Linuxディストリビューションとは?それぞれの特徴と違いを分かりやすく解説!
Linuxにはいくつもの種類があり、これらはディストリビューションと呼ばれています。Linuxカーネルをベースとしたオペレーティングシステム全体のことを指し、それぞれが独自に進化を遂げていることが特徴です。以前は限られたディストリビューションしか存在しませんでしたが、近年は様々な進化を遂げ、種類が増えています。そのため、それぞれについて詳しく理解できていない人も増えてきました。今回はLinuxディストリビューションとは何かや、具体的なオペレーティングシステムについて解説していきます。
Linuxディストリビューションとは
Linuxディストリビューションとは、Linuxカーネルをベースにしたオペレーティングシステムのことを指します。一般的に、Linuxとは様々なオペレーティングシステムを指した言葉です。そして、Linuxディストリビューションはこのようなカーネルに加えて、様々なソフトウェアやアプリケーションやツールなども含んでいます。そのため、ユーザーは導入するだけで、オペレーティングシステムの基本的な機能を全て利用することができるのです。
例えば、カーネル以外にも、パッケージマネージャーが用意されていて、必要なアプリケーションを追加で導入できます。コマンドを打ち込むだけで導入できるようになっているため、標準では搭載されていないアプリケーションもスムーズに活用が可能です。その他にも、デスクトップ環境が用意されているものがあり、コマンドラインに慣れていないユーザーでも、操作しやすいように考えられています。
なお、Linuxディストリビューションは定期的にアップデートされるものが大半です。開発が終了しているものも存在しますが、今回解説するものは、現時点でも定期的にアップデートされていると理解しましょう。
Linuxディストリビューションの代表例
実際のLinuxディストリビューションにはどのようなものがあるのか、順番に説明していきます。
- Ubuntu:デスクトップ環境に最適化された初心者向けディストリビューション
- Debian:安定性とセキュリティを重視したディストリビューション
- Fedora:新しい技術の採用が早い、先進的なディストリビューション
- Arch Linux:自由度が高く、ユーザーがカスタマイズ可能なディストリビューション
Ubuntu
Ubuntuは、デスクトップユーザーとサーバー用途の両方に適した、初心者に優しいディストリビューションです。Canonical社がスポンサーしていて、Debianをベースに開発されています。
簡単なインストール・セットアップ
初心者向けである理由として簡単にインストールやセットアップができることが挙げられます。一般的にLinuxのインストールや各種セットアップは難しいと思われがちです。しかし、Ubuntuならばユーザーフレンドリーなインストーラが提供されているため、これを利用するだけで初心者でも簡単にセットアップできます。部分的に専門的な知識は必要とされますが、その容易さは今までのLinuxと段違いです。
豊富なソフトウェア
同じく初心者でも利用しやすいように、豊富なアプリケーションが提供されています。Ubuntuソフトウェアセンターと呼ばれるサイトから多数のアプリケーションをダウンロードして、簡単にインストールできる仕組みです。現在は、Ubuntu向けのアプリケーションが数多く存在しているため、Windowsなどと同じような気分で利用できるでしょう。
コミュニティサポートの充実
オープンソースで開発されているため、コミュニティが存在しています。これが非常に大規模であり、万が一トラブルが発生してもサポートを受けやすいことが特徴です。フォーラムやオンラインリソースが充実しているため、安心して利用できることも魅力といえます。Linuxディストリビューションの開発は専門知識を持つ人が対応しますが、サポートは優しい用語などを利用してもらえます。
Debian
Debianは、自由でオープンソースなソフトウェアを提供することを目指した、非常に安定したディストリビューションです。Ubuntuなど、その他多くのディストリビューションはDebianを基に開発されています。
高い安定性
幅広く提供されているLinuxの中でも、安定性が非常に高いことが魅力です。安定版をリリースする際は徹底的にテストされているため、ほぼバグが含まれていません。そのため、企業やサーバー用途など非常に高い安定性が求められる環境に適しています。
安定性とセキュリティの両立
安定性だけではなく、セキュリティにも力を入れていることが特徴です。定期的に強力なセキュリティアップデートが提供されるため、外部から攻撃する隙を与えません。何かしら問題が発生した際は、素早くアップデートが提供されるため、トラブルが大きくなる前に解決できます。これも大きな特徴であり、魅力でもあると考えてよいでしょう。
多様なアーキテクチャをサポート
他にも多様なアーキテクチャをサポートしていることが特徴です。複数のハードウェアに対応しているため、組み込みシステムの開発も実現できます。すべてのLinuxが、このように幅広いアーキテクチャに対応しているわけではないため、他と差別化されている部分です。
Fedora
Fedoraは、Red Hatが支援するコミュニティベースのディストリビューションで、最新技術の導入に積極的です。Red Hat Enterprise Linux(RHEL)の開発基盤としても利用されています。
最新技術の導入
Linuxディストリビューションの中でも、最新技術の導入に積極的なものです。新しいソフトウェア技術を積極的に採用するため、新技術の導入を積極的に求める人へ適しています。新しいものを追い求めるため、トラブルが生じることもありますが、それを含めてFedoraの醍醐味だと考えるべきです。
セキュリティの重視
新しい技術を追い求めるLinuxディストリビューションであるため、セキュリティにも力を入れていることが特徴です。SELinux(Security-Enhanced Linux)を活用し、セキュリティ上の問題が生じにくくなっています。Windowsと比較すると、Linuxはセキュリティの高さが魅力的ですが、その中でも特に注力されているOSなのです。
頻繁なリリースサイクル
Linuxディストリビューションの中でも、リリースサイクルが多いことが特徴といえます。これは最新技術を導入し、素早くユーザーに試してもらうためです。多くのLinuxは、ある程度の機能が開発されてからリリースされますが、Fedoraについては少ない機能数でもリリースされます。ユーザーは頻繁にアップデートすることが求められますが、それも一種の魅力です。
Arch Linux
Arch Linuxは、軽量でシンプルなディストリビューションです。ユーザーが自分でシステムを構築・カスタマイズすることを前提としています。
高いカスタマイズ性
一般的に、Linuxとはいえども、いくつものアプリケーションがバンドルされています。そのため、インストールすればすぐに利用が可能です。ただ、Arch Linuxは最小限のインストールからスタートし、必要に応じてパッケージを追加していきます。
最新のソフトウェアを提供
常に最新のソフトウェアを提供する「ローリングリリースモデル」が採用されています。インターネット経由でパッチなどが頻繁に提供されるため、ユーザーは常に新しいソフトウェアを利用できるのです。パッチがリリースされないことで、一時的にセキュリティが下がるようなことにはなりません。
活発なユーザーコミュニティ
どのLinuxディストリビューションもコミュニティは活発ですが、特にArch Linuxのコミュニティは積極的に活動していることが特徴です。例えば、新機能の開発に向けてチケットが提起され、内容によっては実際に開発が進められています。
その他のLinuxディストリビューション
上記で紹介したもの以外にも多数のLinuxディストリビューションが存在します。例えば、サーバー向けの代表格として「CentOS」が有名でしょう。ただ、こちらについては開発の終了が公開されているため、今回は扱っていません。
また、地道に支持を集めるものには「Linux Mint」「Manjaro Linux」などが存在します。特にManjaro Linuxは近年、注目を集めているため、気になる人はぜひ公式サイトを御覧ください。
Linuxディストリビューションの選び方
Linuxディストリビューションにはいくつもの種類があると解説しました。これらからどのように選ぶかイメージできない人に向けて、選び方も解説します。
使いやすさ
一般的なイメージとして、Linuxは使いづらく難しいと思われがちです。そのため、使いやすさを重視するならば、Ubuntuを選択すると良いでしょう。Linuxの中でも、ユーザーフレンドリーなインターフェースが用意されていて、シンプルなインストーラーで導入できます。また、数多くのドキュメントが用意されていることから、初心者でもLinuxを使いやすいことが特徴です。Windowsに近い形でLinuxを導入したいならば、まずはUbuntuから検討してみてください。
サポートやコミュニティ
Linuxはオープンソースで開発されているものが大半であり、問題の発生時は自分たちでの解決が求められます。そのため、サポートやコミュニティが充実している方が、トラブルシューティングを実施しやすいことが特徴です。トラブルシューティングを重視するならば、UbuntuやLinux Mintを選択すると良いでしょう。どちらも大規模なユーザーコミュニティが用意されているため、質問に答えてもらえる可能性が高まります。また、豊富なドキュメントが用意されているため、それらを閲覧することで、自分自身で問題解決することもできるでしょう。
導入の目的
Linuxは状況に応じて使い分けが必要です。以前はサーバー用途が中心でしたが、現在はデスクトップ用途でも利用することがあります。まず、サーバー用途であれば、Ubuntu ServerやCentOSが良いでしょう。サーバー管理に必要なツールやエンタープライズ環境での使用が考慮された設計となっています。一般的にLinuxといえばこれらが思い浮かぶぐらいです。続いてデスクトップ用途であれば、Ubuntuを中心に検討することをおすすめします。
カスタマイズ
Linuxを自由にカスタマイズしたい場合は、自分自身で設定を変更しやすいディストリビューションがおすすめです。特にManjaroは、Arch Linuxベースでありながら、初心者にも扱いやすい設計です。なおかつ、カスタマイズしやすいように考えられているため、自分なりのLinux環境を構築できます。ただ、専門的な知識が必要となるため、初心者が利用する際は十分に検討しなければなりません。
まとめ
Linuxのディストリビューションには様々なものがあり、それぞれが特徴を持っています。特徴を踏まえて、必要なものを選択する必要があり、どれが良いと一概に断言できるものではありません。基本的には複数を理解して比較しながら検討することが重要です。
ただ、Linuxのディストリビューションは非常に多くあり、どれを比較すればよいのかが難しいと感じるでしょう。そのため難しいことを考えずに導入したいと考えるならば、紹介したものを中心に検討することをおすすめします。他にもLinuxディストリビューションはありますが、これらから選べば大きな問題にはなりません。