【徹底比較】オンプレミスとクラウドはどう違う?メリット&デメリットを解説!
ここ数年で急激にクラウド環境の利用が広がってきました。今まではオンプレミスが当たり前でしたが、どこの企業やサービスも「クラウド」に注目するようになっているのです。
確かにクラウドは便利なものですが、オンプレミスとの違いを理解して利用しなければなりません。どちらにもメリットとデメリットがあります。今回はオンプレミスとクラウドの違いやそれぞれのメリットとデメリットをまとめて解説します。
オンプレミスとクラウドの違いとは?5つのポイントで比較
最初にオンプレミスとクラウドはどのように違うのか5つのポイントで比較してみます。
ここ数年で急激にクラウド環境の利用が広がってきました。今まではオンプレミスが当たり前でしたが、どこの企業やサービスも「クラウド」に注目するようになっているのです。
最初にオンプレミスとクラウドはどのように違うのか5つのポイントで比較してみます。
オンプレミス | クラウド | |
コスト | イニシャル:高額
ランニング:定額 |
イニシャル:低額
ランニング:変動 |
導入期間 | 数週間~数カ月 | 数分~数時間 |
カスタマイズ・拡張性 | 自由 | サービスごとに制限あり |
セキュリティ対策 | 自社で対応 | 大枠はサービス提供会社が対応 |
BCP・DR対応 | 自社で対応 | 大枠はサービス提供会社が対応 |
コスト
コストはオンプレミスとクラウドで大きな違いがあります。イニシャルコストとランニングコストのどちらにも違いがありますので、比較してどちらがコスト的に適しているか判断する必要があります。
一般的にイニシャルコストはオンプレミスが高くなってしまいます。機器の購入などに費用がかかりますので、クラウドとは大きな違いが出るのです。
逆にランニングコストは長期的に見るとオンプレミスが低くなっています。すでに購入したものを使い続けますので、発生するコストは最低限に抑えられるのです。
ただ、ランニングコストについては、利用期間に左右される部分が大きいです。コストの違いを考える際は、利用期間を踏まえるようにしなければなりません。
導入期間
導入期間はクラウドが圧倒的に短期間です。クラウドサービスのアカウントさえ開設していれば、数分から数時間でインフラが利用できるようになります。
それに対してオンプレミスは、導入までに時間を要してしまいます。サーバーなどを用意する必要がありますので、どうしても調達の時間がかかってしまうのです。スムーズに調達できる場合はありますが、クラウドのように短時間での準備は不可能です。
サービス利用開始までに必要な時間は、オンプレミスとクラウドの大きな違いです。リードタイムを踏まえて、どちらが適しているのかは必ず考えなければなりません。
カスタマイズ・拡張性
カスタマイズなどの拡張性は、オンプレミスの方が充実しています。基本的には求めるとおりのアーキテクトを実現できますので、インフラ環境でネックになることはほぼありません。
クラウドもカスタマイズには対応してきていますが、オンプレミスとは違い選択肢の範囲内のみです。選択肢は増えてきているものの、完全に自分の思い通りにカスタマイズできるわけではありません。カスタマイズの内容によっては、提供されていない可能性も十分あります。
細かな要件がある場合、オンプレミスを利用するしかない可能性があります。オンプレミスは拡張性が高いですので、クラウドになるとどのような違いがあるのか確認しましょう。
セキュリティ対策
セキュリティ対策の考え方に違いがあります。オンプレミスは全てが利用者の責任になりますが、クラウドは一部がクラウドサービス事業者の責任となります。
クラウドでどこまでのセキュリティが担保されるかは、業者が責任境界点を公開しています。公式サイトなどで説明されていますので、必ず確認をしておきましょう。事業者によって責任境界点に少しずつ違いがあります。
ただ、境界点がありますので、クラウドを利用すれば全てのセキュリティを担保してもらえるわけではありません。部分的には自分でセキュリティを担保する必要があります。ここはオンプレミスもクラウドも違いがありません。
全てを自分で担保するか一部を担保するかは、セキュリティ対策コストに大きな影響を与えます。違いを理解して、コストにどのような影響を与えるのか比較しましょう。
BCP・DR対応
BCPやDRの対策に違いがあります。どちらも自分で設計をして対策しておく必要はありますが、その実装方法に違いが出てきます。
まず、オンプレミスを利用する場合、物理的に異なる場所にデータセンターなどを用意しなければなりません。同時に障害が発生しないと考えられる場所をネットワークでつなぎ、災害などに備えます。もちろん、それぞれにサーバーなどを用意しておかなければなりません。
それに対してクラウドを利用する場合、物理的なデータセンターの位置などはあまり意識する必要がありません。クラウド事業者が異なったエリアにサーバーなどを構築するサービスを提供していますので、これを利用するだけで簡単に対策ができます。障害などに備えたサーバーは、稼働させなければほぼ料金がかからない場合があります。
BCPやDRの実装はオンプレミスとクラウドで違いが出やすいです。もし必要とする場合は、コストに注目しましょう。
オンプレミスのメリットやデメリット
オンプレミスは、自社内や契約しているデータセンターにシステム用の「サーバー」「ネット回線」などを設置するものです。システム構築から利用・提供までを全て自社で済ませると考えると良いでしょう。
メリット
オンプレミスのメリットは以下のとおりです。
- カスタマイズしやすい
- ランニングコストを固定化しやすい
それぞれご説明します。
カスタマイズしやすい
インフラ環境のカスタマイズがしやすい点がメリットです。オンプレミスの場合、カスタマイズの自由度は非常に高く、制限はほぼないと考えてよいでしょう。
ただ、自分の好きなようにカスタマイズできますが、カスタマイズ内容によってはコストが高くなる可能性があります。運用上やむを得ない場合はありますが、カスタマイズ内容は考える必要があります。
環境をカスタマイズできれば、性能上の制約を回避できる可能性が高まります。クラウドでは実現できないようなものも、オンプレミスなら実現できる可能性があるのです。
ランニングコストを固定化しやすい
オンプレミスは毎月のランニングコストを固定化できます。クラウドは変動制ですので、オンプレミスは予算が組みやすいメリットを生み出します。
企業がシステムを運用するにあたり気になるのは「結局いくら必要になるのか」という部分です。毎月の費用が分からなければ予算取りがしにくいものです。
オンプレミスの運用はデータセンターに任せるなど、毎月の費用が固定化しやすい傾向にあります。そのため予算取りもしやすく、予期せぬ費用の支払いもあまり考慮しなくて良くなります。
デメリット
オンプレミスのデメリットは以下のとおりです。
- コストが高くなりやすい
- 資産管理しなければならない
それぞれご説明します。
コストが高くなりやすい
オンプレミスはクラウドよりもコストが高くなりやすい傾向があります。サーバーの購入費用などがありますので、やむを得ないデメリットです。
特にイニシャルコストは、クラウドと比較すると大きな差があります。クラウドはほぼゼロ円で済む場合がありますので、天と地の差になる可能性があるのです。
ただ、運用コストを踏まえ長い目で見ると、メリットに変わる場合もあります。あくまでも「コストが高くなりやすい」と捉えておきましょう。
資産管理しなければならない
オンプレミスのサーバーや、サーバーにインストールされているソフトウェアは、固定資産管理の対象です。そのためオンプレミスを利用している限り、これらを管理しなければならないデメリットが発生します。
それに対しクラウドはサービスの提供を受けているだけですので、自分で資産を持っているわけではありません。つまり、オンプレミスとは違い資産管理の手間は発生しないのです。インストールしているソフトウェアなど一部例外はありますが、概ね資産管理しなくて良いと考えられます。
資産管理をするとなると、必然的に棚卸業務などをしなければなりません。対象数が少ないうちは良いかもしれませんが、増えてくると大きな負荷になります。やむを得ない場合はありますが、オンプレミスを利用すると資産管理が発生する点はデメリットです。
クラウドのメリットやデメリット
クラウドはオンプレミスとは異なり、自社内にサーバーやネットワークなどの資産を持ちません。クラウドサービス事業者が管理しているものを、お金を支払ってレンタルするイメージです。
基本的にはサービスを提供してもらう形ですので、「必要なものを必要な時に必要なだけ利用する」となります。クラウドはこのような要望に応えるようにサービスが提供されていますので、短時間でサービスを利用できるなどのメリットがあります。
メリット
クラウドのメリットは以下のとおりです。
- 性能を調節しやすい
- コストを抑えやすい
それぞれご説明します。
性能を調節しやすい
クラウドはクイックな機能の拡張に対応している点がメリットです。アクセスが急激に増えた場合など、一時的な拡張も可能です。
オンプレミスとは異なり、クラウドは一時的な機能拡張ができます。例えば一時的にメモリーを増強するなどの対策ができるのです。オンプレミスでは簡単にこのような環境変更はできません。
短期間で柔軟な性能が変更できるのは、オンプレミスとは大きく違う点です。システム負荷の増減が激しい場合は、クラウドが適しています。
コストを抑えやすい
クラウド環境はオンプレミスよりもコストを抑えやすい傾向があります。基本的には利用したぶんだけ課金されますので、必要以上のコストが発生しません。
また、オンプレミスとは違いイニシャルコストがほとんど発生しません。なぜならサーバーの導入費用などが発生しないからです。サーバーなどの購入費は高額ですので、それが発生するかどうかは大きな違いです。
イニシャルコストを抑えられるのは、クラウドを利用する大きなメリットです。長期的にみるとオンプレミスが勝る場合がありますが、短期的にはクラウドが勝ります。
デメリット
クラウドのデメリットは以下のとおりです。
- 細かなカスタマイズが難しい
- 障害時に対応しにくい
それぞれご説明します。
細かなカスタマイズが難しい
クラウドは提供されている範囲内で、性能が調節しやすいメリットがあります。ただ、提供されていない機能は利用できず、細かなカスタマイズはできないデメリットがあります。
例えばクラウドの場合、提供されているサーバーOSは制限されています。また、データベースなどのバージョンも、提供されているものが限られています。
都合によってはどうしても古いバージョンを利用しなければならない場合があります。しかし、クラウドでは提供されているサービスの仕様上、必要なものが選択できないのです。システムなどに大きく影響する可能性があります。
提供されている範囲内では、柔軟性が高くクラウドのメリットは大きいです。しかし、万能な機能が提供されているわけではなく、提供されていない部分はカスタマイズできないためデメリットと感じてしまいます。
障害時に対応しにくい
クラウドサービスで障害が発生した場合、自分では対応しにくいデメリットがあります。事業者が障害を復旧させるまで、利用者は待つしかなくなってしまいます。
オンプレミスで障害が発生した場合、自分で状況を確認し復旧に向けた対応が取れます。影響を最小限に抑えるために、最善の努力ができるのです。
しかしクラウドの場合、自分達で状況を把握し復旧するのは不可能です。どのような障害が起きているのかは分かりませんし、復旧に向けた対応も事業者任せになってしまいます。
クラウドは障害が起きないように様々な対策がされています。ただ、大規模な通信障害などが発生しているのも事実です。万が一の障害時に自分たちでどうにもならないのはデメリットです。
まとめ
オンプレミスとクラウドの概要や違いについてご説明しました。またそれぞれのメリットやデメリットについてもご説明しました。
クラウドとオンプレミスには大きな違いがあります。特にコストや運用開始までの期間には違いがありますので、どちらを利用するか検討する際は注意が必要です。
それぞれのメリットやデメリットを踏まえると、どちらが良いとは一概に言えません。システムの要件など状況を多角的に検討し、どちらを利用するか決断を下しましょう。