個人事業主の所得控除とは

個人事業主の所得控除とは

個人事業主の所得控除とは?種類や条件を確認してしっかり節税しよう!
「節税をしっかりして払う税金を極力減らしたい!」
「所得控除の名前は知っているけれども詳しいことを知りたい!」

このような方々に向けて個人事業主の方へ「所得控除」について説明していきたいと思います!

個人事業主の方は会社勤めの方々と違い税金についても自分で行わなければなりません。

税金の手続きというものは個人事業主の方の作業の中で最も面倒なものといっても過言ではありません。

確定申告の直前になって慌てないように、日頃からしっかりと税金に対する知識を身につけていく必要があります。

今回は、個人事業主の方が節税を意識する際に最も重視しなければならない、所得控除について説明していきます。

個人事業主の所得控除とは

まず初めに所得控除について説明をしていきます。

所得控除とは簡単にいうと「所得税を収める際に、各納税者の個人的な事情を加味しよう」という制度です。

家族や子供がいる方や、災害や盗難などにあった時、病院に通院する必要があった時など、様々な控除を利用することが可能です。

節税効果

個人事業主の方が払う必要のある主な税金は「所得税」「消費税」「住民税」「個人事業税」となります。その内所得控除を使うことによって所得税の額を減らすことができます。

所得税の導き出し方は 「((売上 ? 経費 ? 所得控除)/ 儲け) x 税率)」 という式で計算することができます。

所得控除を利用することで上の式の儲けの部分を減らすことで払う所得税を減らすことができます。

ここで注意が必要なのですが、所得控除というものは自分で申請をしなければ利用することができないため、自分が使うことができる控除というものをしっかりと把握し、所得控除を漏れ無く使うことが重要となります。

所得控除の種類

それでは、これからどのような所得控除が存在していて、どのような条件を満たすことで各所得控除を利用することができるのかを確認していきましょう!

基礎控除

基礎控除とは、所得税の計算をする際に、全員が差し引かれる控除です。
基礎控除は他の所得控除とは違い、適応されるための条件などはありません。

2019年までは所得税の基礎控除では38万円が差し引かれます。

ですが、2020年分の確定申告からは基礎控除の金額が変更される予定となっています。

2019年までは合計所得金額にかかわらず、一律で38万円が控除されましたが、2020年分からは合計所得金額に応じた額が適応されます。

合計所得金額が2400万円以下の場合は48万の基礎控除が適応され、所得金額が2400万?2450万円以下の場合は32万円が適応されます。

2450?2500万円以下の場合は16万円それ以上の場合は基礎控除額が0になります。

まだ基礎控除のシステムが変わるまでには時間がありますが、忘れずに覚えておきましょう。

配偶者控除

配偶者控除とは

配偶者控除とは納税をする個人事業主の方に控除対象となる配偶者がいる場合に適応される控除です。

配偶者控除の控除額は一律で38万円と決められています。

配偶者控除はこの後に紹介する「扶養控除」と似ていますが、重複して適応することはできず、配偶者がどちらの条件も満たす場合は、こちらの「配偶者控除」が適応されます。

配偶者控除の対象になる配偶者の条件

配偶者控除の対象になる配偶者は次の4つの条件を満たす人になっています。

1. 民放の規定による配偶者であること
2. 納税者と生計を一にしていること
3. 年間の合計所得金額が38万円以下であること
4. 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、また白色申告者の事業専従者でないこと。

この4つの条件を満たしている人に限ります。

ここで重要なのが、配偶者控除の対象の方は法律上の夫婦に限られていること、や生計が同一であること、個人事業主の元で事業専従者として給与を得ていないことが条件となっています。

3.の「年間の合計所得金額が38万円以下である」についてですが、配偶者がパートなどで給与所得を得ている場合でも、「所得」が38万円であるため、お給料から保険や税金を差し引くため額面では「103万円」までは稼ぐことができます。

これがニュースなどでよく聞く「103万の壁」というものです。

配偶者特別控除

配偶者特別控除とは?

配偶者特別控除とは、配偶者の所得が38万円を超えてしまっていて「配偶者控除」を受けられない時に、配偶者の所得に応じて一定の金額の控除を受けられるというものです。

配偶者特別控除の適応額はかなり細かく分かれており、しっかりと確認する必要があります、この下の表が、配偶者特別控除の控除額となります。

配偶者の合計所得金額 配偶者特別控除の控除額
38万円~40万円未満 38万円
40万円~45万円未満 36万円
45万円~50万円未満 31万円
50万円~55万円未満 26万円
55万円~60万円未満 21万円
60万円~65万円未満 16万円
65万円~70万円未満 11万円
70万円~75万円未満 6000円
75万円~76万円未満 3000円
76万円~ 0円

配偶者特別控除の対象となる配偶者の条件

配偶者特別控除の対象となるのは、まず初めに納税者(個人事業主)の方のその年の合計所得金額が、1000万円以下である必要があります。

そして、配偶者の方が以下の条件を満たしている必要があります。

1. 民放の規定による配偶者であること
2. 納税者と生計を一にしていること
3. その年に青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
4. 他人の扶養親族となっていないこと
5. 年間の合計所得金額が38万円長76万円未満であること

となっており、基本的に配偶者控除と同じになっています。
また、夫婦のどちらも条件を満たしている場合でも、控除の対象となるのはどちらか一方のみとなっています。

扶養控除

扶養控除とは

16歳以上の扶養控除の条件を満たす家族がいる場合適応される控除となっています、扶養控除は一律として38万円の控除を受けることができます。

扶養控除の対象となる条件

1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から用語を委託された老人であること。
2. 納税者と生計を一としていること
3. 年間の合計取得金額が38万円以下であること。
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
4. 青色申告者の事業専従者としてのその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと

となっています、一見すると配偶者控除と似ていますが、上にも書いた通り重複して適応することはできないので注意しましょう。

老人扶養家族

扶養控除というと子供や専業主婦(主夫)である、配偶者に対して適応されるというイメージがあるかもしれません。

しかし、70歳以上の方を扶養している場合「老人扶養家族」として48万円の控除を受けることができます。

この場合注意が必要なのですが、年金も所得となりますので、扶養する方の年金の金額を確認する必要があります。

また扶養している方が納税者またはその配偶者の直系の尊属で同居をしている場合には「同居老親等」として58万円の控除を受けることができます。

障害者控除

障害者控除とは

障害者控除とは、納税者自身または、配偶者や扶養家族などの控除の対象者が条件に当てはまる場合に適応される控除です。

障害者控除として控除される額は一人につき27万円と定められています。

障害者控除の対象となる条件

障害者控除の対象となる人は以下の条件のいずれかに当てはまっている人です。

1. 常に精神上の障害により事理を弁識する能力を描く状態にある人
 (この人は、特別障害者に該当します。)
2. 児童相談所などにより知的障害者と判定された人
(この家中どの知的障害者と判定された人は、特別障害者に該当します。)
3. 法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
(障害等級が1キュと記載されている人は、特別障害者に該当します。)
4. 身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人
(このうち障害の程度が1級または2級と記載されている人は、特別障害者に該当します。)
5. 満65歳以上の人でその障害の程度が(1)、(2)または(4)に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人
(このうち、特別障害者に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人は、特別障害者に該当します。)
6. 戦傷病者手帳の交付を受けている人
(このうち障害の程度が恩給方に定める特別項症から第3項症までの人は、特別障害者に該当します。)
7. 原子爆弾被爆者として規定により厚生労働大臣の認定を受けている人
(この人は、特別障害者に該当します。)
8. その年の12月31日時点で、引き続き6ヶ月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で複雑な介護を必要とする人
(この人は、特別障害者に該当します。)

特別障害者控除とは

上記の障害者控除の対象となる条件の中に度々出てきた「特別障害者控除」について疑問に思った方もいるでしょう。

「特別障害者」とは、上記の条件の中の「特別障害者」に該当する方が配偶者や扶養家族の中にいる場合、40万円の控除を適応することができます。

また特別障害者の方が下記に当てはまるいずれかの方との同居を常況としている、納税者 or 納税者の配偶者 or 納税者と生計を一緒にするその他の親族といった場合については控除額が75万円となります。

寡婦控除、寡夫控除

寡婦控除、寡夫控除とは?

この二つの控除は、寡夫もしくは寡婦に当てはまる方が、適応することのできる控除となっています、こちらの寡婦控除と寡夫控除はどちらも27万円の金額が控除されます。

また寡婦控除の場合は、「特定の寡婦」と認められた場合、35万円の控除が適応されます。
一方で寡夫控除の場合は35万円の控除は存在しません。

寡婦控除の対象となる条件

寡婦と認められるためには以下の条件のいずれかに当てはまる場合となります。

1. 夫と離婚もしくは死別した後に婚姻をしていない人、もしくは夫の静止画明らかでない人で、所得38万円以下の扶養親族がいる場合
2. 夫と死別した後婚姻をしていない人、もしくは夫の静止画明らかでない人で、合計所得が500万円以下の場合
また「特定の寡婦」と認められるための条件は

1. 夫と離婚または死別した後に婚姻をしていない、もしくは夫の静止画明らかでない
2. 扶養親族である子がいる
3. 合計所得が500万円以下

の3つの要件を全て満たす必要があります。

寡夫控除の対象となる人

こちらの寡夫控除も基本的には寡婦控除と同じとなっています。

1. 合計所得が500万円以下
2. 妻と離婚もしくは死別した後に婚姻をしていない、もしくは妻の生死が明らかでない
3. 生計を一緒にしている子供がいる
(この場合の子は所得38万円以下で、他の人の扶養対象になっていないこと)

が条件となっています。

勤労学生控除

勤労学生控除とは

個人事業主の方の中には学生の方も多くいると思います、またこちらの控除はアルバイトの学生であっても控除を受けることができます。

こちらの控除では27万円の控除を受けることができるため俗に言われる「103万円の壁」というものの上限が上がり130万円までは所得税がかからず働くことができます。

ここで大切なのは、所得税はかかりませんが、上記の扶養家族から外れてしまうということを意識する必要があります。

勤労学生控除の対象となる条件

勤労学生の控除を受けるためには以下の条件をすべて満たす必要があります。

1. 特定の学校の学生、生徒であること
2. 合計所得金額が65万円以下でしかも3に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
3. 勤労所得が学生である納税者本人の勤労による所得であること。

雑費控除

雑費控除とは

雑費控除とは、個人事業主の方の資産が災害や盗難などの被害にあった際にそれらの損失の一部を控除することができるものです。

雑費控除の対象となる資産とその原因

雑費控除の対象となる資産は納税者自身もしくは、その配偶者もしくは、扶養親族のものであります。

またこれらの資産は日常生活で使用する資産であるものであるので、以下のものは除外されます。

1.棚卸資産や事業用の固定資産等
これらの損失は事業所得などの所得の計算上で必要経費になります。

2.生活に通常必要でない資産
別荘など娯楽や保養などの目的で持っている不動産やゴルフ会員権など、また貴金属や書画骨董などで1個または1組の価額が30万円を超える生活に通常必要でない動産のことをいいます。

これらの損失の額は譲渡所得から控除することができます。

また資産の損害の原因も以下のものに限定されます。
1.震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
2.火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
3.害虫などの生物による異常な災害
4.盗難
5.横領

医療費控除

医療費控除とは一年間に払った医療費が、「一定金額を超えた分」だけが控除されるシステムとなっています。

医療控除の対象となる金額の計算は年間の所得が200万円以上か未満で大きく異なります、医療控除額は

1年間に支払った医療費-保険金などで補填される金額-10万円(合計所得金額が200万円未満の人は合計所得金額×5%)

といった計算式で導き出すことができます。

社会保険料控除

個人事業主の方は、社会保険料なども自分で支払いをしなければなりませんが、それらの金額も社会保険料控除として控除をすることができます。

社会保険料控除とは、個人事業主の方が、社会保険料を支払った場合に適応される控除となっています。

支払った社会保険料全額が控除の対象となります、また納税者本人だけではなく、配偶者や扶養親族のために社会保険料を支払った場合も控除することができます。

生命保険料控除

こちらの生命保険料控除とは上記の社会保険料控除と同様に納税者本人とその配偶者扶養親族のために支払いをした保険料に対して控除を受けることができるものとなっています。

生命保険料控除は最大で12万円まで控除することが可能です。

自身の加入している保険が生命保険料控除の対象となるかは、自身で契約している保険会社での確認を自身で行う必要があります。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済とは、個人事業主や、会社役員、経営者などが事業を廃止、会社を退職する時に、それまで積み立てたお金に応じて給付金を受け取ることが出来る制度のことです。

簡単に説明をするとこちらは個人事業主の方のための退職金制度のようなものとなっています。

小規模企業共済に加入し毎月一定金額を積立することで、小規模企業共済制度を運営する「中小機構」に将来の退職金となるお金を管理してもらいます。

そして小規模企業共済に積み立てているお金がこちらの小規模企業共済等掛金控除として控除されます。

地震保険料控除

こちらは個人事業主の納税者の方が地震保険の保険料について支払う際に最大で5万円が所得から控除されます。

住宅ローン控除との関係

納税者の方は住宅に入居した1年目は「住宅ローン控除」を必ず確定申告しなければなりません。

そのため、地震保険料も確定申告でするのか、年末調整の時にするのかを迷うかもしれませんがどちらで行っても大きな違いはありません。

また住宅ローンについてですが、住宅ローンの借り換えをしてしますと、住宅ローンの控除が受けられなくなってしまうという疑問があるかもしれませんが、借り換えを行なっていても以下の条件を満たすことで、住宅ローン控除の対象となります。

1. 新しい住宅ローン等が、当初の住宅ローン等の返済のためであると明らかであること
2. 新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であるなど、住宅ローン控除の対象となる要件に当てはまること

これらの条件を満たすことで住宅ローンの借借り換えをしても控除の対象となります。

寄附金控除

寄附金控除はふるさと納税などを行うことによって支払った額から2000を引いた金額を控除の対象とすることです。

ふるさと納税は寄附金控除の対象となるので節税にもなりますが、寄附金控除として認められるには、指定の団体にふるさと納税を収めることが条件です。

確定申告を忘れずしっかり節税

これまでに紹介した控除をしっかりと使用することで、所得税を節税することが可能となります。

最初に紹介をしたように所得を抑えることで支払う必要のある、所得税に大きな差が出てきます。

そのため上記の控除の中かから自分が条件を満たしている、控除をしっかりと申請をしましょう。

まとめ

今回は、個人事業主の方へ向けて様々な控除についてご紹介しました。

個人事業主の方は税金周りについて自分でやらなければならないことが、多いと思いますので、今回の記事をぜひ参考にして、しっかりと節税を行なってくださいね!


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admin