ネットワークスペシャリストとは|難易度や年収を解説!

ネットワークスペシャリストとは|難易度や年収を解説!

ネットワークに関わる仕事として、ネットワークスペシャリストがあります。名前からも分かるとおりネットワークに関する幅広い知見を持ち、システムをネットワークの側面から支えるエンジニアです。

古くからネットワークスペシャリストは存在しますが、名前を知っているだけで内容については詳しくない人もいるようです。今回はネットワークスペシャリストについてご説明します。

ネットワークスペシャリストとは

そもそもネットワークスペシャリストとは、どのような仕事なのでしょうか。この点について正しい理解がない人もいるため、まずはネットワークスペシャリストの概要からご説明します。

広義にはネットワークの専門家を指す

幅広い意味では、ネットワークスペシャリストとはネットワークの専門家を指します。システム開発の世界ではスキルの高い人を「スペシャリスト」と呼ぶ風習があるため、ネットワークスペシャリストはネットワークに関するのスキルの高い人です。

ただ、ネットワークは非常に幅広い分野に分かれています。そのためネットワークスペシャリストとはいえども、専門に扱う分野が異なるケースは多々あります。例えば物理的なネットワークの回線に詳しい人もいれば、論理的なネットワークの構成に詳しい人もいるのです。

ネットワークスペシャリストと表現しても、具体的にどの分野に強いのかの判断はできません。幅広くネットワークに対する知見がある人を、ネットワークスペシャリストと呼んでいるのです。

狭義にはネットワークスペシャリスト試験の合格者を指す

ネットワークスペシャリストには「ネットワークスペシャリスト試験」の合格者という意味もあります。こちらは狭義の意味であり、合格者の総称として利用されているのです。

狭義の意味で利用する場合も、ネットワークに関する幅広い知識を持っている人という意味です。そのため、広義で利用するネットワークスペシャリストと、意味的に大きな違いはありません。

しかし、こちらの意味で利用する場合は、ネットワークスペシャリスト試験に合格していなければなりません。どんなにネットワークに関する深い知識を持っていても、試験に合格していなければネットワークスペシャリストを名乗れないのです。

「ネットワークスペシャリスト」という表現を利用する場合は、有資格者を指すケースが多くなっています。上記でご説明したとおり、実際には有資格者だけを指す言葉ではありませんが、有資格者を指すケースが多いため注意が必要です。

ネットワークスペシャリスト試験の難易度

ネットワークスペシャリスト試験は、情報処理推進機構が実施する国家資格です。ネットワークに関する国家資格の中では特に難しいもので、合格率は15%程度です。このように難易度の高い資格であることから、合格している人のことを「ネットワークスペシャリスト」と呼ぶのです。

ネットワークスペシャリスト試験では、ネットワークに関する幅広い知識が問われます。基本的なネットワークの知識はもちろん、記述式で実践的な内容についても問われます。ネットワークに関する深い知識がなければ合格できない試験で、資格を保有しているだけで十分なスキルの証明が可能です。

なお、国家資格であるため特定の製品に依存したような内容は出題されません。例えばネットワーク機器として有名なCiscoがありますが、ネットワークスペシャリスト試験ではこのような製品に依存した内容は問われないのです。ネットワークに関する理論が正しく理解できているかを確認され、実際に製品を操作できるかなどは確認されません。

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ネットワークスペシャリストの担当業務


ネットワークスペシャリストは、ネットワークに関する様々な業務を担当します。続いては具体的にネットワークスペシャリストが、どのような業務を担当するのかについてご説明します。

ネットワーク資源の管理

ネットワークスペシャリストは、既に運用されているネットワーク資源の管理をします。ネットワークスペシャリストはネットワーク管理者としての役割があり、情報システムの基盤となるネットワーク全体を管理するのです。

例えばネットワーク資源の管理には、ネットワーク機器の管理が挙げられます。システムを運用するためには、ネットワーク回線やサーバ、ルーターなど様々な機器を利用しなければなりません。物理的・論理的を問わず、ネットワークスペシャリストは資源に問題がないか常に管理しなければなりません。

もし管理している資源に問題があれば、ネットワーク管理者として新しいものを手配しなければなりません。ネットワークに障害が起きると、一般的にシステムは停止してしまいます。そのような問題を起こさないために、事前に問題を検知して影響を最小限に抑えます。また、必要ならば定期的に資源の棚卸などをして、問題を事前に防ぐ取り組みをします。

他にも、ネットワーク管理者として必要な資源の払い出しなどに対応しなければなりません。例えば新しくシステムの導入をするならば、サブネットの割り当てなどに対応します。既存のネットワークを管理するだけではなく、新しいネットワークを含めて対応するのです。

ネットワークシステムの要件定義

新しいネットワークを構築するにあたり、ネットワークスペシャリストは要件定義に参画します。大規模なネットワークを構築するとなると、ネットワークに関する専門知識が求められるからです。ネットワークを導入される側の立場で対応することもあれば、ネットワークを導入する側の立場で対応する場合もあります。

具体的に対応する業務の内容は、ネットワークの状況によって大きく異なります。物理的にネットワーク機器の選定をすることもあれば、論理的なネットワーク設定をする場合もあります。クラウドでのネットワーク設計を求められる場合もあり、ネットワークスペシャリストには幅広い知識が必須なのです。

なお、要件定義の段階では具体的にネットワーク機器などの設定はしません。そのため、要件定義だけに対応するネットワークスペシャリストには、設定などのスキルが求められません。

ネットワークの設定

要件定義でネットワークの構成が確定すれば、実際にネットワークを構築していきます。基本的には要件定義の内容を踏まえ、ネットワーク機器の手配をしたり設定をしたりします。要件定義で設定する内容は決まっているため、その内容に応じて粛々と実装していくだけです。

実際に設定などをするネットワークスペシャリストは、設定する内容に応じたスキルが求められます。例えばネットワーク機器にCiscoの製品を利用するならば、対象となる製品の操作ができなければなりません。ネットワーク機器の種類は多岐に渡るため、ネットワークスペシャリストはそれぞれ専門性をもって対応するのが一般的です。

なお、プロジェクトの状況によっては、ネットワークスペシャリストが不足する可能性があります。特に大規模なネットワークを構築する場合は、ネットワークスペシャリストだけでは対応できないケースがほとんどです。

そのような状況になってしまった場合、ネットワークスペシャリストが責任を持ち、他のエンジニアが作業する体制を組みます。ある程度のプロジェクトになると人数がいなければ対応できなくなってしまうため、ネットワークスペシャリストではないエンジニアでカバーするのです。

また、プロジェクトによっては最初からこのような体制を組む場合があります。ネットワークスペシャリストはネットワークの要件定義に特化し、実装はそれ以外のエンジニアが担当するのです。ネットワークに関わるエンジニアの作業を分担することで、それぞれのエンジニアにかかる負担を最小限に抑えられます。

ネットワークベンダーの管理

ネットワークの設定や管理などをネットワークベンダーに任せる場合、ネットワークスペシャリストが管理をします。ネットワークを詳しく理解できている人物として、ベンダーとのやり取りを担当します。

社内にネットワークスペシャリストがいても、ネットワークの維持保守はベンダーに依頼するケースが多々あります。社内で人材を確保すると人件費の面で負担が大きいため、社内の人数は最小限にしてアウトソーシングしてしまうのです。

ただ、アウトソーシングするにあたり社内でネットワークを理解できる人材がいなければ、丸投げ状態になってしまいます。この状況はあまり好ましくなく、ベンダーとのやり取りをスムーズにするために、ネットワークスペシャリストがフロントに立ちます。

ベンダーとの契約など事務的な管理は総務部などが行います。ネットワークスペシャリストが対応するのは、テクニカルな範囲だけです。ベンダーの管理をしなければならないからといって、ネットワークスペシャリストがそのすべてに対応するわけではありません。

ネットワークスペシャリストの需要と年収


続いては、ネットワークスペシャリストの需要や年収についてご説明します。

システムには必要不可欠で安定した需要がある

ネットワークはどのようなシステムにも必要不可欠なものです。スタンドアロンで動作しているシステムでも利用するためにはネットワークが必要となるため、ネットワークに関するエンジニアは需要が尽きることがありません。ネットワークスペシャリストのようにスキルの高いエンジニアは、特に需要が高い状況です。

最近はネットワークの仮想化なども進んでいて、ネットワークに詳しいエンジニアの需要がさらに高まっています。クラウドのスキルなどが身に付いていると市場価値は高く、供給が追いついていないような状況です。

もちろん、クラウドなど最新の技術に限らずネットワークは幅広い技術の需要があります。そのため、ネットワークスペシャリストの需要は今までと大きく変わらず、安定した状況が続くと思われます。ネットワークについて革新的な技術が生まれない限り、ネットワークスペシャリストの需要が大きく変化することはないでしょう。

必要不可欠であり年収は高め

ネットワークスペシャリストはネットワークを構築するにあたり必須の存在です。必要不可欠であるため、年収は高めになっています。さまざまな企業でネットワークスペシャリストの需要があるため、良い人材を確保できるようにどこも年収を高く提示している状況です。

また、ネットワークスペシャリストは国家試験に合格している人を指すのが一般的です。このような難易度の高い試験に合格しているため、資格保有者に対して年収を高く提示している傾向があります。IT業界は資格を評価する企業が多く、ネットワークスペシャリストは国家資格を保有しているため資格の価値を年収に反映させるのです。

ネットワークスペシャリストの年収は高い傾向にありますが、働く企業の規模に左右されるのも事実です。企業の規模によって取り扱うネットワークの規模にも差があるため、規模の差が年収の差につながってしまいます。

年収アップにはスキルアップが必須

ネットワークスペシャリストとして年収アップするためには、スキルアップが必須です。ネットワークのスキルは昔から変わらないものが多くありますが、クラウドなど新しいスキルも増えています。年収アップを目指すならば、このような新しいスキルも身に付けるようにしましょう。

具体的にどのようなスキルが適しているかは一概には言えません。トレンドに沿うのであれば、クラウドに関するスキルを身に付けると良いでしょう。パブリックブラウザなどのスキルを身に付ければ、活躍できる幅が広がり年収アップにも繋がります。

また、新しい製品のスキルを身に付けるのも良いでしょう。ネットワーク機器は新しいものが年々発売されているため、これらのスキルを身に付けておけば同じく活躍できるようになります。

まとめ

ネットワークスペシャリストについて解説しました。ネットワークの専門家で、ネットワークに関する深いスキルを持っています。ただ、このような人全般をネットワークスペシャリストとも呼びますが、実際には国家資格を有している人を指すケースが大半です。

資格を有しているかどうかにかかわらずネットワークの専門家であるため、ネットワークの要件定義や実装など幅広い業務を担当します。しかし、ネットワーク機器には多くの種類があるため、それぞれのネットワークスペシャリストが専門性をもって対応する傾向にあります。万能なネットワークスペシャリストではなく、何かしらに特化しているのです。

ネットワークスペシャリストはネットワークシステムの稼働に必須であるため、需要は安定しています。また、需要が高いため年収も高めに設定されていて、働きやすい環境です。

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admin