SESとSIer|概要・それぞれの違いについて解説!

SESとSIer|概要・それぞれの違いについて解説!

SESとSIerは大きく意味の異なる言葉です。ただ、発音が似ていることからか、これらは間違えて利用されたり比較されたりされる場面が多くなっています。

これらの言葉には大きな意味の違いがありますので、正しく理解できていないと後悔する可能性があります。今回はSESとSIerの概要についてご説明し、それぞれの違いについてもご説明します。

SESとは

最初にSESとは、どのような意味があるのかを説明します。SESはSIerよりも最近利用されるようになった言葉ですので、どのような言葉であるのか新しく理解するようにしてください。

SESは契約の形態

SESは「System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)」の頭文字を取ったものです。様々な解釈がありますが、Wikipediaの表現を参考にしてみると「システムエンジニアが行うシステム開発等に関する、委託契約の一種(委任・準委任契約等)で、システムエンジニアの能力を契約の対象とするものである」と書かれています。

このままの表現では理解しにくいですが、SESは「企業がクライアントへエンジニアを貸し出すサービス」です。クライアント側でエンジニアが不足している場合に、1日や1ヶ月単位でエンジニアを貸し出すことを指しています。クライアントはIT企業のこともあればそうではないこともあります。

そもそもSESがこのような契約の形態であると理解できていない人が多く見受けられます。あくまでもSESはこのようにエンジニアを貸し出すサービスを指し、企業などを指しているわけではありません。SESを行っている企業を「SES」と呼ぶ場合がありますが、これは正しい使い方ではありません。

SIerとは


IT業界ではSIerとの言葉がよく利用されます。多用されますので、知っていて当たり前のような状況にはなっていますが、実際には詳しく理解できていない人がいるでしょう。まずはSIerとはどのようなものかご説明します。

そもそもSIとは

SIerを理解するにあたり、まずはSIの意味を理解しなければなりません。SIはSystem Integrationの頭文字を取ったもので、直訳すると「システムの統合」です。

これだけでは意味が分かりにくいですが、複数のシステムを統合し、利便性の高い新しいシステムを開発することを指します。多くのシステムを管理するとコストがかかりますので、統合して一本化することをSIと呼んでいたのです。

そもそもはSystem Integrationですので、複数のシステムを統合する作業をさせていました。しかし、現在ではSIの使い方が変化してきていて、システム導入の全般を指すようになっています。複数のシステムを統合するような案件でなくとも、システムを開発したりリリースしたりすることをSIという傾向にあります。

SIerは企業を指す和製英語

SIerはクライアントからシステム開発の依頼を受け、システムの開発を行う企業を指します。上記でご説明した「SI」に「er」を付けて人称代名詞にしたものだと考えましょう。「システム統合する人(企業)」と理解できます。

ただ、このSIerは正しい英語ではなく和製英語です。SIの意味を人称代名詞にするために、無理やり英語化したものなのです。そのため、英語圏ではSIerと言っても伝わらないケースが大半ですので注意しましょう。

なお、SIerの定義は非常に曖昧で多くの企業がSIerに該当しています。システム開発を受注している会社全てをSIerと呼ぶ傾向にあり、本来の「システムの統合」との意味で利用されるケースは少なくなってきました。

本来の意味としてはシステム統合を受注する人や企業を指す言葉です。ただ、現在は意味合いが少々変化していて、システム開発全般を受注する人や会社を指しています。

SIerは3種類

上記でご説明したとおりSIerはシステムを開発する企業を指します。そして、これらはどのような企業であるのかによって細かく以下のとおり分類できます。

  • メーカー系
  • ユーザー系
  • 独立系

それぞれについてどのようなSIerなのかを具体的にも説明します。

メーカー系

電子機器メーカーなどが独立してSIerになるケースです。元々は情報システム部門などとして社内で開発していた部隊が、本体から切り離されてSIerになるケースが大半です。

メーカー系ですので基本的には大手メーカーと呼ばれる企業が該当します。日立グループや富士通グループ、三菱電機グループや東芝グループなどの企業が存在しています。

このようなSIerはシステムの開発だけではなく自社製品の販売にも力を入れる傾向にあります。一般的にSIerはクライアントから開発を依頼されて仕事をしますが、自社製品を販売するために社内での開発に注力するエンジニアも在籍しています。

ユーザー系

メーカー系のように、電子機器や情報通信機器の会社から独立したのではなく、一般的な企業の情報システム部門が独立したSIerです。電子機器や情報通信機器などの縛りがありませんので、ユーザー系には多くの企業が該当します。

ユーザー系については、企業の例を挙げるとキリがありませんので割愛します。基本的には大企業の情報システム部門が多くなったために、子会社としてユーザー系を立ち上げたものとなっています。

基本的には親会社の情報システム部門的な立ち位置ですので、親会社からの発注が中心になっています。親会社に限らずグループ会社の案件を受注するケースもあり、グループの中でお金が動くケースが多くなっています。

ただ、一部の企業については親会社の案件を受注して、外部からの売り上げを持っている場合があります。とはいえ、基本的には親会社からの発注ですので、親会社の予算以上に大きな売上が立つ可能性は低いのが事実です。

独立系

独自に立ち上げたSIerは独立系と呼ばれます。ベンチャー企業などはこれに該当して、IT業界の企業の多くは独立系に該当するでしょう。

基本的にはそれぞれの企業が強みを持ち、その強みを活かして案件を受注します。最近はクラウドを扱えるSIerに人気が集まる傾向がありますので、そのようなトレンドのスキルを社内で保有しているかどうかがカギを握ります。

ただ、基本的にはシステム開発ですが、最近はAIの活用など今までのSIerとは異なった案件に着手する企業も見受けられます。システム開発だけでは大手に太刀打ちできない部分がありますので、それぞれが独自の強みを出している状況です。

SESとSIerの5つの違い


SESとSIerには多くの違いがあります。それらの中でも特に理解してもらいたいのは5つですので、それらについてご説明します。

商的流通の違い

SESとSIerには商的流通の違いがあります。あまりなじみのない言葉かもしれませんが、簡単に説明すると元請か下請けかどうかの違いがあります。

基本的に、IT業界は多重下請け構造となっています。下請けになるほど売上金額が下がりますので、会社の業績が傾きやすい、などの問題が起きてしまいます。商的流通では間に何社が関わっているのか、が非常に重要なのです。

SESが基本的に下請けになりますので、二次請けや三次請けになるのが一般的です。大手企業などが案件を受注して、その案件を役割分担して下請けに展開する仕組みです。SESは何社かを挟んでやっと仕事が来る立ち位置にいるのです。

それに対してSIerは元請けになりやすい立場です。必ず元請けになれるとは限りませんが、クライアントからの案件を直接受注する立場にあります。

このような違いが生まれるのは、SESとSIerに企業規模の差があるからです。SIerは比較的大きな企業が多いため、高額な案件でも受注が可能であり、結果として元請けになりやすい状況となっています。

契約の違い

契約の種類についても違いが出やすくなっています。SESは準委任契約が中心ですがSIerは請負契約が中心です。

SESで提供するのはエンジニアのサービスです。成果物が求められているのではなく、クライアントが求めた作業を着々とこなすのが仕事なのです。そのため成果物責任がある請負契約が利用される可能性はほぼありません。

それに対してSIerはクライアントから依頼されたシステムを完成させることが仕事です。システムの完成に対して報酬が支払われますので、成果物責任のある請負契約が利用されやすくなっています。

もちろん、SIerでも成果物責任のない仕事を受注する場合はあります。そのような場合は請負契約ではなく、準委任契約が利用されるのです。SIerだからといって全ての契約が請負契約で、常に成果物責任が問われているわけではありません。

働き方の違い

SESとSIerでは、働き方の違いがよく見られます。特に勤務地については違うケースが多々あります。

基本的にSESは、クライアントが求めるエンジニアを提供するサービスです。クライアントが求めていますので、クライアントが求めている先での仕事が中心となります。つまり一般的には「常駐」と呼ばれるタイプの案件が多くなるのです。自分の会社の中で仕事をするのではなく、クライアント先で場所を提供してもらい仕事をします。

このようにクライアント先で仕事をする働き方が中心ですので、SESは自社で仕事をするケースが少なくなっています。そのため、自宅に近いSESの会社に勤めていたとしても、結局は遠くのクライアント先に出向かなければならないケースが多々あります。自分が所属している会社と勤務地は大きく異なることが多いのです。

それに対して、SIerは基本的に自分の会社の中で仕事をします。一部クライアント先に出向いて仕事をする案件はありますが、大半は受注してきた案件に社内で対応していきます。SESとは違い、所属している会社が勤務地になりやすいのです。

特にSESの場合は、クライアント先で働かない案件がほとんどありません。勤務先など働き方については、大きな違いがあると捉えておきましょう。

仕事内容の違い

SESはクライアントからの要望に応えるのが仕事です。そのため、依頼内容によって多くの仕事内容が考えられます。開発の仕事から運用の仕事など、選択肢は幅広いものです。

それに対してSIerは、開発に関する仕事が中心です。システム開発を主な仕事としていますので、大半のエンジニアは開発業務に携わるのです。一部を除いて運用などに関わることはありません。

また、SIerが中心となる仕事もあります。例えば要件定義などはSIerでは対応しますが、SESでは対応しないケースが大半です。仕事内容についてはSESとSIerで大きく違うと考えるべきです。

待遇の違い

SESとSIerでは待遇の違いが見られやすくなってます。所属している企業によって大きく左右されるのは事実ですが、SIerの方が待遇の良い傾向にあります。

SIaの待遇が良い理由は、SESと比較すると元請けが多くなっているからです。一般的に元請けであるほど売上や利益は大きくなりますので、SIerは資金が潤沢にあり待遇が良くなりやすいのです。

逆にSESは、クライアント先に派遣されて仕事をする案件が多くなっています。このような案件は下請け案件であるケースが多く、単価が低くなってしまうため待遇も悪くなってしまう傾向にあるわけです。

もちろん、SESの全てで待遇が悪いわけでも、SIerの全てで待遇が良いわけでもありません。所属している企業によって待遇が異なるのは事実です。ただ、傾向としてSESとSIerには待遇の違いが見られやすい点は理解しておきましょう。

まとめ

SESとSIerの違いについてまとめました。これらは根本的に違うものですので、どのような違いがあるのか理解しておかなければなりません。

まず、SESは契約の種類を指しています。会社の種類のように表現される場合もありますが、これは間違いで、あくまでもエンジニアを提供する契約の種類です。

それに対して、SIerは企業の種類を指しています。エンジニアを抱えてシステム開発をしている会社の種類、と理解しておくと良いでしょう。

SESとSIerには大きな違いがあります。それぞれどのようなものかを正しく理解して、誤った使い方をしないように心がけましょう。

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