PowerShellとコマンドプロンプト|概要とそれぞれの違いについて詳しく解説!

PowerShellとコマンドプロンプト|概要とそれぞれの違いについて詳しく解説!

Windowsでコマンドを実行する方法として、コマンドプロンプトとPowerShellが存在します。どちらもOSに標準で搭載されている機能であり、皆さんの中にも利用したことがある人は多いでしょう。特にエンジニアは、CLIでOSを操作することがあるため、実際に利用した経験がある人は多いはずです。た

ただ、WindowsにはコマンドプロンプトとPowerShellが存在するものの、この違いについて理解できているでしょうか。細かな違いを理解せずに、自分の業務に適したものを何となくで選んでいる人が多いはずです。今回は、PowerShellとコマンドプロンプトの概要やそれぞれの違いについて詳しく解説します。

コマンドプロンプトとPowerShellの概要

最初に、PowerShellとコマンドプロンプトとはそれぞれどのような機能を持つツールであるのか解説します。

PowerShellとは

PowerShellは、Windowsで提供されるシステムの管理タスクを自動化するためのツールです。実際の現場では様々な用途で利用されていますが、本来はタスクの自動化および構成管理ツールとして提供されています。コマンドプロントとは異なり、オブジェクト指向で動作し、.NET Frameworkを基盤としていることが特徴です。これで開発されていることから、より高度で複雑なスクリプトの作成にも対応しています。

また、PowerShellの特徴として、コマンドレットと呼ばれる一連の複雑なコマンドの存在が挙げられます。操作を自動化するために必要なコマンドが最初から準備されていて、これを呼び出すだけで簡単に実装できるのです。Windowsの操作を自動化するかどうかに関わらず、基本的にはこれらのコマンド群を利用して、操作するものであると考えておきましょう。

他にも、近年はPowerShellのバージョンアップが繰り返されていて、Windowsシステムはもちろん、クラウドサービスやアプリケーションの管理も一元化できるようになってきました。スクリプト言語として一定の地位を確立しており、Windows環境に限らず、LinuxやmacOSでも利用できるようになっています。

コマンドプロンプトとは

コマンドプロンプトは、Windowsの標準的なコマンドラインインターフェースです。主にMS-DOSやWindows NT系列のコマンドを使用し、ディレクトリ操作やファイル管理システム設定などに対応しています。

PowerShellとは違い、自動化を前提としたものではなく、Windows上で必要な操作をコマンドに落とし込んだものであると考えましょう。一般的にLinuxでは、コマンドラインでの操作が必要となるため、その類であると認識しても差し支えありません。

シンプルで軽量な仕組みであるため、基本的には簡単なタスクの自動化やバッチファイルの作成に利用されます。ただ、パスを通すことで独自のコマンドも実行できるようになるため、機能面の拡張は可能です。また、コマンドプロンプトはWindowsの初期バージョンから提供されているため、レガシーシステムやスクリプトとの互換性が良いことは特徴といえます。とはいえ、機能的には他のセルと比べて制限があるため、そこは注意しておきましょう。

PowerShellとコマンドプロンプトとの違い


概要を解説した通り、PowerShellとコマンドプロンプトには、根本的な違いがあります。これらの違いについてさらに深掘りしましょう。

基本構造の違い

PowerShellはオブジェクト指向で動作し、.NET Frameworkを基盤とした構造です。そのため、オブジェクトベースの出力を活用して、Windowsを細かく操作したり、複雑なスクリプトを作成することも可能です。つまり、PowerShellはより複雑で大規模な自動化やタスクの管理などを実現できます。

それに対して、コマンドプロンプトはMS-DOS互換のコマンドを使用するテキストベースのシェルです。基本的にファイル管理やシステム設定などの基本操作にしか利用しません。コマンドプロンプトで複雑な処理もある程度は実装できますが、基本構造の違いから実装できる範囲にも違いがあると考えておきましょう。

準備されているコマンドの違い

コマンドプロンプトはシンプルなコマンドが利用されます。基本的にファイル操作やシステム設定を前提としたものであると考えましょう。自分自身で一部のコマンドを追加できますが、コマンドプロンプトの標準機能として提供されているものは限られていると認識すべきです。

対して、PowerShellは「コマンドレット」と呼ばれる専用のコマンドが用意されています。これによって複雑なシステムやアプリケーションの管理にも対応できるのです。しかも、PowerShellは現在でも開発が続き、新しいコマンドが提供され続けています。結果、実装されているコマンドの種類の違いは、これからさらに大きくなっていくと予想されます。

出力形式の違い

コマンドプロンプトはテキストベースの出力に対応したツールです。そのため、出力を別のコマンドに渡す際はテキスト形式に限定されてしまいます。複雑なデータは渡せないことが、コマンドプロンプトのデメリットとなっているのです。

それに対して、PowerShellはオブジェクト形式の出力を提供しています。パイプラインを通じて、オブジェクトそのものを渡せる仕組みであるため、データをそのまま他のコマンドレットに引き渡すことも可能です。コマンドプロンプトと比較すると、複雑な操作や高度な分析にも対応できると考えられます。

出力形式がテキストに限られるのか、オブジェクトであるのかは非常に大きな違いです。これによって実装の幅が大きく広がるため、PowerShellはコマンドプロンプトよりも利便性が高いと考えられています。

スクリプト機能の違い

コマンドプロンプトは、バッチファイル(.bat)と呼ばれるものを作成してスクリプトを自動化できます。ただ、標準で提供されている機能が限られているため、自動化できる内容にも限りがある点は注意が必要です。例えば、ループ処理などの実装は、コマンドプロンプトやバッチだけでは難しくなってしまいます。

一方、PowerShellは複雑なスクリプト言語を提供しているため、条件分岐やループ、エラー処理などの実装が容易です。また、モジュールの利用などにも対応しているため、機能を拡張して実装することもできます。スクリプト機能という観点では、PowerShellが圧倒的であり、コマンドプロンプトでは実現が難しい部分もカバーできるのです。

リモート管理の違い

基本的にコマンドプロンプトはローカル環境で利用することを前提としています。部分的に異なるサーバーなどを操作することは可能ですが、あくまでもローカルサーバーから接続するなどの機能に限られているのです。

しかし、PowerShellはリモート管理機能が充実していて、リモートPCにコマンドを直接実行することが可能です。また、PowerShell Remotingなどを利用して、複数のマシンを一元管理することにも対応しています。PowerShellならば、コマンドプロンプトでは難しい大規模なIT環境を一元管理することができ、これは大きな違いといえるものです。

PowerShellとコマンドプロンプトの使い分け


ここまでの解説を踏まえても、PowerShellとコマンドプロンプトのどちらを利用すべきか悩む人はいるでしょう。どちらが最適であるかは状況によって変化するため、いくつかのケースに分けて、PowerShellとコマンドプロンプトのどちらがおすすめか解説します。

シンプルな作業やレガシーシステムの操作

ファイルのコピーや削除、移動やディレクトリのナビゲーションなど、基本的なOSの機能を利用する際は、コマンドプロンプトがおすすめです。システム制御に関する機能は、コマンドプロンプトでも十分に実装されているため、特段困ることはないでしょう。特に古いWindowsのシステムなどを絡めて操作する必要がある場合は、コマンドプロンプトが効果的です。

もちろん、PowerShellでも同様の操作を実現することはできます。ただ、PowerShellは記述が複雑になるなど、手間を増やす原因となりかねません。シンプルな作業はコマンドプロンプトのシンプルさを活かすようにしましょう。

複雑なシステム管理や自動化

複雑なシステムの管理やスクリプトを使ったタスクの自動化は、PowerShellを利用しましょう。上記とは逆の状況であり、コマンドプロンプトではこのような処理を実装できません。最初から言語として実装できる環境が整っているPowerShellを選択すべきです。

また、パソコンやサーバーだけではなく、Active DirectoryやExchange、Azureなどのツールやソリューションを利用する場合にも、PowerShellがおすすめです。コマンドレットが準備されているため、関連するソリューションについても効率的な操作を実現できます。

パイプラインの利用が必要な場合

オブジェクト指向のパイプライン処理を活かして、PowerShellはデータを効率的に処理できます。例えば、複数のコマンドレットを連携させオブジェクトを渡すことで、データの操作から収集などを一括で行えるようになるのです。システムのログ解析など細かな処理が続く場合は、PowerShellの方が効率的でしょう。

コマンドプロンプトはテキスト形式でしかパイプラインを実装できないため、場合によってはデータを外部ファイルに出力しなければなりません。一時ファイルを作成したり、書き込みしたりする手間が生じてしまいます。これは処理速度に影響してしまうため、このような作業ではPowerShellがおすすめです。

スクリプトの作成や自動化

PowerShellはスクリプトを使った自動化が強力であるというメリットがあります。例えば、複雑な条件分岐などの実装が容易に可能です。コマンドプロンプトではこのような実装が難しいため、スクリプト作成を重視する場合は、PowerShellを選択した方が良いでしょう。

ただ、コマンドプロンプトにも多少の分岐やループなどの機能は準備されています。もし、スクリプトの内容がシンプルであれば、PowerShellで実装するよりもコマンドプロンプトが良いかもしれません。ここは状況によりけりであり、エンジニアとしてスキルアップすることで判断できるようになる部分です。

クロスプラットフォーム対応

もし、Windowsに限らず、LinuxやmacOSも同時に制御する必要があるならば、PowerShellを選択すべきです。クロスプラットフォームに対応した仕組みであるため、LinuxやMac OSでも、Windowsと同じスクリプトやコマンドレットの実行が可能です。異なるOSでも同様の管理を実現できることはPowerShellの大きな魅力と考えられるでしょう。

対して、コマンドプロンプトはWindowsに限定されたもので、他のプラットフォームでは利用できません。このような状況下では、別のソースコードを記述する必要があり、どうしても手間が生じてしまいます。

まとめ

コマンドラインツールであるPowerShellとコマンドプロンプトについて解説しました。どちらもコマンドを入力して実行するという観点では同様ですが、その詳細は大きく異なるものです。コマンドプロンプトはシンプルであるのに対し、PowerShellは非常に複雑な処理にも対応します。

ただ、PowerShellが魅力的に見えるものの、必ずしもこちらが良いとも断言できません。シンプルな処理を実装する場合は、コマンドプロンプトに優位性があることも考えられます。それぞれを理解して、最適なものを選択できるようになってください。

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