フリーランスは社会保険に加入できる?種類や手続きについて解説!

フリーランスは社会保険に加入できる?種類や手続きについて解説!

「フリーランスは社会保険に加入できない」と考えている人がいるようです。なんとなく社会保険は会社員が加入するものだと考えているのでしょう。

しかし、実際にはフリーランスでも社会保険に加入できます。今回は社会保険の概要と、フリーランスが加入できる社会保険について手続きを含めてご説明します。

そもそも社会保険とは

そもそも社会保険とはどのようなものなのでしょうか。この点が理解できていない人がいるようです。理解できていなければ内容の理解が進みませんので、まずはこの点からご説明します。

広義に社会保険は大きく5つある

社会保険は広義に以下のとおり5つあります。

  • 医療保険
  • 年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

会社員として働いていると、給料から自動的にこれらの保険料が引き落としされているはずです。公的な制度で保険料が請求されているものが社会保険に入ると考えておきましょう。

「社保」とは意味が異なる

社会保険と間違えられやすい言葉に「社保」が挙げられます。会社員を経験した人であれば、耳にしたことのある言葉でしょう。

こちらの場合は社会保険と同じ意味ではなく、「会社が社会保険を提供している」との意味です。「社保完備」などの言葉があるため会社員だけが社会保険を受けられるイメージがあるのかもしれません。ただ、これはあくまでも厚生年金や健康保険証など、会社が保険料を半分負担する制度が導入されていることを指します。

「社保」という言葉が利用されることで、社会保険の誤った認識を持っている場合があります。社保は社会保険を指す言葉ではなく、異なった意味合いで利用されていると理解しておきましょう。

フリーランスが加入できる社会保険は2つ


先ほどご説明したとおり、社会保険料は全部で5種類あります。しかし、フリーランスが加入できるのは、これらの中でも2種類だけです。具体的にどのような社会保険に加入できるのか確認していきましょう。

健康保険

フリーランスでも健康保険に加入が可能です。むしろ健康保険への加入は国民の義務とされていますので、必要な手続きをして加入しなければなりません。

フリーランスが加入できる健康保険は、大きく分けて以下の3つがあります。

  • 国民健康保険
  • 会社の健康保険の任意継続
  • 国民健康保険組合

それぞれについて以下では詳しくご説明します。

国民健康保険

国民健康保険はフリーランスが加入する代表的な健康保険です。会社員以外の人は基本的に国民健康保険に加入する仕組みとなっています。

健康保険について詳しく知らない人は、「国民健康保険」という運営母体があるとのイメージを持つようです。しかし、実際には国民健康保険は一つの運営母体ではありません。市区町村が運営しているものと、国民健康保険組合が運営しているものの2つがあります。

一般的に国民健康保険に加入するといえば、市区町村が運営するものを指します。こちらは市区町村が運営しているため、加入する地域によって保険料が異なるなどの違いがあります。手に入る保険は国民健康保険で同じものですが、市区町村ごとに保険料が定められているため料金が異なります。

なお、支払いしなければならない保険料は「医療分保険料」「支援金分保険料」「介護分保険料」の3つです。これらを支払わなければならないという点はどこの市区町村でも同じです。

国民健康保険組合が運営しているものは、後ほど改めてご説明します。

会社の健康保険の任意継続

会社員を辞めてから一定期間は、会社で加入していた保険に引き続き加入できます。これを社会保険の「任意継続」と呼びます。

基本的に会社員を辞めた場合、被用者保険から国民健康保険に変更手続きが必要です。ただ、本人が希望すれば2年間に限り会社員として加入していた健康保険の継続が可能となっています。

注意点として任意継続を利用する場合、保険料は全額自己負担となります。会社員時代は半分を会社が負担してくれていましたが、任意継続の場合は会社が負担してくれません。

ただ、任意継続の場合は一定の条件を満たしていると扶養家族の保険料が不必要になるなどのメリットがあります。そのため、扶養家族が多い場合は、国民健康保険よりも保険料を抑えられる可能性があります。

国民健康保険組合

国民健康保険組合は、特定の業種に従事する個人事業主やフリーランスが加入できる健康保険です。全てのフリーランスが加入できるわけではなく、国民健康保険組合がある業種で働いていなければなりません。

具体的な保険組合は様々あります。ITエンジニアのフリーランスが加入できるものもあれば、Webデザイナーなどデザイン系のフリーランスが加入できるものもあります。他にも建築系のフリーランスなど様々な健康保険組合がありますので、自分に適したものを探して加入します。

基本的に国民健康保険組合は、保険料が一定に定められています。自分の年収などによって左右されませんので、国民健康保険よりも安く抑えられる可能性があります。

※なお、国民健康保険、会社の健康保険の任意継続、国民健康保険組合のほかにも被扶養家族として健康保険に加入するという方法もあります。

関連記事:フリーランスエンジニアが加入できる健康保険4つ!保険料を安くする方法も紹介

年金

フリーランスでも年金に加入が可能です。日本では年金への加入が義務付けされていますので、必要な手続きをして加入しなければなりません。

フリーランスが加入できる年金は、大きく分けて以下の3つがあります。

  • 国民年金
  • 付加年金
  • 国民年金基金

それぞれについて以下では詳しくご説明します。

国民年金

国民年金への加入は20歳以上60歳未満の義務ですので、フリーランスはこちらに必ず加入します。毎月の保険料は収入や年齢に左右されず固定されています。年々少しずつ高くなっていて、具体的に2021年4月からは月額16,610円と定められています。

なお、実は会社員時代にも国民年金には加入しています。ただ、会社員は厚生年金にも加入していますので、こちらが重要視され「厚生年金に加入」と表現されるケースが多いようです。フリーランスは改めて国民年金に加入するのではなく「国民年金にだけ加入する」状態になるのです。

ただ、国民年金だけでは老後の資金に不安があるというのが一般的な考えです。そのため会社員の場合は厚生年金で金額を増やし老後に備えています。

付加年金

付加年金はフリーランスなど第1号被保険者が利用できる制度です。上記で説明した国民年金の保険料に月400円を追加して支払いしておくと、年金受給時の金額を増やせる制度です。

付加年金を支払っておけば、年金の受給額が毎年「200円×支払い月数」だけ増加します。例えば30歳でフリーランスになり30年間付加年金を支払えば、「200円×30年×12ヶ月」で年間72,000円多くの年金が受給できます。年金は2ヶ月に1回受け取りますので、1回あたり12,000円多く受け取れる計算です。

国民年金基金

国民年金基金は上記で説明した第1号被保険者が利用できる制度です。必ず加入しなければならない年金ではなく、将来の受給額を増やしたい人のみが加入します。

一般的な個人年金のような仕組みとなっていて、毎月の掛け金は自分で選択ができます。自由にプランを組み立てられるわけではありませんが、複数の選択肢の中から自分の状況に適したものが選べる仕組みです。

なお、保険料は最低で月額6,000円前後ですが最高は月額68,000円と定められています。フリーランスで儲かっているからと言って、あまりに多くの保険料を納めることはできません。

基本的には積立式の年金ですので、若くに加入し長く積み立てる方が、年金が高額になります。後から保険料の変更はできますので、なるべく早く加入しておいた方が良いでしょう。

関連記事:フリーランスは老後資金が心配?今から始めたい老後資金の作り方を解説!

会社員からフリーランスになる場合の手続き


会社員からフリーランスになるにあたり、どのような手続きが必要となるかご説明します。

健康保険の切り替え手続き

保険の切り替え手続きはどのような保険を利用するかによって手続きの内容が異なります。

まず、基本となるのは国民健康保険への切り替えです。会社員を辞めると基本的には自営業と同じこちらの保険への切り替え手続きが必要です。切り替え手続きは住民票のある市区町村の担当窓口で済ませる必要があり、社会保険の資格喪失日から14日以内に手続きしなければなりません。

どのような書類が必要となるかは市区町村によって異なります。社会保険の資格喪失を示す証明書やマイナンバーがわかるもの、印鑑や本人確認書類などが基本です。

続いて任意継続の利用です。任意継続の場合は対応するべき手続きが異なり、まず手続き先が加入していた健康保険組合の窓口か居住地の社会保険事務所となっています。市区町村の窓口ではありませんので注意しましょう。

また、手続きも退職してから20日以内と定められています。国民健康保険への加入とは締め切りが異なりますので、間違いのないように対応が必要です。

最後は国民健康保険組合に加入する場合です。この場合は加入する国民健康保険組合によって手続きの方法が異なります。事前に調査をして速やかに手続きが必要です。

特に健康保険組合に加入する場合は、事業内容がわかるものの提出が必要です。加入条件を満たしているかどうかを証明しなければなりませんので、これらに関連する書類などを用意しておく必要があります。

年金の切り替え手続き

厚生年金から国民年金への切り替え手続きをします。フリーランスは厚生年金に加入できませんので、退職した日の翌日から2週間以内に国民年金への切り替え手続きが必要です。

国民年金への切り替え手続きは、市区町村の担当窓口で済ませる必要があります。離職票や退職証明書など退職日がわかる書類と年金手帳や印鑑などが必要です。市区町村によって微妙に異なる可能性がありますので、事前に確認して必要なものは用意しておきましょう。

なお、配偶者が会社員の場合は、配偶者が自分の職場で手続きをすることで国民年金の3号被保険者になります。ただ、こちらには年収が106万円以下であることとの制限がありますので、超えてしまう場合は国民年金への加入手続きを自分でしなくてはなりません。

参照:日本年金機構–国民年金に加入するための手続き

フリーランスが社会保険料を抑える4つの方法

フリーランスは会社員よりも社会保険料が高くなる傾向があります。これは会社と折半して支払いしていたものを、全額自己負担する必要があるからです。このような状況で社会保険料を安く抑える方法をご説明します。

国民健康保険が安い市区町村を選択する

国民健康保険の保険料は市区町村によって異なります。そのため保険料を抑えるためには、保険料の安い市区町村に引っ越す選択肢があります。

もちろん誰しも簡単に引っ越しできるだけではありません。家族がいる場合は引っ越しのハードルが高くなってしまうでしょう。保険料を下げるためだけに引っ越すのは現実的ではないかもしれません。

ただ、引っ越してリモートワークでも案件に対応できるのはフリーランスのメリットです。会社員のように居住場所に縛られる可能性は大きく下げられます。そのためフリーランスだからこそのメリットを活かせるならば、保険料を下げるのも一つの手段です。

任意継続を利用する

フリーランスになってすぐのタイミングは、任意継続を利用するとよいでしょう。必ず任意継続がお得だとは言い切れませんが、単身の場合は月収30万円ほど貰っていた場合に任意継続がお得になります。

ただ、任意継続が利用できるのは退職してから最大2年間と定められています。そのため、いくら保険料を抑えたいからといっても、長期的に任意継続は利用できません。最終的には国民健康保険に切り替える必要があります。

なお、任意継続は支払遅延に厳しい傾向があります。利用している保険の組合にもよりますが、1日でも遅延すると解約になる場合があります。フリーランスで支払いが厳しい場合、トラブルになってしまう可能性があるのです。収入が不安定であり支払いに不安を感じている場合は注意が必要です。

国民健康保険組合に加入する

フリーランスで国民健康保険組合に入ることが可能であれば、保険料を抑えられます。国民健康保険組合は収入にかかわらず保険料が一定ですので、国民健康保険よりも保険料を安く抑えられる可能性が高まります。

上記でも述べたとおり、フリーランス全員が国民健康保険組合に入るわけではありません。どのような業種で働いているかによって、加入できるかどうかは決まってしまいます。もし加入できる資格を持っている場合は、保険料を抑えるために国民健康保険組合への加入を考えてみましょう。

抜けもれなく確定申告する

社会保険の保険料は毎年の収入によって決定されます。つまりフリーランスの場合は、確定申告した結果によって決定されます。

支払いする保険料を下げるためには、課税対象を下げれば良いことになります。厳密には少々計算が異なりますが、経費などを抜け漏れなく適切に確定申告しておけば、課税対象が下がり各種社会保険料を抑えられます。

特に確定申告の際に注目しておきたいのは青色申告の利用です。フリーランスが開業届を出して青色申告の手続きをしておけば、通常よりも控除の金額が大きくなります。つまり課税対象金額が下がり、社会保険料の減少にもつなげられるのです。節税と社会保険料減少の2つのメリットが受けられます。

まとめ

フリーランスでも社会保険に加入可能です。特に国民年金と国民健康保険は義務ですので、手続きを忘れることなく加入しましょう。

一般的にフリーランスの社会保険料は、会社よりも高くなる傾向があります。その理由は会社員の場合、保険料会社と折半できていたからです。これがなくなるため社会保険料が増えてしまうのです。

そのため、フリーランスは社会保険料を抑えることを意識しましょう。4つのポイントがありますので、それを踏まえて行動してみてください。

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