R言語とは?需要や将来性、活用事例を解説

R言語とは?需要や将来性、活用事例を解説

R言語は統計解析などに利用されるプログラミング言語です。大学などでも利用されるプログラミング言語であり、歴史は長く理系の分野では長く利用されてきています。

R言語は特段目新しいプログラミング言語ではないのですが、近年は機械学習に利用できることから改めて注目されています。今回は改めてR言語とはどのようなプログラミング言語であるのか、その概要や需要、将来性などをまとめて解説します。

R言語とは?理解しておきたい概要

R言語について詳しくない人も多いでしょう。まずはR言語がどのようなプログラミング言語であるのかを解説していきます。

統計解析向けのオープンソースプログラミング言語

R言語は統計解析での利用を前提としたオープンソースのプログラミング言語です。1990年代にニュージーランドのオークランド大学で開発されています。

R言語は統計解析を前提としたプログラミング言語ですので、一般的なプログラミング言語のように柔軟な開発はできません。例えばC言語は組込みシステムの開発などができますが、R言語にはそのような能力がありません。あくまでも統計解析に関するプログラミングをするためのものなのです。

ただ、統計解析の分野に限っては、R言語は他のプログラミング言語よりも多くの機能を有しています。例えばグラフのプロット能力に長けていますし、統計解析の専門的な数値処理も簡単に実装できます。強みを最大限活かせるように考えられたプログラミング言語なのです。

なお、R言語はプログラミング言語の中でもインタープリタ型です。パソコンなど様々な機器で利用できる点も概要として理解しておいて良いでしょう。

人工知能への活用で改めて注目

冒頭でも機械学習に利用できるとご説明しましたが、R言語は人工知能への活用が増えてきています。そのような背景がありますので、比較的古いプログラミング言語でありながら改めて注目されています。

今までR言語は統計解析を利用する特定の学術分野での利用が大半でした。一般的な企業で統計解析を利用するケースは少なかったため、大学や研究機関などを中心に利用されていたのです。

それに対して現在は人工知能を多くの企業が利用するようになっています。それに関連して人工知能を活用するために必須の統計解析を実装するR言語が増えたのです。学術的な利用だけではなく業務的な利用が増えている状況です。

なお、人工知能についてはPythonが幅広く利用されている状況です。R言語はPythonに次いで利用されていると考えておくと良いでしょう。

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R言語で特に理解しておきたい3つの特徴


R言語にはどのような特徴があるのか気になる人は多いはずです。続いてはR言語の需要が高まる理由である、特徴について解説します。

特徴1:データ解析に必要な機能が豊富

R言語は他の多くのプログラミング言語と比較すると、データ解析に必要な機能が豊富です。最初からデータ解析に必要な機能が備えられているだけではなく、拡張機能である「ライブラリ」が充実している点も魅力的です。

特にR言語が好まれる背景には、グラフの出力機能が充実している点が挙げられます。例えば出力可能なグラフには「数学関数」「棒グラフ」「円グラフ」「散布図」「ヒートマップ」などが該当します。単純なグラフはもちろん、複雑なグラフも簡単に出力できるのです。

しかも、これらのグラフは標準で搭載されていますので、簡単な記述だけで出力できるようになっています。例えばヒートマップであれば「heatmap(x)」と記述するだけで出力可能です。事前にデータを配列で格納しておく必要はありますが、可能な限り少ないコードで記述できるように考えられているのです。

特徴2:データの互換性が高い

R言語は様々なデータの入力に対応しています。読み込めるファイルの拡張子などはある程度の制限がありますが、リスト形式や表形式になっているデータは簡単に読み込めるようになっています。そのため、別のソフトウェアから出力された大量のデータでもR言語で処理が可能です。

この特徴を感じられる代表的な例はExcelで作成したデータの処理です。Excelはマイクロソフト社の開発する表計算ソフトですので、統計解析専門のソフトウェアではありません。しかし、R言語で処理が可能な「CSV」などの形式でファイルを出力できますので、それを利用して統計解析やグラフの作成ができるようになるのです。

またR言語は、CSVのようなテキストファイルだけではなく、バイナリデータも直接扱えるプログラミング言語です。そのため、人間では理解できないような画像ファイルでも直接処理が可能です。別のツールを利用してファイルを加工する手間が省ける点がR言語の大きなメリットといえます。

特徴3:オープンソースかつ無料で利用できる

一般的に統計解析など専門分野のソフトウェアは有償であるケースが多々あります。また、無料で利用できるプログラミング言語であっても、機能を追加するライブラリについては有償であるケースが多々あります。

しかし、R言語はプログラミング言語もライブラリも全てがオープンソースかつ無料で利用できるルールです。これだけ高機能なプログラミング言語・ツールでありながら無料なのです。そのため、学校や研究機関はもちろん、民間企業においてもコストを気にすることなく利用できるようになっています。

また、R言語のオープンソースのコミュニティが今でも活発に活動しています。そのため、日々ライブラリなどが更新され、新しいものが利用できる状況です。新しい理論などが発見・提唱されれば、それに対応するライブラリが有志で作られることもあります。

「オープンソース」「無料」という言葉から「低機能」とのイメージを持ってしまうかもしれません。しかし、R言語はそれと対称的な能力を持つプログラミング言語なのです。

R言語の活用事例

R言語は実は多くの場所で利用されています。具体的にどのような場所で利用されているのか、R言語の活用事例を解説します。

事例1:対戦型ゲームにおける論理的な対戦マッチング

対戦型ゲームの対戦マッチングを論理的に実現するためにR言語が利用された事例があります。様々な観点から解析する対象となる数値を集め、それをR言語で処理した結果を利用して対戦マッチングをするものです。

こちらの事例ではR言語を利用する前からもデータ分析による対戦マッチングが行われていました。しかし、別のプログラミング言語で作られたシステムを利用していましたので、処理に時間がかかりユーザの満足度を下げる原因となっていました。

そこで統計解析を専門とするR言語でのシステム構築に切り替え、処理の高速化を図っています。実際に既存のシステムからR言語に切り替えたこちらの事例では、処理時間が60%程度に圧縮されています。R言語の魅力を最大限活かしている事例だといえます。

事例2:大規模データ解析による意思決定

中規模から大規模の企業において、大規模データ(ビッグデータ)解析による意思決定にR言語が利用されている事例があります。

一般的に企業では多くの観点を踏まえて意思決定をします。特定の観点だけでは「思わぬ落とし穴」にハマる可能性がありますので、多角的な意思決定をしてリスクを減らすのです。

ただ、多角的に物事を判断するためには、多くの情報を処理しなければならなくなります。必要となる情報の種類は徐々に大きくなってしまい、人間には処理できない量となってしまいます。いわゆる「ビッグデータ」を処理しなければならなくなります。

そこで効率よく情報を処理するために、R言語での処理が選択されます。多くの情報を数値化し、それを特定のアルゴリズムで処理して意思決定に使える数値に変換するのです。統計解析を駆使し、単純に比較しやすいような数値とすることで、意思決定を容易にします。

事例3:人工知能の機械学習

R言語が注目される要因となっているのが機械学習に利用される事例です。10年前まではこのような事例はほとんどなかったはずですが、今となってはこのような事例が多くなっています。

厳密には機械学習と統計解析は異なった考え方です。必要となるデータの量や求められるアルゴリズムが異なっているケースが多いのです。「統計解析=機械学習」と考えてしまうのはよくありません。

ただ、機械学習で求められているアルゴリズムをブレークダウンすると、統計解析のアルゴリズムが利用されているケースが多々あります。そのため、この部分においてR言語が利用されるケースが増えているのです。

人工知能でR言語が利用される事例が増えていますので「R言語で人工知能が作れる」と考えてしまう人は多いでしょう。しかし、厳密にはそうではなく、機械学習の一部をR言語で実装し、他の機能やプログラミング言語も利用しながら人工知能全体を実装している事例が大半です。

R言語の今後の需要や将来性


ここまでR言語の概要や活用事例について解説しました。R言語を習得すればどのようなことが実現できるのかなんとなく理解してもらえたでしょう。続いてはこれまでの説明を踏まえ、R言語の今後の需要や将来性について解説します。

これからの需要は高いと考えられる

結論としてR言語のこれからの需要は高いと考えられます。現在は人工知能の利用がブーム・トレンドとなっていますので、それに伴いR言語の需要も高いはずなのです。

現状、人工知能の世界において最も求められているプログラミング言語はPythonです。多くの企業でPythonを利用したシステム開発をしている状況ですので、これからもPythonの需要は高いでしょう。

ただ、Pythonは統計解析専門のプログラミング言語ではありません。そのため、人工知能の世界だけで利用するにはやや学習コストが高くなってしまいます。またライブラリなどもR言語と比較するとまだ少ないため、実装にやや時間を要してしまいます。

それに対してR言語は学習コストが低い上に、統計解析に必要なライブラリも非常に充実しています。Pythonよりも人工知能に活用しやすい状況が整っているのです。Pythonほどは需要が高まらないかもしれませんが、十分にポテンシャルのあるプログラミング言語です。

人工知能の発達が将来性を明るくする

人工知能の世界でR言語が活用されていますので、R言語を利用するエンジニアの将来性は明るいでしょう。人工知能の需要が急激になくなるとは考えにくいので、需要の高まりに伴ってエンジニアの将来性も明るくなるはずです。

先程も述べましたが、今までR言語は学術的な利用が中心でした。一部だけで利用されているプログラミング言語でしたので、エンジニアとして専門的に扱っても活躍の場が限られていたのです。つまり、将来性が明るい状態とは言いづらい状況でした。

しかし、人工知能にR言語が利用できるとなったことで、R言語を扱うエンジニアの環境は大きく変化しています。今までのように狭い分野でしか利用できないプログラミング言語ではなくなったのです。人工知能の発達がR言語の需要を高め、それがエンジニアの将来性を明るくします。

他の知識と組み合わせての習得が理想

R言語は需要が高まっているプログラミング言語ではあります。ただ、R言語だけではエンジニアとして活躍できる範囲が限られてしまいます。実際にR言語で実装する部分でしか活躍できなくなってしまうのです。

そのため、R言語を利用できるエンジニアとして活躍するのであれば、他の知識と組み合わせての習得が理想的です。例えば統計解析だけではなく、ビッグデータ解析の手法や解析したデータのビジネス的な分析方法まで理解しておくのです。

R言語の知識を中心に他の知識を身につければ、データサイエンティストのような働き方ができるようになります。「R言語が扱えるエンジニア」として働くのではなく、「R言語に詳しいデータサイエンティスト」として働けたほうがより将来性は明るくなるでしょう。

まとめ

R言語は統計解析を専門とするプログラミング言語です。一般的なプログラミング言語とは異なり、用途が限られた専門的なプログラミング言語です。

また、R言語は最近公開されたプログラミング言語ではありません。1990年代に公開された比較的歴史の長いものなのです。それにも関わらず現在注目されているのは、R言語が人工知能の開発に利用できるからです。人工知能・機械学習では統計解析が求められますので、ここでR言語が活躍します。

人工知能の広がりと共に、R言語の需要は高まり注目を集めています。R言語だけで生き残るのは難しいかもしれませんが、R言語が扱えるエンジニアであれば活躍できる場は広がるでしょう。

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