LPICとLinuC|概要・それぞれの違いについて解説!

LPICとLinuC|概要・それぞれの違いについて解説!

Linuxは世界中で利用されているOSですので、スキルを証明する資格が存在しています。ただ、Linuxの資格にはLPICLinuCの2種類がありますので、取得するにあたりどのような違いがあるのか理解できていない人は多いようです。今回はそのような方々に向けて、LPICとLinuCの概要と違いについて解説していきます。

Linuxの資格|LPICとLinuCの概要


冒頭でもご説明したとおり、Linuxの資格にはLPICLinuCがあります。これらはどのように違う資格なのでしょうか。LPICとLinuCの概要と違いについて解説していきます。

LPICとは

最初にLPICとはどのような資格であるのかを解説します。

資格概要

LPICはLPI日本支部が運営するLinuxの認定資格です。世界的に認められているLinuxの資格ですので、こちらを保有していれば世界中でスキルの証明ができます。日本のエンジニアに評価されることはもちろん、海外のエンジニアに対してもLinuxのスキルを証明しやすくなっています。

ただ、元々は海外の資格ですので、やや日本での資格には不向きな部分があります。例えば日本語で受験できる資格ですが、日本語訳に不自然な点が含まれている場合があります。全く理解できないわけではありませんが、人によっては気になってしまうでしょう。

また、LPICを運営している団体は以前から問題の流出が指摘されています。意図的な流出かどうかは判断できませんが、世界的に認められている資格であるにも関わらず、危機管理が指摘されているのです。

なお、ベンダー資格ですので受験料は比較的高く1試験で15,000円です。国家試験である情報処理試験などと比較すると2倍程度の受験料ですので、その点は理解しておいた方が良いでしょう。

資格難易度

資格はレベルが3段階に分かれています。レベル1からレベル3が用意されていて、1つのレベルを取得するために複数の試験に合格しなければなりません。例えばレベル1はLPIC101とLPIC102の2つに合格すれば取得できます。レベル2やレベル3も同様に複数の試験に合格しなければなりません。

特徴としてレベル1でも難しい問題が出題されます。レベル1はLinuxのサーバー管理者程度の問題ではありますが、実際のシステム運用だけでは合格が難しいと考えられます。コマンドラインで様々な操作をするための手法が問われ、実業務ではあまり使わない細かな内容も出題されています。

レベル2はLinuxのハイレベルなエンジニア向け問題が出題されます。単純にサーバーの設定をするだけではなく、ハイレベルに機能を使いこなして高度なシステム構築をしなければなりません。Linuxの実務経験を積みながら、試験に向けて勉強をしなければ合格は難しいでしょう。

レベル3はこれらをこえてプロフェッショナルレベルとされています。単体のLinuxサーバーを活用するのではなく、複数台を統合する能力や仮想化に関する能力や可用性など運用に関する能力が問われます。Linuxを活用する以前に高度な知識が問われ、非常に難しい内容となっています。

LinuCとは

続いてLinuCがどのような資格であるのかを、LPICとの比較を交えながらご説明します。

資格概要

LinuCはLPI-Japanが運営するLinuxの認定資格です。少々分かりづらいかもしれませんが、LPICを運営するLPI日本支部とは異なった団体です。独立した団体であると理解しておきましょう。

こちらの団体が運営するLinuCは日本のみで提供されているLinuxの認定資格です。LPICは世界中でスキルの証明ができますので、それと比較すると知名度が低くなっています。

このような資格が生まれた背景として、LPICの課題が挙げられます。例えば先ほど上記でも説明したとおり、LPICは日本語訳に問題があったり問題流出への対応が不十分であったりしました。それについてこちらの団体が申し入れをしたようですが、それが認められず独自の試験を運営するに至っています。こちらの過程については公式サイトで解説されています。

独自の試験として生まれ変わりましたので、内容は似ているもののLinuCはLPICとは異なる試験となっています。特に日本でしか実施されていない点最初から日本語で作られている点は大きな違いといえるでしょう。

なお、出題範囲はLPICと同じようなものであり受験料は同額です。そのため試験の概要としては、運営団体が異なり日本語であること以外はあまり差がありません。

参照:LPI-Japan 理事長が語る LinuC 出題範囲改定の狙い

Linuxの資格|LPICとLinuCの違いとは?

LinuCも資格はレベルが3段階に分かれています。レベル1からレベル3に分類されていて、複数の試験に合格することで資格が認定されます。

それぞれのレベルで必要とされる知識は、LPICと大きな違いはありません。LinuCはLPICの日本国内向けとして提供されている資格ですので、内容にあまり差が生まれないように作られているのです。

ただ、LinuCは比較的時代の変化を早く試験に取り入れています。そのためLinuxの機能追加や変化は、LinuCのほうが早く試験に反映されます。その点を踏まえると、試験の難易度はLinuCがやや高いと言えるかもしれません。

別の観点から見るとLPICは受験問題の日本語が不自由な場合があります。そのため何か問われているのか掴みにくく、理解が不十分なことで間違えてしまう場合があります。

しかし、LinuCは適切な日本語で作られていますのでそのような事象が起きません。そのような観点から考えると、問題の体裁という意味ではLinuCのほうがやや易しいかもしれません。

なお、出題される範囲は似ているものの、ピックアップされやすい単元には違いがあります。全く同じような問題が出るわけではありません。

実はほぼ違いがない

LPICとLinuCの2つのLinux資格を紹介しました。結局これらがどのように違うのか気になる人が多いと思いますが、実際には大きな違いはありません。どちらの資格を取得してもある程度は同じようにLinuxのスキルを証明できます。

例えばどちらの資格もレベルは3段階です。同じぐらいのレベル構成となっていて、LPICのレベル1はLinuCのレベル1と同程度です。問題の出題形式など多少の違いがありますが、問われている根本的な内容はどちらも同じぐらいと言えます。

ただ、全く違いがないわけではありません。例えばレベルは同じ3段階に設定されていますが、試験で重要視されるポイントが異なります。出題される問題の傾向と内容はやや異なりますので、それぞれの試験に合わせて対策しなければなりません。

また、繰り返しですがそれぞれの試験は異なった団体が実施しています。どこの団体が実施しているのかはあまり気にしない人も多いですが、違いがあるという点は理解しておくと良いでしょう。

Linux資格のLPICやLinuCを取得することによる年収の変化


Linux資格であるLPICとLinuCの概要や難易度をご説明しました。これらに資格の内容的な違いはあまりない点を理解してもらえたのでは無いでしょうか。

それではこれらの資格を取得した場合、年収の変化はあるのでしょうか。LPICとLinuCのそれぞれについて、どのように年収が変化する可能性があるのか解説します。

LPICの場合

LPICは世界中で認められている資格ですので、取得していれば多くの企業で年収アップにつながります。特にレベル1でも高いレベルの問題が出題されていることから、持っているだけで年収に影響を与えられる資格です。

どの程度年収アップに貢献してくれるのかは、レベルと企業の方針によって左右されます。レベル1はサーバー管理者レベルで比較的取りやすいため、評価はされるものの年収アップは数十万円までにとどまってしまうようです。こちらの資格だけではエンジニアとしての大きなキャリアアップも難しく、控えめな評価と言えます。

続いてレベル2やレベル3を取得すると、こちらはLinuxの高いスキルを有すると証明できます。Linuxを扱うエンジニアの中でも抜きん出ていることを証明できますので、大きく年収アップするチャンスがあります。

こちらの資格を有しているとエンジニアとしてキャリアアップすることもあり、年収が50万円から100万円程度アップするケースが見受けられます。特に、フリーランスの場合は単価の高い高難易度な案件に参画しやすくなり、年収アップのチャンスを掴みやすくなります。

LinuCの場合

LinuCは日本でのみ実施されている資格ですので、日本企業を中心に評価を受けられます。日本企業では資格取得に対する評価が多く見られますが、海外を主体とする企業では資格が知られておらず評価の対象とならないケースが見受けられます。

知名度は劣ってしまうものの、資格の難易度としてはLPICと同程度です。そのため資格を評価する企業や案件ではLPICと同じように評価されています。LinuCのレベル1はLPICのレベル1と同じように年収がアップするのです。

また、案件への参画条件についても、ほとんど同じように扱われています。LPICが必要とされている場合に、同じレベルのLinuCでも認められるケースが多くあります。LPICではなくLinuCを取得したからといって、年収に差が出ることはないと考えてよいでしょう。

なお、グローバル案件に関しては、LPICを取得していなければ認められない場合があります。ただ、そもそもグローバル案件では参画条件に特定の資格が定められているケースが少なく、資格を取得するに値するスキルがあるかどうかが重要視されます。

LPICやLinuCを取得することによる将来性の変化

続いてLPICやLinuCを取得すると将来性はどのように変化するのでしょうか。年収に続いて気になる部分について解説をします。

LPICの場合

世界中に価値が認められている資格ですので、LPICを取得すればLinuxエンジニアとしての将来性は明るくなります。レベル1から高いスキルが求められますので、保有しているだけでプラスに働きます。

特にLinuxはサーバーを中心に多くのシステムで利用されています。つまり、LPICを取得してLinuxのスキルを証明できれば、様々な案件で活躍できるチャンスがあるのです。活躍の場が広がればそれだけ将来性は明るくなります。

世界的に長く認められていますので、この先LPICの価値が下がる可能性は低いと考えられます。長く将来性に貢献してくれる資格と言えるでしょう。

LinuCの場合

日本で普及している資格ですので、LinuCを取得していると日本で活躍する場合に将来性が明るくなります。LinuxエンジニアとしてのスキルはLPICと大きく変わりがありませんので、世界的に通用する資格であるかどうかの違いだけです。国内でLinuxエンジニアとして働くのであれば、LPICと将来性に大きな差はありません

また、世界的に見た場合の将来性ですが、この場合はLPICに優位性があると考えられます。特に日本に支社がないような企業では、LinuCの存在が知られていないことが多々あります。資格の説明からする機会はほとんど無いと考えられますので、知られていない場合は諦めるしか無いでしょう。

ただ、LinuCに合格するスキルが有ればLPICにも合格できるはずです。世界的に将来性を明るくするためには、別途資格を取得したほうが良いかもしれません。

まとめ

LPICとLinuCがそれぞれどのような資格であるのかご説明しました。運営する団体は異なるものの、ほとんど同じ資格であると理解してもらえたでしょう。資格の難易度も年収に対する影響もほとんど差はありません。

ただ、LinuCは世界的な知名度で劣りますので、グローバル案件などでは不利になる可能性があります。合格できるだけのスキルがあれば間違いなくLinuxエンジニアとしてはレベルが高いのですが、資格だけでは評価されない可能性があるのです。

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