VBAの資格一覧|資格の種類と難易度・合格率を解説
VBAはMicrosoftが開発するソフトウェアで利用できるプログラミング言語です。こちらの言語を操作できるようになると、ソフトウェアの操作を自動化できるなどのメリットがあります。
そして、このVBAのスキルは資格を取得して証明できるようになっています。具体的にどのような資格を取得すればスキルの証明ができるのか解説します。
VBAの資格はVBAエキスパート
現在、VBAのスキルを証明するためにはVBAエキスパートの取得しかありません。こちらの資格以外にVBAを専門に取り扱う資格はないのです。そのため、今回はVBAの資格としてVBAエキスパートを詳しく解説します。
VBAエキスパートとは
VBAエキスパートは2003年4月に株式会社オデッセイコミュニケーションズが提供を開始したものです。ExcelやAccessのマクロやVBAに関するスキルを客観的に証明できます。
資格の対象となるソフトウェアはExcelとAccessに分けられていて、それぞれにベーシックとスタンダードの2段階のレベルが設けられています。つまり、合計で4種類の資格がVBAエキスパートには存在しています。ExcelとAccessでは求められるVBAのスキルが異なりますので、レベル以外にもソフトウェアで分けられているのです。
なお、スタンダードとの名前にはなっていますが、スタンダードレベルはシステムエンジニアやプログラマの受験を想定しています。そのため、比較的レベルは高く作られています。
VBAエキスパートを取得するメリット
VBAの資格を取得すると以下のメリットがあります。
- VBAのスキルを客観的に証明できる
- 日々の業務が高速化できる
- 自己アピールのひとつとなる
基本的には資格ですので自分のスキルを証明できることがメリットです。自己申告だけではスキルの証明は難しいですが、資格を取得しておくと証明がしやすくなります。結果、自己アピールなどができるようになります。
また、VBAエキスパートを取得する過程でVBAのスキルアップができます。つまり、日々の業務をVBAで高速化できるようになるのです。資格のためだけに勉強するのではなく、勉強した結果がそのまま実務などに役立つメリットがあるのです。
VBAエキスパートとMOSの違い
ExcelやAccessのスキルを証明するものにMOSがあります。VBAエキスパートとこのMOSの違いを気にする人がいます。
これらの違いは「プログラミングスキルを中心に問われるかどうか」です。VBAエキスパートはVBAの資格ですので、VBAのプログラミングスキルが問われます。それに対してMOSはプログラミングスキルに限らず、それぞれのソフトウェア全般に関するスキルが問われます。
また、そもそもMOSではほぼVBAに関するスキルは問われません。一部マクロに関するスキルが問われる場合はありますが、問われている内容が異なる資格だと考えて良いでしょう。
VBAの資格・VBAエキスパートの種類
先ほどもご説明したとおり、VBAの資格であるVBAエキスパートにはExcelとAccessにベーシックとスタンダードがそれぞれ存在しています。そこで、続いてはどのような内容が問われるのかを解説します。
Excel VBA ベーシック
Excel VBAベーシックはExcelで利用するマクロとVBAの基本的なスキルを証明する資格です。VBAを利用してExcelの作業を自動化できるスキルを証明できると考えて良いでしょう。
Excel VBAベーシックの試験で出題される問題数は40問前後となっていて、試験時間は50分です。あまり時間に余裕はなく、次々にVBAに関する問題を解く必要があります。VBAのスキルが身に付いているかどうかだけではなく、短時間でテキパキと問題が解けるスキルも求められている資格です。
具体的にExcel VBAベーシックで問われる内容には以下が挙げられます。
- マクロとVBAの概念
- マクロ記録
- モジュールとプロシージャ
- VBAの構文
- 変数と定数
- セルの操作
- ステートメント
- 関数
- ブックとシートの操作
- マクロの実行
こちらの内容からも判断できるとおり、問われる内容に難しいものはありません。VBAについてのスキルは求められるものの、基本的な部分に限られています。マクロとVBAの概念などスタンダードな考えも含まれているぐらいです。
また、VBAのプログラミング以前に構文や変数や定数など一般的なプログラミング言語のスキルも問われています。そのため、VBA以外のプログラミング言語を経験しているのであれば、新しく覚える内容は少なくて済むかもしれません。
なお、ブックとシートの操作などExcelに依存する内容も出題されます。これらについてはExcel VBAベーシックの資格を取得するにあたり、特に意識して勉強しておきたい部分です。
Excel VBA スタンダード
Excel VBAスタンダードはExcelで利用するマクロとVBAの応用的なスキルを証明する資格です。VBAでExcelの操作を自動化するだけではなく、複数のプログラミングによって、より実用的な自動化を実現します。
Excel VBAスタンダードの試験で出題される問題数は40問前後となっていて、試験時間は50分です。ベーシックと同じ問題数と時間配分ですので、時間に余裕が無いことは変わりません。ベーシックよりも難しい問題が出題されますので、さらにスムーズに問題を解く必要があります。
具体的にExcel VBAスタンダードで問われる内容には以下が挙げられます。
- プロシージャ
- 変数の活用
- ステートメント
- ファイルの操作
- ワークシート関数の利用
- 検索とオートフィルター
- データの並べ替え
- テーブルの操作
- エラー対策
- デバッグ
Excel VBAスタンダードでは純粋にプログラミング言語の資格としても難易度の高いものが出題されています。VBAを利用して高度なプログラミングをするためにプロシージャの利用やファイル操作に関するスキルが問われます。
また、ExcelでVBAを利用しますので検索やフィルタ、データの並び替えなど表計算やデータ処理に関わるものも含まれています。これらの操作ができればExcelが非常に利用しやすくなりますので、スキルとして身に付けておきたいものです。
また、エラー対策やデバッグに関するスキルも問われます。これらはプログラミングをするにあたり持っておきたいスキルですので、VBAエキスパートの資格に限らず学習しておきましょう。
Access VBA ベーシック
Access VBAベーシックはVBAでAccessを操作する基本的なスキルを証明する資格です。Accessはデータベースを操作するものですのでSQLを利用するイメージが強いと思いますが、それに加えてVBAを利用して自動化をします。
Access VBAベーシックの試験で出題される問題数は40問前後となっていて、試験時間は50分です。試験時間に対して出題数は多いのですが、単純にVBAやデータベースの概要を問うだけの問題も含まれています。そのため、そのような問題を短時間で解けば全体としては対応できる程度の問題数です。
具体的にAccessl VBAベーシックで問われる内容には以下が挙げられます。
- VBAの基礎知識
- データベースの基礎知識
- 変数・定数・配列
- ステートメント
- 関数
- DoCmdオブジェクト
- フォームとレポート
- SQL基礎
- 実行とデバッグ
上記でもご説明したとおり、まずはVBAに関する基本的な知識とデータベースに関する知識が問われます。これらは確実に得点したい部分で、VBAの資格取得のために必ず理解しておきましょう。
また、変数や定数の他に配列などデータベースを利用するにあたり理解しておきたい概念も問われています。この部分もVBAの資格以前に理解しておくべきですので、先に学習しておきましょう。
基本的な概念が理解できていれば、後はVBAを利用してAccessを操作したり、実際にSQL文を流してデータベースを操作するスキルが問われます。データベースではVBAやSQLの実行に加えてデバッグも重要ですので、そこも含めて学習しましょう。
Access VBA スタンダード
Accessl VBAスタンダードはAccessをVBAの高度なスキルを利用して操作できることを証明する資格です。VBAでAccessの操作ができることはもちろん、さらに複雑な操作を自動化するスキルが求められます。
Accessl VBAスタンダードの試験で出題される問題数は40問前後となっていて、試験時間は60分です。ベーシックと同じ問題数ですが試験時間は60分に変更されています。応用的な問題が多く問題を解くために時間を要しますので、このような試験時間の調節がされています。テキパキと問題を解かなければ試験時間が不足してしまいます。
具体的にAccess VBAスタンダードで問われる内容には以下が挙げられます。
- VBAエキスパート「Access VBA Basic」レベルの理解
- 変数・配列・ユーザー定義型
- プロシージャ・モジュール
- フォームとレポートの操作
- SQL
- ADOやDAOによるデータベース操作
- 応用プログラミング
- プログラミングのトレース能力とデバッグ
出題範囲としてベーシックの内容が理解できていることが求められています。それだけ基本的な内容ではなく応用的な内容が問われている資格だと言えます。
ただ、出題されている単元だけに注目するとベーシックと大きな差はありません。ベーシックの内容をより応用的な内容にしたものが出題されるのです。SQLなどVBAとは関係がない部分でも、レベルの高いものが出題されています。
なお、ADOとDAOに関してはスタンダードを受験するにあたり学習が必要な範囲です。単純にベーシックの内容を深めるのではなく、新しい単元についても身に付けておく必要があるのです。
VBA資格の難易度や合格率
VBAの資格について解説しました。VBAのスキルを証明するにはVBAエキスパートを取得するしかなく、ExcelとAccessに分けて取得が必要です。続いては、これらの難易度や合格率についてご説明します。
VBAエキスパートの難易度
VBAエキスパートの難易度はベーシックとスタンダードで大きく異なります。大まかにまとめると以下のとおりです。
- ベーシック:基本的な内容で実際に操作経験があれば十分合格可能
- スタンダード:論理的に考える部分があり、実機での問題演習をしていれば合格圏内
ベーシックではVBAに関する知識を問う問題がいくつもあります。そのため、VBAのプログラミングスキルがやや低くとも、知識の問題が解ければ合格できる可能性があります。ExcelやAccessに関する知識も出題されますので、それらも確実に解ければ点数は稼げるのです。
そして、肝心のVBAに関する出題ですが、これらの難易度も基本的なものが大半です。実際にExcelやAccessでVBAを動かさなくとも、知識さえ持っていれば解ける内容があるぐらいです。
それに対してスタンダードでは、VBAの実践的なスキルが多く求められます。論理的に考えなければならない部分があり、実機での問題演習経験が問われます。頭で考えるだけでは問題に対応するのは難しく、問題集などを利用して問題演習をし、そこで得たスキルを資格取得に活かさなければなりません。
VBAエキスパートの合格率
残念ながらVBAエキスパートの合格率は公開されていません。初回から公開されていませんので、参考となる数値は存在しない状況です。
ただ、実際に受験した人の感想などを鑑みると、MOSよりもやや難易度は高いようです。MOSの合格率も公開されていませんが60%前後だと考えられていますので、それよりも少し低い合格率が予想されます。
まとめ
VBAのスキルを証明するために資格を取得するならばVBAエキスパートです。これ以外にVBAのスキルを証明できる資格はありませんので、資格を取得したいならばこちらを選択しましょう。
なお、VBAエキスパートにはExcelとAccessがあります。それぞれで求められるスキルが異なりますので、適切なスキルを身に付けて対応するようにしましょう。