IoTとは?需要と将来性を解説

IoTとは?需要と将来性を解説

ここ数年でIoTと呼ばれる技術が積極的に活用されるようになりました。テレビコマーシャルや家電量販店など多くの人の目につく場所でIoTという言葉が使われ、私たちに身近なものとなってきたのです。皆さんもIoTを耳にしたことがあるでしょう。

ただ、IoTは様々な場面で利用されているため「実際にIoTがどういう意味か理解できていない」という人もいるかもしれません。今回はIoTとは何かからIoTに必要な要素、実現できることや需要と将来性まで幅広く解説します。

IoT(Internet of Things)とは

IoT(Internet of Things)とは何かについてまずは解説します。

IoTの概要

IoTとは、Internet of Thingsの略語で「モノのインターネット」とも呼ばれます。インターネットを介して相互に通信し、データを共有する機器やセンサーなどのデバイスのネットワークを指す言葉です。人工知能、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの技術の発展により、ますます普及してきました。

IoTの大きな特徴は、機器やセンサーが常に接続されていることで、自動的にデータを取得し、処理し、分析できることです。例えば、IoTにより、自動的に照明や温度などの家庭の設備を制御し、省エネを促進する仕組みを実装できます。また、自動車に搭載されたIoT技術では自動運転などがおこなわれているのです。

ただ、IoTにはデバイス間の相互運用性の問題やセキュリティの問題、プライバシーの問題などいくつもの問題があります。普及してきた技術であるからこそ、より適切な利用が求められています。

IoTの市場規模

2020年の国内IoT市場規模は6兆3,125億円で、2025年には約10兆1,902億円になるとの見通しが公表されています。世界市場規模は7,000〜8,000億ドル程度で、今後も10%台の高い成長率を維持するとの予想です。

このように市場規模が急激に拡大している背景には、医療や産業などの分野で利用される機会が増えたからだと考えられます。当初のIoTは生活の利便性を向上するものが中心でしたが、今ではそれ以上のサービスを提供できるものが増えてきました。用途の広がりが市場規模の拡大につながっているのです。

IoTに必要な3つの要素

IoTには必要な要素が3つあると考えられています。どのような要素から構成されているのか理解しておきましょう。

デバイス

IoTでは情報を収集するためのデバイスが必要です。センサーなどのデバイスが情報を収集して、それをインターネット経由で共有しなければなりません。デバイスから情報を収集できなければIoTは始まらないのです。

デバイスはIoTの中核となる要素であるため、デバイスには様々な種類が用意されています。例えば、一般家庭では照明やエアコンなどの電化製品にセンサーが取り付けられデバイスとして利用されている状況です。また、街中では信号機や街灯などにセンサーなどが取り付けられ、様々な情報が活用されるようになっています。

また、近年はデバイスの小型化や省電力化が進んでいるため、非常に多くのデバイスが生み出されています。今までインターネットに接続されていなかったものが接続できるようになり、これからもさらに多くのデバイスが接続されるでしょう。

クラウド

デバイスから提供されたデータを収集するためにクラウドが必要不可欠です。厳密にはクラウドではなくとも情報の収集ができれば差し支えありませんが、利便性の高さから今ではクラウドが活用されています。

クラウドは臨機応変な構築や活用ができるため、IoTデバイスから送信された大量のデータでもリアルタイムに処理ができます。また、大量のデータを一定期間蓄積するための環境を構築できるため、その場でデータを活用するだけではなく、ビッグデータとして予測や分析に活用することも可能です。

加えて、近年のクラウドサービスはセキュリティに力が入っているため、簡単にセキュアな環境が手に入ります。個人情報の保護など近年は意識すべきことが多数あるため、それらを解決しやすいという点でもクラウドが活用されているのです。

アプリケーション

デバイスから提供されたデータを適切に処理するためにはアプリケーションが必要です。クラウドサービスやスマートフォン、デバイスにアプリケーションが搭載されていることでスムーズに情報が活用できます。このようなIoT専用のアプリケーションも重要な要素です。

例えば、アプリケーションではデータを分析する機能を実装できます。万歩計から歩数を連携してもらうことで、健康状態を把握するなどの仕組みを実現可能です。また、情報を分析するだけではなくアプリケーション上でグラフなどにして表示することもできるでしょう。

また、スマートフォンから家庭製品を操作するために、「リモコン」のような機能を持つアプリケーションもあります。デバイスだけではなくアプリケーションも組み合わせることでIoTを実現できるのです。

IoTで実装できる4つの仕組み


続いてはIoTを活用することで、どのような機能を実装できるのかについても紹介します。

操作

IoTの活用によって様々なデバイスの操作が実現できます。直接的にデバイスを操作することはもちろん、操作しているデバイスからさらに別のデバイスを操作することも可能です。

例えば、自宅に設置する照明には「家電製品のリモコン機能」を有しているものがあります。照明をスマートフォンから操作することで、テレビやエアコンを操作できるようになるものです。これはデバイスからデバイスを操作する例だと考えましょう。

IoTには「モノ」の操作も含まれています。この点は見落としている人も多いため、デバイスやデバイス間の操作についても注目しておくべきです。

動きの検知

デバイスの活用することで動きの検知ができます。物理的に動いていることを検知したりセンサーを活用して検知したりするのです。

物理的なものとしては、衝撃を検知するものなどが挙げられます。窓ガラスなどにセンサーを設置しておくことで、窓ガラス周辺に不審な動きがないか検知できるのです。センサーとインターネットを接続することで、外出先からでも状況を把握できます。

また、センサーは暗闇でも動きを検知できるようなデバイスです。外出中にペットの状況を把握するようなものが販売されていて、物理的な衝撃がなくともセンサーで動きを検知しただけでスマートフォンアプリなどに通知してくれます。

動きの検知はIoTの中でもイメージされやすい部分です。実際にわかりやすい製品も多数提供されているため、まずはここから押さえておくとよいでしょう。

状態の把握

デバイス本体から情報を提供することで、状態が把握できるようになります。例えば、機械にセンサーを搭載しておくと、何かしら問題が起きた時に通知できるようになるのです。人間がこまめに故障していないか確認しなくとも、自動的に状態を通知できるような仕組みを実現できます。

自動的に状態が把握できるようになると、モノの故障を防いだりいち早く気づいたりできるようになるでしょう。トラブルをいち早くできるようになるなど、今までも行われていたことがより効率よく行われるようになるのです。

通信

IoTはインターネットに接続してデータを収集したり活用したりする仕組みです。そのためIoTのデバイスはインターネット通信を活用した機能も実現できます。

例えば、IoTデバイスの中には話しかけることで天気予報が聞けるものがあります。これはデバイスがインターネットに接続されていることで、最新の情報を収集できるからこそ実現できる機能です。他にもインターネット接続を活用した機能は多数開発されています。

デバイスが直接インターネットに接続されているということはIoTの大きなメリットです。特にインターネット検索やインターネットから情報を配信できることで、より多くの機能を実現できるようになっています。

IoTの活用事例


IoTの紹介として最後にどのような活用事例があるのか解説します。

ウェアラブルデバイス

ウェアラブルデバイスは腕時計や指輪など目につきやすいデバイスを活用して健康状態を把握するためのIoTです。心拍数や睡眠状況などの情報を収集して、その人の健康状態を可視化します。また、スマホアプリなどに情報を連携して、情報の推移などを把握することも可能です。

医療に関連するIoTは海外で急速に拡大しています。日本でもそれに追従する形で様々なデバイスが導入されるようになっていて、これからも積極的に導入されていくでしょう。スマートフォンなどとの組み合わせで身近に利用できるものです。

スマートロック

スマートロックはIoTのひとつとして急速に需要が拡大しています。新しく建てられるマンションにはスマートロックが導入されるケースが多く、今までの物理的な鍵と併用されるケースが多いのです。

デバイスの形状にはいくつもの種類がありますが、スマートフォンを利用するものが多くみられます。スマートフォンに専用のアプリケーションを導入しておいて、そこに鍵を登録することで鍵の開閉ができるのです。また、カードタイプのデバイスなどを活用するものもあります。

スマートロックは非常に便利なものではありますが、セキュリティに関するものであるため注意点もある状況です。これからさらなる進化が期待される部分であるため、注目しておきましょう。

IoTの需要と将来性

続いてはIoTの需要と将来性についてエンジニアとの関係もふまえながら解説していきます。

今後の需要

IoTの市場規模はここ数年で更に拡大すると考えられています。幅広い場所でIoTが活用され、今以上に身近な存在となるでしょう。現在も需要の高い分野ですが、これからはそれを超える需要があると考えられているのです。

また、そのような市場の拡大に応えるためには、エンジニアが活躍しなければなりません。つまりIoTに対応できるエンジニアの需要が高まるのです。デバイスの開発はもちろん、活用するためのクラウドやアプリケーションに関わるエンジニアが求められます。

現時点では2026年にかけて市場が拡大すると推測されています。そのため、エンジニアの需要はその手前の2024年頃に高まるでしょう。現時点ではIoTエンジニアではない人も、これからこの分野で活躍できるかもしれません

今後の将来性

IoTの需要は高まっている状況で、それに伴い今後の将来性は明るいと考えられます。IoTデバイスが広がればアプリケーションの開発が必要となり、アプリケーション開発のエンジニアは将来性が明るいでしょう。しかも、アプリケーション開発はWeb系やクラウドなど既存のスキルを活用できるものも多いため、もしIoTの需要が少なくなってもスキルをそのまま活かせます。

とはいえ、急速にIoTが広がっている状況であるため、まずはIoT専門のエンジニアとして活躍しても今後の将来性は明るいでしょうここ数年で仕事が減少する傾向は全くありません。習得した知識の大半はそのままいかせることを鑑みても、将来性の明るさに期待してIoTの分野で活躍を目指すことをおすすめできます。

まとめ

IoTとは何かについて解説しました。モノのインターネットとも呼ばれるキーワードで、IT業界の中心となる重要なワードです。市場規模は年々拡大していて、これからも更に拡大すると考えられます。デバイスを開発する企業もアプリケーションを開発するエンジニアも今以上に求められるようになるでしょう。

このような状況を鑑みるとIoTは需要が高く将来性の明るい分野です。デバイスを活用するためにはクラウドアプリケーションが必須となるため、これらを扱えるエンジニアの需要が高まります。デバイスの開発は専門家に任せ、エンジニアはそれをいかに使いこなせるかが重要視されるのです。

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admin