Red Hat認定資格とは?資格の種類、それぞれの難易度・勉強方法を解説

Red Hat認定資格とは?資格の種類、それぞれの難易度・勉強方法を解説

Red Hatは世界共通の資格としてRed Hat認定資格と呼ばれるものを提供しています。主にRed Hat Enterprise Linux(RHEL)でのシステム開発や維持・保守に関する資格ですが、それら以外の製品についても含まれたものです。資格を取得することで、効率よくRed Hat製品のスキルを証明できます。

インフラ系のエンジニアならば取得しておきたい資格ですが、種類が多くその内容も複雑なものです。そのため、今回は概要から人気の高い資格の概要、取得のメリットやデメリットについてまとめて解説します。

Red Hat認定資格とはなにか

Red Hat認定資格とは、Red Hat社が提供する「Red Hat Enterprise Linux」「Red Hat OpenShif」などの製品についてのスキルを証明する資格です。独自の製品を幅広く展開しているため、これらについて資格によってスキルを証明できるようになっています。基本的に、固有の製品のスキルを証明する際は経験が重要となりますが、認定資格によってもスキルの証明が可能なのです。

実際、多くの製品を発売しているため、全てについて多くの経験を積むことは現実的ではありません。知識が必要となるものの、経験する機会が少ないこともあるでしょう。そのような状況において、認定資格を取得しておけば、客観的なスキルの証明ができるのです。

なお、以下で具体的に紹介しますが、Red Hat認定資格にはいくつもの資格が含まれます。そのため、自分が証明したいスキルに合わせて、取得するものを選ばなければなりません。適切なものを受験しないと、全く知らない内容が出題され、時間を無駄にしてしまいます。

Red Hat認定資格の種類と概要


Red Hat認定資格は、非常に多くの種類が存在します。今回はそれらの中でも、特に人気が高いものをピックアップして、それらの概要を紹介します。

Red Hat 認定システム管理者

Red Hat 認定システム管理者は、Red Hat Enterprise Linux環境(RHEL)で必要なシステム管理スキルを証明するものです。基本的な操作からシェルスクリプトの作成、セキュリティ面の設定など、一通りの操作に対応できます。日頃からRHELを利用する機会があるならば、まずはこちらから取得しておくと良いでしょう。

建付けとしては基本的な認定資格ですが、機能が多いことから学ぶ内容は多くなっています。特に、管理者となるならば、機能を全体的に把握しておかなければなりません。応用的な内容は少ないですが、その反面で基本的な内容は非常に多いのです。

なお、学習内容の多さをカバーするために、Linuxの予備知識がない人向けの簡単な学習コースが用意されています。もし、何かしらの理由で実務よりも前にRed Hat認定資格だけ取得したいならば、そのようなコースを活用すると良いでしょう。

Red Hat 認定エンジニア

Red Hat 認定エンジニアは、RHELやRed Hat Ansible Engineを利用して、複数のシステムを管理したりタスクを自動化したりするスキルを証明します。RHELが中心とはなりますが、複数の製品を横断的に理解している必要があるため、難易度の高い資格といえるでしょう。

特に、それぞれの製品を理解するだけではなく「どのようにAnsible Automationで連携するか」という部分で難易度が高まっています。デプロイの自動化や運用の効率化など、幅広い専門知識が必要となるため、十分にRed Hat製品を理解してから試験に望まなければなりません。

なお、こちらの資格を取得するためには、前提条件として「Red Hat 認定システム管理者」を取得している必要があります。段階的にレベルアップする資格であるため、その点も考慮して学習すると良いでしょう。

Red Hat 認定スペシャリスト – Containers –

Red Hat 認定スペシャリスト – Containers -は、Red Hat製品を利用して、コンテナを運用するスキルを証明する資格です。コンテナの基本知識から、Red Hat製品を利用して、どのようにコンテナを実現するかまでを問われます。

基本的にRHELでは、Podmanと呼ばれるオープンソースを利用して、コンテナ化されたサービスを作成します。そのため、これらに関するスキルを有していなければ対応できないでしょう。ただ、サービス自体は有名なものであるため、情報量が多く、習得の難易度は難しいものではありません。

また、コンテナの運用で重要となるアプリケーションの作成や運用、マルチコンテの管理なども出題範囲です。これらは実際にコンテナを運用していないと感覚が掴みにくい部分でしょう。資格の取得に備えて環境を構築し、実際に擬似的なアプリケーション環境を運用してみることが求められます。

Red Hat 認定 OpenShift 管理者

Red Hat 認定 OpenShift 管理者は、Red Hat OpenShiftを利用したクラウドアプリケーションプラットフォームの作成や構成、管理に関するスキルを証明する資格です。Red Hat OpenShiftは、Kubernetesをベースに開発されたプラットフォーム製品で、テスト済みのサービスがいくつもまとめられています。

資格の取得にあたっては、基盤となるユーザやポリシーの運用、アクセス制御から各種アプリケーションの作成や管理、クラスタリングまで理解しなければなりません。学ぶべきアプリケーションの種類が多いため、学習量の観点から難易度が高まっています。また、ネットワークコンポーネントなど、アプリケーションプラットフォームに対する基本的な理解も必要です。

Red Hat認定資格を取得するメリット

Red Hat認定資格を取得しておくことでいくつものメリットがあるため、それらについて理解しておきましょう。

Red Hatのスキルを証明できる

資格を取得することによって、Red Hat製品のスキルを証明できます。いくつもの製品があり、スキルの証明が難しい部分はありますが、Red Hat認定資格を取得すればこの問題を解決できるのです。製品や立場に応じていくつもの認定資格が用意されているため、必要とされているスキルをスムーズに証明できます。

また、Red Hat認定資格は座学での試験だけではなく、実技試験が含まれている点が特徴です。実際に製品を操作して、設定したり課題を解決したりすることが求められます。単純に暗記するだけの試験よりも、高いスキルの証明ができるのです。

案件の獲得などでアピールポイントになる

スキルを証明できるため、案件の獲得に役立てられることがメリットです。資格をアピールすれば、難易度の高い案件でも獲得しやすくなります。Red Hatを利用する案件は多くあるため、他のエンジニアよりも優位に立ち回れるでしょう。

もちろん、求められているスキルと保有している資格がマッチしなければなりません。いくつもの製品が存在するため、ミスマッチの状態ではアピールポイントではなくなってしまいます。必要に応じて、追加で資格を取得しても良いかもしれません。

Red Hat認定資格を取得するデメリット

Red Hat認定資格の取得にはメリットだけではなくデメリットがあるため、その点も抑えておきましょう。

取得にある程度の時間を要する

資格の取得にあたっては、まとまった時間を確保しなければなりません。筆記試験に向けて学習するだけではなく、パソコンを操作する実技試験の対策も必要です。どのRed Hat認定資格を取得したいかによって学ぶ量は変化しますが、どれを学習する場合でもボリュームが大きいことには違いありません。

また、学習のためにセミナーなどを受講すると、この部分にも時間を取られてしまいます。忙しいエンジニアにとっては、業務に差し支える可能性があるため、この点はデメリットと言えるでしょう。もちろん、自分のスキルアップに役立ちますが、短期的には負荷が高まりマイナスの要素が強いと考えられます。

他にも、試験時間が長い資格であるため、受験当日は業務などを調節しなければなりません。休日を利用するならば、休める時間が減ってしまうことになるため、これもデメリットになってしまうでしょう。場合によっては現地に出向いて試験を受けなければならず、移動時間も拘束されてしまいます。

他の製品においてはスキルを証明しづらい

人気の製品のスキルを証明できますが、他の製品については網羅できていないことがデメリットです。RHELは、独自の考え方を有しているため「Red Hat認定資格を取得=サーバー全般に強い」とは言い切れません。あくまでも資格の対象となる製品についてのみ、十分なスキルを証明できるのです。

開発の現場では、RHEL以外のサーバーOSが利用されることが多々あります。Linux系のサーバーもRHEL以外を利用することがあるでしょう。似ている部分は多くありますが、根本的に違った考えを持つ部分もあるため、技術的には別のスキルとして扱われます。

ただ、資格が武器にならないというだけであり、基本的な知識を持っておいて損はありません。必要に応じて追加でスキルを習得すれば、他のOSも幅広く対応できるはずです。

エンジニアがRed Hat認定資格を取得する方法


エンジニアがRed Hat認定資格を取得したいと考えているのであれば、以下の方法で学習を進めましょう。

トレーニングコースの受講

効率よく学習しRed Hat認定資格に合格したいと考えるならば、公式が提供するトレーニングコースを受講すると良いでしょう。それぞれの認定資格について、推奨されるトレーニングコースが公式で提示されています。それらを受講すれば、認定資格の取得に向けた十分なスキルを獲得できるのです。

例えば「Red Hat 認定システム管理者」で推奨されるトレーニングは「Running Containers with Red Hat Technical Overview」「Red Hat システム管理 」です。多くの場合、複数のトレーニングが推奨されているため、それら全てを受講すると良いでしょう。網羅的に学習することで、資格の取得に際しても幅広いスキルを持って対応できます。

ただ、トレーニングを受けられる施設が少ない点には注意が必要です。Webで検索してみると、いくつかの結果がヒットしますが、場所や回数は限られています。実機を操作しての研修が含まれているため、どうしても受講できる環境が制限されてしまうのです。

書籍の購入

全ての資格についてではありませんが、Red Hat認定資格の学習をサポートする書籍が発売されています。これから取得したいと考えている資格が、書籍になっているならば、こちらを購入すると良いでしょう。主要な資格については、いくつかの書籍が発売されているはずです。

書籍を利用する際は、内容を深く読み込み基本的な内容を理解しなければなりません。また、座学に留まるのではなく、実際にコンピューターを利用して操作することを心がけましょう。Red Hat認定資格には、実機を利用しての試験が含まれているため、それらに対応できるスキルが求められます。

なお、実機での学習を進める際には、Red Hatの公式サイトを参考に準備しましょう。どのようなセットアップ状態で、試験がスタートするのかなどが記載されています。前提条件が間違っていると、学習の意味合いが薄れてしまうため、事前の確認が必要です。

サブスクリプションコンテンツ

様々な技術書籍を提供するO’REILLYは、「Online Learning Platform」と呼ばれるオンラインのサブスクリプションコンテンツを提供しています。これらの中にRed Hat認定資格に関連するものが存在するため、学習の期間だけ契約して活用する方法がおすすめです。日本では発売されていない書籍も公開されているため、資格の取得に役立てられます。

ただ、注意点として、日本で発売されていない書籍は、英語版のものが中心です。英語が得意でないと、理解しづらいかもしれません。本文はコピーできるため、翻訳ツールなどを利用して読み進めていきましょう。

まとめ

Red Hat認定資格について解説しました。Red Hatはいくつもの製品を提供しているため、認定資格を取得することで簡単にスキルを証明できます。

ただ、資格の対象となる製品が多いため、受験にあたっては内容を確認することが重要です。誤ったものを受験すると、歯が立たないまま終わることになりかねません。

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admin