AWSエンジニアを完全解説!

AWSエンジニアを完全解説!

世界中で利用されているパブリッククラウドにAWSがあります。幅広いユーザーがいるため、エンジニアでもそれ以外の人でも知っている人が多い状況です。「パブリッククラウドといえばAWS」といえるような状況になっています。

このAWSを専門的に扱うのが「AWSエンジニア」と呼ばれる人達です。今回は、需要の高いAWSを扱う、AWSエンジニアについて完全解説します。

AWSエンジニアとは

AWSエンジニアといわれても、イメージできない人が多いかもしれません。まずは、AWSエンジニアが、どのような人材であるのか解説します。

AWSの概要

AWSエンジニアを解説する前に、AWSについて理解しておきましょう。AWSは「Amazon Web Services」の頭文字をとったもので、通販サイト大手の「Amazon.com」のグループ会社が運営するサービスです。通販サイトの運営で培った経験を生かし、パブリッククラウドサービスを提供しています。

非常に多くのサービスを安価で提供していることから、世界中で利用されている状況です。また、定期的に新しい機能をリリースしていて、トレンドを生み出している企業でもあります。近年は、他のパブリッククラウドも追従していますが、まだまだAWSが強い状況です。

AWSエンジニアとは

AWSエンジニアは、上記で解説したAWSを専門とするエンジニアを指します。AWSには非常に多くのサービスがあり、使いこなすには専門的なスキルが必要です。そのため、AWSエンジニアとして、独立したカテゴリーが設けられています。

似たようなエンジニアとして、クラウドエンジニアと呼ばれるカテゴリーもあります。このような人たちは、クラウドに対して幅広い知見があると考えましょう。AWS以外にも、パブリッククラウドは複数存在するため、それらについても操作したり活用したりできるのです。

使い分けとしては、AWSエンジニアの方が、よりAWSに詳しいと考えられます。明確な基準はありませんが、クラウドエンジニアの中でも、AWSに特化して、高いスキルを持つ人だと考えると良いでしょう。

AWSエンジニアの主な仕事内容


AWSエンジニアの概要だけではなく、続いては具体的な仕事内容についても解説します。

設計

AWSエンジニアは、AWS利用時の各種設計を担当します。あくまでもAWSはプラットフォームに過ぎません。利用者が適切に設計しなければ、AWSを使いこなすことはできないのです。

非常に多くのサービスがあるため、設定する内容も数多く考えられます。例えば、Webアプリケーションを構築することもあれば、ビッグデータ解析を実現することもあるでしょう。AIを活用した新しいシステムの開発も可能です。

AWSエンジニアは、このような設計をまとめて引き受けます。専門分野によって、エンジニア間での役割分担が存在することもありますが、基本的には全ての設計に対応しなければなりません。

ベストプラクティスの把握

AWSにおける「ベストプラクティス」の把握が求められます。ベストプラクティスとは、特定の条件を満たすための、最善のサービスや組み合わせのことです。

クラウド上でも、要件を満たす手法は複数設けられています。コストやセキュリティなど、複数の観点を踏まえて最終決定しなければなりません。

ただ、選択肢が設けられているとはいえども、設計の軸となるのはAWSが定めるベストプラクティスです。AWSエンジニアはこれを網羅しておき、さらにどのような変更を加えられるか検討することが求められます。つまり、ベストプラクティスが受け入れられなかった場合の妥協案を検討するところまでが仕事です。

構築

AWSの設計だけではなく、実際の構築作業もAWSエンジニアが対応します。コンソールから操作できるため、設計内容に沿って操作しなければなりません。部分的に複雑な操作が必要となるため、それらを理解しておくことが重要です。

また、AWSの構築では、前提条件が定められていることがあります。例えば、A作業からB作業はできても、B作業からA作業はできないことがあるのです。設計の内容を踏まえ、どの作業から順番に着手するか判断することも仕事のひとつです。

運用・保守

構築されたAWS環境の運用や保守も仕事内容です。AWSは構築して終わりではなく、継続的に利用します。その過程で発生したトラブルに対応しなければなりません。

単純な運用だけであれば、AWSエンジニアが必要とされないことがあります。ただ、保守の場面においてはAWSエンジニアが必須です。例えば、スペックのチューニングやサービスの統廃合に伴う対応などが考えられます。専門的なスキルが求められる内容は、AWSエンジニアの仕事範囲なのです。

AWSエンジニアに必要なスキル


AWSエンジニアは、幅広いスキルを習得しなければなりません。具体的にどのようなスキルが必要となるのか、特に重要なものを解説します。

AWSの各サービス

AWSの専門家であるため、各サービスについて詳しく理解しなければなりません。100種類以上の数多くのサービスがあるため、それぞれについて理解することが重要です。サービスは定期的に追加されたり統廃合されたりするため、それらについて理解を深めておくことも求められます。

ただ、すべてについて完璧な理解を持つことは現実的ではありません。種類が多すぎるため、AWSエンジニアといえども追いつくことは難しいでしょう。そのため、AWSエンジニアの中でも、一部分に特化したスキルを持つ人もいます。

また、まずは全体について理解しておき、利用する際に公式ドキュメントを参照することもあります。すべてを自力で操作できるスキルではなく、ある程度のスキルだけ持っておくのです。AWSはサービスが変化から、今までのスキルが無駄になることもあるため、このようなスキルの持ち方も良いでしょう。

AWSにおけるベストプラクティス

上記でも解説した、ベストプラクティスについて理解していなければなりません。一般的には、ベストプラクティスに沿った設計や構築が必要となり、これを知らずにAWSエンジニアとして活躍することは不可能です。

ベストプラクティスは絶えず変化するため、最新の情報を収集しなければなりません。自分が設計や構築するアーキテクチャを中心に、スキルが求められると考えておきましょう。

なお、ベストプラクティスについても、すべてのスキルを習得することは現実的ではありません。最新の情報を把握する必要もあるため、必要なときに公式ドキュメントを参照する運用でも良いでしょう。

インフラ

AWSはシステムやアプリケーションの基盤に利用されることが多々あります。そのため、インフラに関するスキルも必要不可欠です。設計から構築、運用管理まで求められると考えましょう。

ただ、AWSにおいてインフラを構築するため、インフラ機器の操作方法などは必要ありません。例えば、ネットワーク構築には「スイッチ」と呼ばれる機械が使用されますが、これについては求められないのです。ハードウェア的な部分は、AWSがすべて提供してくれます。

AWSエンジニアに求められるのは、インフラに関する各種理論を理解しておくことです。ネットワーキング、データストレージ、セキュリティ、スケーラビリティなどがこれに該当します。これらをどのように組み合わせることで、どのような効果を発揮できるのかを理解しておくことが特に重要です。

CI/CD

忘れてはならないスキルが、CIやCDのスキルです。AWSは、JSONソースコードで環境を自動的にビルドできるため、これについて理解しなければなりません。これを扱えるかどうかで、業務効率に大きな違いが出ます。

また、自動的にビルドできるようになれば、作業ミスを防ぐことが可能です。コンソールからの作業が中心になると、どうしても操作ミスが発生する可能性があります。AWSは設定項目が多いため、ミスが見逃されてしまうこともあるでしょう。

しかし、ソースコードによって自動的にビルドすれば、事前に用意したとおりの環境が構築されます。請求書の内容に沿って、ビルドする準備を整えておき、それを利用できるようになるべきです。

AWSエンジニアになるための3つの方法

これからAWSエンジニアになりたいと考えている場合、具体的にどのような流れで進めれば良いのか解説します。

実務経験でのスキル習得

AWSエンジニアになるための無難な方法は、実務経験でスキルを習得することです。近年はクラウドを扱うエンジニアが求められているため、実務経験を通じて、スキルアップする環境が増えてきています。例えば、実際にAWS上でシステムを構築し、その時に得られたスキルを集約してAWSエンジニアとなるのです。

OJTに採用されることも多くあり、特に若手のAWSエンジニアを育てる際には実務経験が活用されます。座学だけでもAWSエンジニアとして活躍できますが、実際の開発経験を積んでおくことが理想的です。そのため、これらの経験も積むことによって、AWSエンジニアになれると考えた方が良いでしょう。

インフラエンジニアからの転身

上記でも触れたとおり、AWSエンジニアはインフラを多く扱います。ネットワークなどインフラの基本的な知識が必要となり、インフラエンジニアからの転身が可能です。インフラについて基本的な部分が理解できていれば、あとはAWSの操作方法を理解するだけで、AWSエンジニアになれます。

クラウドには独自の考え方がありますが、根本的なインフラの考え方に違いはありません。例えば、ネットワーク設計の理論は、物理的な環境でもクラウド環境でも大差ないのです。つまり、インフラエンジニアとして培ってきた経験がそのまま活かせます。

もちろん、インフラエンジニアのスキルだけで活躍できるわけではなく、AWSのスキルも必要とされます。改めて習得する必要はありますが、他のバックグラウンドを持つエンジニアよりも、素早く即戦力になれるでしょう。

プログラマーからの転身

プログラマーとして活躍していたならば、その経験を生かしてAWSエンジニアを目指すことも可能です。システム開発にあたっては、インフラの設定をプログラマーが担当することもあり、基本的な知識があると考えられます。応用的な部分も習得することで、AWSエンジニアとして活躍できるでしょう。

また、AWSには「Lambda」などプログラミングが必要な機能が存在しています。これらの機能は、一般的なAWSエンジニアよりも、プログラマーが担当する範疇です。プログラマーからAWSエンジニアになれば、このようなプログラミングが必要な場面で活躍できます。他のエンジニアと差別化するという観点で、プログラマーというバックグラウンドも役に立つのです。

増えるAWSエンジニアの中で希少性を高めるためには

AWSエンジニアの数が増えているため、これからは差別化が求められます。他のエンジニアと同じレベルでは、生き残れないと考えましょう。

希少性を高めるためには、AWSのスキルを高めることが重要です。幅広いサービスについて理解して、一人で網羅できることを目指しましょう。すべてを完璧にすることは現実的ではありませんが、可能な限り網羅しておくことで、自身の希少性が高まります。

また、数多くのサービス設計や実装の経験を持っておきましょう。資格の取得などでも自分のスキルを証明できますが、今までの経験も重要です。ベストプラクティスを深く理解していることも、希少性を高める要素です。

他には、特定の業界や業種に特化する選択肢もあります。例えば、エンタメ系は負荷分散が必要となるなど、似たアーキテクチャを採用するケースが多い業界です。このような特有のアーキテクチャを理解していれば、AWSエンジニアとしての価値を高められます。

まとめ

AWSの設計から運用までに関与する、AWSエンジニアを解説しました。一昔前はクラウドエンジニアとしてまとめられていましたが、現在はそれぞれ細分化されています。AWSに特化したエンジニアだと考えておきましょう。

基本的には、AWSを完璧に理解し、設計や実装を担当します。ただ、AWSを扱うにあたっては、ネットワークやミドルウェアの知識も必要です。幅広いスキルが必要になると理解しておきましょう。

なお、需要の高まりから、AWSエンジニアの数が増えている状況です。スキルアップや独自の経験など、希少性を高める取り組みをしなければ、活躍しにくくなるかもしれません。

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admin