Docker|コンテナ型仮想化技術についての解説!需要、今後の将来性と合わせてチェック!

Docker|コンテナ型仮想化技術についての解説!需要、今後の将来性と合わせてチェック!

近年は「コンテナ型仮想化技術」と呼ばれるものが注目されています。現在普及している仮想化技術とは少々異なり、新しい考え方に基づいて提供されている仮想化技術です。

このコンテナ型仮想化技術を利用するにあたり「Docker」と呼ばれるソフトウェアが利用されるケースが多くなっています。必須のソフトウェアではありませんが、コンテナ型仮想化技術においてはデファクトスタンダードとなっているものです。

今回はコンテナ型仮想化技術とDockerを解説し、需要や今後の将来性についても併せてご説明します。

最近話題のDockerとは

最近話題のDockerですが「どのようなものか理解できていない」「名前も聞いたことがない」という人は多いでしょう。まずはDockerとはどのようなものか、簡単にご説明します。

Dockerの概要

Dockerは「コンテナ型仮想化技術」で実装されたソフトウェアのひとつです。仮想化技術の中では有名なものですが、馴染みがない人は聞いたことがないでしょう。

そもそも現在利用されている「仮想化」といえば「仮想サーバー」の構築が大半です。物理マシンの上に「VM Ware」や「Virtual Box」などの仮想化ソフトウェアを導入し、それを利用して仮想マシンを動作させます。

ホストOSの上に「ゲストOS」と呼ばれるものを動作させますので、1台の物理マシンで様々なOSを動作させられます。仮想マシンですが、物理マシンと同じように動作するのが特徴です。

それに対してコンテナは「コンテナ型仮想化技術」と呼ばれる異なった考え方で構築されています。物理マシンの上に「Docker」などのコンテナ型仮想化技術ソフトウェアを導入し、それを利用して「コンテナ」を動作させます。

コンテナ型仮想化技術では、1つの物理マシンで1つのOSだけを動作させます。仮想マシンのように複数のOSを起動させる仕組みではなく、物理マシンのOSやカーネルをコンテナが共有して利用します。ただ、これらのリソースは共有するものの、それぞれが独立したネームスペースを持つようになっています。

Dockerは上記のような独立したネームスペースを生み出すためのソフトウェアです。また、事前に用意された「イメージ」の情報を利用して、小さなファイルシステムを自動的にデプロイしてくれます。完全に独立したコンピュータのように利用できるのです。

なお、Dockerで作られたコンテナもVM Wareなどの仮想マシンも、どちらも「起動」「停止」の概念があります。起動すると動き続けるのではなく、必要に応じて停止してリソースの開放ができます。また、不要になった場合はどちらも削除ができるなど「管理」との側面ではどちらも似た部分があります。

コンテナと仮想マシンとの違い

コンテナと仮想マシンについて上記ではご説明しました。ただ「違いが良く分からない」と感じた人もいるでしょう。そのため、特に違いを理解してもらいたいポイントに絞って以下のとおり比較しました。

 

名称 OS カーネル リソース ソフトウェア
コンテナ 物理マシンに依存
※DockerはLinuxのみ
物理マシンのものを利用 低リソースで動作可能 Docker
仮想マシン 仮想マシンごとに設定可能 仮想マシンのOSのものを利用 CPU・メモリ共に物理サーバ並の用意が必要 VM Ware
Virtual Box

 

特に意識しておいてもらいたいのはOSとカーネル部分です。コンテナ型仮想化技術を利用すると、OSとカーネルは物理サーバに利用されているものをそのまま利用します。仮想マシンではそれぞれに割り当てられたOSを利用しますので「OSの制限」との観点では違いがあります。

また、リソース管理の方法が大きく異なります。コンテナは低リソースで利用できる仕組みですが、仮想マシンは物理マシン並のリソースが必要です。コンテナは「少ないリソースを効率よく利用する」との観点でメリットの大きなものです。

Dockerのメリット・デメリット


Dockerの基本的な仕組みについて理解しました。Dockerの根底にある「コンテナ型仮想化技術」についてもイメージを持ってもらえたでしょう。

Dockerを利用したコンテナにはメリットがありますが、実はデメリットもあります。コンテナ全般にいえるものとDockerにのみ該当するものをまとめて解説します。

メリット:Docker-HUBからイメージを入手可能

Dockerでコンテナを作成するためには元になる「イメージ」が必要です。これが無ければDockerを利用してもコンテナは作成できません。

しかし、DockerにはDocker-HUBと呼ばれるイメージのダウンロードサイトがあります。ここに「nginx」など特定のサービスを動かすためのイメージが公開されているのです。利用者はここからイメージをダウンロードするだけで、簡単にコンテナを作成できます。

しかも、このDocker-HUBはDockerが公式で提供しているものが多々あります。見知らぬ人が公開しているものには不安を感じてしまうかもしれませんが、公式の提供なのでその心配もありません。

本来はコンテナを作成するために「イメージ」を自分で作る必要があります。この作業はコンテナ型仮想化技術の初心者には難しい作業です。しかし、Dockerなら最初から提供されていますので、利用のハードルを大きく下げられます。

メリット:仮想化技術の中でも省リソース

上記で説明したとおり、仮想化技術にはコンテナ以外にも様々なものがあります。それらの中でコンテナは、消費リソースを少なく抑えられるメリットがあります。

利用する仮想化の仕組みによっては、物理マシンと同程度のリソースが必要です。オーバーヘッドが大きくなってしまうことで、多くのリソースを用意しなければならない技術があります。

しかし、Dockerを利用したコンテナでは、消費リソースは最低限に抑えられます。少ないリソース環境でも、仮想化を実現できる点でメリットがあります。

なお、多くのリソースを消費する仮想化が悪いわけではありません。技術ごとにメリットやデメリットがありますので、すべての仮想化をDockerにすれば良いわけでもありません。

メリット:バージョン管理に対応

Dockerで作成するイメージは、バージョン管理が可能です。作成したタイミングを管理できますので、開発の状況などを管理しやすいメリットがあります。

イメージはコンテナを作る元になるものですので、適切な内容管理が必要です。誤ったイメージを利用ししまうと、意図しないコンテナが作られてしまう可能性があります。

しかし、Dockerイメージはリポジトリ内でバージョン管理できるようになっています。変更が加えられた場合は、どのイメージをもとに新しくイメージを作ったのかも管理できるようになっているのです。

加えてバージョン管理では、行なった変更のコメントを確認できます。コメントが付与されていますので、バージョン管理がより一層簡単になるメリットがあります。

デメリット:習得がやや難しい

まだ日本ではあまり普及していない概念ですので、習得に時間がかかる点がデメリットです。一般的に普及している仮想化の概念とは異なったものですので、コンテナについて基礎から学ばなければなりません。

単純にコンテナを利用するだけであれば、学習コストは高くありません。そのため基礎からの学習が必要でも、そこまで大きなデメリットにはならないでしょう。

しかし、仮想化されたシステムの設計など、複雑な利用をする場合は注意が必要です。今までと全く違った考え方で設計する必要があり、学習コストが高くついてしまいます。

Dockerの注目度合いと今後の需要

Dockerの概要やメリットとデメリットがわかったところで、気になるのは「今後の需要」でしょう。続いてはこちらについても解説していきます。

そもそも”コンテナ”が登場した理由

コンテナ型仮想化技術が登場した理由には「システムの開発や運用を楽にしたい」などがあります。これまでも仮想マシンなどの仮想化技術は公開されていましたが、それに代わる新しいものが求められたのです。

特に仮想マシンを利用するものは、物理マシンのリソースを無駄に消費してしまうとの問題がありました。リソース面でのオーバーヘッドが発生してしまいますので、思ったように性能を発揮でないケースがあったのです。開発や運用を楽にするための仮想化ですが、コンテナ型仮想化技術が生まれる前の仮想化では限界がきてしまいました。

そこでコンテナという新しい技術を利用し、省リソースで仮想化を実現する方法が生まれました。Dockerは2013年に公開されるなどまだ普及しきっているものではありませんが、今までの問題を解決するために生まれた技術なのです。

世界的にはDockerの需要が高まる

世界的にはDockerの需要が高まる傾向があります。上記で説明したとおり仮想マシンの実装には限界が来ていますので、新しい仮想化技術が注目されているのです。

また、最近は日本のみならず世界的にクラウドサービスの使用が主流になっています。このクラウドサービスも仮想化技術の集合であり、ここにもDockerなどのコンテナ型仮想化技術が利用されていると考えられます。

後述しますが日本での需要は、まだまだ高いものではありません。現在は世界的に見て、コンテナ型仮想技術やそれを実現するためのDockerの需要が高まっている状態です。

Dockerの将来性


Dockerの将来性や日本におけるDockerを扱うエンジニアの将来性についても考察します。

日本ではこれから発展が期待される

コンテナによる仮想化は、これからさらなる普及が期待されます。日本では仮想マシンによる仮想化が広く普及していますので、これに取って代わるには時間を要すると考えられるのです。

特に日本企業では「実績があるものを利用する」との傾向があります。そのため、比較的新しい技術であるコンテナはまだ受け入れられていないのが現状です。「積極的にコンテナを利用した仮想化に切り替える」との状況にはなっていません。

もちろん、仮想マシンとは考えが大きく異なるため、すぐに切り替えられない側面はあります。ただ、それを踏まえても日本の企業では「古くからある安定した技術を使いたい」との観点から、コンテナの利用は限られているのです。

しかし、現在の技術進化スピードを踏まえると、日本でもコンテナ型仮想化技術が発展すると予想されます。それに伴い、デファクトスタンダードであるDockerも一気に普及すると考えられる状況です。

専門性の高い分野として求められる

現在普及している仮想化技術とは異なりますので、専門のエンジニアが求められる可能性はあります。現在でもインフラエンジニアの中に「仮想化」を専門としている人がいますが、ここからさらに細分化される可能性があります。

コンテナ型仮想化技術を扱うにあたり、エンジニアにどのようなスキルが求められるかは未知数な部分があります。例えば現在はDockerが主流ですが、同じぐらい有名な別ソフトウェアが公開される可能性もあります。このような状況になると、エンジニアはDockerと新しいソフトウェアの両方のスキルが必要です。

また、別の観点ではコンテナ型仮想化技術が大きく進化する可能性があります。今までとは異なったスキルが求められる可能性もあるのです。

どのようなスキルが求められるかは不透明ですが、仮想化は専門的な分野です。そのため、Dockerなどを扱うエンジニアは専門性の高い人材として必要とされるでしょう。

まとめ

Dockerはコンテナ型仮想化技術を利用した、仮想環境を構築するためのソフトウェアです。コンテナに対応したソフトウェアは他にも存在しますが、Dockerがデファクトスタンダードとなっている状態です。

コンテナ型仮想化技術は、今までの仮想化技術と大きく異なった考え方です。ひとつのOSやカーネルを共有するもので、現在主流である仮想マシンとは大きく異なります。

コンテナとそれ以外にはそれぞれメリットとデメリットがありますので、一概にコンテナの利用が良いとは言い切れません。コンテナはこれから需要が伸びる技術だと考えられますので、それぞれの特徴を理解し選択できるようにしていきましょう。

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