ITアーキテクトの仕事内容・単価は?必要なスキル、資格と合わせてチェック!

ITアーキテクトの仕事内容・単価は?必要なスキル、資格と合わせてチェック!

最近はITアーキテクトと呼ばれる仕事が注目されています。システム設計に必要な重要な役割であり、高いスキルが求められるものです。

耳にする機会が増えていますが、その業務内容はまだ詳しく理解されていないようです。そこで今回はITアーキテクトの概要を説明し、その単価やおすすめの資格まで幅広くご説明します。

ITアーキテクトの特徴と概要


最初にITアーキテクトの特徴とその概要を理解していきましょう。

ITアーキテクトの公的な定義

ITアーキテクトはITスキル標準(ITSS)でその役割が定められています。経済産業省などが公開しているその役割を引用すると以下のとおりです。

「ビジネス及びIT上の課題を分析し、ソリューションを構成する情報システム化要件として再構成する。ハードウェア、ソフトウェア関連技術(アプリケーション関連技術、メソドロジ)を活用し、顧客のビジネス戦略を実現するために情報システム全体の品質(整合性、一貫性等)を保ったITアーキテクチャを設計する。設計したアーキテクチャが課題に対するソリューションを構成することを確認するとともに、後続の開発、導入が可能であることを確認する。また、ソリューションを構成するために情報システムが満たすべき基準を明らかにする。さらに実現性に対する技術リスクについて事前に影響を評価する。」

難しく記載されていますので、結局のところ何をするのか理解し難いかもしれません。簡単に説明するとITアーキテクトの役割は「ITに対する深い知見を踏まえ、ビジネス上の課題を解決するシステムを設計する、その前後の戦略策定やプロジェクトの推進まで一連で担当する」です。

アーキテクトには設計の意味がありますので、システム設計の専門家としての役割が大きな部分です。具体的なシステム設計をするのはもちろんのこと、一つのシステムだけではなく複数のシステムを組み合わせた全体的な仕組みや運用を検討する場合もあります。

なお、最近は純粋なシステム設計だけではなく、AIなどとの連携もITアーキテクトが担当するケースが増えています。DX推進など新しい部分もITアーキテクトが担当しているのです。

最近のIT業界は非常に早いスピードで進化しています。そのため、ITアーキテクトは設計の専門家として、5年後や10年後などの先を見据えた設計ができることが求められています。

ITアーキテクトとITコンサルタントの違い

ITアーキテクトに似た職業として、ITコンサルタントが挙げられます。どちらも似たような仕事を担っていますので、「同じものである」と勘違いしている人がいるぐらいです。

しかし、似ている部分はありますが、これらは違った役割です。同一視してしまうと誤解を生み出してしまいます。

ITコンサルタントは「ITの力を利用してクライアントの課題を解決する」ために存在しています。確かにITに詳しい必要はありますが、それ以上にクライアントの業界や業務について詳しい必要があります。

それに対してITアーキテクトは、「ITのプロとしてクライアントに最適なシステムを設計する」ために存在しています。ITコンサルタントとは役割が少々異なるのです。

なお、ITアーキテクトもITコンサルタントと同様に、論理的な説明力が求められる職業です。「なぜそのように設計しなければならないのか」などを論理的に説明する必要があり、そのような観点ではITコンサルタントに似た働き方をします。

ITアーキテクトとして働く人材の単価

ITアーキテクトとして働く場合、どのような単価で働けるのでしょうか。次回は具体的にITアーキテクトの求人を確認し、どの程度の単価であるのかをご紹介します。

フリーランスの単価は月85万円前後

大手のフリーランスエージェントを確認してみると、ITアーキテクトの単価は月額85万円前後です。フリーランスのITエンジニアの中では、比較的高い単価で活躍できます。エンジニア全体の単価相場は70万円前後ですので、これらより高い金額なのです。

ITアーキテクトの単価の特徴として、どの案件も単価が高額であることが挙げられます。エンジニアの単価には波があり単価が低い人と高い人の差が分かれるものですが、ITアーキテクトではあまりそのような傾向がありません。

その背景には、ITアーキテクトには高いスキルが求められることが考えられます。他のエンジニアのように初心者が対応できるようなものではなく、高いスキルを持つ人だけが対応できるのです。結果、ITアーキテクトでは単価の低い案件が公開されなくなっています。

むしろ、ITアーキテクトには非常に高額な単価の案件が公開される場合があります。月額150万円などの案件が公開される場合もあり、スキルに見合った報酬を得られるようになっています。

注意しなければならない点として、ITアーキテクトの案件は選択肢が限られています。自分の専門分野を中心に参画しますので、どのような案件でも選択できるわけではないのです。結果、高額な案件は様々あるものの、自分の選択できるものが限られてしまう可能性があります。

会社員の単価は月70万円から120万円

大手の転職者向け求人サイトで確認してみると、会社員の単価は70万円から120万円ほどです。ただ、これは月収として提示されているものですので、お客様向けに提示している金額は3倍程度であると考えられます。

フリーランスエンジニアと比較すると、会社員のITコンサルタントは高い単価が設定されています。ただ、これは純粋に金額を比較しただけですので、その背景を理解する必要があります。会社員は間接費が発生していますので、この影響で単価が高くなっているのです。

加えて考慮するべき点は「ITアーキテクトとしての信頼度の高さ」です。フリーランスの場合は自分の実績だけが信頼度を示す指標となります。過去に参画した案件の種類によっては、あまり高い評価を得られない可能性があります。

しかし、会社員であれば「会社としてのブランドや信頼力」があります。このような後ろ盾がありますので、フリーランスよりも高い単価を設定しやすくなるのです。また、発注する側もそのような背景がありますので、高くても会社員向けに発注する場合があります。

これらの内容を総合的に判断すると、ITアーキテクトの単価は会社員の方が高くなる傾向にあります。フリーランスの場合は、会社員のブランドに負けないようなスキルが必要なのです。

システムの難易度によって単価は左右される

ITアーキテクトの単価は、対応するシステムの規模や難易度によって異なります。システムの規模が大きくなったり難易度が高くなったりすれば、それだけ求められるスキルも高くなります。そのため、ITアーキテクトの単価も変動するのです。

具体的にどのようなシステムに対応できれば、どの程度の単価になるのかは断言しにくいものです。基本的には専門知識が求められ、対応できる人が少なくなるほど単価が上がると考えるようにしましょう。

例えば法律を踏まえたシステムであったり、特定の業務を経験したりしていなければならないシステムであったりすると単価が上がります。また、非常に大規模なシステムであり、「過去に同程度のシステム開発に携わったことがある」などの条件が付されている案件は、単価が上がる傾向にあります。

ITアーキテクトにおいても「他の人が対応できない案件」で単価が上がるのは間違いありません。何かしら自分の得意分野を持っておき、その分野で活躍できるITアーキテクトになるのが単価を上げるコツです。

ITアーキテクトの担当者に求められるスキル


ITアーキテクトには多くのスキルが求められます。これは想像に難くない事実だと思いますので、これらの中から特筆すべきものをピックアップしてご説明します。

高度なシステムの設計スキル

アーキテクトを担当するエンジニアですので、システム設計スキルが必要です。さらにITアーキテクトのように高難度のシステムを設計する場合は、高いシステム設計スキルが求められます。

特にITアーキテクトの場合は、ITのあるべき全体像を描けるだけのスキルが求められています。簡単なシステム設計の経験があるだけでは、ITアーキテクトに求められるスキルには届かないのです。それよりも複雑なシステムを設計できる必要があります。

また、システムを設計するにあたり、経営面の課題や業務面の課題を踏まえられることも必要です。加えて、IT戦略やIT企画などを含めて、全体を俯瞰したシステムの設計が必要となります。単純なシステム設計のスキルだけではなく、幅広くなおかつ高いスキルが求められるのです。

ビジネス分析スキル

適切なシステム設計をするためにビジネス分析スキルが必要です。ITアーキテクトは単純にシステム設計をするだけではなく「ビジネス上の課題を踏まえたシステム設計」ができなければなりません。

そのようなシステム設計をするためには、クライアントのビジネス分析をするスキルが必要です。適切な分析ができなければ、それを踏まえたシステム設計ができないからです。

ただ、どのような業界のビジネス分析もできる必要はありません。ビジネス分析は専門スキルですので、何かしら自分の得意分野を持っておくと良いでしょう。例えば製造業に特化したり運送業に特化したりしておくのです。システムを全体的に設計する場合もありますので、業種ではなく業界で得意分野を持っておくことがおすすめです。

スキルを高めるには、実務を経験する方法や座学を積み重ねる方法があります。エンジニアは実務経験が重要視されますので、可能な限り実務を積んでITアーキテクトになりたいところです。

コミュニケーションスキル

システム設計の利害関係者と意思疎通を図るためにコミュニケーションスキルが必要です。情報収集をするのはもちろん、システム設計にあたり必要な情報を伝えたり先に合意を得たりしておく役割があります。

ITアーキテクトの役割は、クライアントのビジネス的な課題を解決するためのシステム設計をすることです。ただ、この設計の結果、業務が複雑になるなどの影響を受ける人がいる可能性があります。そのような人がいるままプロジェクトを進めると、反発を受け上手く進まない可能性があります。

そのような状況を避けるために、ITアーキテクトは事前にコミュニケーションを取っておかなければなりません。高いコミュニケーションスキルで、衝突が起きないような環境を作らなければならないのです。

ITアーキテクトにはシステムアーキテクト試験(SA)がおすすめ

ITアーキテクトに関する資格は限られています。システム設計に関する資格はあまりありませんので、取得するのであれば「システムアーキテクト試験」がおすすめです。

こちらの試験は情報処理推進機構が提供している国家資格です。国家資格ということもあり、資格の知名度が高く信頼性も高いことが特徴です。システム設計をする側だけではなく、システム設計を依頼する側にも認知されています。

なお、システムアーキテクト試験では、情報システムや組み込みシステムの開発に必要となる要件定義とアーキテクチャの設計が問われます。まさにITアーキテクト向けの試験となっているのです。

また、問われる内容は非常に高度なものであり、システムの設計方法はもちろん、情報セキュリティなどの要件にも触れられています。ビジネス活動のモデル化などクライアントのビジネス理解にも触れられていて、非常に幅広いスキルの証明ができます。

まとめ

ITアーキテクトはシステム設計の専門家としての役割があります。システム設計はシステムエンジニアなどが対応するケースも多々ありますが、ITアーキテクトはそれよりも上流の工程で活躍します。

そのためITアーキテクトは非常に幅広いシステムの設計に対応する必要があります。また、クライアントのビジネス理解など、システムエンジニアのシステム設計では考慮しないような部分も意識する必要があります。

高い専門性が求められますので、ITアーキテクトの単価は高い傾向にあります。低いスキルではITアーキテクトとしての役割を担えませんので、全体的に高い単価が設定されているのです。

その反面、高いスキルが求められていますので、専門外の案件には参画しにくいデメリットがあります。自分の得意分野をとにかく伸ばしていくような働き方なのです。

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