C言語とC++、C#、Objective-Cの違いとは

C言語とC++、C#、Objective-Cの違いとは

プログラミング言語の中でも非常に多く利用されているのが「C言語」です。皆さんの中にもC言語という名前を聞いた経験がある人は非常に多いはずです。もはやエンジニアでなくとも聞いた経験がある人がいるぐらいです。

このC言語と似た名前のプログラミング言語に「C++」「C#」「Objective-C」があります。これらはC言語と異なると理解できている人は意外と少ないようです。今回はC言語、C++、C#、Objective-Cの違いと関係性を改めて解説します。

C言語とは?

最初に今回ご説明する全てのプログラミング言語に関わるC言語を理解しましょう。C言語が理解できていなければ他の言語の理解が捗りませんので、C言語について詳しくご説明します。

C言語の概要

C言語は1972年にAT&Tベル研究所と呼ばれる場所で、ブライアン・カーニハンとデニス・リッチーが開発したプログラミング言語です。プログラミング言語の中では比較的歴史の長いものでありながら、現在でも現役で開発に利用されています。

実際、「TIOBE Index for April 2021」と呼ばれるプログラミング言語の人気・利用状況ランキングを見ると、C言語は1位に君臨しています。2020年は2位でしたが、2021年には1位になっていますので今でも多くの需要があり注目されていると考えられます。また、C言語には資格も様々あり、需要に応えられるよう専門的に学ぶこともおすすめの言語です。

参照:TIOBE Index for April 2021
関連記事:C言語の資格とは?資格の種類、それぞれの難易度・勉強方法を解説

C言語はコンパイルが必要なプログラミング言語です。コンパイルが必要なプログラミング言語は、処理速度が早い特徴があります。他のプログラミング言語よりも高速なアプリケーション開発が可能となり、その点が今でもC言語を活用する理由ともなっています。

C言語の特徴

C言語はいくつもの特徴を持つプログラミング言語です。具体的には以下のような特徴が挙げられます。

  • 処理が高速
  • 利用用途が広い

それぞれご説明します。

処理が高速

プログラミング言語の中でも、処理速度が高速です。コンパイルして利用するプログラミング言語は高速なものが多く、C言語はそれらの中でも特に高速である特徴を持ちます。

また、C言語の処理が高速である背景には、プログラムが軽量であることが挙げられます。ソースコードやコンパイル後の容量が大きいと徐々に速度を遅くしてしまいますが、C言語ではあまりそのような問題が起きません。軽量かつ高速で動作する特徴があるのです。

利用用途が広い

C言語は利用用途の広いプログラミング言語です。具体的には後ほどご説明しますが、皆さんがイメージするソフトではもちろん、OSや組み込みソフトウェアまで開発できます。

様々な用途に利用できるのは、C言語が高速で軽量なプログラミング言語であるからです。上記で説明したような特徴があるからこそ、様々な用途で利用できるようになっているのです。数あるプログラミング言語の中でも、用途は広いと言えるでしょう。

もちろん用途が広いといえども、全てのソフトウェアを開発できるわけではありません。C言語では開発できないものやC言語での開発に適さないものもあります。万能なプログラミング言語ではありませんので、特徴を勘違いしないように注意しておきましょう。

C言語の開発例

C言語で具体的にどのようなものが開発されているのかイメージを持っておきましょう。様々なプログラムを開発できますが、ここでは代表的なものをご紹介します。

ロボット・機器

ロボットや機械を動かすためのプログラムを開発できます。一般的には組み込みソフトウェアと言われるもので、比較的軽量なプログラムが多くなっています。

組み込みソフトウェアとは、家電製品などに搭載されるソフトウェアを指します。例えば電子レンジを利用すれば、ボタンを押すことで様々な動作をさせられます。このような制御にC言語で作られたソフトウェアが利用されている場合があるのです。他にも工場で動作するロボットにC言語のソフトウェアが搭載されている場合もあります。

特徴でご説明したように、C言語は軽量かつ高速に動作します。そのため、少しのリソースでソフトウェアを動かしたい組み込みソフトウェアの開発に適しています。シンプルなプログラミング言語だからこそ、開発しやすいといっても良いでしょう。

関連記事:組み込みエンジニアとは?必要なスキル・将来性をチェック!

ソフトウェア

一般的なソフトウェアの開発にも利用されます。こちらは上記でご説明した組み込みソフトウェアではなく、パソコンなどで利用するソフトウェアを指します。

例えばC言語を利用して数値演算に関するソフトウェアを開発できます。複雑な演算を駆使して処理するようなプログラムを作成できます。また、 Webアプリケーションと呼ばれるものもC言語で開発できます。

ただ、C言語単体ではリッチユーザーインターフェイスを作るのに適していません。そのため、ソフトウェアを開発する際は他のプログラミング言語と組み合わされる場合があります。画面部分と処理部分を異なった言語で開発するのです。

OS

パソコンやスマートフォンなどの機器を制御する、OS(オペレーティングシステム)が開発できます。上記でご説明した組み込みソフトウェアと似たような要素はありますかが、OSはさらに複雑なものです。

OSはパソコンなどを動かす基盤になりますので、可能な限り軽量であることが求められます。OSの動作が重たいとパソコンなどが全体的に重くなり、利便性が悪くなってしまうのです。

特徴でご説明したとおり、C言語は比較的軽量なプログラミング言語です。そのためこちらでOSを開発すれば、軽量なものを生み出しやすくなります。C言語の特徴を生かしてOSは開発されているのです。

C言語とC++・C#・Objective-Cの違いとは?


C言語がどのような言語であるのかは皆さん理解いただけたでしょう。基本的な言語の内容を理解していただいたところで、続いてはC++・C#・Objective-Cとの違いや関連性を理解していきましょう。

C言語とC++・C#・Objective-Cとの違いや関連性を簡単にまとめると以下のようになります。

  オブジェクト指向 C言語との関連性 特徴
C言語
  • オブジェクト指向ではない
  • プログラミング言語の人気・利用状況ランキング1位
  • 組み込みソフトウェアの開発やOSの開発に用いられる
C++ 非常に高い
  • C言語にオブジェクト指向を追加したもの
  • C言語のような開発もできる
  • C言語で開発していたものを、そのままC++の環境に移行させて利用できる
C# 関連性はない
  • javaと、C言語が派生したC++の良いところを併せ持つ
  • C言語の派生ではなく、異なった言語として開発された
  • マイクロソフト社が開発した他のプログラミング言語とのみ組み合わせて利用できる
Objective-C 書き方などで同じ部分がある
  • C言語よりも高度な開発がしやすい
  • 実装全体で見ると大きな違い(オブジェクト指向)
  • C言語とは異なり、アップル社製品やiOSアプリの開発以外にはあまり利用されない

C++との違いや関連性

C++は1983年にC言語の機能拡張で開発されたプログラミング言語です。主にオブジェクト指向の考え方が追加されていて、それまでのC言語よりも効率よく開発ができるようになっています。

オブジェクト指向には独自の考え方がありますので、C言語とは開発の根本が違います。もちろんC言語のような書き方もできますが、C++の機能を生かすためにはオブジェクト指向の考え方が必須です。

とはいえC言語を拡張して開発されていますので、C言語のプログラムがそのまま動作します。今までC言語で開発していたものを、そのままC++の環境に移行させて利用できるのです。そのため関連性は非常に高いと言えるでしょう。

なお、C++は拡張を行った会社によってさまざまな種類があります。有名なものはマイクロソフト社の「Visual C++」ですが、それ以外にも「Borland C++」などがあります。

関連記事:C++フレームワークの選び方。メリット・デメリットの比較をふまえて解説!

C#との違いや関連性

C#は2000年にマイクロソフト社が開発したプログラミング言語です。プログラミング言語として有名なjavaと、C言語が派生したC++の良いところを併せ持ったプログラミング言語です。

プログラミング言語の名前からC言語の派生と思われがちですが、こちらはマイクロソフト社が生み出した新しいプログラミング言語です。そのためC言語やC++に似たような特徴を持つものの、これらのプログラミング言語と同時には利用できません。マイクロソフト社が開発した他のプログラミング言語とのみ組み合わせて利用できます。

異なったプログラミング言語として開発されていますので、プログラムの記述ルールなどでC言語とは違いがあります。根本的な考え方はC++に似ている部分があるものの、全く同じような書き方ができるわけではありません。根本的に違いのあるプログラミング言語だと考えましょう。

最初はC言語やC++を参考に開発されましたが、現在は独自に開発されています。そのため一部名残はありますが、もはや関連性はないプログラミング言語です。名称は似ているものの、C言語とは関連がなく独自路線を歩んでいるのです。

Objective-Cとの違いや関連性

Objective-Cは1983年に開発されたプログラミング言語です。

C言語をベースとしSmalltalk型オブジェクトの考え方を追加したプログラミング言語です。C言語をベースに開発されていますので、Objective-CはC言語と関連性の高いプログラミング言語だと言えます。一般的にはC言語の上位言語に分類されるもので、C言語よりも高度な開発がしやすいと考えると良いでしょう。

先程もご説明したとおり、Objective-Cにはオブジェクトの考え方があります。つまり、C言語とはオブジェクト指向が取り入れられているかどうかの違いがあります。C言語は命令型プログラミング言語ですので、Objective-Cとは根本的な仕組みが異なるのです。プログラミング言語の書き方など同じような部分はありますが、実装全体で見ると大きな違いがあります。なお、C++にはオブジェクト指向が取り入れられていますので、こちらとは似た部分があります。

具体的にObjective-Cが利用されているソフトウェアには、Mac OSやiOSアプリが挙げられます。Objective-Cは進化の過程でアップル社に買収されていますので、結果的にアップル社の製品開発に広く利用されるようになりました。逆にC言語とは異なり、アップル社製品やiOSアプリの開発以外にはあまり利用されていません。

関連記事:Objective-Cの資格とは?資格の種類、それぞれの難易度・勉強方法を解説

まとめ

今回はC言語の特徴をご説明し、これらがC++・C#・Objective-Cとどのように異なるのか解説しました。C++やObjective-CはC言語と関連の強いものですが、C#はC言語を参考に作られた関連のないプログラミング言語です。プログラミング言語としての名前は似ていますが、大きく違ったプログラミング言語であると理解しておきましょう。

また、オブジェクト指向を取り入れたプログラミング言語であるのかも異なります。それぞれのC言語とは根本的に異なった考えを持つプログラミング言語で、C言語から学習を始めた場合は、その点を考慮しなければなりません。


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