DPUとは?概要とCPU・GPUとの違いについて解説!

DPUとは?概要とCPU・GPUとの違いについて解説!

データセンターで利用されるハードウェアとしてDPUと呼ばれるものが開発されました。今まではCPUとGPUが使われていましたが、時代の変化と共に新しいハードウェアが生み出されているのです。

新しいハードウェアということもあり、現時点では深く知られていないと考えられます。今回は、DPUの概要からCPUやGPUとの違い、導入時のメリットや注意点について解説します。

DPUの概要とCPU・GPUとの違い

最初に、DPUの概要と似たキーワードであるCPUやGPUとの違いについて解説します。

DPUの概要

DPU(Data Processing Unit)は、近年のコンピューティング・アーキテクチャの中で新たに登場した特化型のプロセッサーです。これは、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)と同様に、データ処理に特化したチップとして設計されています。ただ、DPUの場合、特にネットワーキング、ストレージ、セキュリティといったデータセンターの機能に焦点を当てています。

CPUが一般的な計算処理を担当し、GPUが並列計算を高速化する一方で、DPUはデータ中心のタスクを最適化して効率を上げることが可能です。結果、CPUやGPUの負荷を軽減することに繋げられます。例えば、DPUはネットワークパケットのルーティング、ストレージへのデータ転送、暗号化や圧縮などの機能をハードウェアレベルで処理できるからです。

一般的に、DPUを導入することでクラウドインフラストラクチャの効率性とパフォーマンスが向上します。つまり、CPUなどの計算リソースをより重要な作業に集約させることが可能です。さらに、DPUはエッジコンピューティング環境でも利用されるため、データの処理と解析をエッジデバイスで効率的におこなえるようにしてくれます。

DPUは現代のデータセンターのニーズに合わせて開発されていることも理解が必要です。大規模なクラウドサービスやAI、ビッグデータの処理において重要な役割を果たしています。

DPUとCPUの違い

DPUとCPUは、その設計と役割において基本的な違いがあるハードウェアです。

まず、CPUは、コンピューターの「頭脳」として機能し、多くの一般的な計算と命令の実行を担当します。例えば「データ操作」「論理演算」「デバイス間の通信管理」「プログラムの制御」など、基本的なコンピュータのタスクを実行するのです。CPUは設計により、多くの異なるタスクを同時に扱う性能を有していますが、それぞれのタスクが非常に高速に処理できることを保証したものではありません。

一方、DPUは、特定のデータ中心のタスクを最適化して処理することに特化しています。これには、ネットワーキング、ストレージ、セキュリティといった関連する処理も含まれていることに注意しましょう。DPUは、このような特定のタスクを高速に処理するように設計されているため、CPUがこれらの処理を担う必要がなくなります。

DPUは特定のタスクを非常に高速に処理できることで、全体のシステムパフォーマンスが向上します。それに対して、CPUは汎用性と柔軟性で、さまざまな種類のタスクを扱う能力があるのです。

DPUとGPUの違い

DPUとGPUは、特定のタスクの処理に特化したハードウェアで、異なる役割と目的を持っています。

まず、GPUは、元々は3Dコンピューターグラフィックスを高速に描画するために設計されました。しかし、その並列処理能力は、ビッグデータ処理やAIの学習など、大量のデータを同時に処理する必要がある場面で有用であることが判明しています。これは、GPUが同じ操作を大量のデータに対して同時に適用できるように設計されているからです。この並列処理は、映像処理だけでなく、科学計算やディープラーニングなど、複雑な計算を必要とする作業においても活用できます。

一方、DPUはネットワーキング、ストレージ、セキュリティといったデータセンターの機能に特化したハードウェアです。具体的には「ネットワークトラフィックの管理」「ストレージへのデータ転送」「データの暗号化や圧縮」などをハードウェアレベルで処理するために設計されています。これにより、DPUはこれらを高速に実行でき、他のリソースをより重要な処理に集約することが可能です。

つまり、GPUは並列データ処理と計算に特化し、DPUはデータセンターの機能を最適化するために設計されています。それぞれが特化している領域は異なりますが、一緒に動作することでデータセンターやコンピューティングシステム全体のパフォーマンスと効率性を向上させるのです。

なぜDPUが必要とされるのか

近年のデータセンターやクラウドインフラストラクチャの進化は、データと処理能力の両方の面で爆発的な増加をもたらしています。この急激な増加は、高いパフォーマンスと効率を必要とする一方で、その実現には膨大なリソースが必要です。既存のCPUやGPUだけでは十分に処理できないレベルの処理も増えてきています。

そのような状況において、DPUの重要性が明確になってくるのです。DPUは特定のタスクに特化して設計されたハードウェアであるため、このような負荷のかかる処理でも高速かつ効率的に実行できます。つまり、全体的なシステムパフォーマンスの向上を実現してくれるのです。

さらに、昨今のデータセンターは、常に増大するセキュリティの脅威に対抗しなければなりません。DPUは、これらのセキュリティ要件を満たすための機能をハードウェアレベルで提供可能です。これにより、システム全体のセキュリティを強化し、データとインフラストラクチャを保護できます。

まとめると、DPUは「パフォーマンスの向上」「システムの効率性の向上」「セキュリティの強化」など、現代のデータセンターとクラウドインフラストラクチャが直面する課題に対処するために必要とされているのです。

DPUを採用する4つのメリット


DPUをアーキテクチャに採用すると、どのようなメリットがあるのか順に解説します。

性能向上

DPUはネットワーキング、ストレージ、セキュリティといったデータセンターのタスクに特化しています。これらは、一般的にCPUによって処理されますが、CPUは多目的の汎用プロセッサです。そのため、最適に処理するには限界があります。

一方、DPUはこれらの特定のタスクを効率的に処理するために特化した設計されたハードウェアです。そのため、これらの処理パフォーマンスを大幅に向上させられます。例えば、ネットワークパケットのルーティングやデータの暗号化/復号化などは、DPUによってより高速化できるのです。

CPUとGPUの負担軽減

DPUがデータセンターの特定の処理に注力することで、CPUとGPUの負担が軽減されます。つまり、CPUとGPUは、より複雑で要求の高い計算処理に集中できるのです。これにより、上記で触れたようなシステム全体のパフォーマンス向上を実現できます。例えば、AIの学習や大規模なデータセットの分析などのタスクは、CPUやGPUが集中して処理することが可能です。

繰り返しですがDPUはこれらのハードウェアと設計指向が異なっています。その違いが、負担の軽減に繋がっているのです。

システムの効率化

データセンターで処理される特定のタスクがハードウェアレベルで処理されるため、システム全体の効率性が向上します。ネットワークやストレージへのアクセスが高速化され、大量のデータの暗号化や圧縮も迅速に処理できるようになるでしょう。

このような環境を構築できれば、必要最低限の環境でシステムを運用できるようになります。つまり、システムの効率化を実現可能なのです。

また、システムを効率化できれば、データセンターに配置するリソースなども最小限に抑えられたり効率よく活用できたりします。これは、データセンターの運用コストを抑えることにも繋がり、全体のパフォーマンス向上などを実現してくれるのです。

セキュリティ強化

DPUはネットワークパケットの暗号化やセキュリティポリシーの適用などのタスクを効率的に処理することが可能です。そのため、データセンターのセキュリティを強化するために重要な役割を果たすでしょう。データの暗号化やプライバシーの保護などが強化できます。

現在のデータセンターは、攻撃者からデータを保護することを非常に重視しなければなりません。もし、データの盗難や破壊が発生してしまうと、ユーザからの信頼を一気に失ってしまいます。このようなリスクを最小限に抑えるために、アプリケーションだけではなく、ハードウェアでもセキュリティ強化を実現するのです。

DPUはこれらセキュリティに関する処理を、ハードウェアレベルで効率的に実現します。これにより、データの機密性、完全性、可用性が担保され、データセンターの運営者はセキュリティ要件を満たすことが可能となるのです。

DPUの導入で考慮すべき4つのポイント


これからデータセンターにDPUを導入するならば、以下のポイントを考慮することが重要です。それぞれ、正しく理解しておきましょう。

コスト

採用するにあたって、導入などの初期投資や、維持・更新とコストがかかります。本体の価格は、一部の高性能なものではかなり高価になりかねません。また、既存のインフラストラクチャにDPUを組み込むためには専門的な技術と時間が必要となり、そのためのトレーニングやコンサルティングサービスにもコストがかかることがあります。

さらに、DPUの導入後も、定期的なメンテナンスやソフトウェアのアップデートが必要です。そのため、これら維持管理のコストも見積もることが求められます。つまり、DPUの導入が予算内であり、それがデータセンターなどのサービスに見合うかどうかの評価が非常に重要です。コストパフォーマンスが悪いならば、DPUを採用すべきではない可能性もあります。

互換性

DPUを既存のシステムに組み込む際には、ハードウェアとソフトウェアの両方との互換性を考慮する必要があります。状況によって変化しますが、DPUは特定のハードウェアやOSと互換性がないかもしれません。もし、互換性がないならば、DPUの導入に伴って多くのハードウェアを交換することになりかねないのです。

そのため、DPUを導入するにあたっては、それが既存のシステムと問題なく統合できることを確認しなければなりません。また、必要な場合にはシステムを適切にアップグレードできるかどうか確認することも求められます。

パフォーマンスと評価

基本的にDPUの主な目的は、システムのパフォーマンスを改善することだと考えられます。ただ、DPUが実際にその目標を達成できるかどうかは、導入前に評価しなければなりません。ベンチマークテストやパイロットプロジェクトを実施することで、期待通りのパフォーマンスを発揮するかを確認できます。

繰り返し説明しているとおり、DPUを採用することでデータセンター全体のパフォーマンス向上を期待可能です。ただ、必ずしもこれが実現可能とは限らず、DPUを採用してもパフォーマンスが向上しない可能性もあります。もし、そのような事態が発生してしまうとコストが無駄になりかねないため、事前の評価が非常に重要です。

セキュリティ

DPUはデータセンターのセキュリティを強化する能力を持っていますが、その能力を最大限に活用するためには適切な設定と管理が必要です。DPUには暗号化、アクセス制御、セキュリティポリシーの適用などの機能がありますが、これらを適切に設定・管理することが求められます。

また、セキュリティに関する設定などは定期的な更新が必要です。例えば、DPUのセキュリティ機能をバージョンアップして、詳細な設定を施さなければなりません。導入すれば自動的にセキュリティが高まるものではなく、運用するための専門知識が必要とされるのです。

まとめ

データセンターなどで活用される、新しいハードウェアのDPUについて解説しました。今まではCPUやGPUが活用されていましたが、DPUが開発されたことでハードウェアの世界は大きく変化しています。使い分けが求められるようになりましたが、それぞれが役割を最大限、発揮できるようになったのです。

なお、DPUは性能によっては非常に高額であり、導入にあたってはさまざまなコストが生じてしまいます。そのため、導入を考えている場合には費用対効果を評価しなければなりません。また、すでに導入している機器との互換性についても評価することが重要です。

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admin