【2022年版】2022年の確定申告変更点は?やり方や前年からの変更点を解説

【2022年版】2022年の確定申告変更点は?やり方や前年からの変更点を解説

2022年は確定申告の内容が変化しました。基本的な流れは今までの確定申告と変わりませんが、フリーランスや個人事業主は意識しなければならない変化があります。

また、それ以外にも住宅ローン控除の取り扱いが変化するなど、多くの人が意識しなければならない要素もあります。今回は2022年の確定申告でどのような変化があったのかご説明します。

2022年確定申告で理解すべき変更点


2022年の確定申告では、大きく分けて6種類の変更があります。全ての変更が全員に影響するわけではないものの、どのような変更があったのか順番にご説明していきます。

e-Tax手続き

2022年の1月から税務署公式サイトに設けられている「確定申告書等作成コーナー」が更新されています。作成できる書類などは基本的に変化がありませんが、パソコンでもスマホでも簡単に確定申告書などが作成できるようになっています。

この中でも特に注目しておきたいのは、マイナンバーカードでログインする際に「QRコード認証」が利用できるようになった点です。今までマイナンバーカードを利用するためには、ICカードリーダーを利用してカードのICチップを読み取る必要がありました。しかし、2022年の確定申告からICカードリーダーが不要になるのです。

QRコード認証を利用するためには、対象機種のスマートフォンに専用のアプリをインストールします。iPhoneを含めて多くのスマートフォンに対応しているため、基本的にはアプリをインストールできると考えてよいでしょう。

アプリをインストールした後は、所定のQRコードを読み込みます。こちらのQRコードが本人認証の基本となるため、事前に用意しておかなくてはなりません。そして、こちらのQRコードを読み取った後にマイナンバーカードの読み取りをすると確定申告の本人確認が完了する仕組みです。

マイナンバーカードを保有している人は、パソコンとスマホの組み合わせで簡単に確定申告ができます。2022年の確定申告から利便性が高まるのです。

参照:国税庁|確定申告書等作成コーナー

押印義務の廃止

2022年の確定申告からは、確定申告の書類に押印する義務がなくなりました。2021年までは各種書類に押印欄が設けられていましたが、2022年の確定申告よりこれらの押印欄が廃止されています。

基本的に今までは、氏名を手書きの場合でも、印刷している場合でも、押印が必要でした。手書きの場合はやむを得ないと考えられますが、印刷してる場合でも押印が必要だったのです。この押印を面倒に感じてる人も多かったでしょう。

しかし、2022年の確定申告からは確定申告書や収支内訳書、青色申告決算書に押印をする必要はありません。最新の書式を利用すれば押印欄が削除されているため、書式のとおり押印なしで書類を作成して差し支えありません。

確定申告書の書式

確定申告書の書式が変更されています。上記でご説明したとおり押印欄が削除されていますが、それ以外にも書式の変更があるため認識しておくべきです。

まず、雑所得に新区分が創設されました。今まで雑所得は「公的年金等」と「その他」の2つが用意されていました。ただ、これでは雑所得にその他を利用する人が大半になってしまいます。この状況を避けるために、副業などの収入に利用する「業務」が新しく創設されました。

また、不動産収入は今までひとつの区分であったものが、区分1と区分2に分類されます。区分1と区分2の違いについては国税庁の公式サイトに記載ルールが掲載されていますが、複雑であるためここでは割愛します。確定申告の際に意識しなければならない人は、国税庁のサイトを参照するようにしましょう。

2022年の確定申告で意識しなければならない変化は、主に上記のとおりです。副業の収入がある人や家賃などの不動産収入がある人は、書き方が変化するため注意しなければなりません。

住宅ローン控除の取扱

住宅ローンを契約してマイホームを購入した際には、住宅ローン控除が利用できます。2022年の確定申告では、こちらの住宅ローン控除の仕組みが変更されています。

まず、住宅ローン控除はマイホームの新築や増改築に関わる住宅ローンを所得税額から控除できるものです。住宅ローンの負担はあるものの、税金は減少するため、マイホームを購入しやすくなる仕組みといえます。なお、期間は基本的に10年間ですが、現在は新型コロナウイルスの影響により一時的に13年間まで認められています。

2022年の確定申告で注目したいのは、申請できる期間の延長だけではありません。期間が延長するだけではなく、2022年からは床面積の条件緩和が行われています。今までは50平米以上の住宅が対象でしたが、今回からは40平米以上の住宅が対象です。

また、本来住宅ローン控除を受けるためには、住宅を取得した年度内に入居しなければなりません。ただ、現在は新型コロナウイルスの影響でスムーズな入居ができない場合もあり、2022年12月末までに入居すれば住宅ローン控除が適用できるようになってます。

ふるさと納税の取扱

実質的な節税ができる、ふるさと納税の取り扱いが変化しています。ふるさと納税は特定の自治体に税金を納める(寄付する)ことで返礼品の受け取り、返礼品の価値と減少する税金を差し引くと実質的に節税できる制度です。

このふるさと納税は、厳密には納税ではなく寄付金として処理されます。そのため確定申告の際には、寄付したことを証明する書類を自治体から発行してもらい添付する必要があります。ふるさと納税をする先が多くなると、添付書類が多くなってしまう問題があったのです。

しかし、2022年の確定申告からは、「ふるなび」「さとふる」など指定のサービス業者が発行する証明書でも確定申告ができるようになりました。こちらの証明書は複数の自治体に寄付をしても、1枚の証明書に内容をまとめてもらえます。そのため、確定申告をする際に添付書類を少なくできるメリットを生み出します。

もちろん、こちらの制度を利用するためには、指定のサービスを経由してふるさと納税をしなければなりません。自治体に直接寄付するケースでは適用されないため注意しましょう。

保育助成金の取扱

ベビーシッターや認可外保育施設を利用する場合、国や自治体から助成金が支給される場合があります。支給には様々な条件がありますが、これらの制度を利用している人がいるでしょう。

こちらの制度は支出をサポートしてくれる制度でありますが、助成金に該当するため支給された金額を雑所得として確定申告しなければなりません。確定申告が必要となる点で、少々手間のかかる制度であったのです。

ただ、2022年の確定申告からはこれらの助成金は所得税や住民税の非課税対象となりました。つまり、雑所得として確定申告する必要がなくなったのです。今まで助成金を受け取って確定申告をしていた人は、これらに関する確定申告をしなくてよくなります。もちろん、これ以外に確定申告が必要な場合はしなければなりませんが、その際も助成金について記入する必要はありません。

2022年も注意したい2021年の変更点


上記では2022年の確定申告で注目したい変更点についてご説明しました。なお、確定申告は2021年にも変更がありこちらについても理解しておくべきです。2022年の確定申告に合わせて、こちらについてもご説明していきます。

基礎控除額と給与所得控除額

所得控除のひとつである基礎控除の金額が変更されています。基礎控除は全ての人に適用される所得控除で、今までは一律で38万円の控除が適用される仕組みでした。しかし、2021年の確定申告から基礎控除の額が変更され、所得制限も定められるようになっています。

まず、基礎控除は合計所得が2,400万円以下の場合は48万円に引き上げられています。そのため、多くの人は基礎控除が10万円増えている状態です。ただ、合計所得が2,400万円を超える人は基礎控除の額が段階的に少なくなり、2,500万円を超える人は控除が適用されない仕組みに変更されています。

合計所得金額 基礎控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超 2,450万円以下 32万円
2,450万円超 2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

また、基礎控除の変更とともに給与所得控除が変更されています。給与所得控除は給与所得を受けている人だけが利用できる控除で、主にサラリーマンに該当する人が利用できます。こちらについては多くの人が10万円の控除額引き下げとなっています。

給与所得金額 基礎控除額
162.5万円以下 55万円
162.5万円超 180万円以下 給与所得金額×40%-10万円
180万円超 360万円以下 給与所得金額×30%+8万円
360万円超 660万円以下 給与所得金額×20%+44万円
660万円超 850万円以下 給与所得金額×10%+110万円
850万円超 195万円

給与所得金額が850万円以下の人は、今までよりも給与所得控除が10万円引き下げされています。ただ、基礎控除が引き上げられているため、合計の控除金額には変化が無く税金の変化も発生していません。なお、給与所得金額が850万円を超えている人の中でも1,000万円を超えている人は給与所得控除の金額が下がっています。

言い換えると、給与所得控除が影響しないフリーランスや個人事業主は控除の金額が増えています。税金が減少している人もいるため、その点は正しく認識しておきましょう。

青色申告特別控除額

青色申告を利用している場合は、青色申告特別控除が適用されます。こちらの控除を受けたいがために、青色申告を選択している人も多くいるでしょう。青色申告を利用していれば、所得金額から最大65万円が控除されます。

2021年までは簡単な条件で最大の65万円が控除されていましたが、2022年からは以下のとおり条件が変更されています。

  • 2021年までで55万円控除の条件を満たしていること
  • その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存をしていること
  • その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表および損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Taxを使用して行うこと

新しく追加された条件を満たしていない限り、青色申告を利用していても55万円の控除に留まってしまいます。控除金額に10万円の違いがあるため、できるだけ条件を満たして青色申告特別控除を受けられるようにしましょう。

ひとり親控除

新しくひとり親控除が創設され、所得金額から控除されるようになりました。2019年までの寡婦控除とは異なり、未婚の場合でもひとり親控除は適用可能です。

控除される金額は一律で35万円と定められています。ひとり親であれば婚姻歴の有無に関わらず一律の控除が適用される仕組みです。ただ、控除を受けるためには以下の条件を満たしていなければなりません。

  • その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと
  • 生計を一にする子がいて、子の年間総所得金額が48万円以下かつ、他の人の扶養家族ではないこと
  • 合計所得金額が500万円以下であること

これらの条件を満たしていれば、ひとり親控除が受けられるようになります。控除を受けるためには確定申告などの手続きが必要となるため、フリーランスや個人事業主などで確定申告をする人は申請時に注意しておきましょう。

まとめ

2022年の確定申告でどのような変化があったのかご説明しました。いくつもの変更点があったため、どのような変更があったのか、改めて理解するようにしましょう。全ての変更点が全員に関係するわけではないものの、変更点を正しく理解しておくことが重要です。

また、2022年の変更点と同時に2021年の変更点についてもご紹介しました。昨年の変更点も意識しておかなければならないため、2022年の変更点と合わせて理解するようにしておきましょう。

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