個人事業主の経費とは?経費処理の可否を具体的に解説!

個人事業主の経費とは?経費処理の可否を具体的に解説!

「自分で経費処理を行おうと思っているが、何が経費になるのかわからない」
「経費の申請をせずに税金を必要以上に払いたくない!」

この記事では、こういった方に向けて個人事業主の方に向けてどのようなものが経費になり、どのようなものが経費にならないかについて解説していきます。

会社員からフリーランスになった方にとって、経費の処理は大きな課題です。

会社員の時には、納税関係のことについては会社が全て担っていましたが、フリーランスの方はそれらを自力でおこなわなければなりません。

フリーランスの方にとって、経費を上手に使い節税を行うことで、所得を大きく節約できます。

また、確定申告を行わないことによって、滞納税を払わなければいけなくなったり、最悪の場合、脱税の罪に問われたりしてしまいます。

そこで今回は、個人事業主が経費として落とせるものや、落とせないものを紹介していきます。

個人事業主の経費とは

まず、はじめに個人事業主の経費とはどういったものなのかを確認しましょう。
経費とは、事業を行う上で必要な出費のことです。

小さいところでは事業で使う書類代や文房具類などが、当てはまります、また個人事業主の多くの方は自宅やカフェなどのスペースなどを使うことから、家賃や電気代の一部、作業スペースを利用するための代金なども経費として精算することができます。

節税効果

まず、経費処理をしっかりと行うことで、どのようなメリットがあるのかについて見ていきます。

個人事業主の方が経費処理を行い経費の計上をすることによって、所得から決められた項目の金額を差し引くことで、税金の計算の大元となる金額を減らすことができます。

年間の所得というものは「収入 ? 必要経費 = 所得」という計算によって導かれます。

この所得の大きさによってかかってくる税金に差がでてくるので、節税という点において特に個人事業主の方は、恩恵が大きくなるため、しっかりと経費処理をおこなうことが重要となってきます。

経費にできる費用

それでは実際に具体的に個人事業主の方が経費として処理をすることができるものについて、ご紹介していきます。どのようなものが経費として処理することができるのか確認していきましょう!

車両費

車の購入は経費として処理することが可能となっています。

個人事業主の方の場合、購入代金の100%を経費として申請しますが、車の購入は必然的に額が大きくなるため、経費に占める割合が大きくなります。

実際に車を100%事業でしか使っていないとしても、税務署からは本当にプライベートでの利用などがないかを確認されます。

そのため税務調査でのチェックも厳しく、「事業でどのような目的で、どれくらいの頻度で使用しているか」をしっかりと説明できなければなりません。

また車などの10万円を超え、一定年数使用することができるものについては、「減価償却」という制度を使い、少しずつ経費として申請しなければなりません。

また車の購入だけではなく、それに伴う駐車場代や、自動車税、重量税などといった税金関係のお金や、自賠責保険や任意保険などの保険関係、ガソリン代や、洗車代、車検代などといった維持費も「租税公課」や「保険料」などと行った名目で経費にすることができます。

家事関連費

個人事業主の方は、主に自宅などで作業をすることが多いですが、そのような場合、家賃の一部を経費として処理することが可能となります。

青色申告の場合、家事按分という枠で、実際に事業で使用している割合とプライベートでの仕様の割合を申請することで、事業で使用している割合の分の家賃を経費として処理できます。

また、賃貸を契約する際にかかる「礼金」も20万円以下でしたら一括で経費として精算することができます。

もし礼金が20万円を超える場合は、減価償却をしなければなりません。

水道光熱費

家賃同様、水道光熱費も経費として申請することができます。

水道代や、ガス代などはどのくらい使ったのか分かりづらいので、難しいですが、電気代は割とわかりやすく計算することができます。

そのため、水道代やガス代は経費として計算しない方が非常に多いですが、電気代は自分が使った利用料分だけ、経費として申請することが多くなります。

通信費

事業で使用する、携帯電話やインターネット料金や、切手はがき、配送料なども経費として申請することが可能です。

携帯電話やインターネットはプライベートでも使用する場合、家事按分をする必要があるので注意が必要です。

交際費

交際費として、計上することが出来るものとしては、以下のようなものがあります。

カフェなどの打ち合わせにかかるお金

フリーランスの方は、取引先の相手の方との打ち合わせなどにカフェなどを使う場面も多いですが、その場合、カフェの代金などは交際費として申請することができます。

お中元などの慶弔費

また取引先への中元・お歳暮、手土産、慶弔(ケイチョウ)費、取引先とのゴルフプレー代なども、接待交際費として必要経費にすることができます。

一般の企業に努めている方は、会社関係のお葬式の香典などは経費にすることはできませんが、個人事業主の方は取引先と事業で関連があれば、経費として認められることがあります。

その際には、金額と日付をメモすることと、お葬式に参加したことの証拠となるような挨拶状やお礼状などをしっかりと保存しておきましょう。

同じ業界の方との飲み会など

個人事業主の方や経営者の方は同業者や、同じ業界の方との飲み会なども経費として申請することができます。

また、仕事でいろいろな業界の方との食事をする機会などもありますが、それらも「接待交際費」として処理することが可能です。

これらの交際費を申請する際に注意が必要なのですが、使用した交際費が実際に事業に関わっているかどうかが非常に重要となります。

交際費については、プライベートな金銭のやり取りなども申請する人が多いことから税務署の目も厳しくなっているため、領収書や相手先の記録などはしっかりとすべて保存しておくようにしましょう。

新聞図書費

本や雑誌などは個人事業主の方にとって経費として落としやすいものの1つです。個人事業主の方は、自身で書籍などを購入し、学習を行ったり、情報を収取したりすることは非常に重要なためです。

こちらの新聞図書費も交際費と同様に、漫画などに関わっていない事業主の方が漫画を経費と申請するなどのように、事業に関わっていない雑誌などを経費として申請することはできません。

しかし一般常識の本や世界情勢、経済に関連する本は事業を行う上で有用であると判断されることが多いため、経費として処理することが簡単となっています。

消耗品費

消耗品として計上出来るのは、以下のようなものです。

パソコン

個人事業主の方のほとんどの方が使用して大きな金額となるものが、パソコンだと思われます、パソコンは経費として申請することが可能ですが、金額によって計上の仕方が変わります。

10万円までであれば「消耗品費」として処理できますが、それを超えた場合は「資産」として扱われます。

10万円以下の場合

事業で使用したパソコンが10万円以下の場合「消耗品費」として一括で経費として申請することができます。

10万円~20万円以下の場合

10万円以上~20万円未満のパソコンを購入した場合は、基本的に4年にわたって減価償却という長期間に渡って使用するものの経費を年ごとに少しずつ計上していく必要がありますが、「一括償却資産」として、3年で4万円ずつ処理することが可能です。

例えば15万円のパソコンを購入した場合、3年かけて5万円ずつ経費として処理することができます。

20万~30万円以下のパソコン

本来であれば、10万円以上の品物を購入した場合、上で述べた「減価償却」を行わなければなりません。

しかし、青色申告者は「小額減価償却資産の特例」を利用して、「30万円未満」であれば購入した年に一括で処理することが可能です。

デスクやキャビネットなどの家具

事業で使用する家具についても消耗品費として精算することが可能です。

デスクやチェアなどについては購入する機会が多くあると思いますので、経費として精算することを忘れないようにしましょう。

諸会費

個人事業主の方は事業用の法人クレジットカードを持たれることもあると思いますが、そちらの年会費なども諸会費で経費として精算することができます。

また事業用の法人クレジットカードを持っておらず、プライベート用のカードであっても事業での使用が50%以上を超える場合は、経費として精算することが可能となる場合があります。

経費にできないもの

「経費として計上出来ると思っていたら、実は計上出来なかった!」という経験はありませんか。

経費に出来るか出来ないかの違いは、「その費用を仕事に使ったかどうか」というポイントです。

では、経費として計上出来ないものには、どういったものがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

人間ドックや健康診断などの健康費

これらのものは、個人事業主の方が従業員などを雇っている場合においては、法律によって義務付けられていることから、福利厚生費という枠で経費として処理することができます。

しかし、個人事業主の方自身の分については、義務ではなく法律などで罰せられることもないため、経費として申請することができません。

しかし、個人事業主の方は経営者として体が資本であるため、たとえ経費として処理することができなくとも、しっかりと受診しておくことが大切です。

スーツなどの服飾費

スーツなどの服については、事業に関連しているため、経費として処理することが出来そうに感じるかもしれませんが、意外にもスーツなどの服飾費は経費として処理することができません。

昭和49年に行われた、個人事業主の方の被服に関する判決では、被服に関わる費用というものは、経費としてではなく、プライベートな「家事費」とすることが判決されました。

理由としては、衣服は誰でも必要なアイテムであり、個人的な趣味や嗜好が影響し、人によって着られる年数が変わってくることが理由としてあげられました。

しかし、衣服であったとしても、職務中になんらかの理由で必ず着用しなければならないものに関しては、「家事関連費」として申請することも可能となっています。

ローン借入費

借入金の元金や、住宅ローンの元金は支払いであっても経費にすることはできません。

ですが、借入金の支払利息、家賃などと同様に業務として使用している部分の住宅ローンの支払利息は経費になります。

家事関連費

この記事内で家賃などは経費と精算することができると記述しましたが、賃貸を契約する際にかかる、「敷金」や「保険金」については経費として申請することはできず、「敷金」と「差入保証金」という勘定項目で資産として申請しなくてはなりません。

上記の二つは賃貸を退去する際に帰ってくるお金であるという点から経費ではなく「資産」として申請しなければなりません。

経費の家事按分とは?

ここではこれまで少し出てきた家事按分について詳しく説明します。

個人事業主の方は、普段の生活で使うお金と事業で使うお金が混ざることがあります。

上でも出てきたような家賃や水道光熱費や車やそれに関わる維持費などがそれに当たります。

実際に家賃を例に挙げて具体的に説明をすると、自宅の広さが20平方メートルだとし、実際に作業するスペースが9平方メートルだとした場合、

「 9 / 20 * 100 = 45」

という計算式で家賃の45%を家事按分とし「地代家賃」という項目で経費として精算することが可能です。

しかし、実際に按分の割合は自分の自由で決定することができます。

その際に注意が必要なのが、税務省の調査の際に税務調査官に「常識的に納得できる」説明ができるかどうかが重要です。

また、家事按分をするルールというものは一度決めたら、あまり変えないようにすることが重要です。

按分割合の目安を使用している面積にするのならばそのままに、時間にするのであれば時間のままにといったように一貫性を持たせることも重要です。

まとめ

今回は個人事業主の方に向けて、様々な経費にできるもの・できないもの、家事按分についてご紹介いたしました。

今回紹介したような経費にできるものをしっかりと申請することによって、払う税金を減らすことによって損をすることを防げます。

個人事業主の方は、是非、これらの経費を上手に使い賢く節税ができるようにしましょう。


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admin