VMwareとは|初心者にもわかりやすく解説

VMwareとは|初心者にもわかりやすく解説

VMwareはサーバを仮想化するにあたり、頻繁に利用されるソフトウェアです。現在は物理サーバではなく、仮想化されたサーバを利用するのが当たり前となっていて、VMwareは様々な場所で活用されています。

比較的古くから存在するソフトウェアではありますが、VMwareについてまだ詳しくない方もいるでしょう。今回はそのような方々に向けて、VMwareについて知っておいてもらいたい知識を解説します。

VMwareはサーバの仮想化を実現するソフトウェア

冒頭でも簡単にご説明しましたが、VMwareはサーバの仮想化に利用されるソフトウェアです。ただ、人によってはそもそもサーバの仮想化がどのような技術なのか理解できていないでしょう。まずは、基本となるサーバの仮想化技術についてご説明します。

サーバの仮想化とは

サーバの仮想化とは、仮想化を実現するためのソフトウェアを利用して、1台の物理サーバに複数の仮想サーバを構築する技術です。仮想サーバを活用することで、物理サーバは1台しかなくとも、複数のサーバを保有しているかのように利用できます。

サーバの仮想化では、メモリやCPUは物理サーバに搭載されているものを利用します。どの仮想サーバについても物理サーバに搭載されているメモリやCPUを共有するため、仮想サーバの構築に利用する物理サーバには十分なスペックが求められます。スペックに不足があると仮想サーバが適切に動作しない可能性があります。

なお、AWSなどパブリッククラウドでは多くのサービスで仮想化が利用されていると思われます。特に自分では意識していなくとも、すでに身近な技術かもしれません。

VMwareによる仮想化とは

VMwareを利用した仮想化は、仮想サーバを構築するソフトウェアにVMwareを利用することを指します。仮想サーバを構築するためには、VMwareに限らず多くの選択肢があるため、その点は意識しておくべきです。

なお、仮想化を実現する技術などは利用するソフトウェアによって異なります。それがパフォーマンスなどにも影響してくるため、必要に応じて比較して検討することをおすすめします。また、VMwareにもバージョンの違いなどいくつかの選択肢がありますが、今回はVMware全般について解説します。

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VMwareで実現できる仮想化技術


サーバの仮想化とはいえども、実現する技術の内容は様々です。続いては、サーバ仮想化の中でVMwareを利用すれば、何を実現できるのかについてご説明します。

仮想サーバの起動

サーバの仮想化を実現するソフトウェアであるため、物理サーバで仮想サーバの起動ができます。基本的に、仮想化に関するソフトウェアは仮想サーバの起動ができるため、VMwareに限った機能ではありません。

ただ、VMwareは数あるソフトウェアの中でも仮想サーバに利用できるOSの種類が豊富なメリットがあります。例えば利用者の多いWindowsだけではなく各種LinuxやUNIXの起動にも対応しています。他社のソフトウェアでは特定のOSしか利用できない場合があり、それらと比較するとVMwareは利便性が高い設計です。

仮想サーバの移動

VMwareは、物理サーバに構築した仮想サーバの移動に対応しています。他社のソフトウェアでも仮想サーバの移動ができる場合はありますが、VMwareは特に柔軟な移動に対応しています。

まず、VMwareには「VMware vSphere vMotion」と呼ばれる機能があり、これを利用すると仮想サーバの停止なしに物理サーバの移動ができます。一般的に仮想サーバを移動させるためには、一度仮想サーバを停止させてから作業に着手します。しかし、VMwareならば停止する必要がなく起動させたままの移動が可能です。

停止なしに仮想サーバの移動ができれば、サーバ停止による利用者への影響を考慮する必要がなくなります。停止する場合は「サーバ停止の告知」「利用者との調節」などの作業が必要となりますが、VMwareではそのような作業は不要です。

仮想サーバのパフォーマンス調整

単純に仮想サーバを立ち上げるだけではなく、パフォーマンス調整ができます。メモリやCPUの割り当てを自動的に変化させることで、それぞれの仮想マシンがスムーズに動作するよう管理します。

基本的にVMwareで仮想サーバを起動する際には、メモリやCPUの割当を行います。事前に値を設定しておいて、その値を上限として仮想サーバは動作します。常に割り当てられたリソースを全て利用するのではなく、割り当てられた範囲内で利用します。

しかし、物理サーバで複数の仮想サーバが起動していると、割り当てられたリソースを利用できない可能性があります。起動時に適切なリソースを設定するはずですが、何かしらの都合によって想定通り利用できない場面があるのです。

そのような際は「VMware DRS」と呼ばれる機能を利用して負荷分散が可能です。事前に設定しておくと、自動的にリソースに余裕がある物理サーバへと仮想サーバを移動させてくれます。特定の物理サーバに負荷が集中している場合は、パフォーマンスを高められるように負荷分散してくれるのです。

なお、どのようにパフォーマンス調整するのかは事前に設計して設定しなければなりません。多少は知識が求められるため、その点は意識すべきです。

物理サーバ障害時の対応

仮想サーバを起動する物理サーバに障害が起きた場合、事前に障害対応の設定をしておくと自動的に仮想サーバを再起動できます。事前に設定しておいた別の物理サーバに仮想サーバを移動させ、そこで改めて仮想サーバを起動できるようになるのです。

こちらは「VMware HA」と呼ばれる機能で、物理サーバの障害による被害を最小限に抑えるものです。VMwareが自動的に物理サーバの障害を検知してくれ動作もしてくれるため、障害による仮想サーバのダウンタイムは短くて済みます。

仮想サーバを起動するにあたり、物理サーバに障害が発生することは常に意識しておくべきです。ただ、人間が対応できる範囲には限界があるため、VMware HAのような機能を利用して自動化することも重要です。

VMwareの導入が多い理由


世の中では仮想サーバを起動するソフトウェアとして、VMwareの利用が多いです。その理由についてご説明します。

歴史の長いソフトウェアだから

VMwareはサーバの仮想化に利用するソフトウェアの中でも、歴史が長いものです。純粋に古くから利用されていることで、今でもシェアが高くなっています。

特に日本の経営者は、ソフトウェアの変更に関するリスクを取りたがらない傾向にあります。そのため、VMware以外にもサーバ仮想化のソフトウェアが存在するものの、VMwareのシェアが圧倒的に高い状況です。

とはいえ、長期にわたって利用されるだけの信頼感があるソフトウェアです。惰性ではなく、信頼感に基づかれているのも間違いありません。

対応しているOSが多いから

仮想サーバを起動するソフトウェアの中でも、対応しているOSの数が多いものです。様々なOSの仮想サーバを起動できるため、万能なソフトとして需要が高まっています。

企業で多くのシステムを扱うと、システムに合わせてOSを選択しなければなりません。同じOSを利用できるのが理想的ですが、開発の都合などから実現できないのが一般的です。

そのような時に、特定のOSにしか対応していない仮想サーバのソフトウェアを利用すると、システムに合わせてソフトウェアを用意しなければなりません。システムの管理だけではなく、仮想サーバに関するソフトウェアの管理も必要となり管理が煩雑になります。

しかし、VMwareを利用していれば一つのソフトで大半のOSを扱えるようになるため、管理が煩雑となるような手間は発生しません。対応しているOSの多さがVMwareのシェアを高める理由になっています。

多くのパートナー企業がいるから

VMwareは基本的に開発しているベンダーが製品を提供します。世界各地に75,000社を超えるパートナー企業が存在しており、全ての企業が様々なソリューションを提供しています。

非常に多くのパートナー企業が存在していることで、VMwareが直接的に提供していないソリューションが世の中には存在します。パートナー企業がVMwareを活用する方法を考え、VMwareの強みと自社の強みを最大限引き出しているのです。強みを組み合わせることによって、VMwareが提供していないソリューションの実現が可能となっています。

このように業界大手のソフトウェアを利用して、新たなソリューションを生み出すのは仮想サーバに限った話ではありません。様々なソフトウェアにおいて、このようなソリューションの展開が行われています。

ただ、仮想サーバに限ると、VMwareを利用したソリューションの数が非常に多い状況です。他に仮想サーバを実現するソフトウェアがあるにも関わらず、ソリューション展開にはVMwareが利用されています。公式のソリューションだけではなく、パートナー企業によるソリューション展開の幅が広いことでシェアが高まっています。

VMwareの活用事例

具体的にどのような場面でVMwareを利用すると良いのか、イメージしにくいかもしれません。続いてはこれからVMwareを活用したい方に向けて、VMwareの活用事例をご紹介します。

物理的な環境に左右されずシステムを稼働させたい

VMwareを利用すれば、物理的な環境に左右されずにサーバを構築できます。例えば物理サーバのOSはWindowsであっても、VMwareを利用すればLinux OSのサーバを構築できます。元々はLinuxに構築されていたシステムをWindows上に構築できるようになるわけです。

これのメリットは、物理的なOSを意識することなくシステムを稼働させられることです。例えば全社方針で導入するサーバのOSが変更になっても、VMwareを利用すれば以前に利用しているOSでそのままシステムを稼働させられます。

仮想OSが利用できるようになれば、システムを導入し直したり開発し直したりする手間が省けます。OSの変更にはこれらの作業がつきものですが、VMwareを利用すれば一気に解決できるのです。

物理OSの変化はシステムにとって大きな問題です。この問題を解決するためにVMwareが活用されます。

多くの仮想サーバを一元管理したい

多くの仮想サーバを一元管理したい場合は、VMwareがおすすめです。特に、物理的に離れている環境を一元管理したいならば、サーバ仮想化ソフトウェアの中でもVMwareが優れています。

現在は災害対策などで、仮想サーバを物理的に入れた環境に設置する傾向にあります。また、オンプレミスとクラウドなどに分類して配置するケースもみられます。このように複数の環境に仮想サーバを配置すると、これらを一元管理する仕組みを作らなければなりません。

本来は自分で実装する必要がありますが、VMwareならば物理的に異なった環境でも一元管理が可能です。同じデータセンターの中で複数の物理サーバがあるのはもちろん、異なる場所に位置するデータセンター間の接続も可能ですし、クラウドとの接続も可能です。VMwareを利用するだけで複数の環境の仮想サーバを一元管理できるのです。

まとめ

VMwareは仮想マシンを起動するソフトウェアの中でも特に需要が高いものです。最も歴史の長いソフトウェアであり、仮想サーバを立ち上げる業務に携わるのであれば知っておかなければなりません。

VMwareは有名なソフトウェアではあるものの、まだまだ新しいエンジニアにとっては知られていない存在です。そのため、VMwareについてこの機会に理解するようにしてください。

VMwareは古くから利用されているソフトウェアではありますが、シェアの高さからこれからまだまだ利用されると考えられます。今から身に付けても遅くないため、積極的に習得するようにしていきましょう。

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