Web APIとは?特徴や仕組みについて易しく解説!

現在、当たり前のように利用されている技術にWeb APIがあります。簡単に述べると、HTTPやHTTPSなどの技術を用いて実装されるAPIの一種です。幅広いWeb APIが提供されており、私たちがインターネットを快適に利用するために必要不可欠な存在となりました。
今や当たり前のように利用しているものの、「Web APIとは何なのか?」と気になる人も多いでしょう。今回は、Web APIの基本知識や窓口となるエンドポイントなどについて、やさしく解説します。
Web APIとは
Web APIとは、Web上で提供されるAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を指します。一般的にAPIは、アプリケーションを外部から操作するための仕組みとして利用され、主に別のプログラムから特定のアプリケーションを操作するものです。特定のルールに沿ってプログラムからアプリケーションを操作できるようにすることで、作業の利便性を高めるなどの効果が得られます。
そのため、Web APIを開発することで、異なるアプリケーション間でデータやプログラムを共有しやすくなります。エンジニアは提供された仕様書を確認するだけで、既存のサービスを活用したアプリケーションを開発できるのです。
近年はクラウドサービスの普及に伴い、さまざまなツールやシステムがWeb上で提供されるようになっています。そのため、データのやり取りもWeb上で行う機会が増え、Web APIが当たり前のように利用されるようになってきました。
Web APIの仕組み
次に、Web APIの仕組みを簡単に紹介します。まずアプリケーション(利用するプログラム)からWeb APIを呼び出すと、以下のような流れが発生します。
- APIを利用するプログラムがサーバーへリクエストを送信する
- サーバーがリクエストを確認し、APIの結果を返す
- プログラムは結果を受け取り、後続処理に活用する
Web APIを提供するサーバーに対してリクエストを送ると、サーバー側からHTTPレスポンスとして結果が返ってきます。やり取りの形式は、REST APIとSOAP APIの2種類があり、どちらを選ぶかによって返却される内容の形式が異なります。そのため、利用する際には対応する形式を確認しなければなりません。
Web APIの代表的な2種類
Web APIは、その実装方法によって大きく2種類に分けられます。
REST API (Representational State Transfer
REST APIは、REST(Representational State Transfer)のアーキテクチャを利用して実装されたWeb APIです。HTTPプロトコルを使用して通信を行い、リソースはURIで表現されます。URIで示された内容とHTTPメソッドを組み合わせることで、さまざまな操作ができる仕組みです。
Web APIの中でもHTTPメソッドとURIを採用しているため、既存の規格を拡張したものと言えるでしょう。HTTPは多くのWebブラウザやWebアプリケーションで採用されているため、REST APIは非常に導入しやすいという利点があります。
また、REST APIに沿ってWeb APIを開発していれば、基本的に同じような実装でさまざまなサービスと接続できます。互換性が高いという観点からも、一般的にはREST APIがよく利用される傾向があります。
SOAP API (Simple Object Access Protocol)
SOAP APIは、XMLを用いて作成されたWeb APIです。非常に細かいルールが定められているため、トランザクション管理が必要な場合などで使われることが多いです。ただし、XMLベースのため、どうしても技術的な記述が冗長になりがちです。通信量が増える一因にもなるので、その点は注意が必要でしょう。
Web APIの提供例
続いては、実際にWeb APIがどのようなサービスとして提供されているかを紹介します。
ソーシャルメディア連携
各種ソーシャルメディアと連携するために、Web APIが利用されるケースが増えてきました。例えば、Webサービスを利用する際に「Googleアカウントでログイン」や「Xのアカウントでログイン」などのボタンが表示されているのを見かけるでしょう。これらのログイン形式は、Web APIを活用して実装されています。
具体的には、サイトの運営者はGoogleやXなどが保有するユーザー情報を取得する処理を、Web APIを通じて実装するのです。そして、その情報を自社サービスと連携させることでユーザー認証を実施できるようにします。ユーザーにとっては既存のアカウントでログインできるため、新しいサービスを利用する際の手間が最小限で済むというメリットがあるのです。
Webサービスの拡張
Webサービスを拡張する際にも、Web APIが利用されることが多くなっています。既存のサービスを活用することで、最小限の実装負荷でより良いコンテンツを提供できるからです。
例えば、飲食店を紹介するサイトにGoogleマップが埋め込まれているケースがあります。これはWeb APIを介してGoogleのコンテンツを呼び出しているのです。これにより、サイトの運営者が自前で地図を作成・加工する大きな負担を負わなくても済みます。
こうした「埋め込み」と呼ばれる仕組みには、Web APIが利用されることが増えています。自分のサービスの機能を拡充するうえで非常に便利なため、今後ますます利用が増えていくでしょう。
データ連携
サービス間のデータ連携にも、Web APIが多用されるようになってきました。特にクラウドサービスでのデータ連携においては、欠かせない存在となっています。
例えば、お金の出入りを管理できるクラウドサービスは、金融機関のWeb APIと連携しています。これにより、ユーザーが口座の入出金を手入力しなくても、自動的に取得して反映することが可能となりました。データはアプリケーション側で取得してユーザーが確認するだけとなるため、利便性が大幅に向上します。
現在、多くのクラウドサービスが互いのシステム連携を前提に運用されています。Web APIが普及した今だからこそ実現できる仕組みといえるでしょう。
Web APIを採用するメリット
続いては、Web APIを採用するメリットについて解説します。
新しい機能を追加できる
大きなメリットとして、自分たちのサービスにはない機能を導入できることが挙げられるでしょう。先ほどの例のように、自社で地図を作成するのは難しくても、Googleマップを活用すれば簡単に地図を表示できます。同様に、さまざまなWeb APIを利用することで、次々に機能を追加していくことが可能です。
また、人気のWeb APIは頻繁に機能追加や改修が行われる傾向があり、トレンドに沿った最新の機能を取り入れやすくなっています。繰り返しになりますが、Googleマップであれば、以前より多くの情報を取得・表示できるようになりました。
もちろん、Web APIが停止される可能性があり、追加していた機能が急に使えなくなるリスクもゼロではありません。ただ、トータルで見ると、外部の機能を追加できるメリットのほうが大きいでしょう。
開発コストが削減される
既に開発されているものを利用できるため、開発コストを削減できる点もメリットです。本来なら機能追加のためにコストを割かなければならないところを、別の部分の開発にリソースを回せます。Web APIで提供されていない機能は独自に開発する必要があるものの、全機能を自前で開発する場合と比較すれば大幅にコストを削減できるはずです。
例えば、サービスへのログインにGoogleアカウントを利用する設計にすれば、独自のログイン処理を作成しなくても済みます。本来はユーザーアカウントの管理やパスワード認証など、さまざまな実装が必要ですが、それらをすべて省略できるわけです。
もちろん、これは極端な例であり、必ずしもWeb APIに置き換えれば良いというわけではありません。しかし、できるだけWeb APIを活用することで、開発コスト全般を削減できる可能性が高まります。
業務を効率化できる
データ連携をWeb API化することで、業務の効率化にもつながります。例えば、人事情報が登録されているシステムから、給与支払いシステムへデータを連携すれば、同じ情報を二重入力する手間を削減できるでしょう。入力ミスの防止という面でも、業務効率化に大いに役立つのです。
ただし、データ連携を実現するには、それを前提としたWeb APIを開発・用意する必要があります。クラウドサービスでは、はじめからWeb APIが準備されていることが多いですが、自社開発(スクラッチ)システムの場合は、独自に仕様を設計しなければなりません。多くのWeb APIは仕様が公開されており、それに沿ったインターフェースを作成すれば利用できますが、必ずしも無条件で利用できるわけではない点には注意が必要です。
Web APIを採用する際の注意点
システムやアプリケーションを開発する際は、Web APIを利用することで効率化が可能です。ただ、導入にあたっては注意点もあるため、その点も考慮しておきましょう。
セキュリティを担保する
Web APIを利用する際の重要なポイントとして、セキュリティを担保することが挙げられます。繰り返しになりますが、Web APIはインターネット経由で情報をやり取りする仕組みです。そのため、重要な情報がインターネット上を通過し、場合によっては盗聴されてしまう可能性があります。
このような状況を回避するために、Web APIを利用する際はセキュリティを強化しなければなりません。例えば、通信はすべて暗号化し、第三者が盗聴できないように配慮することが求められます。また、APIを提供している側が十分なセキュリティ対策を施しているかどうかを事前に評価することも重要です。
多くの企業がWeb APIを提供していますが、それらがすべて安全であるとは限りません。基本的にAPIは利用者側の責任が問われるため、事前にセキュリティリスクを評価してから使うようにしましょう。
サービスが終了する可能性がある
場合によっては、Web APIが終了してしまう可能性もあります。これは潜在的なリスクであり、必ず注意しておきましょう。重要な機能を担うWeb APIが終了してしまうと、自身が提供するサービスそのものが使えなくなる恐れがあります。
例えば、前述のようにログイン機能をGoogleに頼っている場合、Google側がWeb APIの提供を終了した途端にログインができなくなるかもしれません。これはサービスにとって致命的な問題となるため、リスクとして把握しておく必要があります。同様に、どのような機能であっても、Web APIが終了することで追加していた機能が一気に使えなくなる可能性があるのです。
使用しているWeb APIが終了してしまった場合は、新しいAPIを探すか、自社で開発するか、いずれにしても対応策を講じなければなりません。どちらの場合も大きなインパクトが生じる可能性があるため、あらかじめ計画を立てておくことが望ましいでしょう。
まとめ
Web APIの基本知識から特徴や仕組み、具体的な活用例について解説しました。近年は当たり前のように利用されている技術であるため、今まで詳しくなかった人はこの機会に理解しておきましょう。
ある程度は完成された技術であるため、これからは「どのWeb APIを利用するか」が重要になると考えられます。利便性やセキュリティなどを見極めて、自身のシステムに組み込んで活用していきましょう。