システムエンジニアとプログラマーの違いとは?待遇にも違いが?

システムエンジニアとプログラマーの違いとは?待遇にも違いが?

システムエンジニアとプログラマーはどちらもIT業界の職種であり間違えられやすいものです。「どちらも似たような仕事である」と思われがちですが、これらの職種には明確な違いがあります。

違いについて理解するためには、それぞれの仕事内容や働き方、求められるスキルなどを理解しなければなりません。今回はプログラマーとシステムエンジニアについて解説し、これらの違いについても解説します。

システムエンジニアとは


最初にシステムエンジニアとはどのような仕事を担っているのか理解していきましょう。

クライアントとの要件定義

システムエンジニアが主に担当しなければならないのが、クライアントから要件を引き出すことです。開発の現場では要件定義といわれる作業で、システムエンジニアは主にこの作業を担当します。

クライアントと要件定義を行うにあたっては、幅広く準備をしなければなりません。例えば、クライアントの要件を聞き出すためにヒアリングシートを作成する必要があります。ヒアリング内容が誤っていると要件定義の方向性が異なり、誤ったシステム開発へと進んでしまいます。

また、クライアントと意思疎通を図るために、プレゼンテーションなどの資料作成が必要です。どうしても会話だけや文字だけではスムーズな意思疎通がはかれません。個別に資料を作成することで意思疎通が図りやすくなるため、システムエンジニアはこれらの資料作成を担当します。

なお、プロジェクトによってはシステムエンジニアに加えてコンサルタントが参画しているかもしれません。この場合はコンサルタントも要件定義をサポートしてくれるため、状況に応じて役割分担します。

仕様書の作成

システムエンジニアが要件定義を済ませるだけではシステムは開発できません。プログラマーなどが開発作業に従事できるように設計書を作成する必要があります。この設計書の作成作業までがシステムエンジニアの役割です。

一般的にシステム開発においては「要件定義書」「基本設計書」「詳細設計書」などの設計書を作成します。これらの中でも基本設計書と詳細設計書はプログラマーが開発するにあたって重要な資料であり、システムエンジニアが責任をもって作成しなければなりません。ここで誤りがあると、プログラマーが誤りを含んだシステムを開発してしまいます。

なお、システムエンジニアが作成しますが、最終的にはクライアントなどがレビューする資料です。システムエンジニアの理解だけでは誤りを含んでしまう可能性があるため、要件に詳しい人などが最終的な判断を下します。

システムの運用や保守

システムの要件定義や設計書の作成だけではなく、リリースされてからの運用や保守を担当します。システムは開発して終わりではなく、むしろ開発してからがスタートといえるものです。システムエンジニアがプログラマーと協力して責任を持って運用や保守をしなければなりません。

例えば、システムを快適に利用できるようにリソース状況を監視します。CPUやメモリの状況を把握して、システムの動作に影響が出そうであれば変更などを提案する仕事です。また、ユーザーが誤った情報を登録した場合などに、管理者としてデータを修正することもあります。

システムの運用や保守で注意してもらいたいポイントは、開発に携わったシステムエンジニアが担当するとは限らないことです。運用や保守を専門としているシステムエンジニアが存在するため、そのような人に引き継ぐことも多々あります。システムエンジニアの仕事ではありますが、全ての人が開発から運用や保守まで担当するとは限りません

プログラマーとは


続いてはシステムエンジニアに対しプログラマーとはどのような仕事を担っているのか理解していきましょう。

コーディング作業

ブラグラマーの中心となる業務がコーディング作業です。一般的にはプログラミングと呼ばれる作業で、設計図に基づいてソースコードを書き上げていきます。上記でご説明したとおりシステムエンジニアが各種設計書を作成するため、その内容を踏まえて作業しなければなりません。

基本的には設計書に沿って開発する必要がありますが、時には設計書の内容が曖昧ということが考えられます。そのような状況においては、プログラマーが内容を読み取って適切な実装を検討しなければなりません。また、自分自身での判断が難しい場合は、システムエンジニアに問い合わせるなどの作業も求められます。

また、プログラマーが1人だけのプロジェクトもあれば複数人いるプロジェクトもあります。複数人いる場合は「開発リーダー」などの名称で全体を取りまとめる役割が必要になるかもしれません。このような役割を割り当てられると、自分自身がコーディングしつつ周りのサポートも担当します。

テスト作業

コーディングが完了した後は、バグが含まれていないかテストで評価しなければなりません。 テストは開発において非常に重要な作業であり、プログラマーが責任をもって担当します。

まず、 テストを実施するにあたってはテストケースの作成が必要です。 テストケースの作成にはいくつもの理論があり、それらを踏まえて対応することが求められます。テストケースについては作成後、開発リーダーなど別の人にレビューしてもらう流れです。

テストケースが完成すれば、実際にテストを実施します。一般的にはプログラマーがテストの実施も担当するため、テストケースに沿って進めましょう。テストを実施するには指示にしたがってエビデンスの取得もしなければなりません。

テストが完了すれば終わりではなく、テスト報告書まで作成が必要です。どのようなテストを実施して、どのようなバグが検出されたのかをまとめます。こちらについてもリーダーやプロジェクトマネージャーなどにレビューしてもらい、指摘がなくなれば完了です。

環境構築

システムを開発するにあたってはサーバーなどの環境を用意しなければなりません。これらの環境を用意するのもプログラマーの役割です。

どのような環境を用意するかは状況によって異なりますが、基本的にはプログラミング言語に適したものが求められます。例えば、Web系の開発ならばIISやApacheなどのWebサーバーを用意する必要があるでしょう。時にはこれらのチューニングも必要です。

実際にシステムが運用されるようになる際はサーバーエンジニアなど専門のエンジニアが担当します。しかし、開発の過程ではプログラマーが対応しなければなりません。

システムエンジニアとプログラマーの違い


上記ではシステムエンジニアとプログラマーについてそれぞれ解説しました。続いては上記でのご説明内容を踏まえて、それぞれがどのように違うのか解説します。

業務内容

システムエンジニアとプログラマーは担当業務に違いがあります。システムエンジニアは要件定義から設計を担当しますが、プログラマーは設計書をもとにしたコーディングが中心です。主な業務範囲に大きな違いがあります。

特にシステムエンジニアは作業を担当することがほとんどありません。両方のスキルを持つエンジニアは見受けられますが、基本的にはどちらかしか担当しないのです。一人ですべてをこなす例外を除いて、担当業務は違うと考えましょう。

なお、担当業務は違いますが、開発の過程で連携しなければならないことがあります。完全に独立した役割ではなく、相互に関係のある役割です。

待遇

業務内容に違いがあることから、システムエンジニアとプログラマーは待遇に違いがあります。一般的にはシステムエンジニアの方がプログラマーよりも待遇が良い傾向が見られます。

待遇に違いが出やすい理由は、システムエンジニアとプログラマーで求められるスキルが異なるからです。システムエンジニアはクライアントから要件を引き出し、それを明文化する必要がありますここに高いスキルが求められるため、待遇が良くなりやすいのです。

ただ、近年はプログラマーの単価が上がっていて、高いスキルを持つ人は正当に評価されています。一般的には待遇に違いがありますが、プログラマーでもスキルが高ければシステムエンジニア以上の待遇が期待できます。

スキル

システムエンジニアとプログラマーは求められるスキルに違いがあります。これは要件定義に必要なスキルとコーディングに必要なスキルに違いがあるからです。

まず、システムエンジニアには以下のようなスキルが求められます。

  • ヒアリングスキル
  • クライアントの業務スキル
  • ITスキル
  • ソフトウェア開発に関するスキル

要件定義を担当しなければならないため、幅広いスキルが求められます。IT系のスキルだけではなく、業務に関するスキルも習得しなければなりません。

それに対して、プログラマーには以下のスキルが求められます。

  • プログラミング言語
  • 統合開発環境
  • 各種アルゴリズム
  • フレームワーク

プログラマーは実際にコーディングする立場であるため、コーディングに必要なスキルが幅広く求められます。ただ、幅広いプログラミング言語を習得するのではなく、特定の言語を深掘りするのが一般的です。

これらのとおり、基本的には必要とされるスキルに違いがあります。ただ、実際にはシステムエンジニアもフレームワークのスキルが必要な場面やプログラマーで業務知識が必要な場面があります。

キャリアパス

業務内容に違いがあることからキャリアパスにも違いが出やすくなってきます。

まず、システムエンジニアは要件定義に携わる機会が多いため、このキャリアを伸ばすのが一般的です。例えば以下のようなキャリアパスが考えられます。

  • ITコンサルタント
  • プロジェクトマネージャー
  • ITアーキテクト
  • エキスパート

テクニカルなキャリアパスを選択するかマネジメント的なキャリアパスを選択するかに分類されます。システムエンジニアとしてどのような業務に従事していたかと自分のやりたい仕事に左右されるでしょう。

また、プログラマーは今まで開発してきた経験を活かしたキャリアアップが一般的です。例えば以下のようなキャリアパスが考えられます。

  • システムエンジニア
  • ITコンサルタント
  • 社内IT担当者
  • エキスパート

プログラマーについても開発の道を極めていくキャリアパスと別の道へと進むキャリアパスが考えられます。どちらに進むかによって、その後のキャリアが大きく変化するのです。また、IT企業で働くのではなく、一般企業の社内IT部門などでスキルを活かす人も見受けられます。

将来性

将来性についてはどちらも明るいと考えられます。近年はIT化が猛スピードで進んでいるため、システムエンジニアもプログラマーも一定の需要があるのです。

ただ、どちらも需要が高い状況によりますが、長い目で見るとシステムエンジニアの方がより需要が高いでしょう。最近はノーコードやローコードで開発できるツールが公開されているため、若干ですがプログラマーの需要が下がっています。これが日本中に広がるとさらに需要が下がってしまうかもしれません。

ただ、このようなツールを利用して開発できるシステムは限られています。そのため、極端に仕事が減るかといわれるとそのような状況にはならないでしょう。

システムエンジニアについては、これからも変わらず必要とされます。フルスクラッチでもパッケージ導入でも、上記のようなノーコード開発でも要件定義は必要です。システムエンジニアの需要が減ることはありません

ただ、新しい開発手法としてビッグデータや人工知能が活用されています。これから発展すると、システムエンジニアの仕事内容にも影響してくるかもしれません。

まとめ

システムエンジニアとプログラマーの違いについて解説しました。これらは間違えられやすい職種ですが、業務範囲や必要なスキル、キャリアパスなどいくつもの違いがあります。

業務範囲が異なりそれぞれ重要な役割を担うため、どちらの職種が良いとは一概にいえません。今回ご説明したような違いを踏まえて、どちらが自分に適しているか考えることが重要です。

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admin