フリーランスのデータサイエンティスト|年収・独立方法を解説

フリーランスのデータサイエンティスト|年収・独立方法を解説

データサイエンティストはデータを処理したり加工したりして、意思決定のサポートをする役割です。近年はビッグデータの解析をする役割と誤認されがちですが、そのような限られた仕事ではなく、データを活かす仕事全般を担います。

世の中的にデータ分析が活用されているため、データサイエンティストの需要が高まり独立を考える人が増えています。今回はフリーランスのデータサイエンティストの年収や独立方法について解説します。

フリーランスのデータサイエンティストとは

フリーランスのデータサイエンティストと言われても、具体的な働き方や仕事内容がイメージできないかもしれません。まずはデータサイエンティストの役割とフリーランスになった場合を含めてどのような業務を担当するかを説明します。

データサイエンティストの役割

データサイエンティストはビッグデータなど業務に必要なデータを分析し、経営判断に利用する情報をアウトプットする仕事です。大量のデータだけでは経営層などが重要な判断を下すことはできません。そのため、データサイエンティストがこれらの情報を分析し、理解しやすい状態にして判断に役立てます。

分析するデータはビッグデータに絞られていると思われがちですが、実際にはそうではありません。ビッグデータを含めて様々なデータ分析を担当します。データ分析の対象は状況によって異なるため曖昧ですが、データ全般の分析を担当すると考えておいて良いでしょう。

なお、データサイエンティストの重要なところは、「経営判断に必要な情報を提供する」という部分です。データを分析するだけではなく、「経営判断に必要」との観点から分析しなければなりません。どのような観点から分析してどのような情報を提供するのかはデータサイエンティストに委ねられ、スキルが問われる部分となっています。

データサイエンティストの担当業務例

データサイエンティストが担当する業務はいくつもありますが、今回は3種類をピックアップして解説します。

分析対象データの整理

データ分析はいきなり取り掛かる作業ではなく、事前に準備してから取り掛かる必要があります。まずは分析対象のデータを整理して、整った状態のデータで分析作業を進めるのです。

例えば、提供されるデータはExcelファイルやCSVファイルなど形式が揃っていないかもしれません。そのような状態ではツールを利用してのデータ分析は難しくなってしまいます。そのため、ツールに取り込めるような形式に整えてあげる作業が必要です。

また、データの提供元は「どのデータが必要なのか」を意識していないケースが大半です。データサイエンティストとしても恣意的にデータを抽出されると分析結果に影響が出るため、全てのデータ提供を依頼するでしょう。この場合、データ分析に不要なものが含まれてしまうため、データサイエンティストが情報の整理をします。

なお、整理する前の情報については機密が含まれているケースが多く、フリーランスの取り扱いが制限されるかもしれません。そのような場合は、クライアント先に出向いての作業が必須条件となることが考えられます。

データの分析

分析対象のデータが揃えば実際にデータサイエンティストが分析をします。フリーランスのデータサイエンティストが受注できる仕事としては、この分析作業が特に多いでしょう。

分析をする際には、どのような分析手法を用いるのか検討が必要です。クライアント側から指定されるケースは少ないため、適切な手法で分析を提案しましょう。フリーランスとしてのスキルが試される部分だと言っても過言ではありません。

分析手法と同時にアウトプットの内容まで決定できれば、あとはデータ分析を進めるだけです。合意した手法で着々とデータ分析を進めていきましょう。フリーランスの場合は機密保持契約や個人情報保護に関する契約を結び、在宅で作業できるケースがあります。

資料作成

データ分析をするだけではなく、分析結果を利用した資料作成をする場合があります。ただ、この業務は必要なものではあるものの、フリーランスではなくクライアントが担当する場合もあります。依頼があれば資料を作成するという程度の認識を持っておけば良いでしょう。

どのような資料を作成するのかは状況によって異なります。データの分析結果をうまく伝えなければならないため、グラフや表を活用した資料を作成するのが一般的です。資料作成する場合は、そのまとめ方もフリーランスとしてのスキルを証明できる部分だと言えます。

なお、フリーランスとして資料作成まで受注したいならば、資料のサンプルを準備しておいても良いでしょう。どのようなアウトプットが手に入るのかイメージしやすいと、クライアント側が発注しやすくなります。

課題解決に向けた立案

データサイエンティストは必要に応じて課題解決に向けた立案まで行います。データの分析を行うだけではなく、その結果から得られた情報をもとに、課題解決へとつなげていくのです。コンサルのような仕事だとイメージすると良いでしょう。

このようなレベルまで対応できるフリーランスのデータサイエンティストは限られていると思われます。なぜならデータサイエンティストのスキルだけではなく、経営層に提案ができるだけの業務スキルも求められるからです。コンサルが個別の職業として独立しているように、データサイエンティストがどちらも対応するのは難しいでしょう。

しかし、自分が得意であるかどうかを問わず、分析結果から立案を依頼されるケースもあります。そのような業務が依頼される可能性も考慮すべきです。

フリーランスデータサイエンティストの年収


フリーランスのデータサイエンティストは年収の幅が広いことが特徴です。具体的にどの程度の年収が期待できるのかをご説明します。

フリーランスの平均年収は800万円程度

フリーランスのデータサイエンティストとして働く場合、平均年収は800万円程度です。参照する資料によって少々異なりますが、概ね800万円前後だと理解しておくと良いでしょう。フリーランスエンジニアの中でもデータサイエンティストは年収が高い職種に分類されます。

他のエンジニアよりも平均年収が高い傾向にあるのは、専門的な知識が求められるからです。エンジニアはそもそも専門性の高い仕事ではありますが、データサイエンティストはさらに高い専門性が求められます。それが単価に反映され、さらに年収にも影響してくるのです。

また、データサイエンティストは急激に需要が高まっている状況です。需要と供給のバランスが悪いことで、エンジニアを確保するために単価が高まる傾向にあります。しばらくはこの傾向が続くと考えられるため、年収が高い状態が続くでしょう。

難易度によっては年収1,000万円超

データサイエンティストが取り扱うデータの中には難易度が高いものも含まれ、それに携われると高い単価が期待できます。状況にもよりますが月に100万円を超える案件も数多く見られ、年収にすると1,000万円を超えるものも多々あります。

ただ、このような単価の高い案件を獲得するためには、自分自身のスキルを高めておくことが重要です。また、過去に大規模なデータ分析の経験があることを求められる場合もあります。経験については自分でカバーできない部分はありますが、単価に反映させられるスキルや経験があるならば積極的にアピールするようにしていきましょう。

なお、単価の高い案件は専門的な業務スキルが求められる場合があります。例えば、会計に関するデータ分析ならば、会計業務のスキルが求められるのです。データサイエンティストとしてのスキルだけではなく、関連するスキルも身につけると単価アップが期待できます。

知識の横展開よりも深めることが重要

エンジニアがスキルアップする際は、「横展開して幅広くスキルを習得する」「特定の分野のスキルを高める」の2種類が考えられます。データサイエンティストとして活躍したいフリーランスは、できる限り特定の分野のスキルを高めるようにしましょう。専門性の高いスキルが求められるため、横展開するのではなくスキルを高めるべきです。

もちろん、専門性を高めれば高めるほど、フリーランスのデータサイエンティストとして選択できる案件は限られます。幅広く応募できる状況ではなくなるため、ここはやむを得ないと考えましょう。

しかし、現在はデータサイエンティストの案件数が多いため、専門性を高めても十分に案件を獲得できます。「ニッチなスキルだから案件の獲得に繋がらない」という状況にはほとんどならないのです。つまり、スキルを深めてより高単価な案件を目指すに越したことはありません。

データサイエンティストとして独立する3つの方法


データサイエンティストとして独立する方法は3つ考えられます。それぞれの方法についてどのような流れで独立するのかご説明します。

会社員の経験を活かして独立する

フリーランスとして独立する方法の中でも最も無難なのが、会社員から独立するものです。会社員としてデータサイエンティストに必要なスキルを習得し、そのスキルを武器にフリーランスとして独立します。会社員時代に十分な経験を積んでおけば、フリーランスとしてスムーズに活躍できるようになるでしょう。

会社員時代に積んでおきたい経験は、様々なデータ分析に関するものです。データ分析には多くの種類があるため、データの種類や分析方法は数多く経験している方が有利になりやすいです。経験があれば案件の受注もしやすくなるため、フリーランスとして独立する前に幅広い経験を積むことをおすすめします。

フリーランスとして独立する際は、自分の得意分野を活かしてフリーランスエージェントで案件を探してみましょう。フリーランスエージェントならばスキルのミスマッチが起こりにくいため、自分に適した案件がスムーズに見つかるはずです。

また、フリーランスとして独立する前に、クラウドソーシングサービスなどを併用するのもおすすめです。事前にフリーランスとして働くイメージを掴んでおけば、独立してからも安心して行動できます。

未経験可の案件でスキルを高めて独立する

フリーランス向けや契約社員などの案件・求人の中には、未経験でも応募できるものがあります。数は限られているものの、会社員でデータサイエンティストをしていなくても応募できるのです。このような案件をピックアップし、案件を獲得して経験を積む選択肢もあります。

数は少ないですが、このような案件で実績を残せば、フリーランスのデータサイエンティストとしてのポートフォリオができます。データサイエンティストに依頼するクライアントは実績を重要視するため、提示できるものがあれば他のフリーランスと戦えるでしょう。

クラウドソーシングサービスで案件を探す

最初からクラウドソーシングサービスに絞って案件を探す方法もあります。安定して案件が受注できるとは限りませんが、自分のペースで案件を探せる点は魅力です。

クラウドソーシングサービスならば、経験者向けの案件も未経験者向けの案件も存在します。どのタイミングで探しても見つかるとは限らないものの、様々な案件が公開されているのです。そのため、定期的に目を通していれば自分に適した案件が見つかり、実績を積むチャンスがあります。

ただ、クラウドソーシングサービスの案件は、単価が低くなる傾向にあります。クラウドソーシングサービスには独自の良さがありますが、収入を気にするならば独立方法として適しているとは言い切れません。

まとめ

データサイエンティストとして独立する方法を説明しました。業務内容は会社員と近いものがありますが、機密情報などの観点から一部の業務は受注しにくくなっています。基本的には純粋にデータを分析する業務を受注するものだと考えておけば良いでしょう。

独立する際は会社員で経験を積み、スキルを持ってフリーランスになるのが理想的です。フリーランス向けの案件は実務経験者を対象にしているものが多いため、実務経験が少ないと受注できるものが限られてしまいます。

ただ、クラウドソーシングサービスなどを利用して、実務経験を積む選択肢はあります。積極的におすすめできない方法ではありますが、そのような方法を考えてみても良いでしょう。

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