シニアエンジニアの現状|年収・業務内容は?
最近注目されているエンジニアの種類にシニアエンジニアというものがあります。「シニア」と聞くと年老いたという意味を想像してしまうかもしれませんが、実際には上級者という意味もあります。つまり、必ずしも年老いているとは限りません。
エンジニアの世界ではどちらの意味でも利用され「長く働いていることでスキルの高いエンジニア」を指す場合もあります。今回はシニアエンジニアの捉え方と年収や業務内容などについてご説明します。
ふたつの意味を持つシニアエンジニア
冒頭でもご説明したとおりシニアエンジニアはふたつの意味を持ちます。文脈によってどちらの意味で利用されるかは異なるため、どちらについても理解しておくことが重要です。まずはシニアエンジニアの意味をそれぞれご説明します。
高いスキルを持つエンジニア
シニアには「上級者」という意味が含まれていることから、シニアエンジニアはレベルの高いエンジニアを指す場合があります。他の業界でも「シニアコンサルタント」「シニアマネージャー」などの役職が見受けられるため、同じような言い回しだと理解しておきましょう。
上級者を意味した言葉ではありますが、具体的なレベルの定義については定められていません。他と比較して相対的にレベルが高い人をシニアエンジニアと呼ぶ傾向にあります。自分でシニアエンジニアを名乗るのではなく、企業やプロジェクトが相対的にレベルの高いエンジニアをシニアエンジニアとして確保するのです。
明確なレベルの定義はないものの、エンジニアとして高いスキルが求められるのは間違いありません。シニアエンジニアという考えが設けられたことで、エンジニアはさらなる高みを目指せるようになったのです。エンジニアとしてキャリアアップするためにスキルアップを続ければ、シニアエンジニアとして評価されるのです。
年齢を重ねたエンジニア
一般的にシニアと言えば年齢を重ねている人のことを指します。そのため、シニアエンジニアは比較的年齢を重ねているエンジニアのことを指す場合があります。
そもそも、エンジニアは多忙であり体力面に負担がかかることから、35歳定年説が唱えられていました。現場で働けるのは35歳までで、それ以降はマネージャーなどになるか別の職につくと考えられていたのです。
しかし、あくまでもこれは現場で言われているだけであり、実際には35歳を過ぎて働くエンジニアは多数います。会社にもフリーランスにも多数見られる状況で、今やエンジニアに年齢の壁はないといえるぐらいです。結果、年齢を重ねたシニアエンジニアが増えています。
なお、シニアエンジニアの年齢層に具体的な基準はないものの、40歳程度からシニアエンジニアと呼ばれる傾向にあります。これはエンジニアの35歳定年説が根強く残り、35歳を過ぎるとエンジニアは古株に分類されるからです。一般的なシニアの感覚とは異なるため、エンジニア特有の考え方だと認識しておきましょう。
また、今回はシニアエンジニアをこちらの「年齢を重ねたエンジニア」としてご説明を続けます。高いスキルを持つエンジニアについては触れないため、その点はご了承下さい。
関連記事:35歳限界説とは|エンジニアが長く働き続けるためにすべきこと
シニアエンジニアの現状
シニアエンジニアについてのご説明が完了したところで、続いてはシニアエンジニアの現状についてご説明します。状況を正しく認識することが活躍することに繋がるため、どのような状況であるのか理解していきましょう。
IT人材は高年齢化が進む
一般的には「IT業界=若い人ばかり」と認識されているようです。確かに年齢が若い人が多く、そのような人が目立っているのは間違いありません。ただ、あくまでも目立つ人が多いだけであり、IT業界は高年齢化が進んでいます。
そのような状況であるため、IT業界にはシニアエンジニアが年々増えています。経済産業省の調査でもIT業界の高年齢化が示されていて、企業はその対応について検討を迫られている状況です。大手企業などシニアエンジニアの絶対数が多い場合は、様々なことを考えなければならないでしょう。
とはいえ、シニアエンジニアが増えている状況は受け入れるしかありません。その状況を踏まえてどのような人材配置をするかが重要となっています。
シニアエンジニアの活用が増える
企業としてはシニアエンジニアが増えている状況を踏まえ、積極的に活用する傾向が見られます。若手ばかりを起用するのではなく、積極的にシニアエンジニアを活用する人材配置としているのです。シニアエンジニアを適切な場所に配置することで、業務の効率が高まったり品質が上がったりするためです。
特にエンジニアを長く経験している場合は、若い世代にはないスキルを持っています。「ITのスキル=最新のもの」と考えるのは間違いであり、シニアエンジニアだからこそ持つものがあるのです。特にシステム開発に関するナレッジなどが、シニアエンジニアが持つスキルとして求められます。
シニアエンジニアの中には「自分が活躍できる場所はない」「若い世代に負けてしまう」などと考えている人がいるでしょう。このような不安を持ってしまうのは不思議なことではありません。しかし、現在は積極的にシニアエンジニアを活用する企業もあるため、イメージだけで物事を考えてはなりません。
シニアエンジニアを避ける企業もあるため注意
ご説明したとおり、シニアエンジニアを活用する企業が増えています。ただ、逆にシニアエンジニアを積極的には受け入れしていない企業も存在します。どちらの企業も存在する点は注意しておかなければなりません。
シニアエンジニアを活用しない理由は様々ありますが、例えば以下が挙げられます。
- 新しいスキルに対応できない
- 人間関係が構築できない
- 単価が高くなりやすい
- 体力面で不安がある
- コミュニケーションギャップが生じる
あくまでもイメージにすぎませんが、このような認識があるためにシニアエンジニアを活用していないようです。確かに、新しいスキルについては不安があるかもしれませんが、スキルアップしているエンジニアも数多くいます。一概に決めつけるのは良くないでしょう。
ただ、体力面など一般論で考えてやむを得ないと考えられる理由もあります。また、若い人材が多い環境ではシニアエンジニアが馴染みにくいという配慮もあるでしょう。プラスの意味でもマイナスの意味でもシニアエンジニアを利用しない企業があるのです。
シニアエンジニアの業務内容
シニアエンジニアが置かれている状況についてご説明したため、イメージは持ってもらえたでしょう。続いてはシニアエンジニアにどのような業務が求められているのか、業務内容についてご説明します。
プログラミングなど各種開発
エンジニアとして各種開発業務を担当します。エンジニアのすべてがプログラミングをするわけではないものの、プログラミングを担当するシニアエンジニアは多くいます。プログラミングのために、各種プログラミング言語やフレームワークのスキルを身に付けなければなりません。
担当する業務内容は非常に幅広く、新規開発もあれば既存システムの改修もあります。中には今までの経験を活かせるものもあり、そのような開発現場に参画できればシニアエンジニアとして重宝されるでしょう。経験がなければ難しいシステム開発も存在するため、シニアエンジニアがいることで開発効率が高まる可能性があります。
逆に、今までの経験とは全く関係のない開発に参画する場合もあります。そのようなシステム開発の場合は、開発に備えてスキルアップが必要です。プログラミングの基本的なスキルを活かしつつ、新しいスキルの習得が求められます。
ネットワーク・データベースなどのインフラ
エンジニアとしてネットワークやデータベースなどインフラのスキルも求められます。プログラマーではなくシステムエンジニアとして活躍する場合は、これらの業務を担当するケースが多いでしょう。
ネットワークについては昔から基本的な考え方は変化していないため、シニアエンジニアでも活躍しやすいはずです。ただ、最近はクラウド環境を利用する企業が増えていて、その場合はクラウドに関するスキルの習得が求められます。
また、データベースは利用する製品によって進化の状況が大きく異なります。今までの経験が活かせるものもあれば、Oracleのように数年前の製品とは大きく仕様が異なるものもあります。必要に応じて新しいスキルを身につける必要があるでしょう。
要件定義
今までの経験を活かして要件定義を担当する可能性があります。要件定義はコンサルなどが担当するケースもありますが、経験を積んだシニアエンジニアなどが担当する場合もあるのです。
要件定義はシステムや業務に関する深い理解が求められます。若手のエンジニアだけでは対応するのが難しい場合もあり、シニアエンジニアが重宝される部分です。特に専門的なシステムの開発経験があれば、同様のシステム開発で重宝されます。
要件定義の基本的な流れは昔から大きく変化していません。エンジニアとして様々なシステムの要件定義をしてきたならば、その経験を存分に活かせるのです。
プロジェクトマネジメント
何かしら開発をするのではなく、プロジェクトマネジメントをする場合もあります。プロジェクトマネジメントはプロジェクトマネージャーが担当するケースが多いですが、エンジニアが兼務するケースも多く見受けられます。
プロジェクトマネジメントは、人材の配置やコストの管理などが中心です。また、各種リスクの管理やベンダーコントロールなども含まれます。これらの中でもリスク管理は今までの経験が問われる部分であり、シニアエンジニアで経験が多ければ重宝されるでしょう。
一般的にプロジェクトマネジメントには経験が必要とされ、エンジニアの中でも経験の多い歳を重ねている人が担うケースが多くあります。シニアエンジニアがプロジェクトマネジメントを担うのは不自然ではなく、むしろ経験が求められているはずです。
シニアエンジニアの年収
具体的なシニアエンジニアの業務内容についてご説明しました。シニアエンジニアは多くの業務を担う可能性があり、年収はその業務によって左右される部分が大きいです。続いては、シニアエンジニアの年収についてもご説明します。
年収は高くなりやすい
日本では年功序列制の考え方があるため、シニアエンジニアは単価が高くなりやすい傾向にあります。その傾向はシニアエンジニアが嫌われる理由にもなりかねませんが、年齢相応の単価が示されやすくなっています。
ただ、具体的な単価については対応する業務内容によって異なります。プログラマーとして活躍する場合は利用するプログラミング言語やフレームワーク、開発の規模によって左右されるのです。単価の相場が低いプログラミング言語については、シニアエンジニアでも年収が低くなってしまいます。
基本的に年齢が高ければ単価も高くなる傾向にあります。ただ、その年齢で期待されるスキルがなければ単価には反映されません。シニアエンジニアに求められるスキルがあれば、比較的高い年収が期待できると考えましょう。
年下より年収が低いこともある
環境によっては年下よりも年収が低くなる可能性もあります。年齢だけが年収を決めるわけではない点は考慮しておきましょう。スキルが評価された結果、低めの年収が提示されるかもしれません。
ただ、年収については企業の方針次第であるため、一概に良いとも悪いとも言い切れません。条件に納得できないならば、違う環境を探すしかないのです。年齢だけが評価につながるのではなく、その他の要素も加味される点は頭に入れておきましょう。
関連記事:ITエンジニアの年収|職種、年齢ごとの年収早見表!
まとめ
今回はシニアエンジニアについてご説明しました。状況によって2つの意味があるため、どちらの意味で利用されているのかはその都度判断するようにしましょう。意味を取り違えるとトラブルになってしまう可能性があります。
なお、今回は年齢を重ねている意味でのシニアエンジニアについてご説明しました。IT業界は35歳定年説などが囁かれていましたが、現在は状況が変化しています。年齢を重ねたエンジニアも活躍の場があるため、エンジニアとしての仕事を諦めてはなりません。
ただ、業務内容や年収については状況によって大きく変化します。若い時とは働き方が異なる可能性があるため、その点は頭に入れておくと良いでしょう。