フリーランスの経費の範囲はどこからどこまで?経費項目を解説

フリーランスの経費の範囲はどこからどこまで?経費項目を解説

フリーランスは基本的に確定申告をする必要があり、確定申告のために売上と経費を算出しなければなりません。実際にはこれら以外の要素も関連してきますが、最低限これらが正しく計算できていれば、確定申告としては成立します。

ここで重要視しなければならないのは、フリーランスが計上できる経費の範囲です。支払いを自由に計上できるのではなく、フリーランスが計上できる経費には決まりがあります。今回はフリーランスの経費についてご説明していきます。

フリーランスで認められる経費の範囲とは

それでは、フリーランスに認められる経費の範囲とはどのようなものなのでしょうか。まずはどのような支払いであればフリーランスが経費に計上できるのかご説明します。

基本的にはフリーランスの活動に関わる部分のみ

基本的にフリーランスが経費に計上できるのは、フリーランスとしての活動に関わる部分のみです。フリーランスとしての活動ではなく、個人的な支出だと考えられるものについては経費の計上はできません。

例えばフリーランスエンジニアの場合、エンジニアとしての活動に関わる支出は経費として計上できます。例えば、以下の項目が経費として考えられます。

  • パソコンなど機器の購入費用
  • 開発ツールの購入費用
  • クラウドサービスの契約費用
  • 他のエンジニアへの発注費用
  • 契約書など備品の購入費用

これらは費用の一例ですが、フリーランスエンジニアとしての活動に直接関わる費用であるため、経費に計上できます。このように目に見える費用以外にも、フリーランスエンジニアとしてセミナーなどに参加する費用も経費として認められます。

それに対して、フリーランスエンジニアとしての活動に直接関わらないと考えられるものは経費として計上できません。例えば以下の費用は経費に計上できません。

  • エンジニア同士の飲み会費用
  • 衣服の購入費用
  • フリーランスエンジニアとして利用しない機器の購入費用

フリーランスの場合、エンジニアとしての活動に直接関わるものしか計上できません。そのため、エンジニア同士の飲み会費用などは経費計上の対象外です。法人の場合は経費として認められる場合がありますが、フリーランスの場合は残念ながら難しいのです。

また、エンジニアに限って言うと衣服などの購入費用も基本的には経費として計上できません。講演会などのために衣服を購入する場合はあると思われますが、個人的な支出として判断されるケースが多くあります。

他にも様々な機器の購入費用が計上できますが、フリーランスエンジニアとしての活動に関わりないものは計上できません。例えばゲームを開発していないにも関わらずゲーム機を購入しても、これは経費として計上できません。

青色申告を利用しているかどうかで範囲が変化する

フリーランスで開業するにあたり、開業届と青色申告承認申請書を提出している場合、青色申告が利用できます。青色申告は若干ですが経費の範囲が異なるため、この点も正しく認識しておくべきです。

例えば青色申告が利用できると、家族に対する給料が経費として計上できます。基本的に家族への支払いは、経費にはなりませんし、受け取った本人も所得の扱いとはなりません。単純に家族の中でお金が動いただけの扱いとなります。

しかし、青色申告の申請をしてなおかつ青色事業専従者給与に関する届出書と呼ばれる書類を提出しておくと、家族への支払いでも経費として認められます。家族に対して給料を支払っている場合は、計上できるかどうかは大きなポイントになるでしょう。

なお、届出には期限があり、内容が承認されるためにはいくつかの条件があります。いつでも好き勝手に家族への給料を経費に計上できるようになるわけではありません。ルールが定められているため、必ず最新の情報を確認するようにしてください。

関連記事:税金・保険・確定申告-フリーランス(個人事業主)の確定申告は青色申告?白色申告?

フリーランスが利用する機会の多い経費項目

確定申告の際に要する経費科目には様々なものがあります。必要に応じて追加する勘定科目も存在しているため、確定申告用のクラウドサービスなどを利用すると、フリーランスでは利用しない勘定科目が設けられている場合もあります。今回は様々ある勘定科目の中から、フリーランスが利用する機会の多いものをピックアップして解説します。

租税公課


租税公課は税金などの支払いに利用する勘定科目です。フリーランスとして様々な税金などを支払うはずであるため、それらの支払いについて経費に計上する際に利用します。

例えばフリーランスが計上する税金には以下のものが挙げられます。

  • 印紙税
  • 個人事業税
  • 固定資産税
  • 自動車税
  • 登録免許税

フリーランスとしてこれらの支払いがあれば、経費としての計上が可能です。税金は経費に計上するイメージがないかもしれませんが、これらの税金については経費の計上が可能です。

ただ、税金について注意してもらいたいのは、必要に応じて家事按分をすることです。自動車や不動産については、フリーランスとして利用するだけではなく個人として利用するケースも多いでしょう。そのように個人とフリーランスの両方で利用するものは、全額を経費に計上できず家事按分して必要な割合だけ計上します。

水道光熱費


水道光熱費は、事務所などに発生する電気代や水道代、ガス代などを処理する勘定科目です。どのような支払いに対して利用するか明確であるため、皆さんもイメージしやすいでしょう。

基本的にフリーランスとしての活動のために事務所を借りているならば、支払いの全額を経費として計上できます。家賃などと合わせて光熱費も処理すると考えておくと良いでしょう。

ただ、事務所を自宅にしている場合は注意が必要です。自宅の光熱費には私生活の部分が含まれているため、その部分を除いて計上しなければなりません。

とはいえ、光熱費についてフリーランスの活動に利用した金額だけを算出するのは難しいものです。作業時間などを踏まえて割合で算出するようにしましょう。

地代家賃


事務所などに発生する家賃を計上する勘定科目です。事務所に限らずフリーランスとして何かしら事務所などの賃貸契約をしていれば、それも確定申告の経費として計上できます。

フリーランスとして活動するために事務所を契約していれば、全額が経費として計上可能です。駐車場の契約をしていれば、その金額も含めて全額経費に計上できます。

しかし、自宅を事務所の代わりに利用している場合は、基本的に家賃の全額を経費には計上できません。事務所として扱っている部屋の広さなどを踏まえて、家事按分して経費に計上します。どのような割合で家事按分したのかは、後からわかるようにしておかなければなりません。

なお、家事按分の観点に特別な決まりはありません。客観的に考えて妥当だと思われる方法で家事按分をしていれば、税務署から指摘されることはないでしょう。

旅費交通費


旅費交通費は、クライアント先に出向く際などに発生した費用を計上する勘定科目です。交通費だけではなく、宿泊費用についてもここに計上します。

状況にもよりますが、少額な交通費の支払いについては領収書がなくても経費計上可能です。数百円単位の領収書を何枚も集めるのは手間ですが、ある程度は自己申告できるようになっています。

ただ、架空の経費を計上していないと証明できるように、領収書以外の証跡は残しておくべきです。例えば、交通費は基本的に全てICカードで支払いをして、その利用履歴を残しておくとよいでしょう。確定申告する際に利用した金額も把握しやすく、証跡も残せるため一石二鳥です。

通信費


通信費は、携帯電話やネットの回線などの使用料金を精算する勘定科目です。また、ハガキや切手などの購入費用や郵便局で支払った費用についても通信費に該当します。

フリーランスとしての活動に該当する通信費は、全額経費に計上します。例えばクライアント先に送付する郵便料金や、ポートフォリオを管理するためのウェブサイト維持費などは、全額が経費です。事務所に電話を設置している場合は、その料金も経費計上できます。

しかし、個人と併用しているものに関しては家事按分をしなければなりません。例えば、携帯電話や自宅のネット回線は個人とフリーランスで同じものを利用している人は多いでしょう。そのような場合は、携帯の利用状況に即して料金を家事按分しなければなりません。

接待交際費


接待交際費は、クライアントとの飲食や贈答品に利用する勘定科目です。基本的にクライアントへ何かを提供することは接待に該当するため、こちらの勘定科目を利用して処理します。

ただ、接待交際費は個人で利用した金額との切り分けが難しく、税務署から指摘されやすい部分です。例えば、私的な飲食についても接待交際費に計上している場合、架空の経費計上として指摘されてしまうわけです。

なお、税務署から指摘される可能性はあるものの、接待交際費について参考になる基準等はありません。そのため、どのようにすれば税務署からの指摘を避けられるのかは断言できない状況です。接待交際費が発生することはやむを得ませんので、誰と利用した費用かなどを後から確認できるようにすることをおすすめします。

消耗品費


消耗品費は、日頃から利用する消耗品を処理するための勘定科目です。フリーランスとして活動していると、様々な消耗品を購入しなければなりません。10万円未満の消耗品については基本的にこちらの勘定科目に計上しましょう。

具体的にどのようなものが消耗品に該当するのかの定義はありません。ただ、一般的には半年から1年以内に使い切るようなものを消耗品として定義します。例えば印刷に利用する用紙やボールペンなどの文房具などは全て消耗品に該当します。

なお、基本的に10万円以上の商品は固定資産として処理する必要があります。ただ、1年以内にその役目を終えるならば、消耗品として計上できる場合もあります。ケースバイケースであるため、税務署の事例なども含めて確認してみると良いでしょう。

外注工賃


外注工賃は、フリーランスとして受注した案件などを外注する際に利用する勘定科目です。フリーランスでも全ての仕事を自分一人で対応する必要はありません。仕事の一部を外注したならば、外注工賃の勘定科目を利用して処理します。

基本的に外注工賃は個人などに対して業務委託した料金が該当します。自分がクライアントから仕事を発注してもらうように、自分が誰かに対して発注した金額を計上するのです。

また、これに加えて忘れやすいのは、フリーランスを支援するアウトソーシングサービスの利用料です。最近はフリーランスをサポートするために、契約書の作成を支援してくれるサービスなどが存在しています。そのようなサービスの利用料は工賃に該当するため、間違えずに計上するようにしましょう。

雑費


商品ではなくサービスに対して何かしら料金を支払った場合は、雑費に計上して処理します。雑費との名称ではありますが、商品の購入にはあまり利用しないため注意が必要です。

雑費として計上するのは、事務所の引っ越し費用やクリーニング費用などサービスに対する支払いです。また、各種支払いに発生する手数料や自治体に対して支払わないといけない費用、顧問税理士などへの報酬もここに該当します。ほとんどがサービスに対する支払いです。

状況に応じてどの程度雑費が発生するかは変動するため、必ず利用しなければならない勘定科目ではありません。1年間フリーランスとして活動してきて該当する支払いが発生していなければ、無理に雑費として何かしらの支払いを計上する必要はありません。

専従者給与


専従者給与とは、上記でも説明した、青色申告の専従者に対する給与です。通常の従業員の給与とは異なり、こちらの勘定科目を利用して処理するのが一般的です。実態としてはその他の従業員へ支払うのと同じですが、こちらについては勘定科目が異なっていると理解しておきましょう。

なお、勘定科目こそ異なっていますが、一般的に給与を支払うのと同じように取り扱わなければなりません。そのため、必要に応じて源泉徴収などに対応する義務があります。専従者給与独自の取り扱いもあるため、その点も踏まえて適切に対応するようにしましょう。

支払った金額については、全額経費として計上できます。社会保険料などの支払いが発生した場合は別の科目で処理するため、専従者への支払いであってもこの勘定科目に合算してはなりません。

まとめ

フリーランスが確定申告をするにあたり、理解しておくべき経費についてご説明しました。経費について正しく理解できていなければ、税金で損をしたり脱税になったりしてしまいます。どちらも望ましい状況ではないため、正しい知識を身に付けておきましょう。

また、確定申告の際は多くの勘定科目を利用します。中にはあまりフリーランスに馴染みがないものも含まれるため、代表的な勘定科目についてご説明しています。自分で確定申告をする際には、ご説明を参考に経費を計上するようにしてください。

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