フルスタックエンジニアとは|必要なスキルと需要、年収をチェック!

フルスタックエンジニアとは|必要なスキルと需要、年収をチェック!

近年は幅広い業務を一気に引き受ける「フルスタックエンジニア」の需要が高まっています。基本的にエンジニアは何かしらのスキルに特化しているべきですが、人手不足なども相まってフルスタックエンジニアが注目されています。

しかし、フルスタックエンジニアは比較的新しい考え方であり、具体的なスキルや需要などが知られていない状況です。今回は年収などとともにフルスタックエンジニアについて解説します。

フルスタックエンジニアとは

そもそもフルスタックエンジニアの意味が理解できていない人はいるでしょう。そのような状況では理解が深まらないため、まずはフルスタックエンジニアについてご説明します。

フルスタックエンジニアの意味

フルスタックエンジニアは「マルチエンジニア」とも呼ばれ、複数のスキルを保有したエンジニアです。「フルスタック」とのキーワードからすべての業務に対応できるようなイメージを持たれがちですが、そのようなエンジニアではありません。そもそも、すべての業務に対応できるスキルを持つエンジニアはいないと考えて差し支えないでしょう。

あくまでも複数のスキルを兼ね備えたエンジニアであり、その個数については明確な定義がありません。つまり、ふたつ以上のスキルを持つエンジニアならば、フルスタックエンジニアといえる状況です。自分としてはフルスタックエンジニアと認識していなくとも、条件を満たす人は多いでしょう。

なお、フルスタックエンジニアになるためのスキルにも明確な定義はありません。そのため、どのようなスキル例があるのかを後ほどご説明します。

フルスタックエンジニアが求められる理由

近年、急激にフルスタックエンジニアが求められている背景には、エンジニア不足があります。企業がシステム開発をするにあたっては、多くのエンジニアを確保しなければなりません。しかし、専門分野ごとに複数のエンジニアを集めるのが難しい状況です。

そのため、フルスタックエンジニアのように一人で幅広く対応できるエンジニアの需要が高まってきています。複数の業務を一人のエンジニアに任せてしまうことで、人材確保に関する問題を解決しようとしているのです。

また、雇用したり仕事を依頼したりする人数が減れば、企業としては人件費の削減ができます。エンジニアの単価は高騰する傾向にあるため、人件費低減の観点からもフルスタックエンジニアが求められている状況です。

フルスタックエンジニアに求められる3つのスキル


上記でご説明したとおりフルスタックエンジニアは複数のスキルを持つエンジニアで、特定のスキルを持つエンジニアではありません。以下ではフルスタックエンジニアに求められるスキルを解説しますが、すべてが必要なわけでもこれら以外に対象がないわけでもありません。その点は勘違いしないように注意してください。

各種プログラミング言語

各種システムを開発するためには、プログラミング言語を理解しておく必要があります。システムの実装には必要不可欠であるため、多くの場合でフルスタックエンジニアに求められます。

具体的に必要となるプログラミング言語は、自分が扱う分野によって異なります。Web系のエンジニアならばPHPなどが必要ですし、業務システム系のエンジニアならばJavaなどが必要でしょう。自分が持つ他のスキルと組み合わせて役立てられるプログラミング言語を習得すべきです。

また、プログラミング言語によっては、有名なライブラリやフレームワークがあります。開発現場ではそれらが利用されるケースも多いため、可能な限り習得しておくと良いでしょう。

インフラ関連

システムを稼働させるためには何かしらのインフラが必要不可欠です。サーバーやネットワークなどを構築し、そこにシステムを設置するため、フルスタックエンジニアは幅広くインフラを扱えた方が良いでしょう。

サーバー

サーバーについてはシステムを稼働させるOSやミドルウェアについて理解すべきです。サーバーにも様々な種類があるため、フルスタックエンジニアに求められるスキルも幅広くなっています。

フルスタックエンジニアが扱うサーバーは、WindowsServerとLinux系が中心です。サーバーの種類はプログラミング言語とリンクしやすいため、自分が扱うプログラミング言語と相性の良いものを習得しておくと活躍しやすいでしょう。

ネットワーク

サーバーやクライアントをつなぐためにはネットワークが必要です。こちらもシステムの重要なインフラに分類されるため、フルスタックエンジニアは対応できた方が良いでしょう。

ネットワークのスキルは論理的なネットワーク設計と物理的なネットワーク機器の取り扱いに分類できます。フルスタックエンジニアの場合、物理的な機器を操作する機会は限られているでしょう。そのため、論理的なネットワーク設計ができれば十分だと考えられます。

クラウド

近年はインフラ基盤にクラウドサービスを利用する機会が増えています。全社的にAWSなどを採用する企業も多く見られ、フルスタックエンジニアは何かしらのクラウドサービスに対応すべきです。

ただ、クラウドサービスにはそれぞれ独自の機能があるため、すべてのサービスを熟知するのは現実的ではありません。AWSが得意ならばAWSに絞るなど、専門性を持つようにしましょう。

なお、クラウドサービスはこれから需要が高まる分野です。フルスタックエンジニアとして活躍したいならば、力を入れて習得したいものです。

フロントエンド

フルスタックエンジニアはフロントエンドの開発を担当する可能性があります。そのため、プログラミング言語だけではなく、フロントエンドに関わる言語のスキルも高めておくと良いでしょう。

例えばフロントエンドの代表にはWeb画面が挙げられます。Web画面の実装にはHTMLやCSSを利用しなければなりません。つまり、フルスタックエンジニアはプログラミング言語だけではなく、このような言語のスキルも必要です。

なお、フロントエンドを取り扱うようになるならば、JavaScriptも習得しておいた方が良いでしょう。JavaScriptはプログラミング言語ではありますが、フロントエンドの世界で利用されるケースが多々あります。フロントエンドに動きを付けるためにも、関連するプログラミング言語も習得しておきたいものです。

フルスタックエンジニアの需要

ここまでフルスタックエンジニアに求められるスキルについて解説しました。続いては必要なスキルを踏まえ、どのようなフルスタックエンジニアに需要があるのかをご説明します。

開発スピード重視の環境で求められる

ご説明したとおり、フルスタックエンジニアが求められるのは開発スピードを向上させるためです。複数のエンジニアが作業するのではなく一人のエンジニアが作業することで、ボトルネックが少なくなり開発スピードが向上します。アジャイル開発のように効率の良い開発が求められている際は、特にフルスタックエンジニアの需要が高まります。

このような開発スピード重視の環境でフルスタックエンジニアとして活躍するためには、相性の良いスキルの習得が重要です。例えば「プログラミング言語とデータベースの組み合わせ」や「クラウドとネットワークの組み合わせ」などが必要です。相性の良い組み合わせでスキルを習得しておかなければ、開発スピードの向上が求められる環境では需要に応えられません。

どのようなスキルの組み合わせが求められるかは案件によって変化します。自分の保有しているスキルと案件情報を突き合わせ、スキル面で齟齬がないかは確認しましょう。

コストカットの観点からも求められる

多くのエンジニアを抱えると人件費がかかるため、コストカットの観点からフルスタックエンジニアの需要が高まっています。3人のエンジニアを抱えると3人分の人件費がかかりますが、フルスタックエンジニアが1人で全て対応できれば人件費は1人分です。

単純に人月で考えるとフルスタックエンジニアは損しているように感じるでしょう。3人でやるべきことを1人でこなすため、仕事量は増えてしまいます。求められるスキルも多くなり、エンジニアとして負担がかかるのは言うまでもありません。

ただ、フルスタックエンジニアの単価は、他のエンジニアよりも高い傾向にあります。保有しているスキルの組み合わせにはよりますが、単価が1.2倍や1.3倍になるケースは多々あります。多くのスキルを保有していることが評価されて単価に反映されるのです。

クライアントとしては単価が高まっても依頼する人数が少なくなることの方が重要だと考えられます。トータルで支払う金額が少なくなるため、フルスタックエンジニアの需要に繋がっています。

フルスタックエンジニアの年収は600万円から800万円程度


フルスタックエンジニアの年収は参照する情報によって大きく異なり、600万円から800万円程度の情報が多く見られます。幅はありますが、このあたりがフルスタックエンジニアの年収相場でしょう。いくつかの情報からフルスタックエンジニアの年収について考察してみます。

年収に幅が出やすい理由

フルスタックエンジニアの年収に幅が出やすい理由は単純で、人によって保有しているスキルの種類が異なるからです。フルスタックエンジニアの全員が同じ業務に対応できるわけではないため、対応できる内容によって年収が異なります。しかし、フルスタックエンジニアはすべて同じエンジニアとして統計の集計対象となるため、年収情報に幅が生じてしまうのです。

同じフルスタックエンジニアでも、担当できる業務によって年収は大きく変化する傾向にあります。現在はクラウドサービスの利用などが多いため、クラウドエンジニアとしてのスキルを保有していると年収が高いでしょう。また、プログラミング言語ならばPythonなどの需要の高い言語があるため、そのような言語を習得しておくのが理想的です。

器用貧乏にならないように注意

多くのスキルを幅広く有しているだけで、どのスキルも専門性に欠けるエンジニアがいます。このような状態で「知識が多い」などの理由でフルスタックエンジニアになっても失敗するでしょう。これは器用貧乏と呼ばれ、どのスキルも活かせない状態になってしまいます。

フルスタックエンジニアは1人で多くのスキルを有していることが求められますが、どのスキルも高いレベルが求められます。かじっているような状態ではフルスタックエンジニアとしての役割を果たせず、結果的にどの分野でも活躍できなくなるのです。これはフルスタックエンジニアとして最悪の状態ともいえます。

どのような世界にも器用貧乏と呼ばれる人がいますが、基本的に活躍できる人ではありません。幅広いスキルの習得が必要ですが、闇雲にスキルの幅を広げるのではなく、計画的にスキルの幅を広げるようにしましょう。

まとめ

フルスタックエンジニアについてご説明しました。マルチエンジニアとも呼ばれる役割で、複数のスキルを保有したエンジニアを指します。保有するスキルの内容に縛りはなく、複数のスキルがあればフルスタックエンジニアと呼ばれるのです。

近年はエンジニア不足や単価の上昇が加速しているため、ひとりで幅広く対応できるフルスタックエンジニアの需要は高まっています。システム開発における問題を大きく改善してくれるため、これからも需要は高まるでしょう。

なお、エンジニアには常に高いスキルが求められます。フルスタックエンジニアにおいても高いスキルが求められるため、スキルアップに励みましょう。

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