フリーランスのITコンサルタントとして役立つ資格とは?

フリーランスのITコンサルタントとして役立つ資格とは?

フリーランスのITコンサルタントに役立つ資格はいくつもあります。そのため、何かしらと資格を取っておきたいと考えることでしょう。
それでは具体的にどのような資格を取得すれば良いのでしょうか。以下ではフリーランスのITコンサルタントに取得してもらいたい資格を紹介します。

フリーランスのITコンサルタントに役立つ資格4選

フリーランスのITコンサルタントに役立つ資格は以下の4個です。

  • プロジェクトマネージャー
  • PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)
  • ITコーディネーター
  • 中小企業診断士

それぞれ具体的にどのような資格であり、取得するための難易度はどの程度のものなのかについてご説明します。

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトマネジメントに対するスキルがあることを証明する国家資格です。情報処理試験の一つとなっていて、設定レベルは最も高いものです。 ITコンサルタントはプロジェクトマネジメント専任ではありませんが、マネジメント系の資格を有していることは有利です。
特に情報処理技術者試験は、情報系の資格として広く認められています。プロジェクトマネージャーについて、以下で詳しくご説明します。

資格詳細

プロジェクトマネージャーの試験は、午前と午後に2つずつあります。合計で4つの試験に合格することで、プロジェクトマネージャーに合格できます。
午前ではプロジェクトマネジメントに限らず、情報処理全般に関する内容が問われます。基本知識から応用知識まで問われますが、問題はすべて選択式です。また、過去問と同じような問題が出ることも多々あります。学習しなければならないものも多いですが、情報処理の基本的な知識として身につけるようにしてみましょう。
午後はプロジェクトマネジメントに関する内容が問われます。午前のように情報処理全般の知識ではなく、専門的な内容が問われるのです。そのためプロジェクトマネージャー試験という意味では、午後の試験が本番であると考えてよいでしょう。
午後の1つ目の試験では、3問から2問を選択します。プロジェクトマネジメントとそれらに関連する問題が出題されますので、自分の解きやすい単元で勝負をしましょう。
午後の2つ目の試験では、長い問題文を読んで論述をしなければなりません。複数の設問で論述が求められており、合計で2,000文字から3,000文字の記述が必要です。プロジェクトマネジメントの専門知識が問われるだけではなく、論述式であり難易度が高まっています。試験時間も120分と長くなっていますので、集中力も問われる試験となっています。

資格難易度

プロジェクトマネージャー試験の合格率は、平成30年春期試験で受験者比13.2%、応募者比8.2%です。国家資格の中では比較的低い合格率となっています。ただ、情報処理試験の中でも、スキルレベル4は合格率が10%以下になることもあります。そのためプロジェクトマネージャー試験だけが特段難しいわけではありません。
合格率を下げている大きな要因は、午後の2つ目の試験にある論述です。制限時間内に問題が解き終わらなかったり、文章をまとめきれず論述できなかったりすることで不合格になるケースが見られます。プロジェクトマネジメントに関するスキルだけではなく、短時間で文章をまとめるスキルも必要なのです。そのような観点を踏まえると、総合的に難易度の高い資格です。

PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)

PMPもプロジェクトマネジメントに関するスキルを証明する資格です。こちらは国際的な資格となっていて、日本のみならず世界中でその価値を認められています。ITコンサルタントに限らず、ITに関わる人全般に人気のある資格のひとつです。
出題される内容は、プロジェクトマネジメント論であるPMBOKに準じています。プロジェクトマネジメントのあるべき姿が定義されていて、それが理解できているかどうかを問われます。

資格詳細

PMBOKでは、具体的なプロジェクトマネジメントの手法が定義されています。例えばリソース管理の方法やスケジュール管理の方法です。そのようなものに準じた試験ですので、出題内容も実践的なものが多いことが特徴です。
試験はすべて選択式の問題で200問が出題されます。4択の問題ですので、しっかりと内容を理解していれば回答ができます。ただ、PMP試験には選択問題がありません。全ての問題に回答しなければなりませんので、スムーズにテキパキと問題に答える力は問われます。
なお、試験問題のうち25問はダミー問題と呼ばれるものです。こちらは合否には影響せず、PMP試験を評価するために利用されます。どの問題がダミー問題であったのかは把握できません。
また、試験とは関係ないのですが、PMPを出願する際にプロジェクトマネージャー経験を500文字以内でまとめる欄があります。自分の経験を端的にまとめる必要があり、ここも試験の一つだと考えられています。

資格難易度

PMPの試験難易度はそれほど高いものではありません。試験に合格しなければならないものの、PMBOKが理解できていれば十分に合格できる内容です。
この背景にはPMPが実務を重要視していることが挙げられます。そもそもPMPは受験するにあたり、プロジェクトのマネジメント経験が必要です。ITコンサルタントの立場に限らず、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーの経験を含めて所定の実務経験時間が求められます。この経験を通じて、実践的なスキルを得ていることが前提となっているのです。
実際にPMPの試験で問われることも実践的な内容です。つまり、申し込み条件を満たしていれば、実践的に試験に対応できる知識も身についているはずなのです。
もちろん試験ですので成績が悪ければ落ちてしまいます。しかし、実務経験をこなしてきた人であれば、その難易度に恐れをなす必要はありません。

ITコーディネーター

ITコーディネーターは、経済産業省の推奨資格として認められているIT系の資格です。経営スキルとITスキルの両方を保有していることを証明できます。
今までは経営スキルとITスキルは別々の資格で証明しなければなりませんでした。複数の資格を取得するため、ITコンサルタントなどには負担の大きいものだったのです。特にフリーランスでは、社内の教育制度なども利用できず、より負担の大きい状況でした。
しかし、2001年にこちらの資格が創設され、それまでの問題は一気に解決できるようになっています。社会的にもITコーディネーターの価値が認められていますので、フリーランスでもこちらの資格を持っておくだけで、大きなアピールポイントとなる時代に変わったのです。

資格詳細

国家資格ということもあり、出題範囲については公式ページで明確に記載されています。ただ、内容が詳細すぎますので簡単にまとめると以下のとおりです。

  • 経営戦略に関する知識があるか
  • IT戦略に関する知識があるか
  • IT導入に関する知識はあるか
  • ITサービスを経営に活用する知識があるか

出題する範囲は比較的広いものとなっています。また、経営戦略に関する知識が求められるなど、ITコンサルタントらしくハイレベル層のスキルが必要です。実際のシステム構築ではなく、前段のスキルが身についていないと対応できないでしょう。
試験時間は120分であり、必須問題が60問と選択問題が40問で合計100問回答します。試験時間と問題量を踏まえると、選択問題ではあるものの時間に余裕はありません。
なお、試験に合格したあとは所定の研修を受ける必要があります。この研修に合格することで、資格が認定されます。

資格難易度

試験の合格率は50%から70%と数値だけ見ると難しいものではありません。ただ、受験料が高いことなどから、試験に合格できると感じた人だけが受験していると考えられます。申込みの絶対数も少なめですので、申し込みをするまでにハードルを感じるのでしょう。
出題範囲はハイレベルですが、ITコンサルタントであれば必須とも言える知識です。特に経営層と会話できるだけのスキルはフリーランスには必ず求められます。高難易度な内容も求められますが、フリーランスのITコンサルタントに必要なものですので身に付けていきましょう。

中小企業診断士

中小企業診断士は、経営に関するスキルがあることを証明する国家資格です。診断士とは名称に含まれているものの、経営コンサルに関する資格であると考えましょう。
ITコンサルタントは経営に関するシステムを扱うこともあります。フリーランスであれば専門知識を生かし、経営のシステムに強いことをアピールする路線も考えられます。そのような時に中小企業診断士は武器となるのです。
経営コンサルに関する国家資格としては、国内で唯一のものです。そのため資格の価値は非常に高く、幅広い会社などに認められています。以下では中小企業診断士について詳しくご説明します。

資格詳細

中小企業診断士は経営コンサルタントに関する国家資格です。コンサルタント系の国家資格ということもあり、取得には時間が必要です。
まず初めに一次試験として、以下の7科目に合格しなければなりません。

  • 経済学・経済政策
  • 財務・会計
  • 企業経営理論
  • 運営管理
  • 経営法務
  • 経営情報システム
  • 中小企業経営・政策

それぞれでどのような内容が問われるのかについては割愛します。ただ内容からも見て取れるとおり、経営学や会計、法務や情報システムなど企業の運営に必要な幅広い知識が求められます。
この後の流れは人によって異なります。一つ目の方法は筆記と口頭の二次試験を通過し、15日以上の実務補習か実務従事を行う流れです。短期間ではありますが実務経験を踏まえ、中小企業診断士として認定されます。もう一つの方法は、指定された講座を履修してそれに合格することです。中小企業診断士に必要な知識を学び、それを身につけることで中小企業診断士として認定されます。
一次試験に通過してからの流れは、どちらが良いと言い切れるものではありません。割ける時間など各々の都合によって左右される部分です。ただ、どちらの方法を選択しても、経営コンサルタントに必要なスキルが身に着きます。

資格難易度

中小企業診断士の難易度は非常に高いと言われています。実際合格率は10%以下であり、高難易度の資格と言えます。
合格率の低さの大きな原因は、出題される分野の広さです。経営に関わる様々な知識が求められますので、知識不足から太刀打ちできないケースがあるようです。不得意分野を持たないようにし、幅広い問いに回答できなければなりません。
ただ、一次試験については一発で全ての科目に合格する必要はありません。科目合格と呼ばれる一部の科目だけに合格しておく方法もあります。これを利用すれば2年かけて一次試験に合格することも可能です。一発合格と比較すると難易度は下がります。
そのような制度もありますが、やはり難易度が高い試験には違いがありません。ITコンサルタントの場合、新しく学ばなければならない知識も多くなります。覚悟し、時間をかけて学ぶようにしましょう。

フリーランスのITコンサルタントに資格は必須?


ここまでフリーランスのITコンサルタントに役立つ資格を紹介しました。どのような資格を取得すればよいのか、具体的にイメージしてもらえたことでしょう。
ただ、実際に資格を取得するべきかまだ悩んでいる人もいると思われます。そこで、ITコンサルタントは資格を取得するべきかどうかについても考えてみます。

資格がなければITコンサルタントになれないことはない

ITコンサルタントは何かしらの資格を取得しなければならない職業ではありません。全く資格を持っていない人でも、ITコンサルタントとして活躍していることもあります。そのため資格が必須かどうかで問われると、資格の取得は必須ではありません。
ただ、資格が必須ではないものの、資格がなければ顧客からの信頼を勝ち取れないこともあります。例えば会計システムに関連するITコンサルでは、知識を証明するために実質的には資格が必須でした。顧客が資格の有無で知識量を判断したため、該当する資格を保有していないITコンサルタントはプロジェクトにアサインされませんでした。
このようなケースは限られたものかもしれません。しかし、何かしらの資格がなければ、ITコンサルタントとして認められないこともあります。
ITコンサルタントを名乗るにあたり資格は必要ありません。しかし、顧客からの信頼を手に入れるために、資格が必須となるケースもあります。

資格と同時にスキルも必要

ITコンサルタントを目指すにあたり、資格を取得したいと考えた人もいるでしょう。目標に向かって資格を取得することはスキルアップの観点からも良いことです。
しかし、資格の取得には注意点もあります。それは資格を取得するだけで満足しないということです。合格のために詰め込んだ学習をしたものの、それがスキルとして身に付いていなければ意味がないのです。
ITコンサルタントに求められるものは、あくまでもコンサルティングのスキルです。資格だけを保有していてもITコンサルタントとして活躍できません。特にフリーランスのITコンサルタントは、どれだけのスキルを持っているかが単価交渉の鍵も握ります。
資格を持っていれば客観的にスキルを持っていることの証明となります。これは間違いなく価値のあることですので、資格負けしないようなスキルも身につけておきましょう。

フリーランスのITコンサルタントは資格で価値をアピール

フリーランスのITコンサルタントも、何かしらの資格を取得するに越したことはありません。資格を取得しておくことで、自分のスキルを客観的に証明できます。
ただ、ITコンサルタントは資格が必須の職業ではありません。誰でもITコンサルタントを名乗れるのです。どうしても資格を取得しなければならないことはありません。
とはいえ、顧客がITの専門家ではない場合、資格の有無がアサインされるかを左右されることもあります。客観的に自分の価値を高めるためにも、上記でご紹介したような資格は取得しておくと良いでしょう。


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