クラウドIDEとは?無料で使える?概要・おすすめ製品を紹介

クラウドIDEとは?無料で使える?概要・おすすめ製品を紹介

一般的にシステムを開発するとなると、IDEと呼ばれる統合開発環境を用意します。この環境で様々なプログラミングをして、実際に必要なものを開発していきます。

ただ、IDEと呼ばれる統合開発環境の準備は、慣れていなければ難しいケースが大半です。何かしらつまずくポイントがあり、そこで挫折する人も多々います。

しかし、今回ご紹介するクラウドIDEを利用すれば、そのような挫折から解放されます。具体的にどのようなものであるか解説し、実際におすすめするサービスについても解説します。

クラウドIDEとはなにか

それでは最初にクラウドIDEについて解説します。今まで利用した経験がない人は、まずはどのようなサービスであるのか理解することから始めましょう。

クラウドIDEの概要

クラウドIDEは、クラウドサービスとして提供されている統合開発環境です。今まで統合開発環境といえば自分のパソコンにインストールして利用するものでした。しかし、現在ではクラウドIDEがあり、自分のパソコンにインストールしなくても統合開発環境が利用できます。

基本的にクラウドIDEは、対応しているブラウザでアクセスします。例えばGoogle Chromeなどを開き、そこからクラウドIDEにアクセスして利用するのです。

つまり、これが意味するのは対応しているブラウザさえあれば、簡単に開発ができるということです。今までは専用のツールインストールが必要でしたが、クラウドIDEではそのようなツールインストールすら必要ないのです。日常的に利用しているブラウザが、そのまま開発環境に変化してくれます。

クラウドIDEは無料で使える?

統合開発環境といえば、無料で利用できるものも多々ありました。そのためこれがクラウドになると、無料で利用できるのかどうか気になる人が多いでしょう。

結論としては利用するサービスにより、無料で利用できるものもあればそうではないものもあります。どこのクラウドIDEを利用するかによって、無料かどうかは異なると考えておいた方が良いでしょう。

また、利用するサービスによっては、クラウドIDE自体は無料ではあるものの他のサービスが有料となる場合があります。例えば開発作業は無料でできますが、実際に動作させるサーバーの利用料金がかかるのです。

具体的な料金については一概に言えませんので、後ほどおすすめのクラウドIDEをご紹介する際に解説します。

クラウドIDEを利用する3つの理由


おすすめのクラウドIDEをご紹介する前に、なぜクラウドIDEを利用するべきなのかを解説します。この点を理解できていれば、後ほどクラウドIDEを具体的にご紹介した際に、どこに注目すれば良いのか分かりやすくなります。

理由1:開発環境の準備がほぼ不要

クラウドIDEを導入すれば開発環境の準備から解放されます。一般的に統合開発環境の準備には時間がかかりますが、クラウドIDEならほとんど時間はかかりません。

基本的にどのクラウドIDEを利用しても、ブラウザ経由でのアクセスとなっています。一部専用のソフトウェアが利用できる場合もありますが、そのようなものでもブラウザ経由でのアクセスが基本です。そのため、利用するにあたり準備がほぼ不要です。

ただ、利用するクラウドIDEによってアカウントの管理が異なります。クラウドIDEのために専用のアカウントが必要になる場合もあれば、他の用途に利用しているアカウントでクラウドIDEも利用できる場合があります。例えばAWSのアカウントを保有していれば、そのアカウントでクラウドIDEが利用できます。

基本的に開発環境の準備はほぼ不要です。アカウントの用意に多少の差はありますが、ほぼ負担なく開発を開始できます。

理由2:複数人での開発が容易

クラウド環境での作業となりますので、複数人での作業が容易となります。同じ環境にアクセスすれば、他の人と分担しながら開発作業ができます。

近年はリモートワークなどが普及しています。そのため同じ場所で開発をするのではなく、自宅と事務所など異なったロケーションからスムーズに開発できる環境づくりが求められているのです。クラウドIDEを利用すれば、このような異なったロケーションからの開発も容易となります。

なお、利用するクラウドIDEによって、同時に作業できる内容が異なります。少人数でアジャイル開発をする場合、大人数で大規模開発する場合など、ケースに応じて適切なクラウドIDEを選択します。

理由3:作業環境に左右されない

契約したクラウド環境で開発作業ができます。そのため各々の作業環境に左右されないメリットを受けられます。

一般的な開発作業はプロジェクトに参加する全員が同じ種類の端末を利用します。そのため端末の差異によって問題などが起きにくくなっているのです。

そしてクラウドIDEを利用すれば、もし仮に端末に違いがあってもその差異を吸収できます。クラウドで提供されている開発環境はどこから接続しても同じものですので、作業環境には影響されないのです。例えばWindowsからアクセスしてもMacからアクセスしても、同じ開発環境で操作できます。

開発環境の微妙な違いによって、開発時にトラブルが起きるケースは多々あります。クラウドIDEを利用しておけば、そのようなトラブルが起きる可能性はほぼゼロです。

クラウドIDEのおすすめ製品3選

クラウドIDEは多くの企業から公開されていて、その製品数は徐々に増えてきています。今回はそれらの中から3つをピックアップしてご紹介します。

おすすめクラウドIDE1:AWS Cloud9


AWS Cloud9はクラウドIDEの中でも特に利用が増えているものです。パブリッククラウド最大手のAWSが提供するサービスということもあり、AWSでのシステム開発や構築と相性が良いことがその背景にはあります。

基本的にはEC2インスタンス上に展開して利用するもので、事前にアクセス先の用意が必要です。完全にサービスとして提供されているのではなく、その点だけは準備が求められるのです。

なお、現在は40種類以上のプログラミング言語の開発に対応しています。クラウドIDEの中では対応している言語数が多く、これからもさらに増えていくと考えられます。

サーバーレス開発に対応

AWSはサーバーレス開発を推奨しています。必要な様々なクラウドサービスを提供していますので、これらとクラウドIDEを接続し、サーバーレス開発が可能です。

具体的にサーバーレス開発をするならば、AWSのサービスであるLambdaを軸に利用します。こちらは仮想サーバーを用意しなくてもプログラムを動作させられるものです。プログラムの実行に費用はかかりますが、サーバーレス開発の立役者となってくれます。

AWSで開発すれば、クラウドIDEからこれらサーバーレス開発への連携がスムーズです。そのためサーバーレス開発には特におすすめの環境です。

開発作業を自動化

開発環境を自動化できるDevOpsの仕組みが備わっています。エンジニアが開発をしたものは人間がリリース作業するのが一般ですが、AWSならデプロイやリリースは自動化できます。

近年は開発したソフトウェアを自動的に本番環境へリリースする仕組みが注目されています。このような機能を導入することで、開発にかかる負担を軽減できるのです。

しかし、クラウドIDEの全てが、このような機能を搭載しているわけではありません。AWSでクラウドIDEを利用するメリットとも言えます。

テンプレート数が豊富

開発の際に利用できるテンプレート数が豊富に用意されています。対応しているプログラミング言語のそれぞれに対して多くのテンプレートが用意されているのは魅力的です。

テンプレートを利用すれば、エンジニアは効率よくシステム開発が可能です。基本的に必要となるプログラムなどが記載されていますので、それをベースに編集していけば良いのです。プログラム言語によっては必ず記述しなければならないものがありますので、それらがテンプレとして記載されていれば自分で対応する手間が省けます。

また、テンプレートを利用して開発をすれば、プロジェクト全体である程度記述ルールの統一が図れます。複数人で開発していても同じようなプログラムの記述をすることで、管理がしやすくなるのです。

参照:AWS Cloud9

おすすめクラウドIDE2:GitHub Codespaces


GitHubが提供するクラウドIDEです。以前に存在したMicrosoftの「Visual Studio Codespaces」と統合されて、提供されています。Microsoft製のIDEは現在提供されていないため注意しましょう。

GitHub CodespacesはGitHubが提供していますので、基本的にはGitHub内のレポジトリに存在するソースコードを利用して開発します。GitHubはエンジニアであれば利用する機会が多いものですので、そのまま利用できるのは良いことです。ただ、Microsoftの製品と統合されたこともあり、設定を変更すればAzureなどでホストされているレポジトリも利用できます。

Visual Studio Codeでも動作

基本的にクラウドIDEはブラウザ経由で利用するものです。ブラウザからクラウド環境に接続して、利用者が全員同じ環境で開発できるメリットを持っています。

ただ、GitHub CodespacesはローカルのVisual Studioとも連携させられるようになっています。クラウドIDEのメリットを完全に活かすものではありませんが、人によってはローカルのほうが開発しやすいかもしれません。

ただ、開発はローカルでできるものの、実行などはGitHubに保存してクラウド上になります。そのため、「ローカルでは動作したが別環境では動作しない」などの状況は起きません。単純にローカルのエディタを利用して操作できると考えると考えれば良いでしょう。

開発環境の切り替えが容易

一般的にシステム開発をすると、対象となるシステムごとに開発環境を用意する必要があります。エディタは同じものを利用するケースはありますが、プロジェクトの要件に沿ってテスト環境の切り替えなどは必要です。

しかし、GitHub Codespacesを利用すると、クリックだけで簡単に環境の切り替えが可能です。プロジェクトの変更や本番機と検証機の切り替えも簡単なのです。今まで時間を要していた切り替え作業が、クリックだけの簡単な作業に変化します。

参照:GitHub Codespaces

おすすめのクラウドIDE3:PaizaCloud


PaizaCloudはオンラインでプログラミング開発が学べるPaizaが提供するクラウドIDEです。日本の製品ですので、日本人が利用しやすいクラウドIDEとして人気です。

全体的にUIが簡素化されていて、分かりやすい見た目となっています。上級者で複雑な機能を使いこなしたい場合は物足りないかもしれませんが、クラウドIDE初心者が最初に利用するものであれば十分です。

PaizaはWeb系のオンライン学習を中心に扱っていますので、PaizaCloudもWeb系の言語を中心に取り扱っています。その点は考慮しておくと良いでしょう。

無料プランですぐに開始

PaizaCloudは利用制限のあるプランならば無料で利用開始できます。動作時間などの制限はありますが、最初に利用してみる環境としては十分です。公式サイトには登録が完了して3秒でLinuxの開発環境が利用できると書かれています。

また、Web系を得意としているクラウドIDEですので、Web開発に必要な設定が最低限は完了しています。例えばLAMP、Ruby on Rails、JSP、Django、Node.js、Laravel、Goなどの設定が完了しているため、スムーズに本題のシステム開発へと進められます。

開発したWebサイトを公開可能

実際にPaizaCloudでWebサイトやアプリケーションを開発すると、そのままこれを公開可能です。クラウドIDEで開発できるだけではなく、ホスティング機能も提供してもらえるのです。

ただ、ホスティングを利用する場合には無料プランから有料プランに切り替える必要があります。とはいえ、自分でクラウドIDEとは別にホスティングを契約すると費用が発生するものです。その点を踏まえると、クラウドIDEが有料になったとしても、ホスティング費用を節約できる分だけお得ではあるのです。

参照:PaizaCloud

まとめ

クラウドIDEを利用すれば、統合開発環境の準備を簡略化できます。本来はソフトウェアのインストールなど様々な手間が発生しますが、クラウドIDEであればブラウザさえあれば問題ありません。

また、クラウド環境を利用しますので、利用者の環境に左右されないメリットがあります。どのような端末からアクセスしても、同じように開発ができるのです。

それ以外の特徴については、利用するクラウドIDEによって異なります。それぞれの会社が利用しやすいように多くの機能を提供していますので、比較して適切なものを選択しなければなりません。

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