークであれば、認証できる仕組みです。

キーボードの入力は個人差が出やすい部分ではありますが、周りの人間に見られてしまう可能性があります。その結果、キーストロークリズムを真似されてしまい、認証を突破されるリスクがあるのです。そのため、利用にあたっては、周りに人がいないことを確認しなければなりません。

歩き方

歩き方を利用した、バイオメトリクス技術があります。例えば、センサーを設置した廊下を歩いてもらうことで、本人であるかどうかを評価できるのです。歩幅や手足の動き、歩く位置などをパターン化して、事前のパターンと一致しているか評価します。

動的バイオメトリクスの一種ではありますが、キーストロークリズムと同様に、完璧に真似することで認証を突破可能です。そのため、セキュリティの高さという観点では、少し不安を抱えてしまうでしょう。

バイオメトリクス技術を踏まえた個人での対策


バイオメトリクス技術は便利なものではあります、利用者側が気をつけるべきこともあります。具体的に、どのような対策を実施しなければならないのか、ポイントを押さえておきましょう。

必要以上に情報を提供しない

バイオメトリクスデータは、非常に重要な個人情報です。そのため、必要以上に情報を提供しないように注意しなければなりません。無駄に情報を提供すると、万が一漏洩してしまった場合に、セキュリティ効果が薄れてしまいます。

特に、取り扱いの手法に不安な部分があるならば、提供するかどうか考えるべきです。例えば、大手企業などはセキュリティに力を入れていると考えられますが、海外の中小企業などは十分ではないかもしれません。事前にバイオメトリクスデータの管理方法などを確認してから、判断することが重要です。

もちろん、バイオメトリクスデータを提供しなければ、サービスを利用できないことがあります。リスクとメリットの両面から考えるようにしましょう。

生体情報の変化に注意する

生体情報は時間の経過とともに変化する可能性があります。適切なデータを提供しなければ、正確に認証できなくなるかもしれません。たとえ本人であっても、認証できないことでサービスを利用できない可能性があるという点は、バイオメトリクス技術のリスクと考えられるのです。

例えば、子供がバイオメトリクスを利用する場合、成長とともに特徴が変わる可能性があります。認証が利用できなくなる可能性があるため、提供する情報を意識しなければなりません。成長と共に、大きく変化する要素ならば、修正を依頼することが大切です。

また、怪我などによって、バイオメトリクスデータが変化することも考えられます。この場合も、データの修正を依頼しなければ、認証が利用できなくなるかもしれません。

サービスのポリシーに目を通す

サービスのポリシーに必ず目を通すようにしましょう。例えば、個人情報の取り扱いについて、確認しておくべきです。また、バイオメトリクスデータが、どのようなデータセンターに保存されているかどうかも確認しておきます。

十分なポリシーが用意されていないと、情報漏洩などの懸念が生じてしまいます。一般的に、対策が十分な企業は、ポリシーも適切に制定されているのです。ポリシーが設定されていない企業へのデータ提供は、リスクがあると考えられます。

なお、ポリシーについて疑問点があるならば、確認してみることも重要です。納得できない状態でバイオメトリクス技術を利用するのではなく、必要に応じて確認してから利用しましょう。

デバイスのセキュリティを高める

個人でバイオメトリクス技術を利用する場合は、認証に利用するデバイスのセキュリティを高めることが重要です。例えば、最近は決済にあたってスマートフォンの指紋認証機能を利用することがあります。スマートフォンの内部に認証情報が保存されていることがあるため、デバイスそのものにロックをかけておくことが大切です。

ただ、サービスの提供者が用意しているデバイスについては、自分自身でセキュリティを高められません。例えば、部屋に入室するための認証デバイスが用意されているならば、無条件にそれを利用するしかないでしょう。セキュリティが心配であるからといって、特定の設備を利用しないことは現実的ではありません。

つまり、このようなリスクを個人で完璧に管理することはできません。上記で解説した、ポリシーの有無などを踏まえて、状況によっては受け入れざるをえないでしょう。

まとめ

バイオメトリクス技術は、身体的・行動的な情報を利用した認証技術です。近年はセキュリティが重要視されているため、多くの認証でバイオメトリクス技術が利用されるようになってきました。すでに利用している人は多いのではないでしょうか。

ただ、バイオメトリクス技術は、課題を抱えているセキュリティ対策でもあります。そのため、利用にあたっては、利用者側でも対策することが重要です。特にデータの提供については、注意するようにしておきましょう。

具体的な対策内容については、今回解説した通りです。個人でできることは数多くあるため、積極的に採用していきましょう。

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admin