IoTエンジニアとは|年収、将来性、必要スキルを徹底解説

IoTエンジニアとは|年収、将来性、必要スキルを徹底解説

IoTエンジニアとは、IoT関連のデバイスやシステム、根本となる技術を開発するエンジニアです。多くの場合、すでに開発されているIoT技術を利用した開発などに関わりますが、新しくIoTデバイスを開発することもあります。これら業務範囲の切り分けは明確ではないため、どちらもありえると理解しておくと良いでしょう。

基本的には、IoTデバイスを操作するためのシステムを開発します。その点では、一般的なシステムを開発するエンジニアやプログラマーと近いと考えて良いでしょう。ただ、IoTデバイスを利用するため、それぞれのデバイスが持つ固有の仕様について理解が必要です。

また、デバイスの開発に関わる場合は、センサーの仕組みなどを理解しなければなりません。一般的なプログラマーよりも、物理的な仕組みについて深い理解が求められます。とはいえ、このような物理的な開発は一部に限られているため、システムエンジニアに近いものとして考えれば良いでしょう。

IoTエンジニアの担当業務


デバイスを活用するためにいくつもの業務を担当するため、それぞれについて解説します。

IoTプロジェクトの企画

IoTデバイスを利用して、どのようなサービスを提供するかの企画が必要です。一般的には、ここで発議された企画の内容を踏まえて、どのようなシステムやアプリケーションを開発していくか決定します。

ただ、企画において重要となるのは「IoTデバイスがすでに存在するか」です。すでに存在する場合は、それぞれのデバイスが持つ機能を活用したシステムやアプリケーションを企画します。場合によっては、既存のアプリケーションをリニューアルするような形となり、比較的スムーズに進められるでしょう。しかし、存在しない場合はデバイスの企画からスタートしなければならず、非常に難易度が高まります。

もし、デバイスの企画からスタートする場合は、IoTエンジニア以外にも多くの人が関わるでしょう。場合によっては、会社の経営に大きなインパクトを与えるため、管理職が参画することも十分に考えられます。

システムやアプリケーションの設定

開発の概要が決定したならば、具体的に設計フェーズへと進みます。改めて要件定義を実施し、そこから基本設計や詳細設計へと進まなければなりません。一般的な開発工程であり、IoTエンジニアであるからといって、特筆すべき工程は発生しないと考えて良いでしょう。

ただ、IoTエンジニアの場合は、それぞれのデバイスが持つ機能について理解することが重要です。場合によっては、既存の機能だけでは実現できない要望が含まれているかもしれません。デバイスの開発から必要ならば、IoTエンジニアができるだけ早く気づき、関係者へフィードバックしなければなりません。

プログラミング・実装

設計が完了し管理者のレビューが完了すれば、プログラミング作業へと進みます。ここで実装を進め、最終的なアウトプットを作成するのです。スマートフォン向けのアプリを実装することもあれば、パソコンで利用するWebアプリケーションを実装することもあるでしょう。特定の業務のために、デスクトップアプリを実装することも考えられます。

なお、IoTエンジニアの担当業務ではありますが、プログラマーに依頼することも多い部分です。事前に要件定義や設計作業だけ済ませておき、後はプログラミングの専門家に依頼します。IoTエンジニアがプログラミングに長けているとは限らず、役割分担した方が効率的な場合もあるのです。

なお、実装した後はテストを実施しなければなりません。IoTエンジニアが実装した場合は自分でテストも担当し、管理者に結果をレビューしてもらいます。もし、プログラマーに依頼している場合は、プログラマーのテスト結果をIoTエンジニアがレビューしなければなりません。進め方によって担当する業務に違いがあるため、そこは理解が必要です。

維持・保守

システムやアプリケーションは開発して終わりではなく、継続的な維持・保守作業が必要です。この部分にもIoTエンジニアが必要とされます。

まず、どのような流れや体勢で対応するのか検討が必要です。一般的には、管理する対象の規模に応じて対応人数などが決定されます。規模が大きければ、それだけ多くのエンジニアなどが必要となるのです。

また、IoTエンジニアを中心に運用するかどうかの検討も必要です。一般的には、運用は運用担当者の業務であり、IoTエンジニアはサポートに徹します。しかし、重要なシステムやアプリケーションならば、いち早く対応できるように、IoTエンジニアが常に待機する体制にしなければなりません。

IoTエンジニアに必要なスキル


IoTエンジニアには、専門的な内容を含め幅広いスキルが求められます。どのようなスキルが必要となるか、以下で理解していきましょう。

IoTの基本スキル

IoTの基本的なスキルを習得していなければ、エンジニアとして活躍することは不可能です。進化の激しい世界ではあるものの、できるだけ新しい情報をキャッチアップして、自分のものにしていかなければなりません。

例えば、新しいデバイスについての理解が必要です。どのようなセンサーが利用され、どのような情報を収集できるようになったのか把握することが求められます。また、新しいデバイスを利用して、物理的にどのような行動を起こせるようになったかの認識なども必要です。

また、システムやアプリケーション開発のトレンドなども理解しなければなりません。近年は、ビッグデータ解析などのトレンドが見受けられます。IoT開発の世界にもこのようなトレンドが流れ込んでいるため、基本的な知識として習得する必要があるのです。

プログラミング言語やフレームワーク

実装も担当するIoTエンジニアになるためには、プログラミング言語やフレームワークの理解が必須です。担当業務が設計までの場合でも、プログラマーとの共通認識を持つために、理解できていると良いでしょう。

必要となるプログラミング言語は、実装するシステムやアプリケーションの種類によって異なります。例えば、パソコンで使うアプリケーションならばC#、スマートフォンで利用するアプリケーションならばKotlinが利用されるはずです。状況に応じて、必要な言語を習得しておくと、活躍の幅を広げられます。

また、実装作業を効率化するために、フレームワークが利用されるかもしれません。もし、利用する機会があったり現チームで活用したりしているならば、フレームワークも習得しておくべきです。

組み込み開発

IoTは、一般家庭で利用する家具や家電、工場で利用するロボットなどに導入される技術です。つまり、機械と組み合わせて利用することが多いものであり、組み込み開発のスキルも持たなければなりません。組み込み開発とは、機械などに導入して制御するためのプログラム開発だと理解すれば良いでしょう。

組み込み開発は、パソコンやスマートフォンのアプリ開発とは異なり、リソースが制限される傾向にあります。例えば、少ないメモリで効率よく動作するロジックを検討する必要があるのです。一般的な実装とは大きく異なる部分があります。

もちろん、IoT開発の中でもパソコンやスマートフォンを前提としているならば、組み込み開発のスキルはそこまで求められません。多くのスキルを持つと、覚えるべきことが増えてしまうため、ここは取捨選択が必要です。

ネットワーク・セキュリティ

各デバイスとサーバーなどを接続する必要があるため、ネットワークに関するスキルが必要です。単純にネットワークを構築するだけではなく、効率よくデータを転送するためのアルゴリズムなども理解しなければなりません。デバイスによっては、大量のデータを取得して転送することがあるため、ネットワーク系のアルゴリズムも十分に理解することが求められます。

また、ネットワークと同時に理解しておきたい技術としてセキュリティが挙げられます。特に、デバイスをインターネット経由で接続する場合は、通信内容が盗聴されないように配慮しなければなりません。通信の暗号化などを活用し、可能な限り安全に転送することが求められます。

なお、ネットワークもセキュリティも専門的なエンジニアが支援してくれるケースがあるでしょう。規模が大きなIoT開発では、別のエンジニアに任せることになるかもしれません。

AI・機械学習

近年は、IoTデバイスで収集したデータをサーバーへと連携し、そこでデータ解析するケースがあります。例えば、工業機器のセンサーから得られた情報を収集し、不良品の発見などに役立てるのです。このような需要が増えたことで、AIや機械学習についてのスキルも求められています。

広義にはいくつものスキルを含みますが、IoTエンジニアはビッグデータ解析に対応できれば良いでしょう。例えば、大量のデータを分析して、その中から特定の傾向を見つけ出すのです。人間には発見が難しくとも、機械学習によって見つけ出せることはあります。

また、IoTデバイスと連携してAIに何かしらの処理を実行させるケースも増えてきました。複雑なAIはAIエンジニアが開発しますが、AIとの連携部分はIoTエンジニアが担当するのです。そのため、AIとの組み合わせについてのスキルも必要だと考えておきましょう。

IoTエンジニアの年収は650万円程度


エンジニアの中でもIoTエンジニアの年収は高く、650万円程度が相場になりつつあります。一昔前は550万円から600万円程度であったため、年収は増加している状況です。求人を確認してみると、これ以上に年収が高いものも存在し、さらに増加すると予想されます。

このように年収が高まっている背景には、IoTエンジニアに求められるスキルが多様化していることが挙げられます。以前はIoTについてのみ理解できていれば良かったのですが、現在はAIなど関連するスキルの習得も必要です。レベルの高いエンジニアを確保する必要があり、全体として年収の相場が高まっています。

IoTエンジニアの需要や将来性

これからIoTエンジニアとして活躍したい人に向けて、需要や将来性について考察していきます。

IoTエンジニアの需要

次々とIoTデバイスが開発されていることに伴い、IoTエンジニアの需要は高まっています。今までは、システムやアプリケーションを開発するエンジニアが求められていましたが、現在はデバイスの開発にも一定の需要があるのです。ただ、デバイスの開発とアプリケーション的な開発は大きく異なるため、どちらも需要が高いとはいえども、棲み分けされています。

とはいえ、デバイスの種類が増えている状況を鑑みるとシステムやアプリケーションを実装するIoTエンジニアの需要が高いと考えて良いでしょう。優秀なデバイスが生み出されても、その機能を活かせるシステムやアプリケーションがなければ、ユーザーは利用できません。そのため、需要としてはエンドユーザーへと届ける側に集中しやすいのです。

IoTエンジニアの将来性

IoTエンジニアの需要が高まっている状況を踏まえると、将来性は明るいと考えられます。多くの現場でIoTエンジニアが求められるようになり、幅広く活躍できるでしょう。求められるスキルは複雑になっていますが、年収は増加傾向にあり、魅力的な環境が整っています。

注意点として、IoTのようなデバイスと関わりが深い分野は、デバイスの進化による影響を受けやすくなっています。革新的なデバイスが生み出されると状況はいきなり変化するため、そこだけは注意が必要です。

まとめ

IoTエンジニアとはどのような役割であり、担当業務には何が含まれるのか解説しました。また、必要となるスキルや年収、将来性についても解説しています。基本的な内容について、理解してもらえたのではないでしょうか。

現状、IoTは幅広い家庭や企業で活用されていて、現在でも新しい仕組みが生み出されている状況です。その点を鑑みると、IoTエンジニアの需要は高く、将来性は明るいといえるでしょう。年収も需要の高まりとともに上昇すると予想されます。

ただ、進化が激しい分野ではあるため、これからどのようなIoTが生み出されるかには注目が必要です。時代の変化をキャッチして、常に追いつけるようになりましょう。

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admin