フリーランスは老後資金が心配?今から始めたい老後資金の作り方を解説!

フリーランスは老後資金が心配?今から始めたい老後資金の作り方を解説!

フリーランスとして働いていると心配になるのは「老後問題なく生活していけるか」です。フリーランスは収入が安定しにくい働き方ですので、心配に思っている人が大勢います。

そこで考えておかなければならないのは「老後の資金をどのように貯めるか」です。先のことを考えておかなければ、資金面で後悔する可能性があります。以下ではフリーランスの老後資金について考えましょう。

フリーランスは老後資金の準備が重要

言われるまでもないかもしれませんが、フリーランスは老後資金の準備が重要です。まずはその重要性を改めて確認してゆきましょう。

フリーランスに迫る老後資金問題

老後資金問題はフリーランスにも迫っています。最近は「老後資金2,000万円問題」と呼ばれるものが注目されていて、これがフリーランスにも影響するのです。

この問題を簡単に説明すると、現在の公的年金の状況では老後の資金が2,000万円不足してしまうというものです。公的年金だけで資金が賄えると良いのですが、現在の状況を鑑みるとそうはいきません。なお、他の試算には年金受給額の減少や物価の上昇などの予測が加味されています。

この2,000万円という数字は政府から発表されたものですので、私たちは重く受け止めなければなりません。年金受給額の上昇は現実的ではありませんので、不足分は自分で補うしかありません。フリーランスはまずこの事実を理解しましょう。

フリーランスに圧し掛かる資金問題

老後資金問題は、会社員と比べ、フリーランスにとっては更に大きな問題となるかもしれません。それは、会社員などと比較すると、年金受給額が少額になる可能性があるからです。加入している年金の種類が違うことで、会社員よりも受給額が少なくなる可能性があるのです。

例えば会社員だったら、会社が独自に提供する年金制度が用意されている場合があります。会社が天引きしたお金を運用し、それを年金として返してくれるのです。元手は自分のお金に違いがありませんが「老後に受給できる年金金額」との観点では上乗せされます。

問題は他にもあり、上記で説明した政府の試算では、年金受給額が現実よりも高く計算されていると言われています。つまり、実際には政府が試算した金額よりも多くのお金が必要となる可能性が高いのです。フリーランスで期待できる年金受給額を踏まえると、より多くのお金を用意しなければならないと考えられます。

老後に必要な資金の試算

老後にどの程度のお金が必要となるのか、実際の数字で計算をしましょう。

総務省統計局の情報によると、高齢夫婦でそれぞれが無職の場合、1ヶ月の平均支出は約27万円です。それに対して国民年金だけを受給すると仮定した場合、収入は夫婦で1ヶ月で約13万円しかありません。つまり、1ヶ月あたりの収支は約14万円の赤字になるのです。年換算すると約168万円の赤字です。

実際には国民年金以外を受け取る人も多くいます。フリーランスになる前に会社員をしていた場合は、会社で加入していた年金が出る場合もあります。そのため、収入は13万円を超える可能性は十分にあります。

ただ、もしそのような準備がなければ、毎月の赤字を貯金で補う必要があります。日本の平均寿命は84歳ですので、65歳から年金での生活に切り替えると19年間で約3,192万円の赤字になるのです。現状を踏まえると、フリーランスはこれだけの貯金を老後資金として用意しなければなりません。

フリーランスが老後資金を貯める方法


フリーランスが老後資金としてどの程度貯めておきたいのか理解してもらえたでしょう。続いては老後資金を貯めるために、具体的に取れる方法について解説します。

国民年金基金

国民年金基金とは、1991年に成立したフリーランスなどが利用できる制度です。会社員や公務員の厚生年金にあたりいわゆる「年金の2階建て部分」に該当します。

毎月の掛け金は自分で選択が可能であり、上限金額は7万円ほどです。将来的にどの程度の年金を受け取りたいかによって、毎月の掛金を変更します。必要となる掛け金は国民年金基金の公式サイトで算出できますので、自分に合ったプランは簡単に確認が可能です。

掛金を選択できるだけではなく、終身年金であるという特徴があります。受取期間が定められていませんので、加入しておけば死ぬまで年金の受け取りが可能です。途中で追加加入もできますので、フリーランスとしての営業状態を踏まえ、掛け金の増減ができます。

なお、自分や扶養家族の国民年金基金を支払いした場合、これらの掛金は社会保険料控除の対象となります。社会保険料控除は全額が対象ですので、支払いをした金額は全て所得から差し引かれます。つまり、国民年金基金を利用すれば、毎年の所得税や住民税の課税対象額を下げられます。結果、税金が下がったり健康保険の費用が下がったりします。

付加年金

付加年金とはフリーランスなどが利用できる公的年金です。毎月支払わなければならない基本的な年金に加え、毎月400円を支払うと将来の年金が上乗せされる制度です。

付加年金で上乗せされる年金金額は固定されていて「200円×支払い月数」が毎年の年金に加算されます。例えば35歳でフリーランスになり60歳までの300ヶ月間の支払いをした場合、年間6万円が年金金額に加算されます。付加年金の支払総額は12万円ですので、2年間で支払いした金額が必ず返ってきます。

ただ、注意しなければならない点として、上記の国民年金基金との併用はできません。どちらかしか加入できませんので、それぞれの特徴を踏まえて加入を決定しなければなりません。

上記でも説明したとおり、国民年金基金は自分で加入金額を選択できます。将来の受取金額も自分で選択できるものです。

それに対して付加年金は、支払金額は少ないものの、その額は固定されています。また、受取についても金額が固定されています。つまり「多く支払っておいて将来多くのお金をもらいたい」という運用はできません。必要とする老後資金を踏まえ、どちらが良いのが考えましょう。

小規模企業共済

小規模企業共済はフリーランス向けの退職金のような制度です。会社員や公務員の場合は退職金がありますが、フリーランスの場合は退職金をもらえません。それを自分で用意する制度なのです。

毎月の掛け金は自分で選択が可能です。1,000円から500円単位で積立が可能であり、上限金額は8万円です。積立金額が多ければ多いほど受け取れる金額も多くなりますので、老後資金として積み立てておきたい金額を算出して掛金を選択すると良いでしょう。

なお、小規模企業共済は、基本的に退職金としてお金を受け取れます。税制上も退職金のような扱いとなり、小規模企業共済の受取時は退職金控除の対象となります。つまり、通常よりも少ない税金で受け取れるのです。

また、小規模企業共済は年金のように受け取ることも可能です。まとめて受け取りをするのではなく、毎月少しずつ受け取るのです。この制度で受け取りをした場合は、退職金控除ではなく公的年金控除が適用されます。どちらで受け取りをした場合も税制面で優遇される仕組みとなっているのです。

さらに、小規模企業共済は上記でご説明した国民年金基金と併用が可能です。両方をうまく利用すれば、フリーランスでも効率よく老後資金を準備できます。

iDeCo

iDeCoは個人型確定拠出年金です。確定拠出年金は対応している企業も多く、その名前を聞いたことがある人もいるでしょう。

仕組みとしては掛け金を自分自身で支払い、金融商品を運用してもらうものです。運用結果を60歳以降に年金として受け取ります。様々な金融機関がiDeCoを取り扱いしていて、毎月の積立金額や運用してもらう金融商品などを自分で選択可能です。商品によってリスクや期待される運用益が異なりますので、リスクとリターンのバランスを踏まえながら商品を選択できます。

毎月の掛け金は5,000円から68,000円までの1,000円単位です。上限金額は定められていますので、これ以上のお金は運用できません。ただ、この上限金額は会社員よりも多く設定されています。フリーランスは老後資金に備える必要がありますので、会社員よりも多くのお金を蓄えられるように制度が作られているのです。

また、受け取り方法も退職金としてまとめて受け取りをするか、年金として毎月受け取りをするかが選べます。老後資金をどのように考えているかによって、好きな方法を選択可能です。

さらに、iDeCoには独自の税制があり特徴をまとめると以下のとおりです。

  • 掛金は全額が所得から控除される
  • 金融商品であるが運用益は非課税である
  • 受取金額は退職金控除か公的年金控除の対象となる

一般的に投資信託のような金融商品では、運用益に約20%の税金がかかってしまいます。しかし、iDeCoではこの税金が発生せず、税制面で大きく優遇されています。

個人年金

個人年金は生命保険会社などが提供している保険の一種です。自分で年金としてお金を支払い、保険会社に運用をしてもらいます。仕組みとしては上記でご説明したiDeCoと同じようなものです。金融機関が投資信託などを利用して同じ制度を設けている場合がありますが、ここでは生命保険料控除の対象となる生命保険会社の個人年金を指しています。

個人年金に加入するためには、加入する先の生命保険会社を探さなければなりません。個人年金は全ての生命保険会社が扱っているわけではありませんので、対象となる生命保険会社を探しましょう。生命保険会社には「医療費などを補う保険を提供しているタイプ」と「個人年金など老後資金を補う保険を提供しているタイプ」があります。インターネットなどを利用して探してみると良いでしょう。

どのような保険が提供されているのかは、保険会社によって大きく異なります。上記のように上限金額の定めなどもありませんので、毎月10万円を超える掛け金を設定できる保険も用意されています。また、受け取りも退職金のように一括でもらうものもあれば、年金のように毎月受け取りができるものもあります。また、保険に分類されるということもあり、死亡時には受取人が一時金を受け取れるものもあります。

iDeCoなどと異なるのは、税制の優遇が生命保険料控除しかない点です。生命保険料控除には上限金額がありますので、個人年金に加入したからといって必ずしも税金が下がるわけではありません。上限金額以上の支払いをしても、それは控除の対象とならないのです。

税金の控除対象とはなりませんが、自分の好きなだけ老後資金として積み立てできます。定期預金のような感覚で始めておくのも良いでしょう。

まとめ

老後資金の問題はフリーランスにも大きく影響します。会社員の場合は老後2,000万円問題と言われていますが、フリーランスの場合は3,000万円程度必要だと考えられます。いきなり用意できるお金ではありませんので、老後を見据えて少しずつ蓄えておかなければなりません。

蓄える方法には様々なものがあります。国民年金基金や付加年金のように、年金の受け取り金額を増加させる方法があります。その他にも小規模企業共済のように、年金とは別に蓄える方法もあります。

また、税制面で優遇されている方法もあれば、税制面ではあまり優遇されないものの上限金額が設定されていない方法もあります。非常に多くの選択肢が用意されているのです。フリーランスとしての経済状況を踏まえ、無理のない方法を選択できる状況となっています。

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