確定申告書の書き方と3つの注意点を紹介

確定申告書の書き方と3つの注意点を紹介

確定申告書は、会社員とフリーランスで準備する書類や書き方が違ってきます。かなり複雑になっているので、提出するまでに長い時間と労力がかかってしまいます。ただ、提出しなかったり、提出期限に遅れてしまうと、大きなペナルティを受けなければなりません。今回は、ペナルティを回避するため、フリーランス向けの確定申告の書類をどのように書くのかと、多くの人が見落としがちになってしまう確定申告の注意点などを紹介していきます。

どんなものがある?確定申告書の種類

確定申告を行うときに準備する書類である「確定申告書」には、2種類があります。「確定申告書A」と「確定申告書B」という名称となっており、人によって使用するタイプが決まっているのです。確定申告書Aは、会社に勤めているサラリーマンであったり、パートやアルバイトで働いたりする人が該当します。収入の種類が給与所得であったり、その他の雑所得があったりする場合に、確定申告書Aを使用するということになるのです。一方、確定申告書Bは、事業所得や不動産所得などがある人が利用します。フリーランスで働く人であれば、基本的に確定申告書Bを使って確定申告をすることになります。

確定申告書の3つの作成方法とは?

確定申告書を作成する方法は、3種類あります。確定申告書作成コーナーを利用した方法、会計ソフトを使用した方法、手書きによる方法の3つです。それぞれの作成方法について、どのように進めていくのか紹介していきます。

確定申告書作成コーナーで作成する

国税庁の公式ホームページにある確定申告書作成コーナーを利用することで、インターネットで申告書を作成することが可能です。画面に表示される案内通りに金額等を入力していくことで、簡単に申告に必要な書類を作成できます。作成した確定申告書については「e-Tax」を利用して手続きを行うことが可能です。また、確定申告書作成コーナーを利用して作成した申告書を印刷して、開業届に記載した納税地の管轄税務署へ郵送で提出することもできます。国税庁の公式ホームページには、全国の税務署一覧が記載されているので、提出先の住所も簡単に調べることが可能です。

会計ソフトを使用して作成する

会計ソフトの中には、会計の知識がなくても簡単に会計処理ができるものがあります。確定申告を始めて行う人であっても、確定申告に必要な書類を手軽に作成できるのです。クラウド会計ソフトの場合、新しい機能がアップデートにより追加されるので、どんどん使いやすくなっていきます。初心者でも安心して、65万円の特別控除が受けられる青色申告を行うことができるでしょう。多くの会計ソフトに、お試し期間が設けられており、無料で使い心地を試すことが可能です。気に入ったものがあれば、月額料金を支払うことで確定申告の書類作成が可能となります。

申告書を入手し手書きで作成する

確定申告書の手書き作成は、昔から多くの人が行ってきました。紙の確定申告書Bは、税務署で入手することができます。パソコンやスマホを使用する必要がなく、1年間の所得などを自分で計算し、各項目ごとに記入して申告書を作成していきます。ただ、初心者でなくても作成に時間がかかり、どのように記入すればよいのかわからないところも出てきてしまいます。計算や提出をすべて自分で行うので、間違いがないかどうか入念に確認する作業が必要となります。もし、わからないところがあれば、税務署の相談コーナーを利用するようにしましょう。

確定申告書B(第一表)の各項目別の書き方

確定申告書B(第一表)には、自分の生年月日などの情報以外にさまざまな記入欄が設けられています。「収入金額等」「所得金額」「所得から差し引かれる金額」「税金の計算」「その他」などです。どういった項目か、1つずつ紹介していきます。

日付と個人事業主に関する情報の項目

まず、左上にある「日付」の欄には、申告書に記入した日ではなく、申告書を提出する年月日を記入します。計算などで時間がかかる可能性もあるので、提出の目途が立ってから記入しましょう。個人事業主に関する情報として、住所、氏名、生年月日、屋号などを記入する欄があります。屋号とは、実店舗やネットショップなどに付ける名称のことです。住所の欄に関しては、自分が寝泊まりしている住居であっても、事業所や事務所として使っている場所であってもかまいません。他にも、平成28年1月に公布が開始された12ケタのマイナンバーを記入する個人番号の欄もあります。

収入金額等の項目

収入金額等の項目には「事業」「不動産」「利子」「配当」「給与」「総合譲渡」などの記入欄が設けられています。さまざまな記入欄があるものの、すべてを記入する必要はなく、自分の収入に該当する項目だけを記入すればよいのです。フリーランスの場合の収入は、給与ではなく事業収入となるため、事業の欄の「営業等」に記入することになります。ただ、フリーランスとして開業し始めたのが年の途中であり、前職の給与所得があった場合には、給与の欄に給与額を記入しなければなりません。

所得金額等の項目

所得とは、収入で得られた金額から、事業を行うときに発生した経費などを差し引いたものです。よって、フリーランスで得られた収入から経費などを引いた金額を「営業等」の欄に記載することになります。必然的に、さきほどの収入で得られた金額以下になります。所得金額等の項目の一番下には、合計を記載する欄が設けられており、各所得の合計を記入することが可能です。

所得から差し引かれる金額の項目

この項目は、所得から控除される金額を記入していきます。全員一律で受けられる基礎控除や、控除対象となる配偶者がいる場合の配偶者控除、控除対象となる扶養家族がいる場合の扶養控除などがあります。他にも、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除などが所得から差し引くことが可能です。ただ、こういった項目の控除を受けるためには、それぞれの項目に関係する書類を保存しておく必要があるので、早めに準備しておきましょう。控除額をすべて書き終えることができたら、一番下の合計の欄に控除額の合計金額を記入します。

税金の計算の項目

所得税は、所得金額を元に算出される税金です。まず、所得金額等の項目の合計から、所得から差し引かれる金額の項目の合計を引いた値である「課税される所得金額」を記入します。この金額と国の定めた税率との積から、課税控除額を引くことで算出することが可能です。式に直すと「(所得金額-控除の合計)×税率-課税控除額」となります。税率や課税控除額に関しては、国税庁の公式ホームページに記載されているので、簡単に確認することが可能です。住宅借入金等特別控除などがあれば、記入をすることで、所得税が減額されます。

その他の項目

配偶者特別控除を受けている場合に記入しなければならない「配偶者の合計所得金額」や、青色申告決算書に記入した「青色申告特別控除」の金額を書く欄があります。また、家族と一緒に働いている場合、家族に支払った給与は青色申告では経費にすることが可能です。支払った金額を「専従者給与額の合計額」の欄に記入することになります。その他の欄よりも下にあるのは「延納の届出」という項目で、所得税が何らかの理由で支払えない場合に、この項目を利用することで延納の手続きが可能となるのです。申告までに支払える金額と、延納する金額を記入します。

確定申告書B(第二表)の各項目別の書き方

確定申告書B(第二表)にも、さまざまな項目があります。所得の内訳や雑所得に関係する項目、控除に関するものや事業専従者関係の事項、そして、住民税・事業税の項目などがあるのです。それぞれの項目を紹介していきます。

住所・氏名の項目

住所の記入欄には自分が暮らしている住所を記入し、氏名の記入欄には自分の氏名か、自分の経営する店舗やネットショップなどの屋号を記入します。屋号がないときは、自分の氏名だけでも問題ありません。ただ、こういった書類は記入漏れがあったり、記入ミスがあったりすると、手続きができないこともあります。よって、住所の番地などの書き方を間違えないように、登記簿謄本などの書類で再確認することをおすすめします。また、氏名を記入するときには、カタカナでフリガナを記入することも忘れないようにしましょう。

所得の内訳の項目

所得の内訳には、5つの項目があります。「所得の種類」は、営業所得や給与所得などの所得の種類を記入する項目です。「種目・所得の生ずる場所又は給与などの支払者の氏名・名称」は、自分に報酬を支払った会社名や人の名前を記入します。その隣の「収入金額」は、もらい受けた報酬金額を記入する項目です。「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」は、さまざまな所得から源泉徴収された金額を記入します。そして、最後に「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の合計額」は、第一表の44番で記載した源泉徴収税額の合計と同じ金額を記載する項目です。

取引をしているところが多く、3行で収まらない場合は「所得の内訳書」を別途準備して、記載していくことができます。所得の内訳書は、国税庁の公式ホームページから簡単にダウンロードすることが可能です。

雑所得などに関する事項の項目

公的年金等以外の雑所得、総合課税の配当所得、総合課税の譲渡所得、一時所得があれば、記入する項目です。所得の種類とそれぞれの収入金額、その収入を得るためにかかった経費を記入し、収入金額から経費を差し引いた金額を算出していきます。「種目・所得の生ずる場所」は、支払った会社名などを記入する項目です。もし、所得の内訳で記入した名称と同じなら、「上記の通り」と記載することもできます。

所得から差し引かれる金額に関する事項の項目

所得控除を受ける場合に記載する項目です。所得から差し引くことができる項目としては、雑損控除や医療費控除などがあります。雑損控除とは災害や盗難、横領などによって、資産に損害が発生したときに受けることができる所得控除です。損害年月日や損害金額、保険をかけていた場合の保険金などで補填される金額などを記入していきます。もし、該当するような控除がないのであれば、記入する必要はありません。

事業専従者に関する事項の項目

フリーランスとして働いている人の中には、家族と一緒に働く人も少なくありません。このように納税者と生計を一としている配偶者や15歳以上の親族などが、年間6カ月以上、納税者と同じ事業に従事している人のことを事業専従者といいます。事業専従者の氏名や生年月日、個人番号などを記入していきます。もし、事業専従者がいないのであれば、記入する必要はありません。

住民税・事業税に関する事項の項目

住民税の項目には、配偶者や16歳未満の扶養親族の氏名、個人番号、続柄、生年月日などを記入していきます。別居の場合の住所の項目もありますが、同居している場合は記入する必要はありません。事業税の項目には、非課税所得を記入する欄や、他の都道府県に事務所があるかどうかを記載する欄があります。「非課税所得など」は、事業を複数兼業している場合や、非課税所得がある場合に所得金額を記入する欄です。また、不動産所得がある場合は、不動産所得から差し引いた青色申告特別控除額を記入する欄となっています。

確定申告書を作成するときのポイント

税務署では電話や窓口で、確定申告の書き方などを相談をすることが可能です。税務署によっては、税務署内だけではなく税務署外に相談会場を設けているところもあります。確定申告書の書き方がわからないときには、こういった税務署の相談窓口を利用することで、スムーズに作成することが可能です。また、作成した確定申告書を提出するときに、不安なところがあるようなら、その場で担当者に確認してもらうこともできます。書類の作成が滞ってしまうようなら、ひとりで悩まずに疑問点を明確にしてから、相談窓口に行ってみましょう。

確定申告書を書くときの2つの注意点とは?

確定申告書を税務署に提出するときに、注意しなければならないことが2つあります。1つは、印鑑の押し忘れやマイナンバーの記入漏れです。そして、もう1つは提出期限を守る必要があるところです。

印鑑の押し忘れやマイナンバーの記入漏れに注意する

確定申告書Bの第一表には、右上の方に押印欄があります。この押印欄に印鑑を押し忘れる人が多く、特にインターネットを使って申告書を作成したときに見落としがちになってしまうので、注意しなければなりません。また、平成29年より申告書にマイナンバーを記入しなければならなくなったため、個人番号の欄に忘れずに記入するようにしましょう。マイナンバーを記入しなかった場合、税務署に申告書を提出したあとに連絡がくる可能性があります。

提出期限に遅れないように早めに申告書を作成する

確定申告書の提出には期限があります。この提出期限に遅れてしまうと、延滞税がかかってしまったり、期限内申告が要件である青色申告特別控除が受けられなくなったりしてしまうのです。確定申告に必要な書類の作成や手続きは、普段の仕事と違って機会が少ないため、億劫になってしまう人が少なくありません。確定申告を行う期間には、通常の業務を行いながら確定申告の準備をしなければならないので、非常に忙しくなってしまいます。業務が忙しくなってしまえば、書類の作成が後回しになり、提出期限に遅れてしまう可能性も出てきてしまいます。提出に遅れないように、普段の業務があることを念頭に置き、スケジュールに余裕を持って早めに取り組むようにしましょう。

確定申告書の書き方は事前に把握しておこう!

確定申告書を作成するときにわからないことがあれば、税務署の相談窓口などを活用することで解決できます。ただ、確定申告をしなければならないくらい報酬を得なければ、フリーランスとして働き続けることは難しいでしょう。よって、しっかりと収入が得られる仕事を見つけていかなければなりません。「案件ナビ」では、フリーランスエンジニア向けのさまざまな案件を紹介しています。非公開案件や多数の高額案件も紹介しているので、無料の新規会員登録をしてみてはいかがでしょうか。


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