GitとGitHub、GitLab|概要・それぞれの違いについて解説!

GitとGitHub、GitLab|概要・それぞれの違いについて解説!

世の中にはGit・GitHub・GitLabと、似たような3種類のサービスがあります。同じような名前ですので「同じサービスの呼び方が違うだけ」と考えている人もいるようです。

しかし、これらはそれぞれ独立したサービスの名称です。簡単に説明するとGitHubやGitLabはGitのサービスを利用して提供されている個別のサービスです。今回はそれぞれがどのようなサービスであるか、順番にご説明していきます。

そもそもGitとはどのようなサービスか

最初にGitの概要について理解しておきましょう。どのようなサービスであるのかを知らなければ、GitHubやGitLabの理解はできません。

Gitのサービス概要

Gitは分散型バージョン管理を実現するシステムの総称です。Gitと呼ばれるサービスがあると思われがちですが、Gitという仕組みがあると考えてもらった方が良いでしょう。

分散型バージョン管理と言われてもイメージしにくいでしょう。これは簡単に説明すると、ファイルのバージョン管理を簡単に実現するものです。システム開発などではファイルを細かく何度も変更しますので、それらをバージョン管理して「最新のものはどれか」「以前はどのような中身だったか」などの情報を管理できるようにしています。

バージョン管理システムを利用しなければ、基本的にファイルのバージョンは管理できません。WordファイルやExcelファイルを上書き保存してしまうと、以前の情報はなくなってしまうのです。変更履歴をつける方法はありますが、わざわざ自分で設定しなければなりません。

しかし、Gitを利用していれば、情報がなくなってしまう心配がありません。自分で変更履歴をつけなくとも、Gitを利用しているだけで変更履歴が付きます。

プログラマーなどソースコードを扱うエンジニアは、過去のソースコードを見返す場面が多々あります。そのような時に以前の情報がなくなっていては、業務に支障が出てしまいます。しかし、Gitという分散型バージョン管理システムを利用すれば、このような心配はなく効率よくバージョン管理ができます。

Gitを利用するメリット

Gitには色々なメリットがあります。その中でも知っておいてもらいたいものは以下のとおりです。

  • 過去バージョンの情報をすぐに確認できる
  • 変更箇所が把握できる
  • 過去版や変更履歴を共有できる
  • 修正内容をまとめてひとつにできる

まずGitを利用すると、過去バージョンの情報をすぐに確認できます。エンジニアが開発をしていると「過去にどのような情報が記載されていたか」「過去にどのような変更が発生したか」を確認しなければならない場面が多々あります。これを実現するためにGitは大きく役立ちます。

また、これら過去版や変更履歴を簡単に共有が可能です。例えば、開発している本人だけではなく、同じプロジェクトにいるメンバーなどにも共有できるのです。Gitさえ利用していれば、メンバー間で変更履歴を共有する手間がなくなります。

最後にGitは複数人の変更をひとまとめにできる機能があります。何人かが並行してプログラムの編集を行い、最終的に一つにまとめられるのです。テキストファイルなどを利用していては、このようにまとめる作業は非常に手間がかかってしまいます。しかし、Gitならばこの手間のかかる作業を簡単に済ませられるのです。

GitHubやGitLabとはなにか

上記でGitの概要についてご説明しました。概ねどのようなものかは理解してもらえたでしょう。続いてはGitHubやGitLabがどのようなサービスであるのか解説をします。

GitHubの概要

GitHubは世界で最も利用されているGitのサービスです。ダントツで多くのユーザー数を誇っていて、GitのサービスといえばGitHubと考える人が多いぐらいです。日本では特にGitHubが幅広く利用されていますので、Gitのサービス選択で困ったならばGitHubを選択しておくと安心です。

実際、日本で公開されている開発サービスはGitHubに対応しているものが多々あります。GitHubと連携してソースコードが世の中に公開できるようなものがあり、日本にGitHubが根付いていると印象付けられます。また、GitHubの利用法や活用法を解説する書籍や雑誌も多数発行されています。

機能面ではGitに必要な機能が無料で一通り揃っています。加えて現在はMicrosoft社の傘下で提供されているサービスということもあり、Azure DevOpsの傾向を汲んだ機能開発が進められています。これらはGitHub Actionsと呼ばれていて、GitHubを利用する魅力のひとつだと言えます。

他にもGitHubでは「多く利用されているプログラミング言語」「人気のOSS」などのレポートを公開しています。これはGitHubの利用者数が多いからこそ発表でき、信頼できるものとなっています。日本のみならず世界の動向が把握できますので、GitHubを利用して開発をしている人以外でも注目したい情報です。

GitLabの概要

GitLabはGitLab社が公開しているGitサービスです。無料で利用できるCEと有料で利用するEEがあり、どちらを利用するかで機能が異なります。ただ、基本的には無料で公開されているOSSであると考えて良いでしょう。

GitHubの後発として開発されたサービスですので、GitLabの基本的な機能はGitHubに似ています。GitHubにある多くの機能はGitLabにもあると考えて良いぐらいです。どちらもGitの機能として求められるものは揃っています。

ただ、GitLabはGitHubとは異なるサービスですので、独自路線でも機能を開発しています。例えばGitLabでは「グループ・プライベートリポジトリを作れる」などの特徴があります。むしろここが魅力的であると考えられています。

GitHubに似た後発のサービスということもあり、「速度面」「ユーザー数」などGitLabにはまだ見劣りしてしまう部分があります。ただ、徐々にユーザー数を増やしているGitサービスですので、これからの機能追加などに期待したい状況となっています。

GitHubとGitLabの5つの違い


GitHubとGitLabは似たものですが異なっている部分もあります。以下ではこれらの違いについて解説します。

ライセンス

GitHubはMicrosoft社の製品ですので商用のライセンスが適用されています。それに対してGitLabはオープンソースソフトウェアとして開発されていますので、OSSライセンスで提供されています。提供されているライセンスの仕組みには違いがあります。

ただ、ライセンスの違いはありますが、基本的にどちらも無料で利用できます。Microsoft社は無料で利用できるフリープランの機能拡充に力を入れましたので、実質的には無料で十分な機能を得られます。有料のチームプランやエンタープライズプランもありますが、個人や少人数で利用するには無料で何ら問題はありません。

GitLabはオープンソースソフトウェアですので、言うまでもなく基本的には無料です。オンプレミスで構築をすれば、無料で自分のサーバー内にGitを構築できます。

なお、GitLabにはEnterprise Editionと呼ばれる有料プランが用意されています。基本は無料ですが、有料プランを利用すると機能が増えたり様々なサポートを受けられたりします。

一般的にライセンスの仕組みが違うと、発生する費用も違います。しかし、GitHubとGitLabに関しては、ライセンスは違うものの費用に大きな違いはありません。

機能

機能面で比較すると、GitLabがやや勝っている状況です。GitLabはGitHubの機能を踏襲して開発されていますので、基本的な機能に違いはありません。ただ、細かく違いを比較してみると少々GitLabのほうが高機能です。

具体的に注目しておきたいのはDockerとの連携など、他のツールとの連携が充実している点です。Gitは単体でソースコードなどを管理するケースもあれば、外部ツールを利用してビルドを駆使しながら利用する場合もあります。様々な使い方がありますので、利用の選択肢が多い点は魅力的です。

なお、GitHubもGitLabもそれぞれ独自の機能を開発をしています。Gitである以上は基本的に同じ仕組みを持っていますが、微妙な差がありますので比較しながらどちらを使うか決定しなければなりません。

UIデザイン

UIの印象は個人の主観に左右されますが、GitLabよりもGitHubが操作しやすい印象を受けます。

見た目の違いを「デザイン」との観点で評価すると、GitLabのほうがトレンドに沿っている印象を受けます。時代の先端とも言えるデザインが採用されていて、「カッコイイ」との印象を持つ人も多いでしょう。GitHubはGitLabと比較すると、無難なデザインとの印象を受けてしまいます。

ただ、見た目の違いを「UI」との観点で評価するとGitHubのほうが良い印象を受けます。操作に必要なメニューなどが綺麗にまとめられていて、視線が迷子になりません。GitLabはデザインを重視している印象があり、「どこを見れば良いのか」とやや視線が迷子になってしまいます。

ジョブの実行

GitHubもGitLabも機能としてジョブの実行機能を提供しています。事前にスクリプトの内容とジョブを定義しておけば、それに沿って自動的に処理を実行できるのです。これらの実行に関する制御や実行方法にやや違いがあります。

動作としては違いがありますが、機能面では似たものです。この機能を利用すれば、開発したプログラムのテストを自動化できるなどのメリットを生み出します。例えばソースコードは自分でビルドしてテストしなければなりませんが、ジョブを利用すれば一連の流れが自動化できます。ジョブを利用するためにはスクリプトを定義する必要はありますが、使い方によっては手間を大きく省けます。

スクリプトの実行については、利用者が独自に情報公開しているものが多数見られます。それらの情報を参考に、自分なりに異なった使い方を見つけるようにします。

安定性

GitHubとGitLabを安定性で比較すると違いを感じられます。特にクラウドサービスという観点で両者を比較すると、GitHubのほうが安定して動作しています。

もちろん、GitLabで大規模な障害が頻発しているわけではありません。障害が発生していても数十分程度ですので、気づかないうちに障害が解消されている場合は多々あります。ただ、業務時間中にこのような障害が発生してしまうと、業務に影響が出てしまう可能性があります。

システムですので障害の発生を完全なゼロにするのは難しいでしょう。何かしらの理由で止まってしまう可能性はあります。ただ、それを踏まえてもGitLabはGitHubよりもやや発生が目立ってしまう状況です。

なお、GitLabはこの状況を把握していますので、安定性向上のための施策を取っています。現時点ではやや気になりますが、今後は安定稼働し気にならなくなるでしょう。

まとめ

Gitはバージョン管理をするにあたり必須のツールです。プログラム開発などエンジニアはバージョン管理が様々な場所で求められますので、使いこなせるようにしておきましょう。

なお、Gitはサービスの総称で、実際にはGitHubやGitLabなどのサービスが利用されます。どちらも基本的な機能は同じですが、細かな部分では違いがあります。それぞれの違いを理解して、必要な方を利用するようにしましょう。

なお、日本では幅広い会社やプロジェクトでGitHubが利用されています。「違いを比較してもよく分からない」という人はひとまずこちらを選択しておくと良いでしょう。


登録フォームボタン
登録フォームボタン

SHAREこの記事をシェアする

admin