機械学習エンジニアが使うべきプログラミング言語とは?

機械学習エンジニアが使うべきプログラミング言語とは?

機械学習エンジニアとして活躍するためには、適切なプログラミング言語を習得しなければなりません。プログラミング言語には得手不得手があるため、どれを選択するのかは非常に重要です。

機械学習に適したプログラミング言語としてはPythonが有名ですが、それ以外にも選択肢はあります。今回は機械学習エンジニアが習得しておきたいプログラミング言語を解説します。

機械学習エンジニアが使うべきプログラミング言語:Python


機械学習エンジニアが必ず使えるようになるべきはPythonです。機械学習といえばこちらのプログラミング言語が使われる時代であり、機械学習エンジニアに必須のスキルといえます。

機械学習ライブラリが豊富

Pythonは各種プログラミング言語の中でも機械学習ライブラリが豊富です。多くのライブラリから適切なものを選択できるため、簡単に機械学習の実装ができます。本来は自分でコーディングしないといけない部分も、ライブラリを利用すればコーディングする必要がありません。

また、ライブラリを利用する大きなメリットとして、「機械学習の詳細なアルゴリズムを知らなくても良い」ということが挙げられます。一般的に機械学習を使いこなすためには、機械学習のアルゴリズムを詳細に理解しておくことが重要です。ただ、この作業には多くの時間を要してしまいます。

しかし、Pythonのライブラリを採用すれば、このような学習の大半は必要なくなります。ライブラリの開発者が概ね実装を完了させてくれるからです。詳細はブラックボックスで、インプットからアウトプットだけを入手できるようになります。

文法が理解しやすい

Pythonは文法が理解しやすいプログラミング言語として知られています。学習や利用のハードルが低いという観点で、機械学習に利用しやすいプログラミング言語です。習得しやすいことから、機械学習に限らず幅広い用途の入門としてPythonを採用できます。

また、インデントを活用した文法となっているため、誰がコーディングしても同じような見た目に仕上がります。他のプログラミング言語はプログラマの特徴が出やすいですが、Pythonならばそのような状況を防げるのです。この点はメリットと考えて良いでしょう。

加えて、標準のライブラリで多くのことを実装できるようになっています。機械学習の実装に限らずシステム全般を開発できるようになっているのです。機械学習の実装から、その結果の活用まで幅広くPythonで完結できます。

導入実績が豊富である

機械学習といえばPythonと考えられているということもあり、導入実績の多いプログラミング言語です。そのような背景から、プログラミング言語としてのナレッジが多く存在しています。このナレッジを含めて機械学習エンジニアは習得しなければなりません。

例えば、画像分析や音声認識、天気予報や株価の予測など幅広い分野に機械学習が導入されています。これらのように、多くのナレッジが集約されていることがPythonを利用する魅力なのです。ただ、言い換えると機械学習エンジニアは日々多くのことを習得しておくことが求められます。

なお、実績については新しいものが次々と公開されています。機械学習に適したプログラミング言語ではありますが、最新の情報を踏まえて、日々変わるベストプラクティスを実装することが重要です。

機械学習エンジニアが使うべきプログラミング言語:C++

C++は難易度こそ高いですが、プログラミング言語の元祖ともいわれるエンジニア数の多いものです。すでに習得しているならば、こちらを利用して機械学習の実装ができます。

処理が高速である

プログラミング言語の中でもC++は高速な処理を実現できることが特徴です。どちらかといえば低級言語に分類されるものであり、CPUやメモリに近い状態でプログラムを実行できます。エンジニアが開発したプログラムを機械語に翻訳する手間が最小限になるため、高速処理が可能なのです。

機械学習においては、ビックデータ解析など大量のデータを処理するケースが多々あります。このような場面において、処理能力の違いは全体の処理時間に大きな影響を与えます。例えば、1万件の処理で1件あたり0.01秒の差があれば、全体では10秒の差が生まれるのです。データの量が多くなったり処理時間の差が広がったりすると、さらに顕著な差が生まれます。

一般的には処理が早ければ早いほど良いと考えるはずです。そのため、機械学習のように大量のデータを扱うエンジニアはC++を使うべきです。

ライブラリが存在する

機械学習に関するライブラリはPythonばかりとのイメージがありますが、C++にもライブラリが存在します。これを利用することで容易に機械学習を実装できるためおすすめです。

いくら高速なプログラミング言語といえども、機械学習エンジニアが実装するソースコードが多いと使いこなせません。機械学習を始めるまでの時間がかかり過ぎてしまうため、他のプログラミング言語に流れかねないのです。しかし、C++にもライブラリが存在し、それを使えばスムーズに実装できるため、このような事態にはなりません。

ソースの記述量は多くなりがち

Pythonと比較するとC++は複雑な文法であり、ソースコードの記述量が多くなりがちです。文法について根本的な考え方が異なっているため、ここはやむを得ないでしょう。Pythonはシンプルさを追い求めているのに対して、C++はそうではありません。

ソースコードの記述量が多くなりやすいため、実装にあたってはエンジニアの負担が大きくなる可能性があります。また、同じ内容の機械学習アルゴリズムを実装する場合にコードが長くなり開発の効率が下がってしまう可能性もあります。

とはいえ、上記で触れたとおりC++は処理速度の速いプログラミング言語です。つまり、大量のデータでも短時間で処理できます。開発に要する時間と機械学習に必要となる時間のバランスを鑑みて、最終的に採用するかどうかの判断が必要です。

機械学習エンジニアが使うべきプログラミング言語:R

最近は利用される機会が減ってきましたが、統計解析を専門としたRも使うべきプログラミング言語です。統計解析に特化しているため、この分野の概念を活用する機械学習に適しています。

統計解析専門である

上記で紹介したプログラミング言語とは異なり、Rは統計解析を専門としたプログラミング言語です。機械学習は統計解析など数学的な観点から情報を分析するため、専門的なプログラミング言語を利用すると処理しやすくなります。

また、Rにはデータをプロットする機能などが搭載されています。これらの機能を利用することによって、機械学習の結果を簡単に確認できる仕組みです。他のプログラミング言語では個別にこの部分を実装する必要がありますが、Rならば標準の機能でそこまでカバーできます。

なお、Rには統計解析に関する数多くの処理が標準で用意されています。機械学習では利用する機会が少ないものも含まれている状況です。時にはこれらを利用することで新たな発見につながる可能性があり、そのような観点でも機械学習エンジニアが使うべきプログラミング言語といえます。

学ぶことが限られている

統計解析に関する内容だけを実装するプログラミング言語であるため、学ぶことが限られているメリットがあります。他のプログラミング言語は機械学習以外に関することも多数学ぶことが求められますが、Rならばそのようなことにはなりません。

学習内容が限られているため、今までRを利用していない機械学習エンジニアでもスムーズに習得できます。必要以上に時間がかからないという観点でも、機械学習エンジニアが使うべきプログラミング言語です。

特に今までにR以外のプログラミング言語を利用していれば、Rは非常にスムーズな理解ができると考えられます。関数名など固有の内容については学習しなければなりませんが、トータルでみると少ない知識で対応できるのです。

機械学習以外の部分には適さない

関数が多く統計解析に活用できるプログラミング言語ですが、それ以外の用途にはほとんど利用できません。機械学習は学習させることが目的ではなく、それを利用して何かしらアウトプットを作ることが目的でしょう。この部分については、他のプログラミング言語で実装することが求められます。

例えば、機械学習によってノイズとなるデータを洗い出しする作業を考えてみましょう。このとき、Rを利用すればデータの洗い出しはスムーズに進められます。ただ、この結果はCSVなど一部のデータフォーマットでしか出力できません。あるいはコンソールへの出力です。

これで差し支えないこともありますが、差し支えてしまうことも多々あるでしょう。この時はCSVデータなどを活用して、別のプログラミング言語でアウトプットへと加工しなければなりません、Rだけでは完結しにくいという点で注意が必要なのです。

機械学習エンジニアが使うべきプログラミング言語の選び方


ご紹介したプログラミング言語を中心に、機械学習エンジニアは複数のプログラミング言語を利用する可能性があります。これらのプログラミング言語の中でも、どれを使うべきなのか選び方を解説します。

プログラミング言語の難易度

プログラミング言語の難易度が高いと、どうしても学習のハードルが高まってしまいます。機械学習がそもそも難易度の高い技術であるため、プログラミング言語が難しいと習得が遠のいてしまうのです。この状況はできるだけ避けたいでしょう。

そのような意味でPythonは難易度が低く機械学習を習得するハードルも下がっています文法が理解しやすいことは重要な要素だと考えておきましょう。また、インデントを活用した文法が徹底されているため、ソースコードの可読性が高いというメリットもあります。

逆に今までC++など他のプログラミング言語を利用してきたならば、無理にPythonにこだわる必要はありません。確かに難易度の低いプログラミング言語ではありますが、C++を扱った経験があるならば特にこだわる必要がないでしょう。

ライブラリの多さ

どのようなライブラリが提供されているかが重要です。単純に機械学習に適したライブラリを導入したいならば、Pythonが選択肢に挙がります。多くのライブラリが提供されているため、スムーズに機械学習の実装が可能です。

ただ、C++もある程度のライブラリが提供されているため、こちらも悪くはありません。そもそも、Pythonで利用されているライブラリも、根本的な部分はC++で実装されていることがあります。実はPython向けのライブラリが利用できることもあり、意外と利便性が高いのです。

また、Rは機械学習に特化していませんが、統計解析に関する関数が数多く用意されています。これらは機械学習に活用できるものも多く、これを重視した選び方もあるでしょう。

トレンドを踏まえる

機械学習のトレンドを踏まえるようにしましょう。Pythonのみならず他のプログラミング言語も多用されているため、定期的にトレンドをキャッチすべきです。新しいナレッジを活かした機械学習を実装しなければなりません。

機械学習にはいくつもの理論があり、どの理論をどのように実装するかは日々変化しています。王道の実装方法はありますが、それにこだわらない新しい実装も生み出されているのです。これらについてキャッチして、どのプログラミング言語を使えばよいか判断します。

まとめ

機械学習エンジニアが使うべきプログラミング言語を解説しました。多くのプログラミング言語が存在しますが、それらの中でも機械学習エンジニアに適したものは限られています。闇雲に言語を習得すればよいというわけではありません。

なお、今回は無料のプログラミング言語を紹介していますが、統計解析の世界には有料のプログラミング言語も存在します。時にはそのようなプログラミング言語を習得して使いこなしても良いかもしれません。

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admin