リードエンジニアとは?必要なスキル、将来性を紹介!
開発の現場リーダー的なポジションに該当するのがリードエンジニアです。「開発リーダー」と呼ばれるような人と同じようなポジションであり、開発を効率よく進められるようにチームを取りまとめたり牽引したりします。
重要なポジションではありますが、日本ではまだまだ普及しているエンジニアの種類ではありません。今回は需要が高まりつつあるリードエンジニアとはどのような役割であり、どのスキルが必要とされるのか、そして将来性は明るいのかを解説します。
リードエンジニアとは
リードエンジニアは開発現場においてリーダー的なポジションに該当するエンジニアです。リーダー寄りのポジションであることから、一般的なエンジニアと役割が少々異なります。例えば、開発を中心とするのではなく、他のエンジニアが開発したものをレビューする立場になるのです。
似たようなポジションに「開発リーダー」と呼ばれるものもあります。どちらも日本では明確な基準や定義がなく、ほぼ同じようなポジションと考えてよいでしょう。「リード」も「リーダー」も語源は同じであるため、開発リーダーもリードエンジニアもほぼ同じです。
リードエンジニアの担当業務
リードエンジニアの担当業務は一般的なエンジニアと似ている部分が多くあります。ただ、リーダー的なポジションということもあり、部分的には異なっているため、その点を踏まえて解説します。
システム設計
一般的なシステムエンジニアと同様にシステム設計を担当します。要件定義や基本設計・詳細設計において、クライアントからシステムの要件を引き出して文章化する仕事です。クライアントはアバウトな要件しか持っていないことが多く、そこから具体的に要件を定めていきます。
システムエンジニアに加えてリードエンジニアも必要とされる理由は、設計に失敗すると開発に大きな影響が出るからです。エンジニアやプログラマーは設計書をもとに開発するため、システム設計の誤りは許されません。そのため、リードエンジニアのように経験が豊富なエンジニアが参画してシステム設計をサポートします。
ただ、実際にクライアントと一緒にシステム設計を担当するとは限りません。他のエンジニアが設計したものを有識者としてレビューすることもあります。これは内容やプロジェクトの方針などに左右される部分です。
コードレビュー
システムの品質を担保するためにコードレビューを担当します。リードエンジニアはチームを率いる立場として品質を担保する必要があるため、スキルの高いエンジニアとしてコードレビューを担うのです。
基本的にはシステムが開発されてから、基準に沿ってコードレビューを進めます。例えば、「変数の名称は適切に設定されているか」「インデントに誤りはないか」などを評価するのです。また、システムの動作に影響する
部分である「分岐に問題はないか」「デッドロックが起きる実装はないか」なども評価します。
ただ、細かな部分についてはコードレビューではなく、単体テストで評価する流れが一般的です。つまり、コードレビューでは内部的な部分よりも体裁的な部分が多くなっています。とはいえ、実装面でレビューすることも多々あるため、そのようなスキルも必要です。
タスクの割り振り
開発チームのリーダー的なポジションであるため、他のエンジニアやプログラマーにタスクの割り振りが必要です。適切な割り振りができなければ開発がスムーズに進まないため、リードエンジニアの重要な仕事だと考えましょう。
例えば、開発スケジュールとエンジニアのスキルを踏まえて、誰にどの開発を担当してもらうか決定します。適切な人にタスクを割り振らないと遅延の原因となってしまうため、エンジニアやプログラマーのスキルを把握して指示を出すのです。指示を出す以前に、それぞれのスキルを把握することが求められます。
また、タスクの割り振りに偏りがないかどうかやスキルのミスマッチがないかどうかも確認しなければなりません。この部分を怠ってしまうと、タスクがスムーズに進まない原因となります。リードエンジニアとして、スムーズに進むようなタスクの割り振りが重要です。
スケジュール管理
開発部分を率いるポジションであるため、スケジュール管理を担当します。他のエンジニアは基本的に自分のスケジュールだけを把握しますが、リードエンジニアは全体のスケジュールを把握する必要があるのです。また、スケジュールが遅延しないように対応しなければなりません。
まず、クライアントなどと合意したスケジュールを守れるように管理します。この管理には上記で説明したタスクの割当なども含まれていると考えましょう。適切な割り振りができなければスケジュール遅延の原因となってしまいます。
また、クライアントなどの要望によりスケジュールが変更になると、そのスケジュールに沿えるような指示出しが必要です。特に前倒しになった場合は人員のやりくりや残業の依頼などをすることになる可能性が高く、リードエンジニアとしてのスキルが求められます。
エンジニアのサポート
エンジニアの中でも「スキルの高いエンジニア」というポジションであるため、他のエンジニアをサポートします。多くの場合はエンジニアが各々トラブルを解決しますが、チーム全体で意思決定する場合があるなどはリードエンジニアが対応する仕組みです。また、純粋に課題を解決できない場合にリードエンジニアがサポートすることもあります。
例えば、実装方法が明確ではなく、エンジニアが独断で決定できないような場合はリードエンジニアが決定しなければなりません。また、リードエンジニアでも不明瞭な部分があれば、クライアントなどに確認する必要があります。品質に責任を負う立場であるため、無責任な対応はできないのです。
なお、スケジュールが遅延しているなどの状況下では、開発の担当者としてサポートすることもあります。レビューなどが中心のエンジニアではありますが、人手不足などの状態では自分自身も現場で活躍するのです。
チームの窓口
開発チームを取りまとめる立場であるため、チームの窓口を担当します。それぞれのエンジニアに直接問い合わせなどが来ると、リードエンジニアの知らない部分で話が進んでしまうかもしれません。そのようなことを避けるために、窓口となりやりとりをします。
具体的には、クライアントとのやり取りと他部門、他チームとのやり取りを担当しなければなりません。特にクライアントとのやり取りはプロジェクトに大きな影響を与える可能性があるため、リードエンジニアが全体を把握して必要に応じた判断を下します。
ただ、プロジェクトにはリードエンジニア以外にもプロジェクトマネージャーが参画していることが多いです。この場合は、リードエンジニアではなくプロジェクトマネージャーが窓口的な役割を負うことがあります。また、問い合わせ内容によって役割分担することもあるため、そこも理解しておくべきです。
リードエンジニアに求められるスキル
リードエンジニアには幅広いスキルが求められますが、それらの中でも特に意識してもらいたいものを以下で解説します。
プログラミング
実際にエンジニアのサポートを担当することも多いため、プログラミングスキルが必要です。概念ではなく、そのプロジェクトに応じたプログラミング言語を習得しなければなりません。
ただ、リードエンジニアが大量のプログラミング言語を習得することは現実的ではありません。どのプログラミング言語についても中途半端な知識となってしまい、的確なサポートができなくなってしまうからです。そのため、Javaなど主要なプログラミング言語をいくつか習得しておけば十分です。
コードレビュー
リードエンジニアは他のエンジニアやプログラマーのソースコードをレビューします。そのため、コードレビューに関するスキルを習得しておきましょう。コードレビューには専門的な観点が必要となるため、リードエンジニアはそこを押さえておくべきです。
レビュー方法にはいくつかの理論があり、どれが正しいとは言い切れません。コードレビュー初心者向けの書籍があるため、それらでスキルを習得するようにしましょう。また、プロジェクトとしてルールが定められていることもあるため、そのようなものがあれば踏まえます。
システム開発理論
システム開発はいくつかの理論によって支えられています。例えば、開発のプロセスは「ウォーターフロント」「アジャイル」などが主に利用されるでしょう。このような理論についてリードエンジニアは理解しておくべきです。
これらはプロジェクト全体で定められることが多いため、リードエンジニアは意見できないことがあります。ただ、実際に決まった内容を運用していくのはリードエンジニアです。知識がなければプロジェクトの方針に沿えなくなるため、十分なスキルが必要です。
マネジメント
エンジニアやプログラマーをマネジメントできるスキルが必要とされます。プロジェクトでは多くの人が関わることが多いため、これらの人を束ねなければなりません。
マネジメントスキルにはいくつもの意味合いがありますが、例えば「スケジュールの管理」「遅延がでないようにエンジニアのフォロー」などが必要とされます。リードエンジニアは開発におけるリーダー的なポジションであるため、ほかのエンジニアがスムーズにタスクを処理できるようなマネジメントが必要です。
問題解決
何かしらの問題が起きたときに、それを解決する能力が求められます。自分自身が課題を抱えたときはもちろん、他のエンジニアが抱える課題を解決する作業も重要です。
解決する方法は多数あり「自分で調べる」「有識者に問い合わせる」「クライアントと調節する」などがあるでしょう。これらの選択肢から適切なものを瞬時に判断し、すぐ行動に移さなければなりません。また、どうしても解決できない場合に行動するスキルも求められます。
リードエンジニアの将来性は未知数
リードエンジニアの将来性は未知数だと考えられています。続いてはその理由と予想される将来性を解説します。
日本ではまだ浸透していない
リードエンジニアの将来性が未知数だといわれる理由は、日本ではまだまだ浸透していないエンジニアであるからです。海外では浸透しているものの日本では日が浅く、これからどう評価されるかは未知数と考えましょう。
そもそも、日本ではエンジニアの細分化が海外ほど進んでおらず「なんでも屋」といえるようなエンジニアが多くいます。そのため、リードエンジニアに限らず新しい職種は浸透していないのです。そのようなエンジニアも含めて、未知数と認識してください。
役割を踏まえると重要なポジション
リードエンジニアの役割を踏まえると、システム開発においては重要な役割です。現在も「リーダー」に該当するエンジニアはいますが、リードエンジニアのように名前が定められているエンジニアは限られています。プロジェクトの立場としてリーダーと名付けられているにすぎません。
しかし、リードエンジニアが定着すれば、そのようなポジションを専門とした働き方ができます。また、クライアント側もそのような人材をピンポイントに確保可能です。エンジニアの種類が増えることでピンポイントな人材確保が実現できるため、安定した需要が期待されます。
まとめ
リードエンジニアについて解説しました。システム開発のリーダー的なポジションであり、開発をけん引する重要な役割です。日本ではまだ浸透していないポジションではありますが、仕事内容から重要性を理解してもらえたでしょう。
ただ、日本ではエンジニアの細分化が進んでいる過程であるため、リードエンジニアが社会的にどう評価されるかは未知数です。重要なポジションではあるものの、他のエンジニアがカバーする可能性もあります。将来性がどのように変化するかキャッチしながら活躍を目指しましょう。